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佐賀県 呼子 ロケ地全踏破レポート
寅と踊り子の一期一会
「フフ…兄さん、よかこと言ってくれるね」 呼子での一期一会 そして再会。
この「寅次郎子守唄」はある意味地味な作品である。しかし実に上手い展開の連続で、見ごたえが随所にある。
正調「男はつらいよ」とは正にこの作品のことである。
見せ所がしっかりしていて密度が濃いのでしょっちゅう繰り返し観てしまうのだ。
熱烈な寅さんフアンのなかでこの作品をベスト10の中に入れている人を何人も知っている。
しっとりとした味わい深い作品に
仕上がっていて見飽きない。笑いのタイミングも決まっている。
「男はつらいよ」を観たことがない人に勧めるときの代表格だ。
また、マドンナではないが、
佐賀県の北の端、呼子港で知り合ったヌード劇場のダンサー役の春川ますみさんが
実に味のある爽やかな演技で
この映画に奥行きを与えていた。渥美さんも絶妙のやり取りで、私はもうそれだけで胸が熱くなるのだ。
渥美さんの春川さんを見つめる目が実に温かい。
同じ匂いを持つふたりは目だけで分かり合えるのだ。
これだけリアリティがあるやり取りはこの長いシリーズの中でもめったに
お目にかかれない。「忘れな草」でのリリーとの出会いを彷彿させるような静かな名シーンだ。
「ここで踊ってんのかい?」
「こんな景色のいいとこまで来て、暗かところで女の裸観てどこがよかすかねェ」
「フフ…別に裸を観るわけじゃねえよ。姐さんの芸を観に来たと思えば腹もたたねえだろう」
「フフ…兄さん、よかこと言ってくれるね」
「そうか」
アンパンを食べながら遠くを見つめる春川さんますみさんと寅。
そしてラストで赤ん坊を背負って、渡し舟で寅と再会する時のあの春川ますみさん。
それらのやり取りをまた観たくて、この作品を何度も観てしまう。
だから、私には寅がラストで、もう一度彼女に、そして赤ん坊に会いに行く気持ち
が凄く分かる。もちろん十朱幸代さんの若々しい屈託のない笑顔も魅力的なのだが、
やはりそれ以上に、美人女優でもマドンナでも何でもないが、
しみじみと春川ますみさんがいいのである。どこかでリリーの寂しさと通じる部分があるのかもしれない。
実に味わいのある役者さんだ。
それではまず世界初登頂から紹介しよう。
第14作寅次郎子守唄のラストシーンはもちろん呼子なのだが、俯瞰風景である。
呼子湾を東から西に寅と踊り子さんを乗せた手漕ぎ渡し舟が小さく見えて「終」マーク。
どうしても、その俯瞰撮影は個人のビルの上からしか撮影できないので諦めていたのだが、
今回そのビルの3階屋上だと推測。
そしてお店になっているその当該ビルに入り、女将さんへの聞き込みにより、
確かにこのビルで撮影されたことの証言を得た!
そこでお忙しい中なんとかそのビルのご主人に屋上に案内していただき、屋上からの撮影に成功したのだった。
ご夫妻にご迷惑がかかるのでビルの名前は書けないことをご了承いただきたい。
屋上に上がるとまさにあのラストシーンそのもの!!
手前にあった旅館の屋根はもう今はなくなり、違う建物が建っている。
東側に見える旅館などのビル群は今も同じ。
寅たちが向かう西側ストリップ劇場横の渡し舟通路は現場で近づくと同じように今も存在する。
世界初登頂。
これはラストシーンでもあり、寅と踊り子の手漕ぎ舟も映っており、私は高羽撮影監督が直接撮影したと思っている。高羽アングルで撮影。
■ 寅次郎子守唄ラストシーン初登頂の動画
https://youtu.be/nsI2lgtSo70
ストリップ劇場横の通路は今も残っている。ただしドアは閉められているので人は通れない。
それではひとつひとつ紹介して行きましょう。
まずは呼子港導入シーンの調査からアップ。
本編ではこう描写されている。
港が見渡せる高台から町へ下りて来る寅。
佐賀県呼子港
ヌードショウ小屋『呼子ショー』の旗が見える道をぶらつく寅。
その横のよろずや
寅「ごめんよ」
寅、もう一度「ごめんよ」
後ろの路地から声「は〜い」
おばちゃん「何あげますか?」
寅「あ、おばちゃん、アンパンくんねえかい?」
ピンポイント ストリートビュー
https://goo.gl/maps/eRbjwdsrQwG2
赤丸は映画撮影カメラ位置
呼子の町に下りてきた寅。
細い通路の向こうに渡し舟の発着場がわずかに見える↓
ドアの中の渡し舟発着場所への通路は現在は中には入れない。外から写すと海にむかってこのようになっていた↓
2013年に寅増さんが撮影した時は通路に入ることができた。↓
お店の人が向かいの家から女将さんが出てくる。この家も飲み物か何かを扱っていたようだ。
ストリップ劇場だった家は今はもう何の面影もなかった。
ストリートビュー ピンポイント
https://goo.gl/maps/N7RpfWysUg42
本編での描写はこうである。↓
渡し舟の船着場でアンパンを食べている寅、湯飲みのお茶をすする。
横はヌード小屋の裏。
女が赤ん坊を抱いて船着場にやって来る。
女「おーよしよし。なんも力になりきれんで悪かったね」
男「いろいろ世話になってすんまへんでしたな。今更、あんな女子に未練はおまへんねけどな、
未練おまへんねで、なんせこのガキがピーピーピー泣きもんでっさかいにもうわたい一人じゃ
どうしょうもできまへんのや。いっそのことコインロッカーにでもほりこんだろかほんまに…」キツイこと言うなァ八方さん(^^;)
階段でドテッとこける男
女「バカんこと言うもんじゃなかよ!一生懸命探さにゃ、きっと見つかるバイ」
寅、座って聞いている。
男、小舟に乗りながら「おおきに…」
おんなから赤ん坊受け取り「すんまへんな。泣くな、何で泣くねや…」とダッコする。
渡し舟 大人50円 小人25円
小舟が出る。
女「気ィつけて」
男「ほな、さいなら」
小舟が遠ざかっていく。
現在はこの『渡し舟の船着場への通路』はドアが閉められている。
カメラでの撮影もこのアングルのみ可能だった。↓
【参考資料】
2011年8月、今回の調査にも同行してくださった寅友の『ちびとらさん』が以前訪ねられた時の写真。↓この時はまだ海への階段は存在した。
階段は数年前に埋め立てられ、通路は閉じられていた。
ストリップ劇場裏がちょうど船着場だった。
海はなくなり、当然下りの階段はこの埋め立て地面の下に埋め込まれてしまった↓
本編ではこうである。
女、壁にもたれ、なんとなく寅に向かって
女「頼りなか親父だよ、ほんのこつ」
寅、ニコっと笑って「訳ありかい?」
女、小舟を見送りながら、
女「逃げられたとばい、女房に」
寅「ほお〜う」
女「去年、私のところでちょっと踊ってた娘(こ)ばってんね」
寅、ゆっくり石段を降りて近づいてくる。女も、寅も
同じ匂いを持っているので、寅はとても力を抜いて
接している。こういう時の渥美さんの演技がほんとに好きだ。
田所康雄さんの素顔が覗く瞬間ではないか、とも思う。
女、小舟に向かって手を大きく振る。
現地での聞き取りでわかったことは、
ストリップ劇場に似た興行は実際にここで行われていたようだった。
本編では船の上からの撮影だった。カメラの画面が揺れているのだ。
数年前に海がこのように埋め立てられて遊歩道のような道になっている。
海だったところは陸になったわけだ。
左から 私(吉川) 後ろ真ん中がちびとらさん。 右が小手寅さん。
【参考資料】
この旅にも同行されたちびとらさんが、
2011年8月に撮影された渡し舟の発着場跡。
このころすでに埋め立てが始まっているのが
向こうに並んでいる鉄の杭で見て取れる。
対岸から見るとあの名シーンのピンポイントはこうなる。
本編ではこう描写している。↓
女、空を見上げて「あー、天気のよか…」
寅「ここで踊ってんのかい?」
女「フフ…こんな景色のよかとこへ来て、
暗か所で女の裸見て、どこがよかすかねえ…」
寅「フフフ…別に裸を見るわけじゃねえよ。
姐さんの芸を見に来たと思えば
腹も立たねえだろう」
女、寅の方を振り向いて
女「フフフ…兄さん、よかこと言ってくれるね」
とちょっと嬉しそうに、にっこり笑う。
寅「そうかァ」
と寅、かじりかけのアンパンをまたパクつく。
都はるみの「あなたの港」が流れる。
「♪ あの人の嘘で壊れたみじめな夢を
抱いて泣き泣きああ一人旅〜〜〜」
兄さん、よかこと言ってくれるね。
女「フフフ…」
女、アンパンの袋に気づく。
寅、紙袋をちょっと女の方に向けて、ひとつすすめる。
女、ちょっと、照れながら、
女「ありがと」
と、紙袋から一つ取ってがぶりとパクつき、笑う
寅、感心したように、ちょっと首をふり、女を見る。
この、なんでもないやり取りが実にいい。
アンパンの袋をチラッと見る春川さん。
それに応じるようにさりげなく春川さんにパンをすすめる
渥美さんのちょっとした動き。そしてその目は温かい。
春川さんならではの天真爛漫なアンパンのパクつき。いいねえ。
小屋の中から流れる演歌の声
女、しゃがんで海を見る。
カメラは遠くから二人を小さく映す。
呼子でのささやかな一期一会。
寅と女は同じ悲しみを持っている。稼業としても、
おそらく人生の中でも…。
そうでないとあのようなやさしい言葉は言えるものではない。
私はこのシーンを見るためだけに何度も「子守唄」を見続けるのだ。
この呼子のシーンは、渥美さんと春川さんだからこそ作り出せた
味わいだと思っている。透きとおった秋空のような清々しさがあった。
実際、ヌードショウを見に来る客は、ただ単に裸を見せられても興ざめだろう。
やはり、そこにはそれなりの「芸」が必要なのである。「銭が取れる芸」が。
実は、渥美さんも春川さんも若かりし日々、そのようなヌード劇場で修行をしているので、
「芸」の力というものがいかに大事かを身を持って知っているのであろう。
浅草『ロック座』で、大きめのプロポーションと気立てのよさ、明るさで
人気ダンサーだった春川ますみさん。谷崎潤一郎も彼女の大フアンだった。
後に映画界にスカウトされ、現在も数々の映画に出演中。
そのような春川ますみさんにとってこの呼子のストリッパー役はある意味、
まさにはまり役だったと言える。実に味わいのある演技だった。
寅が泊まった宿
馬渡島(まだらしま)は、東松浦半島最北端の波戸岬から約9km西の玄界灘にある島。
呼子からもさほど遠くはない。
馬渡屋は『まだらや』と読むのかもしれない。
この旅館が実際にあったのかどうかは聞き込みではわからなかった。
近所の方は知らないようだったのでひょっとしたら、山田組の作った架空の旅館だった可能性がある。
この場所は、向こうの丘の形を見るとストリップ劇場側、つまりこちら岸だとわかる。
ストリップ劇場のすぐ横たった50メートルほどの場所。川崎鉄工所横
この馬渡屋に寅が宿泊したのかどうかは本編でははっきりはわからないが
もしそうだとすると、渡し舟で向こう岸に渡ったはずの子持ち男は
実は、渡っていなかったことになる^^;
今もこの付近に馬渡島への連絡線の発着所がある。
ストリートビュー ピンポイント
https://goo.gl/maps/FNcdueKtuSq
本編の翌朝
朝の町の風景も、ストリップ小屋のすぐ横
数年前までは大村屋旅館はまだ存在したが、現在はもう廃業している。
ストリートビューで見てみると、2013年ではまだ大村屋さんの看板は健在だった。↓
ストリートビューピンポイント
https://goo.gl/maps/LZMjurGieKN2
赤丸は映画撮影カメラ位置
呼子らしい朝の風景描写
同じく朝風景
ストリートビューピンポイント
https://goo.gl/maps/D8UXMwMRfpP2
同じく朝風景
ピンポイントストリートビュー(海岸沿いはストリートビューがないので裏の道から海への隙間への場所)
https://goo.gl/maps/nPyDbeE4xa82
ストリートビュー ピンポイント(ストリップ小屋の道までしかストリートビューが来ていない)
https://goo.gl/maps/N7RpfWysUg42
赤丸は映画撮影カメラ位置
そして本編ラスト
柴又を出て行った寅は、再び呼子を訪れるのだった。
そしてあの踊り子との再会が待っていた。
ストリートビュー ピンポイント
https://goo.gl/maps/Q9SQTe5ug672
寅の背中側の階段はもう今はなくなっている。
手前の階段はなくなっているが、向こう側の階段はまだ残っている。
赤ん坊をおんぶした踊り子がやって来る背後に映っていたクリーム色の家は数年前まで健在で、
ストリートビューには映っている。
ストリートビューでは今でもこのクリーム色の家は見ることが出来る。
現在2017年ではあのクリーム色の家は壊され、手前は駐車場になってしまっている。
この駐車場の道沿いにクリーム色の家はあった。隣に見える細い道は「朝市」で有名な市場への道だ。
ストリートビューピンポイント
https://goo.gl/maps/JMCjZyyG4FN2
本編ではこうである。
寅、こちら岸で、渡しを待っている。
かもめの鳴き声
渡船 大人50円 小人25円 の看板
寅、降りる客の腕をつかんで手伝いながら、
小舟に乗り込んで座る。
遠くから、女の声
女「おじさ〜ん!待っちょってェ〜!」
女子供を抱っこしながら、走ってくる
女「待っちょって〜、待っちょって〜。ほっ、ほっ」と石段を降りてくる。
寅。振り返って、顔を見て驚き、立ち上がる。
女、ドンと飛び乗り、寅が支えてやる。
女「あ、すいません」
寅、手を持ってニコニコ笑いながら
寅「よお〜!」
女、寅を見て、…間があって
女「ああ〜!あんたじゃなかね!」
寅、満面の笑みで
寅「んん!」と頷く。
舟が動き始める。
船頭さんもなぜかニコニコ。
女、寅をシゲシゲ見て「わあ」
二人とも笑いながら座る。
女「わざわざ来てくれたんね!?」
寅「ん!唐津まで来たんでね。
赤ん坊のことも気になってたもんだから」
女「そう〜!」
寅「うん」
女「元気だよ、ほら、
ここにいるばい、見てみんね」
赤ん坊をあやす寅 寅を見て笑う赤ん坊
寅、笑いながら赤ん坊の、ほっぺを指でさわる。
女「病気ひとつせんもん、ね!」と赤ん坊を見ながら笑う。
赤ん坊、笑っている。
女「タケはいい子じゃけんね!」
赤ん坊、寅を見て笑っている。
女「ほ!ほ!ほ!」と言いながら赤ん坊をあやす。
寅、ほっとした顔で
寅「そうか…、元気だったか…」
ちょっと、まじめな顔になって、
寅「ところで、この子の父親どうしてるんだい?」
女「フフ…いるばい、あそこに」
寅「え?」と振り向く。
「小屋の呼び込みとかモギリとかさせちょるんよ。
つまり、ね!なんと言うか、ま、一緒に暮らしとるんさ」
寅「そうかあ、それじゃ親子ともどもあんたの
世話になってるわけだ」と心から安堵。
女「フフ…」
寅「よかったよかった」
そして最後の海のロケ
赤丸囲いがクリーム色の家が建っていた場所。
海沿いの何軒かにわずかに40年以上前の名残が残っているがあとは全て建て替えられてしまっている。
2011年のちびとらさんの撮影時はまだあのクリーム色の家がある。↓(船の向こう)
対岸への撮影は、カメラ撮影位置はもちろん逆側の岸だ。
ピンポイントストリートビュー
https://goo.gl/maps/TsMcovxduur
寅はふたたびあの踊り子との一期一会の船着場に戻ってきたのだ。
赤ん坊の父親が寅に気づき、対岸で手を振る姿を見て、
心から安堵する寅のこの表情こそが
まさにこの作品のクライマックスであり、
文字通り『寅次郎子守唄』だとしみじみ思ったラストだった。
■このカメラ位置のビル屋上は、諸事情でどのビルか記載はできませんことをご理解ください。
ピンポイントストリートビュー
https://goo.gl/maps/fKmbGpRD3RR2
それではラストを本編で最後に辿ってみよう。
佐賀. 呼子港
ふたたびこの地へやってきた寅。
寅、こちら岸で、渡しを待っている。
かもめの鳴き声
渡船 大人50円 小人25円 の看板
寅、降りる客の腕をつかんで手伝いながら、
小舟に乗り込んで座る。
遠くから、女の声
女「おじさ〜ん!待っちょってェ〜!」
女子供を抱っこしながら、走ってくる
女「待っちょって〜、待っちょって〜。ほっ、ほっ」と石段を降りてくる。
寅。振り返って、顔を見て驚き、立ち上がる。
女、ドンと飛び乗り、寅が支えてやる。
女「あ、すいません」
寅、手を持ってニコニコ笑いながら
寅「よお〜!」
女、寅を見て、…間があって
女「ああ〜!あんたじゃなかね!」
寅、満面の笑みで
寅「んん!」と頷く。
舟が動き始める。
船頭さんもなぜかニコニコ。
女、寅をシゲシゲ見て「わあ」
二人とも笑いながら座る。
女「わざわざ来てくれたんね!?」
寅「ん!唐津まで来たんでね。
赤ん坊のことも気になってたもんだから」
女「そう〜!」
寅「うん」
女「元気だよ、ほら、
ここにいるばい、見てみんね」
赤ん坊をあやす寅 寅を見て笑う赤ん坊
寅、笑いながら赤ん坊の、ほっぺを指でさわる。
女「病気ひとつせんもん、ね!」と赤ん坊を見ながら笑う。
赤ん坊、笑っている。
女「タケはいい子じゃけんね!」
赤ん坊、寅を見て笑っている。
女「ほ!ほ!ほ!」と言いながら赤ん坊をあやす。
寅、ほっとした顔で
寅「そうか…、元気だったか…」
ちょっと、まじめな顔になって、
寅「ところで、この子の父親どうしてるんだい?」
女「フフ…いるばい、あそこに」
寅「え?」と振り向く。
「小屋の呼び込みとかモギリとかさせちょるんよ。
つまり、ね!なんと言うか、ま、一緒に暮らしとるんさ」
寅「そうかあ、それじゃ親子ともどもあんたの
世話になってるわけだ」と心から安堵。
女「フフ…」
寅「よかったよかった」
この時の春川さんの笑顔。なんの『けれん』もない、
そのままの笑顔に、何度救われてきたことか。
この笑顔を見たいために何度も「子守唄」を見てきた。
女「あ!お父ちゃんだ!お父ちゃーん!」
対岸に出てきた男、手を振っている。
女「お父ちゃーん!
お客さんバイ!こん人こん人」
寅、遠く岸に立つ男の方を見ている
メインテーマが大きく流れる。
女「わかっちょるのかね?」と笑う。
寅、涼やかな顔で手を振る。
安堵の表情で遠く、対岸を見ている寅。
静かに寅たちの舟が近づいていく。
呼子の海と渡し舟が遠くに映る。
このシリーズの数あるラストの中でもベスト10に入る
爽やかなラスト。寅はこういうラストが実に良く似合う。
以上、佐賀県呼子ロケ調査全踏破でした。
赤丸は映画撮影カメラ位置
ところで
本編ではこの呼子の物語の前に唐津での啖呵バイと
唐津くんちの行進の様子が映し出される。
今回は唐津にも滞在し
あの啖呵バイの唐津神社をはじめ、
唐津くんちの行進場所を完全制覇した。
唐津市
おそらく本編俯瞰は位置的に現在の唐津市市役所屋上からの撮影だったと思われるが、
現在では特別の許可がないかぎり屋上へは立ち入り禁止。
それゆえ道を挟んだ東側にあるビル屋上から撮影した。
本編では参道の西側(市役所屋上)からの撮影。
上にも書いたが、どうしても撮影されたと思われるビルからの再現は不可能だったので、
道を挟んだその隣のビルの屋上からの撮影。
映画本編ではカメラの右方向に唐津神社の参道と鳥居が映っているが、このビルからは左方向に参道と鳥居が見える。
くんち曳山の行進コース 黄緑●は映画本編撮影時のカメラ位置
本編カメラ位置 ピンポイント
唐津城の新大橋を渡りお堀を渡る唐津くんちの曳山。
手前石垣は唐津城の三の丸辰巳櫓。向こうに見えるのは新大橋。 カメラ位置は中央橋。
ストリートビューピンポイント
https://goo.gl/maps/UWVPERJ4u2F2
魚屋町の札の辻橋を渡るくんちの曳山
ストリートビュー ピンポイント
https://goo.gl/maps/6ueF2qKGsrs
札の辻橋から30メートルほどでクラブひろこの曲がり角
このクラブひろこの曲がり角場所は二度本編で採用されている。
本編では曳山は橋を渡って、クラブひろこの前を左に曲がって行くのだった。
ストリートビュー ピンポイント
https://goo.gl/maps/pQj99sAC53r
本編カメラ位置 ピンポイント
一方こちらは、市街地、唐津市役所前唐津街道そばの商店街
牟田商店は今も健在。皮肉にも映画撮影当時よりもレトロなお店になっている。
ストリートビューピンポイント
https://goo.gl/maps/taMPys8FUmD2
このシーンも同じこの四つ角で角度を変えて撮影されている↓
本編のカメラ位置とアングルはこちらが正しい↓右の白い建物が本編で映っていたケーキ屋さん。
この牟田商店向かいから逆に南方向に目を向けるとこの景色↓ つまり3シーンとも同じ場所で撮影されている。
ストリートビュー ピンポイント
https://goo.gl/maps/Jy2n2QDryqL2
そして唐津神社での寅の啖呵バイが映る。(バイネタは動物の飾り物)
ストリートビューピンポイント
https://goo.gl/maps/cadjKg9qcwS2
本編カメラ位置 ピンポイント
エピローグ
私はロケ地に行くと過度に撮影に集中してしまうために
時々現地に三脚や一脚を置き忘れてしまう。
まあ、いつもは数メートルですぐに気づき、戻るのだが、
稀に気づかないで帰路についてしまうこともある。
そういうこともあって三脚も一脚もフリーマーケットなどで千円以下で調達した安手の物しか持ち歩かないのだが
今回はカット数が多いこともあり、かなり時間が押していて、
同行してくださった小手寅さん、ちびとらさんに迷惑をかけていた。
それで、焦っていたこともあり、
最後の最後三脚と一脚の両方を港の道の横に置いて来てしまった┐(´-`)┌
(一脚には小さなシールでフルネームと電話番号だけが書いてある。)
博多に戻り、新幹線に乗った後もそのことが少し気がかりではあったが
まあ、安くで手に入れていることもあって、諦めていた。
たとえ、誰かがその三脚と一脚を道の脇で見つけたとしても、
どこの誰か分からない人に通話履歴が残る電話などしてくれないのが普通である。
私も播州龍野に戻って三脚と一脚のことは半分もう忘れていたが
龍野に戻ってから2日目の夜に呼子の女性から電話がかかってきたのだ!
その女性が夜7時ごろ、日課でもある港のウオーキング中に道の脇に三脚と一脚が無造作に置いてあるのを見て
不思議に思い、なんと添付してあった電話番号に直接電話してくださったのだ!!。
私は早速自分の身分やなぜ呼子に行ったのかを話させていただいた。
その女性は「じゃあ、宅配便で送りましょうか」と、
親切にも龍野の展覧会場でもあるガレリアに箱に詰めて送ってくださったのだ。
もちろん私は着払いをお願いし、彼女も快くOKしてくださった。
そして、一昨日荷物が届き、電話でまずお礼を述べ、
昨日お礼状とともに
呼子の朝風景をあらためて彼女のために描き
すぐさま額に入れて宅配で送らせていただいた。
昨日私が彼女のために描いた呼子風景
呼子港で食べたイカの生け作りお刺身はここ数年の私の食事体験のトップだった。絶品!
次回のアップは今年7月に巡りました【三重県志摩のロケ地調査レポート】です。
12月下旬になります。