第42作 男はつらいよ ぼくの伯父さん
1989年12月27日 公開
(ちょっと長めのダイジェスト版)
新しい展開に隠されたシリーズの終焉
この第42作「ぼくの伯父さん」はじっくり観て行くとわかるのだが、渥美さんの体調があまりよくない。
それゆえか、主役が寅と満男の二本立てになっただけでなく、このシリーズ自体もこの作品で終わらせようと
いう意図が見え隠れしている。
特にラスト付近小城駅前の赤電話のシーンは、あきらかにこのシリーズの終焉を予感させるものであり、
大きなまとめに入っているな・・・、と確信もした。
それゆえ、最初にこの作品を劇場で観た時はひょっとしたらこれで最後なんじゃないか・・・と本気で心配したのを覚えている。
実際、もうこのころから渥美さんの動きはかなりゆるやかになり、登場シーンも少なくなっていく。
そしてこの第42作にいたってはマドンナはいるのかいないのかほとんど分からない状態だ。
あえていうなら泉ちゃんの叔母の寿子さん(檀ふみさん)なのだろう。確かに当時35歳の檀ふみさんは大人の魅力にあふれ、
第18作「純情詩集」の22歳のお嬢様とは比べ物にならないほどの色気だったが、あの役は普通の主婦で、別段別居しているわけでもないし、
夫が失踪しているわけでもない。だから寅は恋をしていないと、考えるほうが自然だろう。
それゆえに第42作は後藤久美子さんがマドンナだと一般的には言われているし、松竹さんもそう言っているが、それは違う。
渡世人である車寅次郎が報われぬと知りつつもつくし惚れぬく美しい女性が『マドンナ』なのである。
満男が普通に恋をしても寅とは関係はないし、そこに哀愁は生まれない。
だからと言って寿子さんというのは、設定的に無理があるとも思うが、まああえてこじつけるなら、
寿子さんとあの夫とはそんなにうまくいっているとは思えない。
どういう縁で夫婦になったのかは知らないが、寿子さんの感覚はあの夫じゃ満足できないのは目に見えている。
その淋しさが演出の端々に出てはいた。
寿子さん「わー・・・、私もそんな旅がしてみたかー・・・」この言葉が寿子さんが寅に託した想いなのだろう。
そう、彼女も寅同様、翼を広げて大空に羽ばたきたいのだ。
というわけで、この第42作は満男と泉ちゃんが前面に出た構成になっている。
なんと言ってもこの作品での後藤久美子さんは可憐で可愛い。
その後、第43作以降の彼女は徐々に大人の魅力をだそうとしたのか、第42作のような純な輝きはなくなっていく。
後藤久美子さんは結局第42作、43作、44作、45作、48作と、5作品に登場するが、この最初に登場した第42作が
もっとも美しく透明感があったと思う。心がパーッと開放されていた。
また、実際の顔自体も、当時はまだ間延びしておらず、小作りな少女の面影も残しているので、
目鼻立ちのバランスがとてもよかったことも好印象になった理由のひとつなのは間違いない。
それでは、満男と泉ちゃんの恋の始まりにお付き合いください。
本編はじまりますよ〜。
ただしダイジェストですからね〜〜〜。
■第42作「ぼくの伯父さん」全ロケ地解明
全国寅さんロケ地:作品別に整理
第42作「男はつらいよ ぼくの伯父さん」 ダイジェスト版
本編
松竹富士山
茨城県 大子町 水郡線 常陸太子駅付近を通過
水郡線(すいぐんせん)は、
茨城県水戸市の水戸駅から福島県郡山市の安積永盛駅までと、
茨城県那珂市の上菅谷駅で分岐して茨城県常陸太田市の常陸太田駅までを結ぶ
東日本旅客鉄道(JR東日本)の鉄道路線(地方交通線)
満男のナレーション
「伯父さんは生まれつき人に親切だ。
ただし、少々押し付けがましくて、おまけに気が短いから
その親切が仇になって大喧嘩になったりする」
列車の中の寅、老人に席を譲ろうとしない高校生にきつく注意
寅、高校生たちのそばに寄って、
寅「『おじいさん、どうぞお座りください』そうやって席を譲ってやることが
できねえのか!このでこぼこ野郎!」
高校生2人の髪の毛をつかんで席からひきずり出す。
高校生たちぶつぶつ。
実はこの二人の男子高校生は、
第41作「心の旅路」ラストで寅に
オーストラリアはカンガルーの国と言っていたあの二人。
寅、上機嫌で
寅「さあ、おじいさん席が空いたよ。さ、どうぞ」
しかし、イッセー尾形さん演じるおじいさんはぜんぜん座ろうとしない。
おじいさん「おら、爺さんと呼ばれるほどの年寄りでねえ!!
百姓で鍛えたこの体だ!」
寅は、そのじさんをなだめて、謝って何とか座らせようとするが
おじいさんは一向に聞く耳を持たない。
おじいさん「大きなお世話だ!この!でしゃばりめ!」
寅、プッツン切れて
寅「人が親切にしてるんじゃねえか!座れって言ったら座れよ!」
と、おじいさんを無理やり席にほり込む。
満男のナレーション
「いつも世話ばかり焼いていて、世間では変人扱いされている伯父さんだが、
僕は近頃なぜか、この人に魅力を感じるんだ」
寅とおじいさんお互い突き飛ばしあい、取っ組み合いの大喧嘩になる。
寅、倒されて
寅「やったな!このくそじじい!」
おじいさん「糞をたれないじじいがいるか!連れて来い!」
おおもめ(^^;)
高校生たち止めに入る。
高校生A「やめろよ、いい歳こいて〜!」
高校生B「みんなの迷惑じゃんかよ〜!」
車内は大騒ぎ。
寅「よおし!!表へ出ろ!!」
踏み切りを通過する列車が映って
満男のナレーション
「今頃、どこで、なにをしてるんだろう・・・・ぼくの伯父さんは・・・」
袋田駅に列車が着く
タイトル イン 「男はつらいよ ぼくの伯父さん」
ホームに下りても喧嘩している寅とおじいさん。
車体に大きく「JR」の文字。
高校生も一緒に降りて止めに入っている。
じん弘さん演じる袋田駅の駅長さんが飛んできて
なんとか仲裁に入り、
最後は駅長室で、仲直りの手打ち(三三七拍子)
次にきた列車で機嫌よく乗り込んでいく寅たち。
手動式 ドア
列車が去っていって、疲れたな〜 って顔の駅長さん(〜〜;)
葛飾 柴又 (東金町)
葛飾区東金町6丁目 葛西神社裏交差点近く。
前作の第41作からさくらの家の場所はここ。
これは一番目の家が総武線の高架計画にひかかってしまったので
ロケ地を引っ越した結果、なんと北にある常磐線を越えてしまったのだ。
おまけに台所のあり方が見ての通り左右逆。
でも、大船セットでもきちんと台所は逆にしていたのは偉い。(あたりまえか^^;)
で、ここに落ち着くかと思いきや…、数年で隣の空き地で建築工事が始まって、
またもやロケ地探しの旅に(TT)
五十嵐啓司さんはじめロケハンの方々本当にご苦労様です。
ストリートビューで見てみると現在はこのようになっている↓
二番目のさくらの家は2012年現在も一応まだ健在。隣に家が建っている。
眠い目で満男が台所へ下りて来る。
挨拶もしない満男に対して博はムス。
さくら「おはよ」
満男返事しない。
さくら「朝、顔合わせたらうちの決まりだったでしょ。
いつから満男はしなくなったのかしら?」
満男、それには答えずバイクのガソリン代をせびる満男。
朝ごはんもほとんど食べないで、ちょっと口をつけただけで出て行く満男。
この作品からかなり満男の性格がふてぶてしくなってきた。
満男はどうやら遠くに旅行に行きたいようだ(女の子がらみ^^;)
玄関の上がり口で
満男「母さん、父さんに話してくれた?旅行のこと」
さくら「自分で話したらいいでしょ。
私は、あなたの通訳じゃないんですからね」
満男ヘルメットかぶりながら
満男「オレが言ったら反対するに決まってんだろ〜。やんなっちゃうな〜」
玄関でカバーをはずし、ホンダVT250SPADAにまたがって、大学へ出発する満男。
博は絶対旅行はだめだとさくらに言う。
玄関を出てママチャリを外に出す博。
さくら、玄関出でて
さくら「博さん」
博「ん?」
さくら「あの子・・・、恋をしてるんじゃないかしら」
母親の勘は鋭い・・・
博「ん・・・そら、年頃だから好きな子の一人や二人はいるだろうけど・・・」
さくら「ねえ、父親として、相談に乗ってやってよ」さくら・・それは無理でしょ・・ ヾ((^^;)
博「ふ・・・そんなこと、親父にいちいち話すわけないじゃないか」
と呆れながら自転車をこぎ始める。
博「あ〜あ、息子はバイクで親父は自転車か」(^^;)
2階の満男の部屋を掃除しているさくら。
泉ちゃんからのはがきを手にする。
代々木の予備校
「おんぽう」という言葉の意味を説明する予備校教師
「古い綿の入ったどてら」だそーだ。
《「おんぼう」》
綿入れ。どてら。ぬのこ。また転じて、粗末な着物。わんぼう。
「破れたる―を着て母に逢ひ」〈柳多留一〇〉
そんなんまず入試には出ないけどね ヾ(^^;)
っというわけでもなく、
ただ泉ちゃんのことを思い浮かべながらボーーっとしている満男。
黒板のチョークの音がブラバンのドラムの音に替わっていく。
葛飾高校のブラバン練習の回想シーン
スーザ作曲 『士官候補生』 High School Cadets
ロケ地は「東京都立葛飾野高校」グラウンド
満男は最後尾で巨大なスーザフォンを演奏している。
スローで泉のテーマ流れる。
振り返り心配しながらも笑っている泉ちゃん。
スーザフォン
アメリカの作曲家ジョン・フィリップ・スーザによって考案された、
大型のバルブ式低音金管楽器である。立奏を前提として設計されており、
演奏者を中心として管は大きく円形に巻かれ、
大きく開いた朝顔(ベル)は演奏者の後方から立ち上がりほぼ前方または
上方を向く。袈裟懸け状に一方の肩に乗せて、
チューバ奏者によって演奏される。
隊列の後方から放たれる重低音とともに、
巨大な姿による圧倒的な存在感を観衆に示す。
満男の高校のロケ地とすみれちゃんの高校のロケ地 とその周辺ロケ地
ロケ地である「葛飾野高校」は、私の家から自転車で30分の場所。
夕方
柴又 帝釈天参道
おっと満男!逆走! 道路交通法違反
参道は帝釈天側からしか入れません。
まあ、でも、ここ実は「私道」だから黙認かな^^;
備後屋も
「狭い参道こんなもんで走るな!こら!」って怒っていた。
さくらの家 台所
で、さくらがとらやにいないので、
そのまま自宅に帰った満男
ちょうど及川泉ちゃんから手紙が届いていた。
手紙の送り人のことでさくらにかみつく満男。
とにかく、神経症的にプライバシーを確保したがっている満男だった。
まあとにかくこの第42作以降は
さくらも博もよくある並みのお母さんお父さんになっているし、
満男もこの作品から急に著しく反抗し始めるのだ。
ついに口げんかし始める。
さくら「満男、あんたが浪人してるから、
私やお父さんがどんなに気を遣ってるかわからないの!?」
満男「気なんか遣わなくていいよー」
さくら「じゃあどーすればいいの!?口きかなければいいの!?」子供の喧嘩だよさくら ヾ(^^;)
満男「自由にさせてくれりゃあいいんだよ!」
さくら「させてるじゃないの!」
満男「させてなんかいないよ!俺は監視されてんだからな!朝から晩まで!」
さくら「まあ〜〜〜〜!!呆れた!!」
満男「オレの自由なんかネコの額ほどだよ!」
さくら「なんてこと言うのよ!!」
ちょうど博が外から帰ってきて
博「いいかげんにしろよ、表まで聞こえてるぞ!」
で、いっろいろ喧嘩して
さくら「あんたがそういう態度なら
もうご飯なんか作ってあげないからね!あー腹が立つ!」
この発言、さくらなんだか可愛い〜♪(^^)
満男は二階の部屋で泉ちゃんからの手紙を開ける。
〒 454 名古屋市 中川区 大橋 2−17−3−203
泉のテーマが流れる。
先輩手紙ありがとう。
心配してくれてとってもうれしかった。
新しい学校にはだいぶ慣れたけど
なかなか友達はできません。
ママがスナックの仕事を始めたので
家に帰ってもすれ違いの生活です。
先輩のように両親と一緒に晩ご飯を食べることなんか
もう無いのかと思うとちょっぴり寂しいです。
またまた根暗な手紙になってすみません。
この次は明るいレターを書きます。
おやすみなさい…(ハートマーク)
泉より
実際のスクリーン上の手紙には
先輩でなく「満男さん」と書いてある。
また、下記のようなことも書いてある。↓
『東京の家は誰かに貸してしまったので、
もう見つからないと思います。
お気に入りの傘だったのですが仕方ありませんね』
このシーンでも高校時代の泉ちゃんの
いくつかの短いショットが映し出される。
ふらふら揺れている満男の体を支えてあげる泉ちゃん。
葛飾高校 昼休みの屋上
泉ちゃんのことを遠くから見ている満男。
泉ちゃんの笑顔 回想
手紙を読んでちょっと複雑な気持ちの満男。
泉ちゃんのつらさをわかろうとしている満男だった。
翌昼
柴又 江戸川 矢切の渡し
寅の登場
寅が渡し舟に乗って柴又にたどり着く。
どこから来たんでしょうか^^;
源ちゃんがそこにて、寅に気づく
源ちゃん「兄貴〜〜〜!!」
今回は矢切の渡しから柴又へやって来る寅だった。
たまたま、減ちゃんが向こう岸にいて叫ぶ
源ちゃん「兄貴〜〜!!兄貴〜〜!!おかえりなさい」
と、なついて走り寄ってくる。
一方 とらや では
柴又 とらや 台所
さくらが寅の顔を見たいなあ・・・と思っている。
満男のことがあって寅に相談したいのだ。
そんなところへ ちょうど寅が帰ってきて
みんな顔がほころぶ。
さくら「お兄ちゃん おかえり」
寅「いつ帰ってきても、変わらないのはこの店だけだ」
そういえば、寅が柴又へ帰ってきてさくらが柴又にいなかったことは
一度もなかった。ぜったいさくらは柴又にいるのだ。
このさくらの定住率、安定感は奇跡だ。
これほど寅にとって嬉しいことがあるだろうか。
寅は満男が受験生だと覚えていて「頭がよくなるお土産」を買っていた。
ラーメンでも作ってあげると言ったおばちゃんに対して寅は、
寅「おばちゃ〜ん、
オレは久しぶりに帰ってきたんだぜ。
このうちでしか食えねえものを作ってくれよ。
たとえば、
一塩のシャケ。
パリッとした浅草海苔、
秋茄子の煮たの、
しらすの大根おろし」
おばちゃん「わかったわかった、なんか作ってあげるよ」おばちゃん優しいね〜・・・
寅「頼むよ」
と二階へ休憩しに上がっていく。
夕方 参道
源ちゃんが6時の鐘を撞いている。
源ちゃんが上から「備後屋〜寅かえって来たで」
備後屋「あーいやだいやだ」
博とさくらはどうやら寅に満男の悩み事を聞いてもらうことにしたようだ。
ものすごい危険なアイデア・・・((((^^;
満男が帰ってきて、ひさしぶりに寅とご対面。
反抗期の満男も、寅にはなぜか一目置いているから不思議だ。
さくら「伯父さん帰って来たのよ」
満男顔が明るくなってとらやに入ってくる。
さくら、台所の寅に向かって
さくら「お兄ちゃん、満男よ」
寅、暖簾をかきわけて
寅「よ、満男、フフ」
満男「おかえんなさい」
博が満男の問題点を伝え、寅は博も昔はそうだったと指摘。
道を踏み外しそうになっていたのをさくらの愛に救われた。
そして満男はその二人の愛の結晶だ。
で、寅は
寅「おい、結晶、じゃ、行くか!」と道へ出る。
満男「どこに?」
さくら「伯父さんがごちそうしてくれるんだって」
満男素直についていく。
おいちゃんとおばちゃんは寅をまったく信用していないので
そのあとで博とさくらを批判する。
おばちゃん曰く「寅ちゃんはね、普通じゃないんだよ、悪いけど」
博とさくらも、我に帰ってなんだか心配になってくるのだった。
浅草 どぜう 屋
どぜう鍋:
寅さんが満男に、酒の飲み方を伝授するのが、浅草のどぜう屋。
名物「
どぜう鍋」は泥鰌を丸のママ、鉄の小鍋で煮て、甘辛い割り下を入れて、ネギをのせ、
薬味を入れて食べる。
「どぜう」と表記するのは、「どじょう」の四文字では縁起が悪いので
このお店の初代の店主さんが3文字にしたそうだ。
寅「さ、満男、おまえも一人前だ。ま、一杯いこう」
しかしお猪口で一気飲みしてむせてしまっている満男を見て
呆れる寅
寅「なんだおまえ、酒の飲み方から教えなきゃならねえのか・・・」
満男「ど、どうやって飲むの?」
寅「いいか、まず片手で杯を持つ。酒のにおいをかぐ。
な。酒のにおいが鼻の芯にずーっと染み通ったころ、
おもむろに一口・・・(と言って少しだけ飲む)」
寅「さあ、お酒が入って行きますよ、ということを五臓六腑に知らせてやる」
満男、うなずいている。
寅「な。そこで、ここに出ているつきだし、これを舌の上にちょこっと乗せる」
寅実演^^;
寅「これで、酒の味がぐんとよくなるんだ」
うなずく満男。
寅「それから、ちびりちびり・・・だんだん酒の宵が体に沁み通って来る」
名物、ねぎのおかわりを持ってきた「こずえ」ちゃんにお愛想をふりまく寅。
寅「お姉ちゃん、綺麗だね」
大いに照れる戸川純さん演じるこずえちゃん
妹の戸川京子さんは23作と29作に出演。
特に23作のほうでは小柳邦男の妹の京子ちゃんという大事な役を演じた。
寅、満男に
寅「こう言ってな、お世辞を言っておくとあとでサービスがよくなる」せこ^^;
実際の値段は
■どぜう 1,500円 通称“まる”
一方 とらやでは・・・
柴又 とらや 茶の間
夕食中
社長がやってきて、寅と満男が飲みに行っていることをさくらから聞いて
社長は驚く。
社長「寅さんが・・・?いいのかい、そんなことして・・・。
満男君不良になっちゃうよ」
それを言われるまでもなく、みんなすでに激しく後悔している。
寅の満男へのお土産を見て社長は
社長「これなあに?」
さくら「お兄ちゃんからのお土産」
社長、箱開けて
社長「あ!わかった、これこうするんだよ」と額に巻いて
社長「これエジソンバンド!
これね、中学の時買ったこと覚えてるの。
今でも売ってるんだ〜、フフフ・・・。
バカバカしくていいや〜、フフフ、寅さんらしくてなあ〜フフフ
頭が良くなるか。。フフフ」
みんな無言で不機嫌そうにご飯を食べている。(^^;)
浅草 どぜう屋
ある程度食事が終わって
おもむろに満男の悩みを聞く寅
どうやら、何かを買ってほしいわけではなさそうだ。
流行歌手^^;になりたいわけでもなさそうだ。
寅、ピンと来て!
寅「あれ〜〜・・・」
満男ドキッとして
満男「な、なに・・・」(たじたじ)
寅「おまえ、まさか〜・・・」
満男「そ、そんなんじゃないよ〜・・・」
寅「は、赤くなりやがった・・・こいつ〜・・・」
満男「・・・」
寅「誰だ、近所の娘か?それとも高校の同級生か」
満男「違うよ、下級生だよ、・・あ」 正直^^;
ということで満男は泉ちゃんのことをしゃべるはめになる。
泉ちゃんの離婚のこと、
そのあと母親と名古屋に引っ越してしまったことなどを告げる。
6月の終わりごろ、泉ちゃんから突然「あの葛飾高校のころが懐かしい・・・」という
内容の手紙が来たあとは、勉強が手につかなくなってしまって
寝てもさめても彼女のことばかり・・・
満男「じっとしているとだんだん胸が痛くなって、吐き気がしたりして・・・
オレはバカじゃないかな・・・自分が情けなくて・・・」
寅「恋をしてるのかおまえは…はあー・・・」と深い感慨が寅に押し寄せてくる。
寅「このまえまで、飴玉一つやりゃ、
喜んで飛んでくるガキだとおもっていたのに
はあー・・・恋をする年になったか・・・」
満男「違うよ伯父さん、オレのは恋なんかじゃないよ〜」
寅「ほう、どう違うんだ」
満男「だって、恋って言うのは美しい人を美しく思う気持ちのことだろう」
寅深くうなずいて
寅「そのとおり」
満男「でも、オレのはちっとも美しくなんかないよ。不潔なんだよ」
泉のテーマがしっとりと流れる。
満男「だってオレ、あの子の唇とか、胸とか・・・
そんなことばっかり考えてんだよ。
オレに女の人を愛する資格なんかないよ・・・」
ちょっと涙ぐんでしまう満男。
寅「おまえは正直だな」と、深くうなずく。
寅「えらい!さすが、博の息子だ」
満男「オレのどこが偉いんだよ。調子のいいこと言うなよ」
寅「まあ聞け」
寅「オレはな、学問っていうものがないから、うまいこと言えねえけれども、
博がいつかオレにこう言ってくれたぞ」
寅「自分を醜いと知った人間は決してもう醜くねえって。な。
考えてみろ、田舎から出てきてタコの経営する印刷工場で働いていた
おまえの親父が、
3年間、じーっとさくらに恋をして、何を悩んでいたか、
今のお前と変わらないと思うぞ。
そんな親父をおまえ、不潔だと思うか」
満男「やっぱり伯父さんは苦労してんだなあ・・・」
寅、微笑んで
寅「すこーし、気持ち楽になっただろ」
満男も微笑んで
満男「おかげさまで」
寅「うん、それじゃあ、伯父さんの色懺悔を少し聞かせますか?」
満男、興味津々で
満男「お願いします」
で、寅はこずえちゃんにお酒をまとめて2,3本持ってこさせるのだった。
このあと二人はべろんべろんになってとらやに帰ってくる。
で・・・・深夜
柴又 とらや 店
個人タクシー 武政タクシー が店の前でとまる。
こずえちゃんが寅と満男を連れてタクシーで一緒にやってきた。
要するにこれだけ飲み食いしてお金持ってないという凄いヤツなのだ。
こずえちゃんがお勘定を請求。
さくらは恐縮しながら1万円札を出し、おつりは結構ですからと言う。
こずえちゃんが帰った後
怒った博は満男を殴る。
ここから大喧嘩してしまう。
止めに入るさくら。
寅「満男はちゃーんと育ってるぞお!
もしかしたらオレよりましかもしれない」それって褒めてないぞヾ(^^;)
博「そーですかー!兄さんよりましですかー!たいしたもんですねー!」棒読み(^^;)
そんな身もふたもないヾ((((^^;)
で、まあとにかく寅はそれからもおいちゃんやおばちゃんに散々言われて
それでも意地でみんなと喧嘩して、
ぐだぐだといきまいて二階へ上がって寝てしまうのだった。
さくらは、ちょっと涙ぐんでしまう。
翌日 雨
さくらの家
さくらが電話している。
どうやら寅は昨夜のことがきっかけで出ていったらしい。
さくら「そう・・・、なんだかそんな気がしてね、電話してみたの・・」
満男は寅からもらったエジソンバンドをしながら二日酔いで苦しんでいる。
さくら、満男の部屋に行って寅が出て行ったことを告げる。
さくら「何話したの?伯父さんと・・・」窓の外の雨を見るさくら。
江戸川土手
江戸川土手で上智大学のチアリーダーたちが練習しているのを満男と源ちゃんが見ている。
なぜこんなところで練習を^^;?
満男が付けているエジソンバンドをはめたがる源ちゃん。
源ちゃんはめて
源ちゃん「あ、効いてきた」 おいおいおいヾ(^^;)
ぼんやり考え事をしている満男
さくらの家 夜
スコッティのトイレットペーパー
満男は深夜になってもまだ帰ってこない。
さくらはバイとして名古屋に行こうとしていることに気づいている。
来年も落ちたらどうしょうと心配している。
博は満男と以前バイク買った時に
取っ組み合いになった時に手加減されて
それ以来自信喪失している。
そんなことを話しているうちに「あら!まさか」と・・・
動物的勘でさくらが二階に駆け上がる。
案の定満男の部屋に行ってみると
満男はなんと書置きを残して・・・
驚くさくら
さくらの声「博さん大変!満男あの子出ていっちゃった!!」
博が部屋に上がっていくと
書置きが部屋に貼ってある。
『 旅に出ます。親不考(孝)をおゆるし下さい。 御両親様』
翻訳します。『旅に出ます→女の子に会いに行きます』
さくら「どうしょう・・・」
博「バカ!親不孝の孝の字が間違ってる」
博、置手紙をビリビリにやぶって
博「諦めたほうがいいんだ!大学なんか!」
で、まあ、泉ちゃんの住む名古屋に向けて一路
バイクで旅をする満男
夕暮れの浜辺でたたずむ。
泉のテーマが流れる。
翌日 帝釈天参道
さくらが沈んだ顔で歩いている。
源ちゃんが満男から1000円で買ったエジソンバンドをさくらに自慢(^^;)
寅からのプレゼント金で売るなよな満男 ーー;
博は工場で機嫌が悪く、何度呼んでも返事しないのでゆかりちゃんも扱いに困っている。
博とさくらは気晴らしにすし屋(菊寿司)に昼ごはんを食べに行く。
一方 満男は名古屋に着く。
名古屋のマンション
留守なので泉ちゃんの母親のスナックへ行く。
どうやら泉ちゃんは母親とも離れて暮らしているようだ。
ご近所さん役でお馴染み田中世津子さん↓。出ました^^
母親のスナック 「スナック礼」
スナックというよりはクラブだね。
スナックへ入って母親に挨拶。
なかなかカッコいいお母さん。渋い。 夏木マリさん美しい。
泉ちゃんの居所を聞く
どうやら、泉ちゃんは母親と喧嘩して佐賀県の叔母さんの家に行ってしまったようだ。
母親「きっと・・・私と暮らすのが嫌なんでしょう」
母親から佐賀の住所を聞き出して、佐賀まで行くことを決意。
ツーリングの最中
BGMで徳永英明 / Myself〜風になりたい〜が流れる。
この後の作品でも徳永さんの曲が採用され続ける。
42作「MYSELF 風になりたい」
43作「JUSTICE」
44作「どうしようもないくらい」
45作「夢を信じて」「最後の言い訳」
46作「最後の言い訳」
48作「君と僕の声で」
佐賀県
三瀬峠/国道263号線富士町よりの第11カーブで
満男はトラックをよけようとして
転倒事故を起こしてしまう。
スタントマンさんごくろうさまです。
そこへスーパーバイクにさっそうと乗って近寄ってきたのがホモライダーの笹野高史さん。
「ホンダ・ゴールドウイング」1500cc!1500だよ1500!
レストラン 「モクモクハウス」。
有料道路の 佐賀県 三瀬トンネル入り口手前
傷の手当をしてもらい、カレーをおごってもらう満男だった。
そしてバイク屋でチェックもしてもらう。
すっかりライダーを信用している満男
夜 ホテル ツインルーム
満男は疲れて寝てしまっている。
バスルームでシャワーを浴びているホモライダー
口紅が洗面台に落ちて赤い色が付く。
変に凝っているなあ・・・山田監督渾身の演出。
【追記事項】
2023年4月下旬に信州上田の「上田映劇」でもう今や恒例になっている『ココトラさん』主催の
寅さん映画をみんなで鑑賞する集まりがあり、その時は第44作「寅次郎の告白」が上映された。
名古屋に住む私の友人も遠路上田まで行ってその映画上映に参加したのだが、
その時のゲストが三平ちゃんこと北山雅康さんだった。
その後の歓迎会の際、北山さんはこのシリーズでの北山さん出演の時の貴重な秘話を披露して下さったそうだ。
で、実は、この第42作で笹野さんのホモライダーが化粧するこのえげつないシーンは
笹野さんよりも若くて腕が柔らかそうな北山さんにあえて演技してもらったのだった!!。
なので・・・三平ちゃんの腕だった!↓↓
ホモライダー甘〜いため息。((((((^^;)ぞわわわ
バスタオルを脱ぎ捨て
満男のベッドにスッと入り込むホモライダー笹野(((((((((((^^;)
ホモライダー「満男さん・・・ね、満男さん・・・」
口紅を塗ったホモライダー笹野のドアップ!
キスを迫るホモライダー笹野
( ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∇ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄;;;) みつお・・・
唇まであと数センチ!!
笹野さん渾身の演技(T ▽ T)
目を覚ます満男
男「うわわわわわ!!!!」と転げまわる。
ホモライダー「満男さん、初めてなの?違うでしょ」
満男「やめてよおじさん!やめて!!」そらそーだ((^^;)
ホモライダー「大丈夫よ、大丈夫、ね、満男さん、」なにも大丈夫ではない((^^;)
満男は服を握り締めてドアのほうへ走る。
ホモライダー「みっちゃん、お金あげるから!」みっちゃんって(((^^;)
リュックと服を持ってドアを開け
走って逃げて廊下を転げまわる満男。
ホモライダー、ドアを開けて満男の忘れた靴を廊下に放り投げ
ホモライダー「持ってけ!バカヤロ!」おっさんの声に戻る笹野さん。
あの悪夢を振り払うようにブルブル体を動かしながらひたすら
バイクで深夜のバイパスを逃げていく満男。
満男「あ〜気持ち悪い!ああ!もう気持ち悪い〜〜〜!!!!!」
笹野さん、このおとろしいシーン・・・
リハーサル何度やったんだろうか(((((^^;)
なぜか佐賀県三瀬峠から
いったん関門海峡の下関まであえてもどる満男。
関門橋を渡る満男。
これは世界七不思議のひとつになりそう・・・
どうした満男。なぜこんな逆戻りを!?
ま・・・縁起を担いで九州入り口からやりなおしたんだろう。
イタリアの海運会社 ロイド・トリエスティーノ(Lloyd Triestino)の貨物コンテナ船が海峡を通っている。
2006年より、イタリア・マリッティマ (Italia Marittima S.p.a)へ改称。
佐賀県 佐賀市 松原 佐嘉神社
浮立(ふりゅう)の 天衝舞(てんつくみゃあ)が披露されている。
浮立(ふりゅう)とは、
豊年感謝の意を表して毎年秋に奉納される神事芸能で、佐賀県内各地に伝わっている。
その語源は、平安時代の娯楽「風流」といわれ、鉦(かね)や太鼓のリズムにあわせて踊る。
佐賀県内には様々な浮立があるが、特に全国的に有名な浮立が県の南西部を中心に
伝わる面浮立(めんぶりゅう)。
面浮立とは一種の仮面踊りで、般若面に似た面長の鬼面を被ったかけうち(踊り手)が激しく、
そして勇壮に舞う。
日月を形どり雲龍を描いたテンツキと呼ばれる大きな前立を顔につけ、
鉦や太鼓に合わせて踊る浮立を天衝舞(てんつくみゃあ)浮立と呼ぶ。
神社前の歩道の露天で、寅がスカーフ、手袋をバイする。
寅「おい、キュウシュウ」
緑の鬼の面をかぶった寅がキュウシュウを呼び止める。
寅「おまえといつもつるんでいる兄弟分の・・・あいつなんてったっけ?」
ポンシュウ「ほら、目玉のぎょろっとしたおもしれえ男よ」
キュウシュウ「あ〜、目玉のヤスか・・・この夏死んだ」
ポンシュウ「死んだ?あいつ酒もタバコもやらなかったろ」
キュウシュウ「そぎゃんこと、関係なかとよ。人間死ぬときは死ぬとよ。じゃあな」
寅はポンシュウに
寅「ほらみろ、酒なんかやめたってだめなんだよ、死ぬ時は死んじゃうんだから」
と、二人して酒を飲み始める。
なんと彼らの後ろの道を満男のバイクがゆっくり通っていく。
渥美さんの付き人の篠原さんもテキヤ役で映る。
うまかラーメン
満男は佐賀市内から国道34号線を走る。
満男は国道207号線から嘉瀬川の土手
に出て、国道34号とクロスする地点まで土手の道を北へと走っている。
ランキング方式のバルーン大会「SAGAバルーンチャレンジシリーズ」の練習?が
ここは嘉瀬川河川敷にて行われている。
アジア最大級を誇る熱気球国際的なフェスティバル
(佐賀インターナショナルバルーンフェスタ競技大会)の場所。
三日月町
山王神社前を左に行った先に、泉が住む母親礼子の妹寿子の家がある。
鳥居のところで道を聞く満男。
奥村邸に着く。
小城市三日月町堀江
ロケ地は 千代雀酒造の古川家
奥村の表札を観る。
「及川泉」も表札に入っている。
うろうろしている満男。
門のところからおそるおそる「ごめんください」と呼びかけるが人は出てこない。
ちょうどその時学校から帰ってくる泉ちゃん。
友人A「数学のノート貸してくれ〜、泉ちゃんに見せたかけん」
友人B「うんよかよ、なら、後でもって来る」
泉ちゃん「あ、私取りにいくから」
友人B「それじゃ」
みんなで「バイバイ〜〜」と手を振っている。
その姿を眺めている満男。
気づく泉ちゃん。
手を振る満男。
満男を遠くから見つけて、一目散に駆けてくる泉ちゃん。
泉ちゃん「どうして?おととい手紙出したんだけれども、
それ見てきたんじゃないでしょう。
どうしてここがわかったんですか?」
と驚きながらも喜びを隠せないでいる泉ちゃんだった。
満男「名古屋に行ったりして・・・」
泉ちゃん「じゃあ、お母さんに会ってここにいること聞いたの?」
頷く満男。
泉ちゃん「それでこのバイクで?」
満男「さみしいって手紙に書いてあったろ。
だから、心配になって・・・飛ばしてきたわけ」
泉ちゃん、ぐぐぐと感動して
泉ちゃん「うわー、信じられない、フフフ」
満男「途中で転倒したりして」
泉ちゃん「え?ほんとに?」
満男「親切なおじさんに助けてもらったと思ったら
ホモだったりして・・・」
泉ちゃん「え??」
満男「なんでもない」
夕暮れ時
嘉瀬川の土手に座って話をする二人。
泉のテーマが流れる。
このシーン、泉ちゃんがとてもかわいい(^^)
このカットはシリーズで一番の美しさ。
二人しばらく黙っている。
満男、立ち上がり
満男「もう、帰らないと・・・叔母さん心配してるよ」
二人して土手を歩く。
満男は泉ちゃんに約束のソングブックを渡す満男。
「うわー!!どうもありがとう!!」と、めちゃ喜ぶ泉ちゃん。
そして、その日は市街の宿へ。
頼もしく思い、満男を見送る泉ちゃん。
ヘルメットの後ろに目(シール)がついている^^
ゑびす旅館 佐賀市水ヶ江1-6
TEL 2600
佐賀市水ヶ江1-6
電柱に「御厨(みくりや)医院」
焼き鳥 「武蔵」
満男は相部屋はいやがるが、満室なので仕方なく相部屋を承知する。
なんと寅が足の爪を切っている。
お互い相手がわかっていない。
寅、満男に気づかないで
寅「兄ちゃんは学生さんかい?」
満男「いいえ、浪人です」
寅「おー、浪人か。オレの甥っ子も浪人でね、
こいつがまあ、どうしょうもない」
目が合う二人。
満男を見る寅
寅を見る満男。
お互い目を見張って
寅「満男・・・」
満男「伯父さん!」
満男はなんだか嬉しそうだった。
寅から電話で連絡を受けるさくら。
さくらが安心して泣いてしまい、満男もつられて泣いてしまう。
なんだかんだ言っても満男はまだ子供なんだね。
翌朝、満男は泉ちゃんに会いに来たことを後悔し始めるのだった。
自分の行動はあつかましいので泉ちゃんに迷惑をかけているというのだ。
寅「おまえ、本当にあの娘が好きだったらな、
そんなこと気にするな」
寅「そのおまえ気持ちは伯父さんもよーくわかるけどな、
実は・・・女はそんなふうには思わない」
そして小野小町と深草の少将の恋の話を聞かせる。
百日百夜通い続けて 恋の歌を書いて郵便受けにポトリ。
最後の百日目にようやく小野小町の心をつかんだ。という話。
柴又 題経寺 御前様の庭先
満男の一連の騒動は、
彼が親離れをする準備をしていることだと話す御前様。
そしてそのことは満男だけでなく、
実は、むしろさくらたちが子離れをする準備の時期なのだと諭す御前様。
御前様「満男君はしっかりしてるから、心配なんかいらん」
さくら「兄も一緒ですしね」
御前様「なに、寅が一緒に!そ〜うなると話は別だ・・・・・」
だそうです(((^^;)
さて、佐賀の泉ちゃんの住む叔母さんの家に向かった寅と満男。
奥村邸 門
満男と寅は泉ちゃんの住む家を訪問。
家が大きくて心細いので満男は寅に付き添いを無理やり頼んだのだった。
寅「ごめんください」
満男「こんにちは」
何度言っても誰も出てこない。
ガラッと戸が開いて
いきなり髭を生やした眼光鋭いおじいさんが出てきて
おじいさん「あんたたちどっからカンタ」
寅ビビッて
寅「あ、・・・東京からカンタ・・・」
おじいさん「ん〜〜、東京からきんさったカンタ〜!」
おじいさん「あんたもやっぱり歴史に興味あんさっとですか?」
寅、???一応話をあわせて
寅「はい、え・・・、いささか」でまかせ((^^;)
と、無理やり上がらされて、
幕末佐賀藩の歴史、有田焼、古伊万里の歴史、葉隠れの歴史
などを説かれる寅。
鍋島閑叟(かんそう)公
鍋島 直正(なべしま なおまさ)は、
江戸時代末期の大名。第10代肥前国佐賀藩主。
9代藩主・鍋島斉直の十七男。母は池田治道の娘。
正室は徳川家斉の十八女・盛姫(孝盛院)、
明治維新以前の名乗りは斉正(なりまさ)。号は閑叟(かんそう)。
天保元年(1830)佐賀藩の10代目藩主となり、
藩財政改革をはじめ諸改革に取り組む。
大銃製造方を置き、嘉永5年(1852)には洋式鉄製大砲を
日本ではじめて製造するなど、軍備の強化に務めた。
公武合体も斡旋。維新後は議定職、開拓使初代長官を歴任した
凌風丸(りょうふうまる)は、幕末に佐賀藩が建造した蒸気船。
日本で建造された最初の実用蒸気船である。
泉ちゃんと寿子(ひさこ)さんが帰ってきて、
お客さんが来ていることに気づく。
ちょうど有田焼とオランダのマイセンとの関係をしゃべっているおじいさん。
寅は壷から手が抜けなくなって困っている((〜〜;)
日本で初めて磁器が出来たのは1616年。
有田の泉山で原料となる鉱石が発見され、
朝鮮人の陶工“李三平”により創られたと言われている。
有田焼は"伊万里港"から日本全国へ出荷されたため、 [伊万里焼]とも呼ばれるようになりました。
オランダ東インド会社(VOC)の帆船で、初めてヨーロッパへ輸出されたのは1959年。
江戸時代の鎖国政策時に、唯一世界に向けて開港していた長崎県の"出島"に近かった有田は、
世界的な磁器の産地として瞬く間に発展していった。
日本国内だけでなく、海外の王侯貴族を深く魅了した有田焼は、
後にマイセンなどの名窯を生む礎ともなった。
有田焼の種類
たくさんの種類がある有田焼だが、製造時期や様式などにより
[初期伊万里]・[古九谷様式]・[柿右衛門様式]・[金襴手(きんらんで)]などに分別される。
泉ちゃんが顔を出したので満男はどぎまぎ。
寅は目で満男に泉ちゃん来たからあっち行っていいよ光線を出す。
一方
『葉隠れ』の話になるとますます熱が入るおじいさん(^^;)
葉隠れ
山本常朝作 全11巻 1716年ごろ
「朝毎に懈怠なく死して置くべし(聞書第11)」とするなど、
常に己の生死にかかわらず、正しい決断をせよと説いた。
「武士道と云ふは死ぬ事と見付けたり」「恋の至極は忍恋と見立て候」などの文言は有名。
しかし、山本常朝は「非常の武士道」だけではなく、
むしろ「平常の奉公道」を伝えたかったという読み方が自然だと言われている。
鍋島藩祖である鍋島直茂(かつしげ)を武士の理想像として提示しているとされている。
寿子さんともご対面
寅「甥の満男がお世話になっています。
伯父の車寅次郎と申します」
寿子さん「泉の叔母の寿子です。
どうも留守して失礼いたしました」
で、その夜はこの家に泊まることに。
寅は調子に乗って小野小町と深草の少将の恋の話を満男にさせたりして
満男は寅の言葉通り
郵便受けにポトリなどと言ってしまって、泉ちゃんも寿子さんも大笑い。
楽しい時間が過ぎていく。
ところが、寿子さんの夫が帰ってくるなり、空気はよどむ。
夫はあきらかに寅たちを歓迎していない。
寅曰く
寅「肌あわねえな〜〜〜」だそうです。
夫はどうやら自分の父親が勝手に他人を泊まらせる癖があるので
辟易しているようだ。
人間的にも杓子定規で考えが硬い。
客間 夜
満男は電気を消してからも泉ちゃんのことが頭から離れなくて
なかなか寝付かれない。
満男「ねえ伯父さん今なに考えてるの?」
寅「お前とおんなじことだよ」
満男「うっそだ・・・あ、・・」
と恥ずかしがり布団をかぶる。
このギャグは遠くは第6作「純情編」での寅とおいちゃん、
そして第28作「紙風船」での寅と愛子のやり取りから来ている。
まったく同じギャグ。
早朝 裏の川でたたずんでいる寅
この川辺の場所。ロケ地不明(知っている方はお知らせください)
2012年6月中旬に判明しました!
佐賀県 佐賀県佐賀県杵島郡白石町堤 深川邸 裏庭ロケ
詳しい事は私のコラム
2012年6月22日
寅次郎な日々 その5222012年6月22日寅次郎な日々 その522
処女峰登頂 泉ちゃんの叔母さん宅裏庭と美しい濠
をご覧ください。
寿子さんが玉子やトマトをとりに来る。
寿子さん「お早うございます。ゆっくり休まれたですか?」
寅「古い家は落ち着いてよく眠れます」
いろいろ話をしているうちに寅はなじんでいく。
寿子さん「寅さん、お生まれは?」
寅「どうぞ、寅と呼んでやってください」
寿子さん「じゃあ・・・寅さん」
寅落ち着いた声で
寅「はい、私、生まれも育ちも東京は葛飾柴又です」
寿子さん「私東京は、高校の時修学旅行で行ったっきりだわ・・・」
寅「驚いたでしょう、あまり騒々しくて汚くて、
とてもまともな人間の暮らすところじゃありませんよ」
寿子さん「そうでしょうか」
寅「こういう静かな美しい土地へ来ますと、
腰をすえてゆっくり暮らしてみたいなと、しみじみ思います」
寿子さん「フフ・・・慰めてもらいよっとですね、私は」
寅「いいえ」と静かに頷く。
その後おじいさんが会長を務める「郷土史会」に
無理やり連れられ遺跡に向かう寅。
奥村邸 そば 山王神社前
一方泉ちゃんは満男を山王神社前で待つ。
寿子さんの赤いヘルメットを借りてバイクの後ろに乗る。
叔父さんには内緒だそうだ。
吉野ヶ里遺跡
復元された遺跡を見て2000年前なのに
新築新築同然だと感心し、ボケる寅。
みんなに大うけ^^;
泉ちゃんと満男に偶然会った寅。
泉ちゃんの髪の毛が四方八方に広がる珍現象。NGなし。
人の骨だと嘘ついて、泉ちゃんを怖がらせ、いちゃつく満男。
富士町東畑瀬
吉野ケ里を見学したあと、満男と泉は、
泉の母の生まれた所をたずねるため国道323号線を北へむかう。
しばらく行くと、泉が指差す方向に畑瀬橋が見えてくる。
後にダム(嘉瀬川ダム)に沈んだ東畑瀬集落
母親の実家に向かう満男と泉。
泉のテーマ アレンジ が流れる。
満男バイクこかしたり・・・ バカ^^;↓
石垣を使って三角飛びをして柿を採る満男。
満男「食べる?」
泉ちゃんは口をあーんとして食べようとするが
満男「あげない」と言ってさっと引く。
このようにいちゃつきながら母親の実家に着く。
満男「いいなあ、こんな田舎があって。
オレの田舎なんて柴又の団子屋・・」
泉ちゃん、ここで一大決意!
満男の横に寄り添い、さっと腕を組むのだった。
満男大いに驚くが
口笛を吹いてなんとか平静を装う。
満男生涯の至福。
二人で東屋に座りながら
泉ちゃんの家庭の事情を聞いている。
泉ちゃん「5月の・・・いつだっけなあ・・・
もう暑い日だった。
ブラバンの練習が終わって学校出ようとしたら
校門のところにお父さんが立ってるの。
『どうしたの?』って言ったら、
『なんか食わないか』って。
柴又通りにデニーズあるでしょ、
あそこ入って好きなもの食べろって…、
しょうがないから私チーズバーガー頼んでそれ食べてたら、
黙ってたお父さんが・・・
『泉、お母さんと分かれることにしたよ』って、そう言うの。
泉のテーマがしっとりと流れる。
私返事も出来なくて黙ってハンバーガー食べてるんだけど、
涙がポロポロ出てきちゃって、後で考えたらおかしくって・・・
だって食べるか泣くかどっちかにすればいいのに・・・」
と泣いてしまう泉ちゃんだった。
泉ちゃん「どうしてなんだろうね。
お互い好きだから結婚したんでしょ。
その気持ちがどうして変わってしまうの?」
満男「えっと・・・そういうことは
伯父さんに聞くと、うまいことこたえてくれるんだ。
あとで聞いとくよ」
頷く泉ちゃん。
満男「はあ〜オレはダメだなあ〜・・・、
自分のこともよくわかんないんだから」
この第42作では
母親のことをお母さん、父親のことをお父さんと呼んでいる。
43作以降はママ・パパと呼ぶようになる。
いったい泉ちゃんになにがあった?
夕方になったので家路を急ぐ二人だった。
一方 寅たちは 古湯温泉で宴会
名前はえびす屋
満男と寅が出会った「えびす旅館」とたまたま同じ名前。
えびす旅館は佐賀市の街の中。
泉の叔母さんの家
満男と泉が家に着いたのは夜だった。
途中でガソリンが切れて大変だったようだ。
ただ、街まで出た時にすぐに電話しなかったのは
二人のミスだろうね。
叔父さんは、
夜までバイクの二人乗りで遊んでいた泉を叱り、
満男にも散々いやみを言う。
叔父さん「東京じゃ、高校生のバイク乗りは許されととね」
満男「僕、高校卒業しました」
叔父さん「あ、浪人やったな」
寿子さん「あなた・・・」
叔父さん「まあ、受験ばひかえた今頃、バイクで九州旅行するぐらいじゃけんが、
よっぽど秀才じゃろ。偏差値は80くらいか」
叔父さん、言ってること確かに正しいよ。
でもな、あんた泉ちゃんの悲しみと孤独をなにもわかろうとしてない。
生徒にあまり好かれてないだろ高校で(−−;)
泉ちゃん「叔父さん、そんな言い方ひどいわよ」
満男「泉ちゃん、オレが悪いんだから・・・」
満男はすぐに帰り支度をしはじめる。
偏差値は60に届くか届かないか、と言いながらあのおじさんには不満たらたら。
叔父さんの悪口を言い続ける満男。
八方ふさがりの悲しみに耐えている泉ちゃん。
満男はそうとう怒っている。
満男「最低だよ、よくあんなやつと一緒に暮らせるよ。
もう東京帰っちゃえよ」
悲しみに沈む泉ちゃん。
泉のテーマが流れる。
泉ちゃん「満男さんは、幸せだからそういうことが言えるのよ。
私は世話になっているのよあの叔父さんに」
泉ちゃんの孤独を今更ながらに思い知らされる満男だった。
満男「・・・・・・」
満男、おまえなんのためにこんな佐賀県まできたんだ。
バイクの荷造りを外でしている満男に
泉ちゃんが追いかけてくる。
泉ちゃん「これ途中で食べて」
ゆっくりバイクを押しながら
満男「怒ってんのか?」
首を横に振る泉ちゃん。
満男「ごめんな・・・」
泉ちゃん「受験勉強がんばってね」
頷く満男。
バイクにまたがる満男。
満男「・・・軽いノリでさ・・・」
泉ちゃん「え?・・・」
近づく泉ちゃん。
満男泉ちゃんを見る。
満男「あの・・・」
泉ちゃん 満男を見る。
満男「軽いノリで
I LOVE YOU」
泉ちゃん「・・・」
何かを期待する眼
満男、泉ちゃんに近づく。
緊張する泉ちゃん
キスをしようとして・・・
しかし、ヘルメットのへさきが泉ちゃんのおでこに当たる。
泉ちゃん「いた!」
満男「あ!ごめん!」
満男「バカだなオレ!あ〜〜」
と、エンジンをふかし行ってしまう。
満男、頼むからヘルメットとれよな・・・どんだけ緊張してんだ (T T)
泉ちゃん、顔を抑えながら
泉ちゃん「・・・・」
満男バイク乗りながら
満男「あ〜〜〜!!!ぶさま〜〜!!」
泉ちゃんはわかってるよ。
満男の誠意も気持ちも。大丈夫伝わってるって。
葛飾 柴又 さくらの家
布団を敷くさくらたち。
さくらのパジャマ姿です(^^)
電話がかかってくる。
さくらに今から東京へ帰ることを告げる満男だった。
満男は佐賀県の「ローソン」から電話している。
『その場でドリップコーヒー』
カード式電話がこの映画で使われたのは初めて!
翌朝
泉ちゃんの叔母さんの家 奥村家
玄関の上がり口 たたき
寅と叔父さんが昨日の満男のことで話をする。
満男のことで謝る寅。
叔父さん「まあ、満男君には少しきつい言い方に聞こえたかもしれません」
寅「いいえ」
叔父さん「しかし、ご承知のこと、泉はうちの娘じゃのうて、
預かった子ですたい。
こっちには責任ちゅうものがあります。
あの子に万が一ということがおこると、
私は腹を切ってお詫びをせにゃあならんですよ。
寅「・・・」
叔父さん「正直言うて保護者の私たちの了解もなく
バイクで突然来られたりするのは迷惑です。
満男君の招来のためにもと思うてきつか言葉で申し上げました。
ま、どうか、二度とこげんことがおこらんようご指導ください」
寿子さん「あなた、もう、そのへんで」
寅「…」
寅は挨拶をし、
立ち去り際に立ち止まる。
そして振り返って
寅「先生」
叔父さん「は?」意外そうに振り返る。
寅「私のようなできそこないが、
こんなことを言うと笑われるかもしれませんが、
私は甥の満男は間違ったことをしていないと思います。
慣れない土地へ来て、
さみしい思いをしているお嬢さんをなぐさめようと
両親にも内緒ではるばるオートバイでやって来た満男を、私はむしろ
『よくやった』と褒めてやりたいと思います」
寅「・・・」
叔父さん「・・・思想の違いですな」
寿子さん、おろおろして戸惑っている。
寅は礼をして出て行く。
夫に向かって
寿子さん「あなたあなあ言わんでよかでしょう」
夫、ぶつぶつ言っている。
礼子&寿子姉妹に共通しているところ。『男運が悪い』(−−;)
外の道へ出た寅を追いかける寿子さん。
寿子さんの声「寅さん」
寿子さん、追いついて
寿子さん「ごめんなさい、悪い人やなかとですけど、
なんていうか、心の狭かっていうか、
若い人の気持ちがわかってやれんとですよ〜・・・」
寅「気にしないでください奥さん」
寿子さん「どうぞ満男さんに、
『これからもあの子の力になって』と言ってやってください」
寅「ありがとうございます。満男が喜びます。じゃ・・・」
寿子のテーマが流れる。
ポケットに手を突っ込んで歩き始める寅。
寿子さん「寅さん」
寅「はい」
寿子さん「これからどちらへ?」
次のシーンでは手を突っ込んでいない^^;
寅「そうですねえ・・・風のやつが・・・」
と言いながら、舌で人差し指をぬらして突き立てる。
寅「東から西へ吹いていますんでね、
西の方にでも行きますか」
寿子さん「わー・・・、私もそんな旅がしてみたかー・・・」
旅を日常にしてしまった人の孤独は
寿子さんにはわからないだろうな・・・。
ちょっと淋しそうな寿子さん。
寅「フフフ、もののたとえですよ。
早い話が根無し草のようなもんですからね」
寿子さん、「そんな・・」と小さく首を振り、少し笑う。
寅「奥さん、幸せになってください」
寿子さん「はい」
礼をして、「じゃ」 と、去っていく寅。
次のシーンではポケットに手を突っ込んでいない^^;
背広の内側の浮世絵刺繍が見える。
寿子さん、垣根の葉っぱをちょっとちぎって、
せつなく見送っている。
小城市小城町
佐賀県立小城高等学校
泉ちゃんが昼休みのブラバンの練習を終えて歩いている。
ふと正門を見る泉ちゃん。
寅がいる。
寅「よ!」と手を上げる。
泉ちゃん嬉しそうに駆け寄ってくる。
泉ちゃん「おじちゃま〜!」
寅「うん」
寅「なかなかよさそうな学校じゃねえか」
泉ちゃん「わざわざ来てくれたの?」
寅「うん、通りすがりにな。
お嬢ちゃんの学校はこのへんじゃねえかなと思って」
寅「満男が迷惑かけたらしいな。勘弁してくれよ」
そのことで来たのかわざわざ、なるほどね。
泉ちゃん、微笑みながら
泉ちゃん「なんとも思ってない。
満男さんに会ったら言っておいてください。
私ちっとも怒ってないって」
いや、怒ってないって言うよりか、
遠く佐賀県まで来てくれてありがとうって
満男に感謝の気持ちを伝えてほしかった。
寅、ちょっと微笑んでうなずき
寅「ありがとう」
チャイムが鳴る。
寅「お、勉強始まるか」
泉ちゃん「おじちゃまも行っちゃうの?」
寅「うん、おじちゃんこれから商売だから」
泉ちゃん「淋しくなる・・」
寅「うん、そらしょうがねえや…会うは別れの始めと言ってね。
でも、オレは旅人だから、1年中旅してるんだ。また顔見に来るよ。な」
うなずく泉ちゃん。
寅「はははは、オレが顔見に来てもしょうがねえか、フフフ」
泉ちゃん「フフフ」
寅「お、じゃ、行きな、勉強」
泉ちゃん「さよなら」
寅「うん」
走っていく泉ちゃん。
寅「あのなあ」
立ち止まって振り向く泉ちゃん。
寅「はやいとこ、この土地の言葉覚えて、いい友達を作んな」
うなずく泉ちゃん。
寅「よかか?」 と指をさす。
泉ちゃん微笑みながら
泉ちゃん「よか」
寅「よか」
手でバイバイをして走って行く。
寅も手を振る。
安心した顔で泉ちゃんを見て・・・
立ち去っていく寅。
校舎からは合唱曲「追憶」の歌声が聞こえてくる。
追憶 作詩 古関吉雄 作曲 スペイン民謡
唄 鮫島有美子.
星影やさしく またたくみ空
仰ぎてさまよい 木陰を行けば
葉裏のそよぎは 思い出さそいて
澄みゆく心に しのばるる昔
ああなつかし その日
さざ波かそけく ささやく岸べ
涼風うれしく さまよい行けば
砕くる月かげ 思い出さそいて
澄みゆく心に しのばるる昔
ああなつかし その日
葛飾 柴又 帝釈天二天門 前
さくらが自転車でやって来る。
さくら「源ちゃん」
源ちゃん「はい」
さくら「満男帰ってくるわよ」
さくらの後を追いかけるように源ちゃんもとらやに走っていく。
とらや 店
みんなで、わいわい言いながら満男が帰ってくるのを今か今かと待っている。
工場のゆかりちゃんは満男の好物を作って準備万端。
なぜにそこまで家出をしただけの満男を
盛ち上げてやるのだろう?意味不明ーー;
博は冷静
博「いいかげんにしてください、ばかばかしい」
ほんとなんでそんなにかまうのか(−−;)
で、満男が帰ってきて、
(またもや一方通行を逆走 ^^;この作品で2回目・・・ )
みんなが拍手なんかして
なぜかみんなにちやほやされて・・・
このような予定調和的なご近所さんたちの盛り上がりは
第45作「寅次郎の青春」でも足を怪我した寅の帰郷時におこる。
そして第48作「紅の花」でも寅とリリーの帰郷時に
一層の盛り上がりを見せるのだ。
ああいう意識的な拍手付の賑やかしい盛り上がりは私はちょっと苦手。
まるで同窓会のような賑やかしいまとめ方は
デリケートな映画の流れをぶった切ってしらけてしまう。
しかし、実はこれらの演出も、
渥美さんの体調がのっぴきならないところまで来ていることが
大きく関係しているのだろう。
つまりいつこれが最終作品になってもいいように
あのような「まとめ」のシーンが入れられているのは間違いない。
まあそれでも博には神妙な顔して謝ってもいた。
さくらは嬉しくてめそめそ^^;
満男「ご心配をおかけしました。どうか許してください」
博「ン、ン(咳払い)・・・二度とするなよ」
みんなほっとしてようやく安心^^
おばちゃんの一発ギャグ
さくらとのボケと突っ込み。
おばちゃん「背なんかすっかり高くなっちゃって見上げるようだよ」ボケ^^;
さくら「なに言ってるの、それはおばちゃんが座ってるからでしょ。フフフ」ツッコミ^^;
みんな大爆笑 ^0^;
そして 寅から電話が。
しかし三平ちゃんがさくらに知らせないで勝手にしゃべり続けている。
三平「あ、僕三平です。ありがとうございます。
おかげさまで元気に働いております。
え?恋人ですか?いやあそんなんいるわけないやないですか!フフフ」
さくらは三平ちゃんの大きな笑い声に気づき・・・
さくら「ちょっと誰から!?」
三平「あ、寅さんからです、フフフ」
さくら「え!!お兄ちゃん! どうして先に言わないのよ」
とひとり言のようにつぶやきながら走って電話に出る。
家族じゃない第三者にこのようなきつい言い方をしたさくらは
後にも先にもはじめて。
寅は小城駅前の赤電話からかけている。
寅「あ、さくらか、満男のことがな、ちょっと心配になってよ、うん」
さくらは、満男がたった今帰ってきたことを伝え、
寅を安心させる。
そしてとらやにみんないることも伝える。
寅の声「そこにみんないるのか?」
さくら「うん、みんないるわよ、おいちゃん、おばちゃん、
社長さん、裏の工場のゆかりちゃん、
備後屋さん、三平ちゃん、源ちゃん、博さん、
もうお店いっぱいの人よー、どうしてお兄ちゃんがここにいないのー?」
まるで最終回の趣だね、これは。
第48作「紅の花」もこんな雰囲気だった。
社長「いないのは寅さんだけだぞー」
さくら「聞こえた?」
社長「タコだよ〜!」
小城駅前 赤電話で
寅が電話の向こうでの賑わいを感じてほのぼのしている。
寅「賑やかそうだな」
赤電話にスタッフが映ってしまったので急いでしゃがんでいる。
博が替わって 寅にお礼を言う
博「僕です。どうもこのたびは満男が大変お世話になりました」
寅「うん、いろいろ聞いたか」
博「いえ、まだ話は聞いてませんがきっと何かを得て帰ってきたと思います」
寅「旅をすれば人間誰でも賢くなる。
まあ、中にはそうじゃねえやつもいるけどね。
満男によく言っとけ、オレの真似だけはするなって」
次に満男に替わって
満男「もしもし、」
寅の声「満男か」
満男「どうもありがとうございました。
伯父さんの老後は僕が面倒見ますから」
さくら、笑いながら
さくら「何言ってるのよー、フフフ」
寅の声「もう切るぞ」
さくら「もう切るの?みんなが替わりたいって」
寅の声「もういいって」
おいちゃん「おい!体に気をつけろよ!」
さくら「今のおいちゃん」
おばちゃん「寅ちゃん!早く帰っといで!」
さくら「おばちゃん」
社長「おーい!オレだい!!」
ゆかりちゃん「今のタコ〜!!」
みんな爆笑。
備後屋たちも口々に「金返せー」とか言って寅に呼びかける。
ほんと最終回だねこりゃ。
10円玉が切れて
プー プー プー
寅「もしもし、もしもし・・・もしも・・・」
しつこく電話を振ったり、10円を探したり、
もしもしを繰り返したりするが切れてしまっている。
寅「切れちゃったか・・・まあ、しょうがねえや」
メインテーマがゆったりと流れはじめる。
淋しい無人の駅前 風がきつい。
楽しい電話をかけた後のこの寂寥感はすさまじく、
決してもう昔のように若くはない寅が
この先も旅を続ける限り
この肌身にしみる孤独に耐えていかねばならないことは自明。
この落差が「男はつらいよ」の真の醍醐味。
駅員もいない無人駅。
【荷物預かりは向かいの村岡羊羹へ】
フルムーンのポスター
背広の前を押さえながら
ホームへ出て、線路の向こう、汽車の来るほうを眺める寅。
このシーンは、後に「虹をつかむ男」のラストで
合成映像として使われることになる。
虹をつかむ男の合成シーン↓
寅は時間を持て余し、高校生たちとしゃべりだす。
ホームで風に揺れるピンクのコスモス。
正月
葛飾 柴又 江戸川土手
岡部とよっちんと満男で歩いている。
さくらの家
工場の中村君とゆかりちゃんが来ている。
みんなひそひそ何か笑っている。
満男がさくらに紹介した時の
岡部とよっちんは逆だ!
古本新之輔さんが「岡部」になっていた(^^;)
この先は、本当は
古本新之輔さんはよっちんのほう。
佐久間哲さんは岡部のほう。
満男に誘われて岡部とよっちんが家に上がろうとした時、
階段の上に・・・なんと泉ちゃん。
出ました。泉ちゃんはこの後の作品でもアポなしでどんどんやって来るのだ。
なぜそうまでして事前連絡を嫌う!(^^;)
口半開きの満男(^^;)
満男「はー・・・」
泉ちゃんが立っている。
泉ちゃん「おめでとう」
岡部「誰?」
満男「見るなよ!」と追い返そうとする。
満男「帰れ 帰れ!ごめんなさい!」
よっちん「かえれ??なぜ〜!?」
岡部とよっちん 外でかなり憤慨(^^;)
このあとほとんどの作品で
この岡部とよっちんは満男からの裏切り行為に泣かされるのだ。
中村君とゆかりちゃん笑っている。
満男二階に上がって
満男「あー、びっくりした。ね、どうしたの?」
泉ちゃん「お父さんに呼ばれたの。正月は一緒にすごそうって」
満男「そうか〜」
外の道から岡部(のちのよっちん)が叫ぶ。
岡部の声「こらー!!満男〜!!」
窓に小石がぶつかる音。
満男たちを冷やかす二人
満男と泉のテーマが流れる。
よっちん「オレにも幸せくれ〜〜〜〜!!」((TT)
自分の部屋からよっちんたちを見て笑っている満男と泉ちゃん。
一方一階の居間では
みんなで何か笑いあっている。
台所からさくらが聞く
さくら「どうしたの?」
ゆかりちゃん「あのね、博さんがね、
あんなきれいな子がお嫁さんに来てくれたらな」
さくら即座に
さくら「無理よ」 そんな・・・((((((T T)
博「どうして?」
中村君「わかりませんよ、そんなことは〜」
ゆかりちゃん「うん」
博「伯父さんといっしょにしないでくれよ〜」座布団1枚^^
さくら「ちょっと、それはないでしょう」
みんな大笑い。
二階 満男の部屋
泉ちゃん「そうそう、伯父さまがね、これくれたの」
(小城高校では「おじちゃま」って言ってなかった?)
寅からの年賀状
満男「年賀状?汚ねえ字だろ」
泉ちゃん「フフ、いいこと書いてあるよ。
読んであげる。
新年 明けましておめでとうございます。
泉ちゃん「フフ、こっからが面白いの」
満男「ちょっと見せて」
泉ちゃん「だめ!」
本年も私の愚かな甥、満男をよろしくお引き立て願います。
満男「ちきしょう〜フフフ」
泉ちゃん「フフフ」
正月元旦 車寅次郎
寅からの年賀状をしみじみ眺めている泉ちゃん。
正月 初詣でにぎわう
小城市小城町の須賀神社
この神社は泉ちゃんが通う小城高校からなんと徒歩圏。
寅が小城にすぐに戻ってくる理由何もないぞ〜・・
説得力なさすぎ・・・。
長い階段の途中で 寅は易のバイ。
寅「天に軌道のあるごとく
人それぞれに運命というものを持っております。
この世に生きとし生けるものこの運命に逆らうことは誰一人出来ません」
客の足は止まらず、寅のバイはなかなかうまく行かない。
一方向かいでやっているポンシュウは
レンタル杖 使用料50円 で、どんどん稼ぐ。
寅「ポンシュウ、今日はバカに調子がいいじゃねえかよ〜」
ポンシュウ「頭だよ頭 ハハハ 」
メインテーマが流れる。
寅「えーい!もうヤケだ!ね!
ヤケのやんぱち日焼けのなすび、
色が黒くて食いつきたいが
あたしゃ入れ歯で歯が立たないよ!ときた!!」
カメラがゆっくり引いていき・・・。
石段の全貌が映し出される。
入り口の大きな鳥居が映って
終
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