第36作『柴又より愛をこめて』 超簡単 ダイジェスト版
2010年3月31日 寅次郎な日々 その433
この文書には本編のネタバレが含まれます。お気をつけ下さい。
寅次郎 二十三半の瞳 風の丘に立つ真知子先生の孤独
栗原小巻さん二度目のマドンナである。
伊豆七島の小さな式根島で教職に人生をかける真知子先生。
真知子先生には美しい女性というよりもっと強さと孤独を私は感じ取れる。
生半可な生き方をしていないことがその強い瞳から感じられる。
そして人間を見るその洞察力もそうとうなものである。
真知子「寅さんもしかしたら独身じゃない?」
寅「えへへ、まあ、お恥ずかしながら」
真知子「やっぱり…」
寅「あ、そういうのって分かるのですか」
真知子「首筋のあたりがね、どこか涼しげなの
生活の垢が付いてないっていうのかしら」
財産を持たず、地位も持たず、しがらみも無く、フーテン暮らしを続ける寅。
行き着くところは目を被いたくなるような悲惨な末路が待っていることは百も承知しているが、
それでも自分の美学に従う寅。
寅はどうしようもないバカだが、バかなりに
人生に保険をかけない、その潔い生き様が真知子先生の琴線に触れたのだろう。
「男はつらいよ」のもう一つの隠された魅力が
この寅の野垂れ死に覚悟の潔さにある。
東京から遠く離れた厳しい環境の式根島で子供たちのために強い気持ちで
15年も生きてきた真知子先生にしか分からない『人を見る眼』というものは確かにあるのだ。
離島の先生とフーテンの寅。
このかけ離れた二人には
ある共通した『孤独を伴った覚悟』が存在する。
痩せても枯れても自分の道があるのだ。
そしてわが身をかえりみて、
辺境の地に暮らす売れない絵描きの私には
あの丘に立つ真知子先生の気持ちが分かる気がする。
もちろんこの作品は、木下恵介監督の「二十四の瞳」のオマージュである。
いたるところにそのようなシーンが出てくる。
あの教え子たちが先生に自転車をプレゼントするシーンなどはまるで同じだった。
それにしても映画「二十四の瞳」に出てくる贈り物の「自転車」は素晴らしい
存在感を醸し出していた。あんな自転車今日本のどこを探してもないだろう。
古いという意味ではない。物としてとてもいいのだ。
「柴又より愛をこめて」のスマートで軽そうでひ弱そうな自転車と比べた時に、
日本はいい意味でも悪い意味でもこのように変わったのだとしみじみ思ってしまった。
「柴又より愛をこめて」では当然ながら小学校の卒業生はみな健康で全員島へ
同窓会のために戻ってきていた。しかし「二十四の瞳」では貧困や戦争でたくさんの
教え子が若くして死んでしまうのである。男の子は大部分が戦死。生き残って帰ってきた子も
目が見えなくなってしまって…。そして戦後の苦しい日々。
戦後まもなく、生き続けること自体が大変だが、それでも仕事にリアリテイを持ちながら
物作りができた時代の職人さんによって作られた自転車が、それから30年経って、
衣食住が満ち足り、物が大量生産されている時代の自転車より存在感があるのは
考えてみれば当然なのである。
乗り物の中でも自転車は人間に近い。だからこそ独特の魅力を感じてしまうのだろう。
「二十四の瞳の」あの黒い自転車の存在感とあの映画の存在感はやはり繋がっている。
ところで、気づいている方も多いと思うが、
この「柴又より愛をこめて」というタイトルはほとんど内容と関係ない。
寅が柴又から遠く式根島に住む真知子先生を想うというのならどの作品でも
似たようなことが言えるので、まあ、この場合は深く考えないで言葉の遊びだと思ったほうが
いいだろう(^^;)もちろん007ジェームスボンドの最高傑作「ロシアより愛をこめて」からのもじりだ。
ただ、満男が柴又に訪ねてきた真知子先生と寅おじさんの恋の顛末を予想し、ちゃかして英語でこう言うのである。
「『I'm very happy 』 said Tora.From Shibamata With Love 」
まあ、このくだりが「柴又より愛をこめて」ということなんだろう。
笹野さんの当たり役 下田の長八
私にとって映画「男はつらいよ.柴又より愛をこめて」といえば式根島の真知子先生ではなく、
寅の悪友である、あの遊び人『下田の長八』を思い出す。
第36作「柴又より愛をこめて」で寅の頼みを聞いてアケミを探してくれたあの
スケベで憎めない遊び人長八だ。笹野さんはどんな役でもしっかりはまる人で、くわえタバコをして
ひょうひょうと歩きながらポトッっと口からタバコを落としてしまい、あたふた拾ったり、女の人のお尻を
触って嫌がられて川に落ちそうになったり(^^;)この長八の人が良くて情けないテレテレしたキャラを
完璧に演じきっていた。笹野さんは凄い。
「おうーい!とぅらああ(寅)!」とダレタ言いかたで道から宿の二階に向かって叫ぶ長八。
かっこいいとつい思ってしまう。
そしてこれまた、どうしてだか分からないが私はあの長八の雰囲気がとても気に入っている。
ずっと頭からこびりついて離れない。
たぶん私も実はあんなふうにふあふあひょうひょうへらへらと面白おかしく生きたいのかも知れない(^^;)
スケベな遊び人にいつも憧れているのだ。人生に迷いがないのがいい。徹底してテレテレ遊んでいるのが
わかる姿かたちなのだ。
私がもう一度生まれ変わることが出来るなら、絵描きではなく、学校の先生でもなく、ああいう遊び人になりたい。
どんなにしょぼくても、ああいう人生につきものの晩年の悲劇が待っていてもああいう人生を送ってみたいと密かに思っている。
寅があけみを見つけた後もその夜長八と酒を飲み、家に泊まりこむくらい二人は仲がいいらしい。
あけみの純情
この作品の美保純さんは最高だ。
そしてこの物語は言わずもがな『あけみ』がその懐を深くしている。
みなさんご存知のようにあけみは慎吾君と結婚して以来ずっと自分たちの愛情の問題で悩んでいる。
自分たちの愛の形を模索しているのだ。その悩みはもうライフワークと言えるくらい深刻になってきている(^^;)
そして遂にピークがやって来る。
それがこの第36作「柴又より愛をこめて」の家出である。
迎えにはるばる下田まで来た寅の胸で号泣するあけみ。
あけみは寅に聞く
「愛ってなんだろう…」
寅はこう言ってやる。
「ほら…いい女がいるとするだろう…。
男はそれを見て、
この女を大事にしてえ…そう思うだろ。
それが愛ってもんじゃねえか」
それからあけみと寅の旅が始まっていくのである。
旅先の式根島であけみは島の青年に求愛されるあけみ。
彼の心を傷つけたことに耐え切れずあけみはまたもや
寅の胸で号泣してしまうのだった。
このように人生の小さな機微をいろいろ体験したあけみは成長して
柴又に戻っていく。
そして寅は恋焦がれたマドンナの真知子さんに失恋し、悲しみ、
最後はつき物がとれたようにひとり旅立っていく…。
正月の青空の下、さくらの家の二階であけみは遠くを眺めてこうつぶやく…。
「どこにいるのかなあ…寅さん…」
今もあけみの心に住み続ける寅でありました。
あけみはやはりいいねえ〜。
この作品は笹野さんと美保純さんを見てください。
■第36作「柴又より愛をこめて」全ロケ地解明
全国寅さんロケ地:作品別に整理
それでは第36作「柴又より愛をこめて」
超簡単ダイジェスト版をどうぞご覧ください。
今回の夢は宇宙ロケットもの。
最も日本人らしい日本人というだけの理由で庶民を代表してアメリカの宇宙飛行士に選ばれた寅は、
日本はもちろん外国の有名雑誌や新聞記事に大きく取り上げられている。
そして打ち上げ本番当日。
「乗り物酔い」するとかなり怖気づく寅。
宇宙服を着ながらなぜか雪駄履き((^^;)
博やさくらが今さらダメだと説得。
寅、さくらに
寅「こないだだって『矢切りの渡し』が波荒い時オレ行ったり来たりしただろ。
オレあの時2回もゲロ吐いちゃったんだぞ!」
何のために渡しを行ったりきたりするんだ(−−;)
緊張のあまりションベンがまたもやしたくなる寅。
担当者がやって来て「ロケットは揺れない」と言っているが
寅はもちろん信用しない。
寅「嘘だ嘘だ信じられない」
担当者「white men dont lie!」
博「白人嘘つかない」
寅「そうやって白人インディアン騙した!」実に山田監督らしいネタです(^^;)
それでも無理やり連れて行かれる寅。
…3,2,1、0
ロケットが発射される。
案の定ものすごく揺れる。
あまりの恐怖でションベンをちびっている寅。
NASAの赤ランプ点滅(((^^;)
うなされている寅。
国鉄只見線 会津高田駅 待合室
ちびる直前に目が覚める寅。
松居直美さんをはじめとする女子高生たちに教えられて
なんとか走って横のトイレにあたふた駆け込む寅。
晩秋の会津を国鉄の汽車が走っていく。
滝谷川
只見線の滝谷川鉄橋
タイトル イン
男はつらいよ 柴又より愛をこめて
口上「わたくし、生まれも育ちも葛飾柴又です。
帝釈天で産湯をつかい、姓は車、名は寅次郎、
人呼んでフーテンの寅と発します。
♪どおせおいらはヤクザな兄貴 わかっちゃいるんだ妹よ
いつかお前が喜ぶような 偉い兄貴になりたくて
奮闘努力の甲斐もなく 今日も涙の
今日も涙の陽が落ちる 陽が落ちる♪
どぶに落ちても根のあるヤツは いつかは蓮の花と咲く
意地は張っても心の中じゃ
泣いているんだ兄さんは
目方で男が売れるなら こんな苦労も
こんな苦労も かけまいに かけまいに♪
名物ボーダラ
只見川のほとり 柳津町
会津桐下駄 小川屋
博とさくらに送ってやろうとするがバカ高い値段に
驚き次々に下駄を減らしていき、女将さんに詫びを入れ笑いながら諦める寅。
と、いうミニギャグ。
普通は最低5千円くらいから3万円まで。
会津高田 円蔵寺の縁日
参道の階段を上がりきったあたりでポンシュウと一緒にバイの準備。
只見川つり橋のそば円蔵寺菊光堂が見える。
円蔵寺の創建は大同2年(807)に空海に命じられた徳一大師が
虚空蔵尊(柳津虚空蔵尊又は福満虚空蔵尊)を奉じて菊光堂を建立したのが始まりとされる。
日本三大虚空蔵菩薩の寺として有名。
臨済宗妙心寺派。山号は霊岩山。本尊は釈迦如来。
現在の菊光堂は文政元年(1818)に火災で焼失した後の文政13年(1830)に再建されたもので、
虚空蔵尊は丑年の守り本尊で菊光堂建立時に働いていた一頭の牛が竣工と同時に姿を消したなどという伝説もあり
会津の民芸品である赤べこもこの地が発祥。
柴又 帝釈天参道
さくらが江戸川土手をくだり題経寺二天門の前で止まる。
この時、焼きそば牛丼屋さんのオレンジ屋根の隣にあった
ピンク屋根の『喫茶店ローク』が店をたたんで無くなってしまったことが
わかる残念な映像。骨董屋さんの志野木さんに代わっていた。
確か…同じ経営者だったと思う。あの六波羅さん。
↓
↓
第31作ではまだ健在だった。
さくらは御前様にタコ社長がテレビに出演することを告げる。
なんとあけみがついに家出してしまったらしい。
御前様急いで見に帰る。
源ちゃんは携帯テレビ!のアンテナを伸ばして見ている。
柴又のみんな、とらやのみんなも注目してテレビを見る。
後に源ちゃんは御前様たちと一緒に事務所で見ることに。
携帯テレビじゃきちんと映らなかったのかもしれない。
ワイドショー モーニングeye
『モーニングEye』(モーニングアイ)は、
1984年11月5日から1996年9月27日までの約12年間、
TBS系列で放送されていた日本のワイドショー。
キャスター 森本毅郎
そこで涙ながらに訴える社長の姿はあまりにも切羽詰っていて
大泣き&空気読めなくて完全に番組をつぶしてしまい。
まったくの逆効果だった(TT)
柴又参道では
備後屋と麒麟堂「柴又の恥さらしだ」
博たち工員一同「うわあーーー…逆効果だなこりゃ」
とらや 茶の間のおいちゃん
おいちゃん「あの顔見たら帰る気もおこらねえや」
おばちゃん「いやだねえ…」いやだねえって…((^^;)
みんな落ち込んでしまう。
伊豆 下田
実はなんと偶然あけみも下田でこの番組を見ていたのだ。
ブスッとしてテレビを消すあけみ。
となりの商店の前の赤電話からとらやに電話するあけみ。
加藤敏郎たばこ店
とらや 店
電話を受けて、あけみだとわかって喜ぶさくら。
さくら「あーよかったー…生きてたのォ。
心配してたのよお、みんなで」
あけみは元気な様子、
さくら「それであけみちゃん…、今どこにいるの?…もしもし」
あけみ「…下田、…そう、伊豆の下田。あとは言えない。
いつまでここにいるかわかんないもん。
さくらさん、寅さんどうしてる?…そう、あー私寅さんに会いたいなあ…。
帰ってきたら、あの、あけみからよろしくって言っといて」」
あけみの部屋の下 弥治川
柴又 帝釈天参道
で、そういう時に寅は必ず帰ってくるのだ。
帝釈天参道をさっそうと歩く寅。
源ちゃんもついて来る。
川千家の仲居さんが「寅さーん」と呼びかけ、
寅が「よー」と手をあげる。
なにげないが、寅がさっそうと参道を歩く小気味良いシーン。
私が大好きなシーンだ。
とらや 店
で、寅がとらやに着いてみると、みんなあけみのことで大騒ぎ。
社長はテレビ局から帰ってきたようだ。
寅を見つけるなり、わーっと寅に群がってくるとらや&社長たち。
寅はなんだかわからないのでとりあえず店先に逃げていく。
みんな寅を店の中に連れて入り、いろいろ世話をやく。
寅気味悪がって
寅「お見合いの話だったら断るよ、この前でオレ懲りてんだから」第3作のことかな?
社長涙目で
社長「寅さん!…えらいことになっちゃったんんだよ…うううう」
寅「そおかあ…そらあ気の毒に。
とうとうおまえの工場はつぶれちちまったか…」
などと、まあいろいろ食い違いはあったものの
あけみの蒸発をようやく把握した寅だった。
さくらはあけみが寅にとても会いたがっていたことを伝える。
寅、すくっと立ち上がって
寅「わかった、あけみは伊豆の下田にいるんだ」
みんな頷く。
寅「オレに会いてえと言ってるんだ」
みんな頷く。
寅「かわいそうにナァ…」
寅はすぐ出発することを決意、
昔面倒見てやったダチの下田の長八に頼んで探させるらしい。
寅「社長、万事はこのオレに任せろ」ほんとかよ(^^;)
すぐに店を出る寅
どこへ行くと聞かれて
寅「決まってるじゃないか。下田みなとに行くのよ」
みんなは一日くらい泊まっていけよというが、
寅はあけみが待っているとすぐ行こうとする。
社長感激に打ち震えて
社長「寅さん、神に誓って二度と寅さんの悪口は言わないよ」
こんなことを言ってはいたが
このあと社長は第48作までずっとどの作品でも
寅の悪口を言い続けたことは言うまでもない((((^^;)
寅、社長の肩をたたいて、
寅「社長吉報を待ってろよ!じゃあな」と、みんなに送られて旅立っていく。
夜になって博とさくらは満男にあけみの家を教えられる。
さくらたちはあけみの家知らないんだねえ〜。
これは意外だった。
あけみはあんなにさくらになついて仲いいのにそんなもんなのかね…。
あけみの夫の信吾に寅があけみを探しに行ったことを伝える。
無愛想な信吾。
あけみがなぜ出て行ったのか微妙に分かる演出になっている。
もともとの性格も無愛想なんだろうが、あけみにかなり怒っている様子。
帰り道で満男はさくらにあけみがなぜ寅に会いたがっているか
わかる気がすると言うのだった。
満男「伯父さんのやることはどんくさくて常識外れだけど、
世間体なんか全然気にしないもんなあ、
人におべっか使ったり、お世辞言ったり、
伯父さんぜったいそんなことしないもんなあ…」なるほど(−−)
博「へえ、尊敬してんのか?」
満男「尊敬まではいかないけどさ」リアルな寅の位置(^^)
満男照れて自転車こいでいく。
下田市 朝
出ました!下田の長八!
いいねえ〜、この軽さ、このよたり。
笹野さんの十八番だね。
よたよた歩いてくる。
ただ歩くだけでなく笹野さんいろいろ実に細かい芝居やってくれています(^^;)
寅が泊まる 中長旅館
長八「うおおーい、寅ァ!!」この言い回しは絶品です!
寅「おー!長八か」
長八「ひとりそれらしい女見つけたんだけどよ、会ってみるか?」
寅「どのあたりだ」
長八「了仙寺のあたりよ、行きゃわかる」了仙寺は下田市3丁目
寅「よし、すぐ行く」
歩きながら
長八「その女おまえのこれか?」と、小指を立てる(^^;)
寅「バカな、ちょいとしたわけありでよ、人に頼まれたんだ」
長八「そーか」
いいなァ この長八の雰囲気(^^)
弥治川 そばのスナック
どうやらあけみは「さくら」という名前で働いていたらしい。
長八、「あけみ」ではない名前を聞いて
長八「あ、さくらか…、どうせ本名じゃねえだろうねなあ」
寅、驚きもせず静かな顔で
寅「いや、その子に間違いねえんだ、会わしてくんねえか」
寅に「さくら」と言う名前のリアクションをさせないところが山田監督の才能。
玄人はそんなリアクションしないんだよね。すっと心で飲み込んでしまう。
このあたりのリズムは実に品がいい。
スナックのママが言う分には、
あけみはお風呂帰りにいつも港(みなと橋付近)でぼんやりしてるって言ったので、
寅は礼を言ってスタスタ港のほうへ歩いていく寅。
去っていく寅の格好をみながらママは長八に
ママ「やだよ、面倒なことは…、うちはただ雇っただけなんだから」
そんな話じゃないんだよ、と、
言いながらママのお尻をそっと触る長八。(((((^^;)
ママ「あーん!!もう!!いやらしい男だね!」
と、胸を押されて弥治川に今にも落ちそうになる長八。
長八「あ〜〜〜〜〜!!、あ、びっくりした!!」バカ。。。(^^;)
下田 みなと橋
♪〜無理をするなと しかって抱いた背中のうすさ 細い肩
馬鹿な男に夾竹桃の花がしみるよ
どこからともなく牧村三枝子が歌う『夾竹桃』の3番が流れている。
作詞水木かおる 作曲遠藤実
3番
熱があるのにまた起き上がる
俺のためにと夕げの支度
無理をするなとしかって抱いた
背中のうすさ 細い肩
馬鹿な男に夾竹桃の
花がしみるよ
みなと橋からあけみを見つける寅。
近所の男たちにからかわれて怒っているあけみ。
悲しい目でぼんやり海を眺めている
寅の声「よお、美人の姉ちゃん」
あけみ、怒って振り向く。
寅を見ておどろくあけみ。
寅「僕とお茶を一緒に付き合っていただけませんでしょうか」ちょいちょいゞ(^^;)
と茶化しながらたどたどしく言う寅。
ちょっと笑う寅
あけみのテーマが流れる
あけみ「なんで…?寅さんなんでこんなとこに…」ほんと(^^;)
寅にこにこしながら
寅「そりゃこっちのセリフよ、フフフ、
おまえこそなんでこんなとこにいるんだ?」ほんとほんと(^^;)
あけみ感無量で
あけみ「寅さん…会いたかった!!」
と寅に抱きつこうとしてこけそうになる
お風呂セットが道に散らばる。
泣きじゃくるあけみ
寅「よしよし、大丈夫だ、大丈夫だ、な、
もうオレが来たから安心しろよ」
本当に悲しいときにこんな言葉言って欲しいよね(^^)
と、あけみを抱いてやる。
散らばっているお風呂セットを片付け始める寅。
しかし…とは言え、柴又にかえるのはいやだとごねるあけみ
とらやに電話し、博にあけみが見つかったことを説明する寅。
下田 中長旅館 寅の部屋
あけみは疲れて寝てしまっている。
女中さん役で谷よしのさんが登場。
この頃は髪,、ショートにしているんだね。
寅「まだ寝てるのか、うん…、あ、ちょっとねえさん、
それ肩へかけてやってくれねえか」
谷さん頷きながら
谷さん「お客さん、ご飯は?」
寅「せっかく下田に来たんだからよ、ダチ公といっぱいやってくるわ」
下田の長八におごるんだね。
谷さん「そう」
毛布をあけみにかけてやる谷さん。
翌日
下田 入田浜
夫婦喧嘩が原因ではないとこぼすあけみ。
あけみ「ねぇ、愛…ってなんだろう」
寅「フフ…あまえも、また面倒なこと、聞くねぇ」
あけみ「だって、わかんないんだもん」
寅「ほら、いい女がいたとするだろ、な」
あけみ「うん」
寅「な、と、男はそれを見て、
「ああ…いい女だなぁ、
この女をオレは大事にしてぇ、そう思うだろ。
それが、愛ってもんじゃないか」
あけみ、感動して
あけみ「どーして、寅さんにお嫁さん来ないんだろー」(^^;)
と寅の腕に抱きつく。
寅「オレ、ネクラだからなあ…へへへ」ネクラ…(^^;)
寅はあけみにどこへでも付き合うということで、
なんと海の向こうに見える島(式根島)にいくことになった。
で、行きのフエリーで式根島小学校の同窓会の連中と知り合う。
どうやら島には美人の先生がいるらしい。
俄然興味がわく寅(^^;)
卒業生は11人いるので二十二の瞳だって笑っていると、
寅はちょっかいだして
寅「じゃあ、これでオレ一人が入ると
ちょうど二十四の瞳になるわけだ。な、ハハ」
みんな笑いながら納得。
寅「でもちょっと目が小さいから
二十三半って言ったとこかな、ハハ」座布団2枚(^^)
みんな爆笑。
式根島 式根島小学校
港への道を島崎真知子先生が自転車で走っていく。
フエリーを降りてきたみんなと再会。
一人一人と再会を喜ぶ。
それなりに丁寧な演出。
木下恵介の『二十四の瞳』を意識しているシーン。
寅の顔を見て
真知子「あなた…あ、誰だったかしら?」ちゃうちゃうヾ(^^;)
寅「はい!? 寅ちゃんです!!」
先生年が違うだろ年が(((^^;)
みんなでクスクス
真知子先生真に受けて
真知子「寅..ちゃん?」
という、おおぼけをかましたあとで宿に向かう一同でした。
おっと、あけみがいたっけ((^^;)
一人残され、呆然と立ち尽くすあけみ
ブス〜〜〜〜〜〜(▼▼メ)
ひでええええ寅って(TT)
で、いきなり完全に忘れられて置いてけぼりのあけみだった。
とはいえ、
式根館の息子茂と知り合い、
古くは室町時代から天然の港として使われていたとされる、波穏やかな
泊海岸を案内され心が落ち着くあけみ。
地を鉈で割ったような温泉である地鉈温泉に案内されるあけみは
ちょっと心が柔らかくなっていく気がするのだった。
この温泉では美保純さんの後姿の素っ裸が映る。
このシリーズ最初で最後のお尻がしっかり映るヌード映像(動画)だった。
美保さん、こんなことやらされてちょっと可哀想なきもするが、
本人はケロっとしているのかもしれない。
なんせぜんぜん爽やかな感じだったのでokでしょう。
で、最後に着いた宿、式根館で、寅と再会するが、
港で置いてけぼりを食ったあけみは完全『しかと』
寅は寅で、真知子先生を囲む同窓会の宴会になぜか出席。
みんな真知子先生が新任の時からずっとこの島で
教職をしてくださっていることに
深い感謝と尊敬の念を抱いていることがわかる。
何年もとどめさせて申し訳ないとも思っている。
みんなで真知子先生に新しい自転車をプレゼント!
完全な映画「二十四の瞳」へのオマージュ。
同窓会で自転車を贈るのは同じ。
感動している真知子さん。
そこへ寅が鼻唄歌いながら風呂上りにやって来て
みんな「これで二十四の瞳になりました!」
『七つの子』を合唱するみんな。
乗り物の中でも自転車は人間に近い。
だからこそ独特の魅力を感じてしまうことも多い。
「二十四の瞳の」あの黒い自転車の存在感はやはり日本の当時の底力を感じる。
「二十四の瞳」の自転車。芸術的なまでに美しい。
一方 とらやでは
社長が、式根島での寅とあけみの仲を勘ぐったりしておいちゃんたちに怒られる。
式根島
翌日同窓生たちは本土に帰っていく。
(新島から東京行きに乗り継ぎ)
港でみんなを見送る真知子さんと寅。
淋しくてちょっと脱力感がある真知子さん。
家への帰り道
真知子さんの実家が堀切だと知って
二人して盛り上がる。
真知子のテーマ
一方、おいてけぼりのあけみだが。。。
実は、あけみはあけみで例の旅館の青年茂に
船に乗せてもらって開放感を味わっていた。
大浦海岸
毎年6月後半にスイムとランの競技アクアスロンが開かれるのがここ。
真知子先生は遥か向こうの海を見ながら自分の心の奥を寅に吐露する。
真知子「ここ、私が島で一番好きなとこ」
寅「なるほど、こりゃいいとこだ」
真知子「淋しくなるといつもここに来るの」
寅不思議に思って
寅「先生みたいな人でも
そんな淋しいなんて思うことあんのかね」
真知子「フフ…そりゃ、ありますよ」
寅「はあー…」
真知子さんは言う
真知子「二十四の女先生に憧れてあんなふうになりたいと思って
学校出てまっすぐこの島に来たの。
十五年前。
この島はまだ水道もなくてとっても不便だったけど、
でも子供や若者はたくさんいたし、
私はとっても大事にされて、
そりゃあ張り合いのある毎日だったのよ。
でも…、ふと気がついてみると
私ももう若いとはいえない年になってしまった。
この先どうなるのかしら…、
このままばあちゃんになってしまうのかしら…。
そんなこと思ったりするとね…」
その言葉を受けて、
寅も延々と続く一人旅の中の夕暮れ時のわびしさ悲しさを
正直に真知子さんに告白するのだった。
真知子「寅さん…。もしかしたら独身じゃない?」
寅「えへへ、まあ、お恥ずかしながら」
真知子「やっぱり…」
寅「あ、そういうのって分かるのですか」
真知子さん頷いて
真知子「首筋のあたりがね、
どこか涼しげなの
生活の垢が付いてないっていうのかしら」
このシリーズの中で寅を独身だと見抜いたのは
後にも先にも真知子さんだけ。
深い洞察力を持っている人だ。
寅はちゃかしておどけ、笑ってしまう真知子さん。
神引展望台
空気が澄んでいる日には、伊豆半島や富士山、また伊豆七島のうち八丈島を除くすべての島が
展望できる絶好の景勝ポイント。
新東京百景にも選ばれている。
シゲルに案内されて長い坂道を登って神引展望台にたどり着くあけみ。
絶景に感動し、心全開になって喜んでいる。
この島を気に入ったと伝えるあけみ。
茂「そんなに気に入ったか?」
あけみ「うん」
茂「だったら、この島の人になってくれないかな…」
静かにあけみのテーマが流れる
驚いてシゲルを見つめるあけみ。
茂「大事にするから、あんたのこと」
茂は本気の眼
あけみもシゲルを見つめる。
あけみ「だめ…」
あけみ、気持ちを断ち切るように駆け下りていく。
遠くから、大声で
あけみ「言いにくいけど…私人妻なの!
ごめん!!ごめんね」と遠ざかっていく。
残されるシゲル。
とらや 店
あけみから電話で「明日帰る」と言う電話が入る。
どうやら寅は帰りたがっていないようだとさくらに告げるが
さくらは首に縄をつけても寅を連れて帰ってくるようにあけみに頼むのだった。
電話を切ったあとみんなでどうしてその島にいたがっているのか話し合っていると
おなじみ満男の突込みが入る。
満男「常識的に考えればさ、」
さくら「うん」
満男「島に美人がいんだよ。へへへ」超図★
みんなハッとする!
博もさくらもおばちゃんも激怒!
一方式根島では
式根館 寅の部屋
あけみは明日の船で寅を連れて本土に帰ると宣言する。
寅は帰りたくないと言うが、あけみはどうせふられるのだからと
説得する。
気にしていることを言われて怒る寅。
それで口げんか。
寅「この…人妻くずれ!」
あけみ「人妻で悪いか!」
寅「亭主ほっぽり出しやがって、ふらふらふらしやがって、ろくなもんじゃねえ,ったく」
しかし、その喧嘩の最中あけみは
寅はかまってくれなかった淋しかったと突然泣き出してしまう。
ほんと途中から野放し状態(TT)
そっと覗き込む寅。
寅「どうしたんだよ」
あけみ「ここの息子に、結婚申し込まれたの、うううう」と泣く。
寅「結婚?だっておまえ人妻じゃねえか」
あけみ泣きながら
あけみ「だから帰るって言ってるじゃない、ううううう、
私傷つけちゃった…
どうしたらいいの、ううううう」
と、寅の胸で泣きじゃくる。
寅「……、そうか…、惚れたか…うん…」
と、カメラは寅をしだいにズームアップ。
高羽さんって意外にズームアップしていくんだよね。
式根島小学校
翌日 小学校へ真知子さんを訪ね、
用事が出来て今朝の船で東京へ戻ることになったと伝える寅。
真知子さんはとても淋しそう。
真知子「どうもありがとう。私の話聞いてくださって、…楽しかったわ…」
と寅を振り切るように教室に入っていく。
真知子さん、精神的にそろそろこの島潮時っぽいね…。
フエリーが出る 港
寅たちを乗せたさるびあ丸が桟橋を離れていく。
あけみが後悔と悲しみの中で島を眺めている。
茂も遠くからフエリーを見つめている。
式根島小学校 教室
小学校の教室で遠く聴こえてくるフェリーの汽笛に気づく真知子先生の淋しそうな横顔。
やはり真知子さん悩んでいる。
この島去る時期だね。潮時だ…。
柴又 題経寺 二天門
御前様の英語
外国人に駅までの道を教えている。
ポケット英会話辞典を持ってめがねをかけている。
第24作で、マイケルにまったく英語を話さなかった御前様と比べるとかなりの進歩
御前様「ゴーストレイト、メインストリート、
アンド ファースト十字路ターンライト、
ユーファイン、シバマタステイション.オーケ?」
御前様、英語はまあだいたいそんなものだけれど、
そんなことよりも、
最初の大きな十字路を右に曲がっていくと
柴又駅行かずに柴又街道を京成金町駅方向に行っちゃうよ〜〜(TT)
お礼を言って立ち去る外国人観光客
外国人の妻「彼は英語をしゃべってたの?」
外国人の夫「たぶんね、そう思うよ」
離れて聞いていたさくら
さくら「まあ、御前様素晴らしい英語」よいしょっ..と…(^^;)
御前様「はは…通じたかどうか、ハハハ」と、照れまくる御前様
源ちゃん「通じてない」とさくらに無声音で伝える((((^^;)
御前様はあけみを探し出し、
連れ戻した寅を褒めてやる。
しかし、実のところを言うと寅はずっと恋やつれをしているのだった。
さくらは「今寝込んでいます」と伝える。
どうやらかなり深刻な恋やつれのようだ。
とらや 店 &茶の間
恋やつれの寅のことでみんな腫れ物にさわるように扱っている。
あけみの厳命
寅への禁句
多くの作品で登場するおなじみ『禁句ギャグ』。
今回あけみが言っちゃだめと言ったのは、
島、海、女の先生、魚、などなど…。(^^;)
朝食に鯵の開きを出されると涙を流す寅でした(^^;))
おいちゃん曰く「当分うちじゃ魚食えねえよ」とぼやく。
一方、あけみは夫と話し合ってもう一度夫婦生活をやり直そうとしているらしい。
いくらメインではないとは言え、このあたりの安直さがちょっと気になる。
寅が二階からフラフラになりながら下りて来て
気が弱っているなりに元気を出そうともしている。
しかしそれを学校から帰ってきた満男が
徹底的にぶち壊す。
禁句をどんどん口から出す。
■新しい『女の先生』が赴任してきた。(^^;)
■『独身で凄い美人』((^^;)
■超偶然にも『二十四の瞳』を読む満男((((((^^;)
3番目はあまりにもできすぎ(^^;)
このシリーズはじめての寅が団子を食べるシーンが映し出されるが
ギリギリで口には入らなかった。残念!
禁句が出るたびに寅は団子を落としたり、皿を落としたり、へなへな。。。
そこへ備後屋と麒麟堂がやって来て
今とらやで禁句に入っている【式根島】に海釣りに出かけるそうだ。
それを耳をダンボにして聞いている寅。
案の定、池釣りの竿と魚篭持って格好をして
熱に浮かされるように備後屋たちをふわふわ追いかける。
へろへろメインテーマが流れる中
店先で
寅「おばちゃん、魚獲って来る、
こんなでっかいの。包丁研いで待っててくれよ」
おばちゃんつい
おばちゃん「いっといで」と言ってしまう。
さくらとおいちゃん大慌てで参道を走っていく寅を止めに行く。
おばちゃん「行かせておやりよ」と半泣き。
おいちゃん「バカ!何言ってんだ」と寅を追いかけていく。
おばちゃん「エエエン。。。」と泣きじゃくる。
おばちゃん、寅のことが可愛いんだね(^^)
満男も飛び出し
満男「伯父さん、頭にきちゃったよ、フフフ」と大笑い((^^;)
おいちゃん、さくらと一緒にひさしぶりの参道ロケ。
備後屋たちに寅を止めるように大声で叫ぶ。
結局…備後屋や麒麟堂に説得されて
寅に行かせないようにしてくれて寅を説得。
さくらの家にお詫びのケーキを持って訪ねて来ているあけみ。
寅の悲しい恋やつれのことをあけみがさくらから聞いて、
『私が式根島に行かなかったら、寅さんは悲しまなくてすんだ。私のせいだ』、と泣いてしまう。
とらや 店
で、寅はついにこの苦しみから逃れるために旅に出ようとする。
みんなに別れを言ってよろよろ旅立つ寅。
おばちゃんはまたもや泣いている。
社長に餞別をもらい、とぼとぼ参道を歩いていく…、
なんと真知子さんがこちらに歩いてくるのだった。
この【旅立とうとしたらマドンナに出会っちゃった】パターンは
第11作、第13作、第19作、第37作、などでも使われる
山田監督十八番、お馴染みのマドンナとの再会パターンだ。
寅の声「あーーー!!!」
真知子さんの声「寅さん!!!」
寅「はい!!」
おいちゃんおばちゃん社長は「???」
寅が駆け戻ってきて
寅「おいちゃんおばちゃん!先生来た!」これも第11作のアレンジ。
三人とも呆然…。
それでいつものパターンで
さっそうと真知子さんと一緒にとらやの前を歩く寅だった。
とらやに入って来て
寅「ただいま!」
おばちゃん「あ…おかえり」
寅、真知子さんを紹介する。
真知子「島崎真知子です」
みんなお辞儀をするがしどろもどろ。
寅「元気を出せよ!陰気だなあ〜!暗いなあ〜!」よく言うよ(−−;)
そこへさくらがやって来る。
さくらも寅の豹変に唖然。
真知子先生を茶の間に上がらせて
みんなで盛り上がっている。
朝日印刷
タコ社長がいつものように寅さんがらみの美人が来たと流布。
しょうがねえなと言いながらも朝日印刷の工員たちも美人を見に塀越しに覗きに行く。
ふかし肉まん?が運ばれてくる。
驚く真知子さん。
真知子さんは言う
真知子「不思議ねえ…、寅さんって」
寅「??え?なにが?」
真知子「初めて桟橋でお会いした時、
本当に若者に見えたのよ」
独身には見えてもさすがに『若者』はないだろ ヾ(^^;)
おいちゃん「知能程度が低いからでしょ」((^^;)
寅「な、なんだ??」
真知子さん笑いながら
真知子「そうじゃないんですよ、
…それがね、どうかすると可愛いらしい少年に見えたり、
かと思うと、うーんと年上の頼もしいお兄さんみたいに見えたり」
寅、照れながら片岡知恵蔵扮する怪人二十面相の真似。
片目をつぶって
寅「それは七つの顔の男、
実は名探偵多羅尾 伴内、テッ、フフフフ」なりきっている(^^;)
多羅尾 伴内(たらお ばんない)は、
比佐芳武原作・脚本のミステリ映画シリーズ、
および同シリーズの主人公である架空の探偵の名。「七つの顔の男」シリーズ。
片岡千恵蔵主演で、1946年(昭和21年)ー1948年(昭和23年)に大映が4作品を、
1953年(昭和28年)ー1960年(昭和35年)に東映が7作品を製作し、興行的に大成功を収めた。
千恵蔵が七変化の活躍をするという痛快無比な面白さが大評判となり、
とくにクライマックスの名台詞「ある時は○○、またある時は××、しかしてその実体は……!」は
多くのファンによって模倣された。
真知子のテーマが優しく流れる。
真知子「さくらさんいいわねえ、こんな素敵なお兄様がいらして」
さくら、笑いながら
さくら「そうね、フフフ、頼もしくて、
いつもお小遣いくれて、」このギャグは第12作のアレンジ(^^)
寅顔をひきつらせて笑う(^^;)
おばちゃん駄目押し
おばちゃん「妹想いで、親孝行で、あたしゃ幸せ」
おばちゃんは母親ではない((ゞ(^^;)
寅「そこまで言うと嫌味になるよ」最初から嫌味言ってるんだよ(^^;)
みんなクスクス笑い。
博がやって来て
博思わず「綺麗な人だなあ…」
みんな笑う。
うーん、博はそんなこと面と向かって言うかなあ…。
確かに純粋な男だが、そういうことは言わない気がする。
そういう決定的な言葉を安直に使わずに博の心の動きを表現して欲しかった。
さくらの家
さくらと博が帰ってくる。
満男は留守番していたのだ。
満男はサンドイッチ作って食べたらしい。
なかなかえらい。
満男「伯父さん元気になった?」
さくら「なったわよ」起死回生(^^)
はい、と肉まんの残りをテーブルに置く。
さくら博に
さくら「これからどうなるのかしらね…」
博「いずれは終わりが来るんだろけどな」
満男「ハッピーエンド?」
博「まさか…、…!!」
さくら満男に「バカ」
満男、二階に行きながら
満男「 『 I'm very happy 』 said Tora.From Shibamata With Love 」
この満男の言葉がこの映画のタイトル【柴又より愛をこめて】の由来。
さくら「生意気になって。。。」
神田神保町交差点が写る。
追記訂正
2022年2月
この建物は、文化学院ではないことが判明した。
岩波書店 神保町本社ビルだった
ロシア語編集部
岩波書店 神保町本社ビル
ロシア語辞典編集部
ということになっている。
川谷拓三さん登場。
酒井「はい、ロシア語辞典編集部です…、」
ニコッと笑って
酒井「おまえか…フフ…」
無声音で「パパだよ」
酒井「どうしたんだ?」
千秋「今ね、御茶ノ水にいるんだけど、誰と一緒だと思う?」
で、真知子先生だとわかると、鼻歌を歌ってすっ飛んでくる酒井だった。
どうやら娘千秋の誕生日プレゼントを買いに来たらしい。
電話ボックスの向こうにニコライ堂が見える。
有楽町マリオン ブティック
ロシア民謡 カチューシャ が流れる。
真知子さんが娘に赤いチェックのスカートを買ってあげる。
有楽町マリオン前を歩く3人。
新宿 東口 伊勢丹会館2階 (後に銀座の可能性も浮上)
ロシア料理 ペチカ
ロシア料理の店で夕食を食べている3人。
数年前に惜しまれながらも閉店してしまったらしい。
酒井は娘が買い物をしている時に
真知子さんに見合いをしたことを告げる。
酒井「実はこないだ見合いをしましてね…」
食事の動きを止め複雑な表情をする真知子さん。
酒井はその見合いが失敗に終わった原因が
千秋ちゃんの意向だったことを告白する。
「新しいお母さんが来るんだったら、真知子おばちゃんがいい」
と言ったらしいのだ。
つまり、真知子さん以外の人とは結婚して欲しくない
ということらしい。
緊張の表情が現れる真知子さん。
そして窓のそばに立ち、戸惑う目をする。
この時の窓の外は本物の新宿靖国通りを編集ではめ込んでいる。
訂正記事
あのロシア料理店からの眺めははめ込み映像で、新宿ではなく、
銀座4丁目の日産ビルだということが判明!!
つまりこの一瞬のシーンだけ本物のペチカでのロケだと思われがちだが、
この外の俯瞰風景は実ははめ込みで、合成。
もしそうだとしたら、栗原小巻さんは新宿ロケに行っていないことになる。
遠くを見つめる真知子さん。
どうやら彼女は酒井の気持ちをうすうす知っていて、
心の準備はある程度できていたようだ。
酒井はそのエピソードに乗じて自分の気持ちを告白するのだった。
酒井「そりゃ、もちろん、千秋の望みどおりになれば、
あいつはどんなにか幸せか…。
いや、それは卑怯な言い方だな。
あなたと暮らせたら僕はどんなに幸せかと
僕はずっと思っていました」
酒井をそっと見つめる真知子さん。
ロシア民族弦楽器 バラライカによる
『モスクワ郊外の夕べ』が流れる。
バラライカの音色といえば映画『ドクトル・ジバゴ』
ソ連の作家ボリス・パステルナークの小説。そしてデヴィッド・リーン監督の映画。
モーリス・ジャールによる挿入曲“ラーラのテーマ”がバラライカ演奏。
ロシア革命の混乱に翻弄される、主人公で医師のユーリー・ジバゴと恋人ララの運命を描いた傑作。
酒井「あなたの気持ちも考えずに、勝手に自分のことばかりしゃべって
不愉快だったでしょ、勘弁してください」
真知子「愛しているって言われて、
不愉快に思う女がいると思う?」
酒井「ありがとう…。でも…、もう、こういう話は二度としませんから」
真知子「私は、どう、受け止めたらいいの?
あなたに結婚を申し込まれたって考えていいの?」
酒井「あ…はい」
酒井「でも…もちろん…」
真知子「私、考えておきます」
酒井「はい」
真知子さんは、酒井に対する恋愛感情も少しは芽生えているのだが、
やはりなんとしてでもこの人と、と言う感じではないようだ。
やや受身的な結婚になるかもしれないとも思っているのかもしれない。
とらや 夜
寅が社長と一杯呑んで帰ってきたのだった。
どうやらあのあと、とらやに真知子さんが訪ねてきたらしい。
寅になにかの相談があるらしいのだ。
翌朝 調布の飛行場で待っている寅
真知子さんはどうしても寅に結婚の相談をしたかったようだ。
そうだとは知らずに喜んで待っている寅。
学生時代の親友の娘千秋と父親の酒井とのなれそめを話す真知子さん。
話がしだいに核心に迫っていく。
気づいていく寅。
真知子「実は昨日…、その子のお父さんから…当然……」
寅「その子のお母さんになってくれと言われたんでしょう」
静かに頷く真知子さん。
第9作、第13作で使われた「歌子のテーマ」が流れる。
ここはがんばってオリジナルを作って欲しかった。
静かに下を向いていく寅。
真知子「彼は誠実な人だし、女の子は私にとてもなついてるし、
なにも問題はないの。でもね。でも…」
心が高ぶってきている真知子さん。
沈んでいく寅
真知子「もし、そうなったとしたら、」
真知子「身を焦がすような恋の苦しみとか、
大声で叫びたいような喜びとか、
胸がちぎれそうな悲しみとか、
そんな…、そんな感情は胸に閉まって鍵をしたまま、
一生開けることもなくってしまう。
そんな悩み、寅さんなら、どう答えてくれるかと思って…」
暗い表情で聞いている寅
はっと我に帰るように
寅「いや…、オレのような渡世人風情の男には
そんな難しいことはわからねえ…」
アフレコが口の動きとかなり違っているね。
寅「…」
新中央航空株式会社 離島航路
飛行機の離陸の知らせが来る。
ミニバスが止まる。
寅「ただ…」
真知子「え?」
寅「ただ、お話の様子じゃ、その男の人は、きっといい人ですよ」
真知子「そおお…?」
寅「はい」
寅は真知子さんに乗車をすすめる。
真知子「でも、聞いてもらってほっとしたわ…」
寅「そら、ようござんした」
ミニバスに乗車する真知子さん。
暗い表情に戻る寅。
真知子「お正月にはきっと帝釈様に行くわね」
寅「待っています」
真知子「さようなら」
寅「さようなら」
真知子さんを目で追いかけ続ける寅。
AIRCRAFT MAINTENANCEの作業倉庫
真知子のテーマが流れる。
走り出すそのせつな、遠く寅を見つめる真知子さん。
真知子さんはまだ迷っているのかもしれない。
自分の人生はこれでいいのかと。
小型飛行機に乗り、離陸する真知子さん。
新中央航空
登録番号JA 5218 運航会社 CUK
型式BN-2A-2 製造番号344 受領年月 1973.11 引退1999.09
BN-2A-2の同型機
飛び立っていく飛行機をいつまでも見送っている寅。
飛行機が見えなくなって
とぼとぼ立ち去っていく寅。
新中央航空の事務員が
寅の忘れ物だと釣りの道具を渡す。
失意の寅の前を飄々と通り過ぎる白猫
これは演出か、はたまた偶然か…。
とらや 夜
茶の間で上野にかばんを届けに行ったさくらを待つみんな。
さくらはちょっと沈んでいる。
釣りの道具をさくらから
おいちゃん「寅なんか言ってたか?」
さくら「真知子さん、結婚するかもしれないって」
みんな「…」
さくら「相手は子供のいる人らしいけど」
おばちゃん覚悟していたようで淋しそうに
おばちゃん「やっぱりね…」
さくら「わりに元気そうだった。
憑き物が落ちたみたいに、ほっとしたような顔してたわ」
みんな落ち込んでしまう。
やがて…遅い食事の支度を淡々とするみんな。
寅の釣り道具が写る。。。。
正月 さくらの家
郵便番号125
柴又5−37−2
あけみが遊びに来る
朝日印刷の工員たちも来ている。
新年の挨拶をするあけみに
さくら「本年は、どうぞお手柔らかに」
あけみ「また〜」
さくら座布団一枚(^^)
みんなに受ける。
あけみ二階の満男の部屋にいって
窓の外を見る。
満男「なに見てるの?」
あけみ「空」いいねえ…空か…。
あけみ「寅さんどうしてるかしらあ…」
寅との旅を懐かしく思い出しているあけみだった。
窓を開けて
遠くを眺めるあけみ。
あけみ「ほんとうにどこにいるのかな寅さん…」
あけみちょっと淋しそう。
実はこのあけみがつぶやくシーンがこの作品の裏メイン。
第12作「私の寅さん」りつ子のテーマが流れる。
うーん、この作品過去の名曲を使いすぎ。
このあたりの作品群はこのようなちょっと拝借が増える。
普通は気づかないが、気づいてしまうとちょっと淋しい。
メインテーマ以外は
やはり完全オリジナルがいいなあ。。。
浜名湖 館山寺港(かんざんじ港)
浜名湖めぐり一周コース
遊覧船乗り場
遠鉄タクシー
なんとあの真知子さんの教え子たちが働いている。
そこでたまたま啖呵バイをしている寅。
浜名湖での啖呵バイと言えば、第6策「純情編」のラストを思い出す。
寅年なので、張子の虎の人形を売っている寅。
しかし、さぼって寝ている。。。(((^^;)
遊覧船案内のハンドマイクで起こされる寅。
ゲン「あれ!!???」
寅「!!!!おお!!」と指差し
寅「二十四の瞳!!」
ゲン「寅さん!!ハハハ!偶然だなあ」
とみんなで再会を喜ぶ。
どうやら二人とも真知子さんが結婚することを知っているようだ。
「中年の子連れの冴えない男らしいんですよ」と悔しがっている二人に
寅「いいじゃないか、愛があれば!な」
と言い切る。いいねえ〜(^^)
みんなで大笑い。
ゲン「今夜一緒にやりませんか、真知子先生に失恋した自棄酒だあ〜!ハハハ」
寅「さあて!こちらも一勝負するか!」
寅バイネタの場所に戻って
ラストのメインテーマが流れ始める。
寅「さあ、やけのヤンパチ日焼けのナスビ、色が黒くて食いつきたいが
あたしゃ入れ歯で歯が立たないよときた!!
どう、もうまけちゃうひとつ400円!はい!
四谷赤坂麹町チャラチャラ流れる御茶ノ水、粋なネエチャン立ちションベン!
さあ!白く咲いたがユリの花、色は白いが水臭いときたもんだ、」
遊覧船が出発していく。
大草山 頂上
はるか上、大草山の頂上から
名湖パルパルへ下りて来る館山寺(かんざん寺)ロープウェイ。
目の前に360度見渡せるパノラマの雄大な景色が広がっていく。
静かに波打つ浜名湖、と出発したばかりの遊覧船。
メインテーマ大きく高鳴って
終わり
次回は第37作「幸福の青い鳥」超簡単ダイジェスト版です。
日本帰国後の4月10日ごろになります。気長にお待ちください。