『寅次郎な日々』バックナンバー
第35作『寅次郎恋愛塾』 超簡単 ダイジェスト版
2010年3月10日 寅次郎な日々 その432
この文書には本編のネタバレが含まれます。お気をつけ下さい。
生業が忙しく、少しアップが遅れました。
それでは本日は第35作「寅次郎恋愛塾」の超簡単ダイジェスト版をどうぞお楽しみください。↓
君がため春の野に出でて若菜摘む 最も悲しい生い立ちを持つ若菜さんの幸せ
君がため春の野に出でて若菜摘むわが衣でに雪は降りつつ
これはあの小倉百人一首にも選ばれている光孝天皇が詠まれた歌だ。
若菜は若く柔らかな草。
その名のとおり、若菜さんはふるえるほど可憐で美しい。
しかし、とても人には言えないような悲しい生い立ちを持ってしまったマドンナだ。
冷静に考えれば、このシリーズのあらゆるマドンナの中で最も悲しい生い立ちを持っているのかもしれない。
そんな若菜さんの悲しい顔が明るくなったっていったのは寅と知り合ってからだ。
寅は人を幸せにするためだけにこの世に存在する哀しい運命を背負わされている。
若菜さんに惚れていながらも、一途な法律浪人の民夫との仲立ちをしてやる寅。
今回も車寅次郎の恋のキューピット役は紆余曲折がありながらも見事に成功してゆくのだ。
顔で笑って心で泣いて、男寅次郎の奮闘は続く。
ポンシュウはつらいよ
そして、もうひとつ、
この第35作「恋愛塾」は寅のテキヤ仲間ポンシュウ大活躍の物語でもある。
この話はポンシュウが準主役と思えるほど出番が多い。
長崎県、上五島での顛末はこのシリーズでポンシュウがもっとも活躍した話として語り継がれていくだろう。
この物語では老婆を助けてやり、その家で焼酎を一気飲みしたり、タコの料理をしようとしたり、歌を歌い、踊り、
墓を掘り、教会の燭台を盗み、教会で懺悔と奉仕の日々と、もう大活躍。
関敬六さんの軽妙な演技をご堪能ください。
それでは、本編 超簡単ダイジェスト版をどうぞ
今回も夢から
『姥捨て伝説』の夢
何が哀しくてこんな夢を寅は見るのか(^^;)
長野県上田市野倉地区の映像
今は昔、柴又国の国主は年寄りは捨ててしまうようにとむごい厳命を下す。
みんな最後の夕食を食べている。
さくら一家みんなしくしく泣いている。
なぜかポンシュウも女性役で泣いている。
おいちゃん「これ、泣くでねえ、一番つれえのはわしら連れて行くあんちゃんでねえか、
そのあんちゃんが耐えているのにおめえらみっともねえぞ」
寅「冷てえ風が吹いて雪になりそうだ。遅くならねえうちに出かけるとしようか」
寅と博がおいちゃんおばちゃんを担ぐ。
博「いやだいやだ!オラ行くのいやだ!」
と、嫌がるが、寅は諭して担がせる。
おいちゃん「ナンマンダブ、ナンマンダブ…」
おいちゃんは軽いので博はすんなり担ぐ。
おばちゃん「寅吉や、ご苦労かけます」
寅「なんのなんの、これからの長い道のり、尻もさぞ痛むだろけど、
おっ母さんも辛抱してくれや」
おばちゃん「あいよ」と深く頷く。
寅「さあ、それじゃ行くか」
おばちゃん「あい」
しかしおばちゃんは重いので寅はひっくり返る。
寅、首絞められて
寅「アイタタ、イタタタ!!イタイイタイ!」とじたばた。
みんな助けに来るが
いったん起きて、またひっくり返る。
寅「アイタタタタ!!」とじたばた。
みんなも下敷き。
雰囲気ぶち壊し。バカバカしい夢でゴザイマシタ(TT)
下敷きになってるおばちゃん大丈夫かな…(((^^;)
で、夢から覚める。
第5作「望郷編」同様谷よしのさんが寅を起こす。
今回は行商のおばちゃん役。こういう役は天下一品。
菊娘の前掛けをしている。
信州 上田電鉄別所線 舞田駅 ホーム
なかの − やぎさわ
谷さん「ちょっと、これ、あんちゃん」
寅「ん?お!」
谷さん「電車来るよ」
谷さんの荷物にもたれて寝ていた寅だった。
寅「ごめんごめんおばあちゃんの荷物だったのか」
谷さんの行商包みの新聞 江川と槙原 ジャイアンツの記事。
谷さんの濃紺の藍染前掛け。
昭和初期『富久娘酒造』の前身『花木本家商店』は昭和26年以前の会社名。
濃紺にレトロな型染め。 .... 昭和レトロ清酒富久娘
二両編成の電車が小さなホームへ入ってくる。
タイトル イン
男はつらいよ 寅次郎恋愛塾
口上「わたくし、生まれも育ちも葛飾柴又です。
帝釈天で産湯をつかい、姓は車、名は寅次郎、
人呼んでフーテンの寅と発します。
♪どおせおいらはヤクザな兄貴 わかっちゃいるんだ妹よ
いつかお前が喜ぶような 偉い兄貴になりたくて
奮闘努力の甲斐もなく 今日も涙の
今日も涙の陽が落ちる 陽が落ちる♪
どぶに落ちても根のあるヤツは いつかは蓮の花と咲く
意地は張っても心の中じゃ
泣いているんだ兄さんは
目方で男が売れるなら こんな苦労も
こんな苦労も かけまいに かけまいに♪
長野県 上塩尻 千曲川に架かる橋のそばの地蔵尊。
信州海野宿
長野県東御市(旧小県郡東部町)にある北国街道の宿場。
ゆったりと歩いている寅。
うだつがある古く味わい深い家々の下を小さな水路が涼やかに流れている。
黒槐(くろえんじゅ)の木
長野県東御市島川原154 諏訪神社近く
旅の僧(梅津栄)と出会う寅。
着物を着た麗しく色っぽい美人女性が近づいてくる。
すれ違いざまにお辞儀。
寅も旅の僧も目がハート、じ〜〜〜〜っと彼女を目で追いかける。
寅につつかれて旅の僧、我に帰る。
からかい続ける寅。
第18作「純情詩集」に出てきたこの同じ信州別所温泉警察署の渡辺係長が、
思うことあって発心し、旅の僧となって信州界隈を旅しているのであろう。 ちゃうって…ヾ(^^;)
着物姿の女性は第21作で登場したSKDの大スター藤川洋子さん!
音楽終わって ―
柴又中学校正門
満男が下校していく。
なぜか女子が制服で男子が私服??そんな学校ある??
女子が私服だとお金かかるからかなあ…??
柴又 とらや 店
満男帰ってくるがちょっと不機嫌。
そのまま朝日印刷に見学に行く。
どうやら学校で何かあったようだ。
さくら「??」
おばちゃん「なんだろ返事もしないで」
さくら「ねえ」
朝日印刷 工場内
珍しく満男が工場に来たので何かあったのだと気づく。
とらや 台所
博「満男、f学校で何かあったのか?」
満男「父さんは印刷工だろ」
博「あ、そうだよ」
満男「中学生の頃から印刷工になろうと思ってた?」
どうやら先生に何か言われたようだ。
ちなみに博は「弁護士→テストドライバー→オートショップの経営者」という望みが合ったらしい。
満男は『音楽家』になりたいが担任の先生に夢みたいなこと言うなと言われて落ち込んでいるのだ。
博は夢を持つのは素晴らしいことだが、
満男が苦手教科から逃げている気持ちからその夢が来ていると見抜いているようだ。
「個性的に育てればいい」とわかったようなことを言うおばちゃんに対して、
好き勝手なことをしていても個性は育たない。むしろ嫌いなこともふくめていろいろなことを克服していく上で
本人の中に個性が育っていくと博は言う。
さくら「そうよ、満男の個性を作り出すのは満男自身だもんね」
おばちゃん、それ聞いて
おばちゃん「寅ちゃんもかい?」
みんな大笑い。
おいちゃん「あれは特別だ」
電話が鳴る。
寅から電話。
さくら「あら、お兄ちゃん!今噂していたところなのよ」
どうやら寅は今長崎にいる。
当分柴又へは帰らないで
天草、五島と、ポンシュウと旅を続けるらしい。
満男は言う
満男「伯父さんはいいなあ、個性的で」
おいちゃん「バカ、ああいうのは個性的と言わないんだよ、
あれはおめえ、デタラメって言うんだ」
みんな笑う。
五島列島 南松浦郡新上五島町
有川神社
厳密には 旧 祖母君神社
現在は中筋公園
祭りの縁日で易本を売る寅。
ネタをネタ元という問屋に行って一日借りてくることを客にバラしている珍しいシーンだ。
50回に一度はピタッと当たる、と言って客を信じさせている。
「お嬢ちゃん、あなた今恋をしているね」だって((^^;)
神社の前にはパチンコ『銀座会館』
船でこのあと上五島に渡っている設定なのに、
さきほどの啖呵バイがすでに上五島でおこなわれている。
この摩訶不思議は、第20作「寅次郎頑張れ!」でも出てくる。
あの時は平戸の浜尾神社でのバイのあと、なぜか、また平戸港に戻り、
このあともう一度連絡線に乗って本土に渡り、
そしてまた平戸に再びやって来ている。
寅は本土の平戸口と平戸を行き来しているのか??
これではじつにややこしい旅をしていることになる。
まあ、しかし、
あの第20作の『浜尾神社』が
長崎本土にある神社の設定(映画のお約束)だと思えば
極めて単純に、
本土でのバイを終って平戸に船で渡ったって
考えることが出来る。
スタッフ的にはそういうお約束ということらしい…。
そして今回「恋愛塾」の上五島も同じ、
違う土地でバイをしたあと上五島に連絡線で上陸するということらしい。
ところで、なぜあの啖呵バイが上五島だとわかったかというと、
寅とポンシュウがその後数日後に泊まる宿が有川にある『有川旅館 西海屋 』。
そのすぐ前が、なんとあの啖呵バイをしていた時に見えていたパチンコの『銀座会館』だったからだ。
建物のあり方、装飾、外壁、等々がピタッと一致する。
つまり寅がバイをしていたのは長崎本土や天草ではなく、
すでに上五島に上陸し、新上五島の有川地区だったのだ。
まあ、とにかく、とりあえず映画のお約束として、
本土での啖呵バイのあと上五島へ渡るということで。
遠くに見える八王島
郷の首湾に向かう。
新上五島町 太田郷 太田港
島のはずれ、太田漁港でお金がほとんど無くなり途方にくれる寅とポンシュウ
道で転んでしまったおばあちゃんを助けたのが縁でおばあちゃんの家に立ち寄ることに。
江上ハマさんの家
おばあちゃんお礼にと冷えた焼酎を出す。
水だと思って一気飲みする寅とポンシュウ。
寅は吐き出すが、ポンシュウは震えながらも飲み込む。
ポンシュウ「もったいないことした、一気飲みしちゃった」こういうギャグいいですね(^^)
自分で漬けた自慢のらっきょを出すおばあちゃん。
タコを調理するポンシュウ。
夜になって 宴会をする3人。
アルカデルト 「アヴェ・マリア」
若菜さんのおばあちゃんハマさんの家で
あの何とも不思議なポンシュウの歌と踊りが始まるのである。
おばあちゃんにとっては生涯の最後の夜であり最後の宴。
背景にはマリア様と若菜さんの写真。
このポンシュウの踊る影に神様の気配を見たのは私だけではないだろう。
ポンシュウ「♪あ、それェ、あ、それェ!
杯に映る明りを
飲み干して、
今宵も歌おうよ
我が友よ〜
楽し さわぐ酒の中から
浮いてくるくる
酒の中から
どんとどんとどんと!♪」
このポンシュウの歌と踊りには『白魔術』の気が間違いなく入っていた。
見る者聴く者の心を解きほぐしてくれる力があった。
おばあさんに対しての最後の日のはなむけのために神様がポンシュウの姿を
借りて歌い踊ってくれたのだ。
ポンシュウはあの踊りの時神聖な神様だった。嘘のような本当の話。
その深夜
おばあちゃんは自分の最期を悟り、ポンシュウに神父様を呼んでくれるよう頼むのだった。
残った寅はおばあちゃんの傍らに座る。
おばあちゃんは、ロザリオを手に持ち
おばあちゃん「寅さん、じゃったね…」
寅「そうだよ」
おばあちゃん「あなたにも神様のお恵みがありますように…」
それからしばらくして おばあさんは寅や神父さんに見取られながら
朝の5時35分夜が明ける頃
ロザリオを握り締め天国に召された。
翌朝 丸尾教会 墓地
クリスチャンだから土葬なんだね。
おばあさんの墓を掘ってやるポンシュウと寅。普通しないよこんな大変なこと、いいとこあるねえ( ̄ー ̄)
ポンシュウはいやいや半泣きで穴を掘っているが、
久しぶりの汗を流した肉体労働のあと、村人に出してもらった
おにぎりと漬物を美味そうに食べる二人。
ポンシュウ「うめえなあ!」
寅「働いた後だからな。
労働者ってのは毎日美味い飯食ってるのかもしれねえな」
ポンシュウ「そうだな」
この寅の言葉はこのシリーズでも非常に重要な意味を持つ言葉。
と、いうかけで、久しぶりに充実した日々を送る寅とポンシュウ。
マドンナ 若菜さんとの出会い
青砂ケ浦 カトリック教会
青砂ケ浦(あおさがうら)天主堂
長崎県南松浦郡新上五島町奈摩郷
東京から江上若菜さんが駆けつける。
おばあちゃんに「おばあちゃん…」と語りかけ、涙を流す若菜さん。
おなじみ備後屋、装飾 小道具露木幸次(ゆきつぐ)さんが聖歌隊の青年役。
もっとも、ずっと後姿なので顔は見えないが。
典礼聖歌82番 『神を敬う人の死は』
教会の一番後ろでいた寅とポンシュウは途中で帰ることに。
ドアの音で振り向く若菜さん。
前の日の事情を聞いた若菜さんが追いかけてくる。
若菜「あのー…」
寅、振り向いて若菜さんを見る。
若菜「もう、お帰りですか」
寅「ん、まあ、あっしらヤクザ家業の男が長くいるようなところじゃないと思いまして」
若菜「私、江上若菜です」
若菜「神父様にお聞きしたらおばあちゃんが大変お世話になったとか…、ありがとうございました」
寅「ああそうかい、…あんたが…ああ、ばあちゃんの死に目に会えなくて気の毒だったね」
頷く若菜さん。
寅、思い出したように
寅「あ、そうだ、ま、気持ちだけど」と香典を渡す。
恐縮する若菜さん。
寅「東京だって?」
若菜「はい」
寅「だったらまた、いつでも会えら、な、さ、オレたちに構わねえで、行きなよ」
頷く若菜さん。
寅「じゃ」
と、歩いていく。
若菜さん「あ、あの」
寅振り向いて、ちょっと嬉しそうに
寅「え」
若菜「最期の晩のことお聞きしたいんだけど、またお手紙します」
寅「うん」
若菜さんの後姿を追っている寅とポンシュウ。
寅、いつまでもポ〜っと若菜さんの後を目で追っているポンシュウを見て
寅「バカ」
ポンシュウの急所にカバンを当てて帰ることを催促。
ポンシュウ「おい、バカ、アイタ〜〜〜、何すんだバカ〜〜〜」(^^;)
夜 新上五島町 有川地区
有川旅館 西海屋
上にも長々と書いたように、ここは寅が啖呵バイをした場所。
向かいでは啖呵バイの時と同じくパチンコ『銀座会館』がネオンを光らせている。
パチンコ屋から『片恋酒』が流れている。
片恋酒
三門忠司
好きで呑んでる お酒じゃないわ
ひとりが淋しい 片恋酒よ
遊び上手な あなたでも
噂を聞く度
逢いたくて
つらいのよ つらいのよ
バカな女と 言われても
忘れられない 恋だから
面影グラスに
忍び泣く
宿の女中さんから若菜さんについての悲しい話を聞く寅。
寅「あのおばあちゃんのことよく知ってるのか?」
女中「知っとお、気の毒な人でねえ…」
寅「何かあったのか?」
女中「ハマさんには一人娘がいて、綺麗な人だったよ。
そいが、東京から来た男に騙されてねえ、子供作ったとよ。
こん宿に泊まっとったて、その男」
寅「男は、逃げたか…」
頷く女中。
女中「その美人の娘さん、ててなし子を産んだと」
寅「…」
女中「田舎でしょ、みんなに陰口言われて、とうとうその人、
身投げしてしもたと…、そこの海に」
寅「…」小さく頷く。
寅「それで、あとに残された孫娘をおばあちゃんが一生懸命育てたとこういうわけだ」
女中、頷いて
女中「カトリックじゃ自殺は罪でしょう…、
それをあのおばあちゃん、一生苦にしてねえ。
気の毒に。
あん人はきっと天国に行けるとよ」
寅下を向き頷く。
ポンシュウがノウテンキに振舞って「片恋酒」を歌いながら風呂上りの姿で部屋に入ってくる。
ポンシュウ「しかしいい女だったなあ、あの孫娘。
喪服着た女ってたまらねえな。なあ寅」
寅、ムッとして
寅「オレはおめえと一緒の旅はやめてえな…」
ポンシュウ「え?」
寅「仮にだ、おまえが死んで葬式の時、
お前の娘が喪服を着てボロボロ泣いてるのを、
どっかの助べえ野郎が『いい女だなあ』
そう言ったら、棺桶の中にいるおめえは腹が
たたねえのか?」
ポンシュウ「へへへ、そんなたまじゃねえや。
オレが死んだって涙なんか流すもんか
あのバカ娘は!」
(ポンシュウになんと娘がいたことがわかる!)
タオルを投げつける寅
ポンシュウ「な、なにすんだよ!」
寅「親の死を悲しまねえ娘がどこの世界にいるんだ!
てめえそんなこと言ってるとバチが当たるぞ!」
ポンシュウ「へ、偉そうな口ききやがって、悔しかったら
娘持ってみろ!なんだい、女房も持てねえくせによ!」
寅「それを言っちゃおしめえよ!てめえの面は二度と見ねえ!」
と宿を出ていく。
ポンシュウも怒って階段を下りていった寅に
ポンシュウも怒って
廊下の階段の下を覗きながら
ポンシュウ「このバカヤロウ!上等だよ!やい!てめえ!
またあの娘に惚れたのか!?
いい年こきやがって、へッへー!」
お金も無いのにこんな夜に寅はどうやって旅を続けるのだろうか…。
柴又 とらや 台所
あけみがまた夫婦の愛情問題で悩みをさくらに打ち明けに来ている。
夫婦の会話がほとんどないそうだ。
タコ社長がやって来たので、逃げていく。
おいちゃん、さくらに
おいちゃん「悩みごとかい、あけみちゃん」
さくら「お兄ちゃんに会いたいって」
おいちゃん「あー、そうだな、くさくさした時にあいつの顔思い出すと、
なんとなく気が晴れるもんなあ」わかるわかる(^^)
と言ってると時に寅が帰ってくる。
なかなか入りにくそうなのでおばちゃんたちは知らん顔して台所で待機。
これは第7作や第8作でも使われたギャグ。
とらや 店
備後屋通りがかって
備後屋「寅、おい、なんだ帰ってたのか」
寅「あ、備後屋さん、あなたにも神のお恵みがありますように」いつから宗旨替えを…ヽ( ̄▽ ̄;)
と、十字をきる。
備後屋「??」
江戸家の女将さんもそれ聞いて、さすがに引いてしまう。
寅、みんなに丁寧な挨拶。
寅「さくら、あのー…要するに電話か、オレに手紙かなんか来てない?」
さくら、手紙が来ていたと寅に渡す。
寅「なんだそれ」
さくら「柴又商業の同窓会、会費納めてくださいって」
寅「卒業もしてないのになんで会費納めなきゃならないんだよ」座布団1枚(^^)
次
さくら「紳士服大バーゲンセール」(^^;)
寅、さくらが差し出すハガキを手ではたいて
寅「いらない!」(▼▼メ)
おいちゃんDMはがきを読みながら
おいちゃん「あなたもリゾートマンションのオーナーになりませんか」誰に送ってるんや(^^;)
寅とあまりにも不釣合いでみんなで笑っている。
さくら笑いながらその封筒をわざわざ寅に渡す。要らないってヾ(((^^;)
倍賞さんのこういうミニギャグ大好きです(^^)冴える山田演出
寅「要らないよ!なんでそんなもん取っておくんだよ!」
隠してるんじゃねえかと勘ぐる寅。
さくら「隠してるわけないでしょ、待ってる手紙があるの?」
寅「あるわけねえじゃねえかそんなもん、ただ聞いただけだよ」とブツブツ
実にタイミングよく
郵便配達人「郵便です」
寅「ほら来た」と緊張(^^;)
さくら受け取って
さくら「江上若菜さん…」うそ( ̄0 ̄;)
寅、手をあげて
寅「はい、それは私です」(^^)
さくらを警戒しながら、封筒を開けると印刷のお礼状が入っている。
寅「なんだ印刷か…」
で、さくらに印刷を読ませている間に、
封筒の中から、もうひとつ手紙が出てきて
ときめいてしまう寅。
さくらに気づかれないように別の手紙読んでいる。
『 その節は、ありがとうございました。
もう東京にお戻りでしょうか。
お会いできる日を楽しみにしております。
是非ご連絡ください 若菜 』
にやけているのをさくらに見つかり、微妙に知らん顔する寅だった。
渥美さんの表情上手すぎ(^^;)
さくら「だあれ?」ねえ(^^;)
寅「ん?この人?あ、ちょっとした知り合いだ。フフ…」
寅は機嫌がよくなり
月曜日にもかかわらず「床屋に行く」と偽って
トコトコ出かけていくのだった。
さくらにはバレバレ。
文京区 白山下交差点
きつい坂を上がった上に『コーポ富士見』がある。
若菜さんのアパート コーポ富士見」
東京都文京区白山2丁目5-2
白山閣のすぐ近く。
詳しい住所は寅次郎な日々参照。↓
http://www.yoshikawatakaaki.com/lang-jap/torajironahibi26.html#479
同じアパート1階に法律青年酒田民夫が住んでいる。
若菜さんは2階。全部で8部屋。大家さんは真向かいに別棟。
大家さん(おなじみ杉山とく子さん)
民夫に秋田の父親から味噌をもらったことを報告。
民夫密かに勉強邪魔されていらだっている。
そこへ寅がやって来て顔だけ覗く。
民夫ギョッとビビル。
寅、大家さんに若菜さんを呼んでもらう。
若菜さんは2階の部屋
現れる若菜さん。
寅「よお、オレだよ、忘れたかな、ほら、長崎の教会で」
若菜さん驚きながら
若菜「あらあ」
寅、気を使って「また来るよ」と帰ろうとするが
若菜さんは部屋に案内する。
部屋の中でおばあちゃんの話題でゲラゲラ盛り上がる寅と若菜さん。
おばあちゃん自慢のらっきょ:どこまで皮だかわからないからさ。らっきょっぺ
若菜さん、笑いながらも…
若菜「きっとおばあちゃん嬉しかっただろうね…」としんみり泣き出してしまう。
寅「ちょっと聞いたよ、話を。
オヤジとおふくろさんのこと、
いろいろ苦労してるんだな若菜ちゃんも」
若菜「私が選んで生まれてきたわけじゃないんだもん、
気にしないことにしてるの」
寅「そうだな…」
寅、机の上の「写植機」見つけて
寅「これなんだい?」
若菜さんは印刷工だったのだ。
寅は妹の亭主も印刷工だと言って盛り上がる。
どうやら、いろいろあって、印刷会社を辞めてしまったらしい。
そんな若菜さんを寅は
寅「ま、そう言わねえでさ、ちゃんとした勤め口探せよ、
え、及ばずながらオレも力なるからさ」
若菜「ありがとう」
で、帰りぎわに
若菜「車さん」
と呼ぶ若菜さんに
寅、照れながら
寅「フフ、やめてくれよ、車さんなんて言われるとさ、
よそのおじさんみてえだから」
若菜さん、笑っている。
寅「オレのこと呼ぶんだったらな、『寅さん』って呼んでくれ」
若菜「じゃあ…寅さん」
寅「あいよ」
帰り際に、民夫の部屋を見てからかう寅。
寅「あの男何やってるの?」
若菜「あの男って」
若菜「秀才よ、法律の勉強してるの」
寅「へえー、悪いことでもしようっていうのか」いいねえ〜、座布団一枚(^^;)
民夫の本の中にはなんと若菜さんの写真!がはさんである。
夜 とらや 茶の間
機嫌よく寅が戻ってくる。
ちょうど社長が来ていたので寅は若菜さんの就職を聞いてみる。
社長「とんでもないオフセットの機械入れたらね、人手が余っちゃってさ、
首にしたいくらいなんだよ」と困っているようだ。
寅は今度は博に頼む。
博「年は?」
寅「うん、25、6になるかな…」
博「専門はなんですか?」
寅「えーとね、写…写真じゃねえ…」
博「写植ですか?」
寅「そうそう」
社長「写植はうちじゃ『ひろみちゃん』がやってくれてるからなあ」
この『ひろみちゃん』とは誰のことだろう。
朝日印刷の女子社員はご存知のとおりマキノさん演ずる『ゆかりちゃん』がいるのだが、
監督は『ゆかりちゃん』のことを『ひろみちゃん』にしたんだろう。
山田監督ってこういう適当なところあり(^^;)
博「しかし、珍しいなあ、男の人が写植をやってるなんて」
寅「フフ…男…男って言ったかオレ」とニヤついている。
博「じゃあ、女の人ですか?」
みんな興味津々&不安でいっぱい。
寅「バカだねおまえ、男でなかったら女に決まってるじゃないかよ。
世の中半分は男、残ってるのは全部女じゃねえか、なあ満男」と満男にふる(^^;)
社長「独身かい?」
寅「なんだよ、独身じゃなかったらおまえとこは採用しないのか?」
寅はなんとかしてやりたいと真剣。
寅「何不自由なく、結婚が目当てのOLなんかじゃないんだから。
身寄り便りがなく、たった一人でこの世の荒波を渡っていかなきゃならないんだから
あの若菜ちゃんは」
みんな『若菜ちゃん』に過敏に反応(^^;)
ひそひそひそ…(^^;)
博「わかな…」無声音(^^;)
寅が出した職場の条件
寅「残業なんか全然ない。早出もない。ね。
お昼休みなんかたっぷりある。
環境がいい。
夏は軽井沢に社員で旅行。
冬はスキー。
社長は優しい。同僚は親切。
あの子に悩み事があると、
みんな仕事をほっぽらかして相談に乗ってくれる。
まあ、その程度の職場があったらいいなあ」
博「いいですねえ…そういう職場があれば…」
寅「探せ」探せって…((((((((((^^;)
寅が機嫌よく二階に上がったあとみんなで『若菜さん』について話し合う。
おばちゃん「ねえ、例の手紙の人だろ?」
さくら、頷く。
博「どういう字書くんだい」
さくら「君がため春の野に出で(て)若菜摘む…の若菜よ」
小倉百人一首にも登場する光孝天皇の歌
社長「君がため…か」
社長帰って行く。
博「25か6で、独身かァ…」
満男しゃしゃり出てきて
満男「美人?」good job!(^^)
おいちゃん「決まってる…」
はっと振り向き満男を睨む。
満男ススッと仏間に行き、わざとらしく英語の練習((((^^;)
題経寺 境内
御前様とさくらが寅のことで話す。
御前様「先日挨拶に来たよ。わけあって耶蘇教に宗旨替えをしたいから
よろしく、などと言っておった」
耶蘇は、中国語のイエスです(中国語の発音では耶蘇はイエスに近いらしい)
ヤソはその日本語読み。
さくら驚いて大恐縮&大あやまり。
さくら「まあ。。。なんてことを…、申し訳ありません」
御前様「いやあ…あれが幸せになるなら何を信じようと構わんが、
…あの難儀な男を教会が引き受けてくれるかどうか…」
さくら「一度相談してみます。失礼します」と返って行く。
御前様「しかし…、キリスト様が見放したら、もうおしまいだな、あの男も」
別に寅は人を泣かせるようなことや悲しませることはしていない(^^;)
源ちゃん、廊下の手すりを強く拭きすぎて大ゴケ(^^;)
冴え渡る蛾次郎さんのギャグ!
蛾次郎さん、後ろで細かい芝居してくれてます。
若菜さんの就職活動
若菜さんの自宅近くの白山下から徒歩圏の
文京区水道1丁目付近
文京区 白鳥橋交差点
神田川がそばを流れている。
公和印刷株式会社
採用面接
面接でネチネチいじめられ&セクハラを受ける若菜さん。
面接官たちなんてヤロウだ((▼▼メ))
若菜のテーマが流れる。
若菜のテーマは、
第19作「寅次郎と殿様」の鞠子のテーマのアレンジ。
完全オリジナルにして欲しかった。
現在の白鳥橋交差点付近
白山下 富士見コーポ
民夫、全然勉強に身が入らない。
若菜さんのことを想いノートに若菜若菜若菜…と書き記し、
写真を見てため息(^^;)
その時寅が現れる。
若菜さんは留守なのでいきなり民夫の部屋に押しかけて待つ寅。
なにげに若菜さんの写真を隠す民夫。
寅「おまえ、こんなに勉強してなんになるんだ?」
民夫「司法試験受けるんです」
寅「なんだそれ?」
寅は偉く感心して『遠山の金四郎』の話をする。
民夫「遠山さんと言いますと…どこの…?」
寅「どこの?おまえ遠山の金四郎知らないの???
驚いたね驚いたね」
と言って『遠山の金さん』を詳しく説明してやるのだった。
で、若菜さんの写真を見つけてしまう寅。
寅「お、 お、 はあ〜〜〜〜、こういうもの勉強してますか」
民夫、あわあわになっている。
寅「おい、おまえ、この子に惚れてんのか?」
民夫「惚れてなんかいません」
寅「じゃこっちのおばさんか?」大家さんと一緒に写っている(^^;)
冴え渡る渥美さん&山田監督ギャグ(^^)
民夫、むきになって
民夫「違います!」
バレバレの民夫だった。
寅曰く
寅「お前の顔は恋愛には向かない」だそうです(^^;)
ベートーベンも恋愛に向かないそうだ。
寅「で、この物件は当方で受領しておくから、な」いきなり難しい言葉知ってるんだね。
そこへ若菜さんが帰ってきて
寅、そそくさと部屋を出て行く。
寅「これにて、一件落着!フッ」
秋田の父親が音信不通の民夫に電話。
造り酒屋を営む秋田の父親からの電話で「これにて一件落着」と言ってしまう民夫だった。
秋田の父親「勉強しすぎて頭おかしくなったんでねえかな」
この父親は第20作「寅次郎頑張れ!」で見事な味を見せてくれた声楽家の築地文夫さんだ。
このシリーズ2回目の登場。
東京大学 本郷キャンパス
ついに思い余って母校東大の恩師牛山教授に助けを求める。
恩師の教授はなんとあの2代目おいちゃんである松村達雄さん。
恩師「壁にぶつかってるんだろ、そうだろ。どういう壁か、言ってみなさい」
民夫「きれいな…女の人です…」微笑む。バカ((((^^;)
恩師「き…なに??」松村さんの『間』最高(^^)
恩師あきれてしまう。
そんな時、
ちょうど運良く博が若菜さんの就職先を見つけたようだ。
帝釈天参道 とらや前
挨拶もかねて柴又を訪れる若菜さん。
まずは満男と一緒に柴又界隈を散歩する
題経寺を見学した時、
満男「お参りしていく?」
若菜「ううん、私カトリックだから」
この言葉を聞いた御前様、
なぜ寅が宗旨替えをしたいと言い出したかを全て見抜いてしまう。
横にいた源ちゃん、小指を突きたて
源ちゃん「寅の恋人や…、ええ女や」と一緒についていく。
御前様「そういうことか…困った」ほんと困ったあ〜〜┐(´-`;)┌
江戸川土手
口笛の音楽
風に吹かれる若菜さん。
河川敷で野球をしている博たち朝日印刷。
若菜さんは野球がかなり上手い。
回転が難しいキャッチャーフライを素手でとる若菜さん。
そして見事に博の胸に返球するのだ。
するどい素振り。
バッティングも外野を越す大きな当たりを打つ。
そのあと矢切りの渡しに乗って野菊の墓まで行って来たらしい。
実は野菊の墓までは歩いてかなり遠いのだけどね。
とらや 茶の間
とらやに戻って、お風呂に入って、
さくらの浴衣に着替える若菜さん。
そういえば第38作「知床慕情」でもりん子さんがラスト付近にもう一度とらやに訪ねて来て
浴衣に着替えましょうって言われてたっけな。
縁の不思議を寅と話す若菜さん。
若菜のテーマ(第19作「寅次郎と殿様」の鞠子のテーマのアレンジ)
若菜「五島で、おばあちゃんが道で転んで、
それを寅さんが偶然に見ていて
たったそれだけのことが始まりだったんだもん」
寅「ほれ…、死んだばあちゃんがよく言ってたじゃないか。
『神様のお導きですよ』って」
若菜「寅さんのお導きです」
「オレは導かねえな…」と、照れる寅。
そのあと
みんなで天ぷらとそうめんを食べるとらや&朝日印刷工員一同
源ちゃんの食べ方凄い(^^;)
夜 柴又駅 ホーム
ホームのベンチで民夫が若菜さんを好きだとつい気軽にしゃべってしまう寅。
そしてちょっと若菜さんに好意をいだいている民夫をからかうようなことを言う。
さくら、その無神経な発言を聞いてドキッとする。
そして若菜さんからは意外な言葉が
若菜「知ってるわよ」
寅「え?」
若菜「1年も1年半も前からよ」
寅「…」
さくら「…」
若菜「私に会うといつも怖い顔するんです」
さくら「…」
若菜「男の人ってそういう顔することあるでしょう」
さくら頷きながら「そうね」
さくら「気持ちの中はとっても優しいんだけど、顔に出せないのね」
頷く若菜さん。
さくら「わかるわ、その気持ち」
電車が来て若菜さんが去って行く。
さくらは見送ったあと、先に歩いていく寅に駆け寄って
さくら「どういう事情か知らないけれど、
真剣に恋をしている人をからかうなんてよくないわよ、
第一お兄ちゃんらしくないわ」
寅は「わかってること言うなよ」と少し後悔気味。
ある日
新しい職場で働く若菜さんが映し出される。
写植の機械を動かす若菜さん。
小石川3丁目の高台
伝通院(傳通院
寅に呼ばれて伝通院に向かう民夫。
まずは写真を返してやる寅。
寅はそこで民夫の気持ちを確かめ若菜さんとの仲を取り持つことを宣言し、
「勝負に出よう!」段取りをしてやるのだった。
映画を観る → お前いきなり手握ったりすんなよ。
レストランで食事 → 間違っても偉そうに法律の話なんかしちゃだめだぞ。
しゃべりすぎず、黙りすぎず。
できればあの子にしゃべってもらって、おまえはにこにこして
その話を聞いている。
公園で散歩 → あの子の足取りにあわせてできるだけゆっくり歩いてやれよ」
アパートに帰る → あの子は別れがたい気持ちになる。
「どお、よろしかったらちょっと私の部屋に寄らない?」
民夫「いえ、結構です」
寅「バカ、そういう時に、そんな返事はしない『ちょっと失礼をします』」
民夫真剣にメモをする。
若菜のテーマが流れる。
寅「あの子は紅茶なんかを入れてくれる。
お湯がジー〜〜〜ンと沸くな。
時折窓の外を激しく雨が打つ。ザーーッ!!パラパラパラ…」
寅「もうおまえの言う言葉は一つ『若菜さん、愛しています』」
民夫「言えるかな僕にそんなこと」言えない言えないヾ(^^;)
帰っていく民夫に
寅「金四郎!わかってるな、おまえの人生はそこにかかっているんだぞ」
民夫「はい、ありがとうございました」
一人残った寅はがっくりうつむいてしまう。やっぱりつらいんだね寅(TT)
さくらの家
博が寅から若菜さんたちの恋の仲立ちを博に告げる寅。
さくら「でも大丈夫かな、お兄ちゃんが余計なことして、
かえってだめになるってこともあるわよ」
博「兄さんのコーチじゃなあ…」
大丈夫、今までのコーチ勝率はかなり高いから。
唯一お千代さんと岡倉先生の時は失敗気味だったが…。
博、思い出し笑いしながら
博「フフフ」
さくら「え?」
博「もっとも、悪口は言えないよ、オレだって兄さんのコーチ受けたんだから」
さくら「フフフ」
風呂上りの満男興味を持って
満男「父さん、伯父さんのなんのコーチ受けたの?」
博は思い出の「青春時代」を聞かせてやろうとするが、
満男は照れながら「聞きたくねえや」と逃げていく。
翌 日曜日
京成上野駅 出口
あのあたりマイケルと寅が最後別れた場所だね。懐かしい…。
民夫と若菜さんが寅を待っている。
若菜さん喫茶店から寅に電話
まるで待ってたかのように寅がすぐ出て「腹が痛い」と言っている。
どうもおかしいと不思議がる若菜さん。
そしてデートは進んでいくのだった。
東京都六本木
ジャズ ライブハウス PIT INN (現地ロケ)
ソフトサンバ風の曲 を聴く二人。
同じアングルに近い当事の 六本木 PIT INN
大きなファン(扇風機)が見える。椅子もまったく同じ。
誰もが知る老舗の名門ライブハウス「新宿ピットイン」
音楽とミュージシャン、そして時代時代における文化の発信基地という役割りを果たし、
たくさんの人に影響を与えてきた「六本木 ピットイン」は、2004年に閉店したらしい。、
この日は、本編オープニングのクレジットにも出てくる
『丸山繁雄酔狂座』のステージ。
夜の部 ワンドリンク 3千円
私の敬愛する超寅マニアの北海道札幌在住の音楽家Oさんによると
この時演奏していた曲は丸山繁雄さんが作られた
「丸山サンバ」こと「I Sing Samba」だそうだ。
なんとOさんもその昔丸山繁夫さんと一緒に演奏したことがあるそうだ。
この曲は、アルバム「A Young Father's Song」(1981年 アケタズ・ディスクAD11)の4番目に入っている。
ギターを弾きながら歌を歌っているのが丸山繁雄さん、当時29歳
当時のレコーディング時のプレイヤー
丸山繁雄(Vo,Comp,Arr,Cond)、大友義雄(As)、沢井原児(As)、
梅津和時(Cl) 、松風鉱一(Ts)、松本治(Tb)、松井洋(G)、遠藤律子(P)、国安くるみ(P) 、
望月英明(B)、是安則克(B)、宮坂高史(Ds)、串馬孝治(Ds)、 アンディー鈴木(Per)、三島一洋(Per)、
Marlene Rosa(Narration) 、黄野裕沢(Chor)、八幡いづみ(Chor)、綿引道子(Chor)、村山美樹(Chor)
民夫がPIT INN知ってるわけないから
若菜さんの趣味なんだろうねこういうのって(^^)
昨夜緊張して寝ていない民夫はあくびばかり。
そのあと
高層ビルのちょっと雰囲気のいいレストラン
食事をしている二人。すでにデザートが出ている。
ピアノ演奏
第20作「寅次郎頑張れ!」のワット君と幸子ちゃんのデートよりは大人ムード(^^;)
眼下のネオンを見ながら
若菜「海みたい…」
なんとも美しい淋しげな若菜さんの表情。
若菜「月夜の海ってこんなよ。波がキラキラ光って」
民夫「きれいだろうなあ…」
若菜「五島でしょ。子供の頃、海を見て育ったの。
悲しい時はいつも海を眺めてたわ」
ところが民夫の少年期の話で民夫は「蜂の子獲り」の思い出話に
盛り上がって席を立ち秋田弁でまくし立てはじめる。
民夫「時々ミツバチに刺されてズラがこんなに腫れあがってしまってね、
ションベンひっかけんだ。あれアンモニアでしょ、
だから沁みるやらひでえやらで」
若菜さん、大笑い。
周りの客も民夫を一斉に見て笑っている。
民夫我に帰って席に着き、「僕ばかりしゃべって」と謝る。
若菜「どうして、とっても面白い話だったわ」
民夫「でも、寅さんに言われたんです。
レストランではあまりしゃべるなって」
若菜「…」
民夫、しまったと
民夫「あ、こういうことしゃべってしまって…バカだなあ…」
民夫水割りを飲みまくっている。
上野忍不池の公園
酔い覚ましに休憩している二人。
この画像を見ていただきたい。
なんとなんとまったく同じ場所で
かつてワット君こと良介と幸子ちゃんがデートしていたのだ!!
ちなみに第13作「恋やつれ」ではこのほとりで寅が啖呵バイをしている。
若菜のテーマ アコーディオン
周りは熱々のカップルだらけ((^^;)
ちょっと雨が降ってきて…
民夫傘をさし、相合い傘で帰る。
とらや 茶の間 雨が降っている。
寅は雨の中アパートに帰る二人をいろいろ想像して落ち込んでいる。
あけみはそんな寅を慰めるため寅と結婚してやろうかと言う。
寅「あけみ。おまえのその優しい気持ちは本当に嬉しいよ。
だけどな、それはおまえ、できない相談だよ」
あけみ「どうして?」
寅「だってさ、おまえとオレが一緒になったら、このタコのことを
お父さんって言わなきゃいけないだろ。オレそれいや…。
オレそれ死んでもいやそれ」
あけみ「フフフ」
寅とあけみ大笑い。
社長怒り心頭
寅も腹いせに土間に出て相当やる気。
めちゃくちゃにやりあっている。
みんな止められない。
富士見コーポ 雨が本降り
富士見コーポに着いた時
若菜さん、ハンカチで民夫のスーツの雨を雨を拭いてあげる。
若菜「お茶でも飲んでいかない、私のところで」
民夫「じゃ、ちょっとだけ…」
二人二階へ上がっていく。
大家さん、ギョッと驚いて向かいの部屋から二人の行方を眺めている。
若菜さんの部屋
若菜のテーマ(第19作「寅次郎と殿様」の鞠子のテーマのアレンジ)
若菜「雨ひどくなったね…」
民夫「そうですね」
若菜さん紅茶を入れながら
若菜「寅さん、仮病使ったのね…。そうなんでしょう」
民夫、眠いのを我慢しながら
民夫「さああ…」
若菜「いいのよ、…ほんとはね、いつかはこんな晩が来るんじゃないかな…、
って思ってたの」
もう眠くて眠くて朦朧としている民夫。
若菜「いいわよ、泊まっていっても…」
がっくんと頭が落ちてほとんど寝てしまっている民夫。
若菜さん気づかず、
若菜「私、初めてじゃないのよ。結婚しようって、
お互いに約束して、それで裏切られて…自殺しようと思ったこともあったの。
十九の春…」
民夫完全にソファーにもたれてしまう。ああああ、なんてこったあ…(TT)
若菜さんようやく民夫の体たらくに気づいて、ガックリな顔。
露骨に情けない顔して
若菜「民夫さん…」
民夫ついには頭をソファーにつけて熟睡に入る。
実際には、このような千載一遇の幸運な状況で、こんなバカなヤツはいません(TT)
若菜「民夫さん」
民夫の足を手で叩くが、まったく反応なし。
若菜、かなり不満げにテーブルにひじをつき、肘をつく。。
普通こういう場合、男は100%民夫のように勝手に寝ません。
前の日徹夜して意識は朦朧としていてもなんとか起きています。
次の日
とらや 店
民夫が言い訳をしにとらやにやって来る。
ことの全てを寅とさくらに打ち明ける。
さくら「で…若菜さんは?」
民夫「たぶん、大家さんの家で寝たんだと思います。
朝、会っても怖い顔して声もかけてくれないんです」
民夫、寅の方に向いて
民夫「どうしたらいいんでしょう、寅さん」
寅、ちょっと怒りながら
寅「終わりだよ!」
寅「おまえが昨夜した行為は、
若菜ちゃんに対して、おまえは女として全然魅力がないんだぞと言ったのと全く同じなんだ!
若菜さんがどんなに傷ついたか、おまえにはわからないだろ!!」
「じゃ…どうすればいいんでしょうか!」とすがる民夫に
寅「死ぬんだよ!オレだったら今すぐ死ぬよ、フン」
と寅は捨て台詞を残して二階に上がってしまう。
民夫は絶望し、薄ら笑いを浮かべながら駅のほうへ歩いていく。
さくらは「希望を持って」と慰めるが
民夫には全く通じなかった。
その後
恩師に「全てを諦める」と言い残して民夫は故郷秋田で死のうと決意する。
恩師は富士見コーポに民夫を励ましにいくが民夫はすでに家財道具はそのままにして
アパートを出てしまっていた。
白山 富士見コーポ
恩師はあせりながら大家さんに
恩師「失礼だが、まさかあんた…酒田君の恋人じゃないだろうね」
おいおいおいおい(((ヾ(^^;)
大家「何言ってんだろこのオヤジ…あたしゃ、亭主持ちだよ!」(((((^^;)
そこへ若菜さんが帰ってくる。
恩師ようやく理解して
恩師「なーるほど、あんたですね。私は坂田君の教師だが、
あいつの居場所をしりませんか?
ほっとくと自殺するかもしれないんですよ。
思いつめるとなにをするかわからん男ですからね」
若菜さんあせって、「そうだ寅さんに電話します!」と自分の部屋へ。
恩師「そうだ、それがいい」
といっては見たが
恩師「あ、寅さんって誰だっけ?」
大家、恩師の腕を掴んで
大家「何があったんだい?」
恩師「ばあさんは口利くな!」とあせっている。
大家さん、目を見開いて
大家「なんだって、ば、ばあさんとはなんだよ!
他人つかまえて!くそったれじじい!」
恩師「失敬千万な!クソをたれないじじいがいるかね」
杉山とく子さんVS松村達雄さん。この二人のコント最高です!
民夫の部屋の壁に民夫の落書き
『諸君、喜劇は終わった!』
若菜さんは電話をしている最中
民夫の置手紙を発見
『さようなら、幸せになってください、民夫』
3人してすぐに東北新幹線に乗る。
盛岡から花輪線に乗り換え
秋田県 鹿角市 陸中花輪駅
柴平 ― 陸中花輪 ― 陸中大里
十和田八幡平四季彩ライン
ホームを降りて鹿角市山岳会のみなさんとすれ違う。
北鹿酒類製造株式会社のひとつ『松風』
鹿角の21軒が合同して、北鹿酒類製造株式会
造り酒屋 松風は、なんと民夫の実家
鹿角タクシーが止まり、若菜さんが実家に入っていく。
恩師と寅は列車の中で酒飲んだせいで寝ている。
父親と民夫の幼馴染が説明。
どうやら八幡平(はちまんたい)の麓、水晶山スキー場で今朝民夫を見たらしい。
父親は寅を恩師と間違え謝っている。
ま、とにかく 水晶山スキー場に行くことに。
八幡平水晶山 スキー場近くの森林
ロケ地は八幡平南西部 夜明島渓谷
一方民夫は睡眠薬を大量に取り出し、今まさに沢の水で飲もうとするが、
足を滑らせて流してしまう(^^;)
中ノ沢 曽利の滝
熊沢川
水晶山スキー場
寅と恩師はまったく歩けそうにもないのでリフトに乗る(^^;)
玉川温泉を歩く民夫
民夫はフラフラになり、道に迷いながらも、
奇跡的に水晶山スキー場に戻ってくる。
寅と若菜さんリフトに乗っている。
若菜「寅さん、あれ、ひょっとしたら民夫さんじゃない?」
寅「あのバカこんなところに!」
ものすごい偶然((((^^;)
寅「おーい!金四郎!生きてたのかおまえは!!??」
まだまだ遠距離でしゃべっている。
声は全てこだましている。
若菜「民夫さーーーん!」
民夫「若菜さーーーん!?」もう服ボロボロ。
寅「バカヤロウ!!おまえが死んじゃったんじゃないかと思ってな、
東京からみんなで来たんだぞ!」
若菜「どうして黙って帰っちゃったのよー、バカねー」
民夫、若菜さんのほうへヨタヨタ歩いていく。
寅「こら、金四郎よく聞けよ!若菜ちゃんはな!
おまえのことを愛してるってよ!」
若菜さんリフトにつかまりながら下を向く。
若菜のテーマが流れる。
民夫驚いて
民夫「ほんとですかー!!」
若菜さん、恥ずかしそうに、しかし、きっぱりと頷き、
両手をメガホンにして
若菜「ほんとー!!」
民夫一目散に走りながら
民夫「若菜さん!ほんとうに僕のことを!!」
寅は長靴を履いている。
父親は相変わらず寅を先生と思っている。
リフトはくるりと回ってまた下へ
民夫は上へ行ったり下へ行ったり、あたふた。
怒鳴る父親。
夏真っ盛り とらや 茶の間
さくらが民夫からの手紙を読んでいる
さくら「『寅さんもいつかそんなこと言っていましたが、
いやしくも人の生命と自由と財産を守るべき裁判官や弁護士は
豊かな教養と伸びやかな精神の持ち主でなければならないのであって、
僕のようなどこか未発達でアンバランスな人間は資格がないんだと思います』」
どうやら司法試験を諦めて中学校の先生になるらしい。
まあもっとも、ほんとうに未発達でアンバランスな人間なら、先生やってもらっても困るが(^^;)
それはもちろん民夫の謙遜が入った言葉なのでこれは良しとしましょう。
若菜さんとはもちろん結婚するらしい。
そこへ…
御前様お盆のお経をあげにやってくる
御前様「お盆は坊主の稼ぎ時でな、フフフ」
みんな大笑い。
御前様「寅はどうしてますか?聞くだけ無駄ですか」
みんなまたもや大笑い。
御前様のこの言葉に寅に対する愛情が溢れていたねえ〜。
このような言葉があるからこの映画は素晴らしい。
サブテーマが流れていく。
上五島町奈摩郷小字青砂ケ浦 青砂ケ浦教会
ラストシーン
五島 青砂ケ浦教会
そして寅はラストで、もう一度懐かしき
上五島町奈摩郷小字青砂ケ浦の小高い丘を切り開き、
奈摩湾に臨んでそそり立つ煉瓦造りの青砂ケ浦教会を訪れる。
ここは若菜さんのおばあさんのお葬式が行われた場所だ。
寅は若菜さんと出合ったこの教会が懐かしく、またもやご機嫌伺いに再来したのだ。
神父さん「ポンシュウさあ〜んお迎えが来ましたよ〜!」
なぜに神父さんはちょっと訛っているのか??設定日系のアメリカ人??
寅「???」
へとへとに労働やつれしたポンシュウがなんと教会にまだいた。
ポンシュウ「寅!寅じゃねえか!」
寅「なにやってんだおまえ??」ほんと(^^;)
ポンシュウ「聞いてくれよ」
ポンシュウ「墓掘ってからよ、全く運が落ちてよ、全然稼ぎにならねえんだ。
つい、でき心でこの教会忍び込んで銀の燭台盗んで、
御用なっちまったんだ」おいおいおいおいゞ(−−;)
寅「なんてことするんだこのバカ!」
ポンシュウ「警察にやってきたあの神父さん、なんて言ったと思う。
『この燭台はこの人が盗んだものではありません。
私が差し上げたものです』
それ聞いてよ、さすがのこのオレも心を入れ替えて
恩返しでここで働いているんだ。」
それってヴィクトルユーゴー作「レ.ミゼラブル(あゞ無常)」の
有名なエピソードのパクリだよ(^^;)
つまりジャン・ヴァルジャンはポンシュウだったのだ!
寅「…」
寅ポンシュウの耳をひっぱって
寅「こっちこい」
ポンシュウ「あたたた なにすんだい」
寅「神父様 ありがとうございます。
どうぞこの男を一生奴隷としてこき使ってやってください」
ポンシュウ「…!」
十字をきる寅
寅「ありがとうございます」
ポンシュウ「!!お、おい!それはないよおめえ、
いままで一生懸命務めてきたんだ。
このへんで帰してくれるようにおめえからも頼んでくれよ、な」
寅、ポンシュウに言う。
寅「ポンシュウさん...、」
ポンシュウ「え?」
寅「あなたにも神のお恵みがありますように。
さ や う な ら 」訛ってる(^^;)
と、十字をきる寅
追いすがるポンシュウ。
ポンシュウ「冷たいこというなよ寅 頼むよ頼むよ!」
テーマ曲高鳴って
終わり
第34作も第35作も関敬六さんの芝居は実によかった。
若菜さんの可憐な瞳と関敬六さんのコメディこのふたつでOK。