バリ島.吉川孝昭のギャラリー内
第6作 男はつらいよ
1971年1月15日封切り
『松村達雄おいちゃん』名場面集アップ
男はつらいよのトップへ戻る
赤いマフラーの別れ
気持ちを新たにしてこれこそもう最後の作品だと作った第5作は成功し、やめるにやめれなくなったスタッフは、
いよいよシリーズ化の波に飲み込まれてターボのエンジンがかかり始める。
次の第6作はマドンナも当時すでに大女優の貫禄を持ち、美しい顔立ちで人気の高かった大映の若尾文子を起用し、
森繁久弥も重要な役で出演するなど、キャストもなかなか派手である。
松竹がいよいよ本腰を入れて投資しはじめたのである。
私にとってこの純情篇はなんといってもラスト近くのさくらと寅の柴又駅ホームでの別れである。
数あるさくらと寅の別れのシーンの中でも最高の叙情感があり、この二人の繋がりの深さを見事に表現していた。
このシーンだけでもうこの映画は再観に値する作品だと言い切ってよいと思う。
定住に憧れ、故郷に強い思いがあるにもかかわらず、どうしても放浪の旅を続けてしまう寅。
このふたつの心の葛藤をこの別れのシーンは見事に表現していた。
森繁久弥の演技も秀でており、この作品を引き締めている。
博の独立騒ぎのドタバタやタコ社長の家族構成がばっちり見れることでも有名。
博がこの時独立していたら、この物語はこの先しばらくして終っていたに違いない。
とらやのすぐ裏手で博がタコ社長のもとで働いている。このことが
どれだけとらや共同体を広がりのある強いものにしているか。
この第6作ではやばやと博は独立を諦めたのである。後に父親の遺産が入った後でも
それを独立資金にせず、工場にオフセットを投資して、タコ社長との共存の方向を選択し模索していくのである。
それはそうと、あのタコ社長の子供達、あれ以来ほとんどスクリーンに登場せず、
ようやく第33作「夜霧にむせぶ寅次郎」から長女のあけみが登場するが、
この第6作に出てくる後の3人は一切いないかのごとき扱いで、一切姿を見せない。
全くもって不思議な家族である。
そのほかテレビ番組にさくらやおいちゃんたちが映し出される(ふるさとの川〜江戸川〜)など、
見せ場も多い。テンポと力強さでは第5作に劣るが、
あのシリーズ屈指の名場面柴又駅でのさくらと寅の別れがある限り、
この第6作は私の中から忘れられることはないだろう。実に美しい佳作である。
私はあの別れの場面を『赤いマフラーの別れ』と勝手に呼んでいる。倍賞千恵子さん生涯の名場面だともいえる。
前作第5作は望郷篇といったが、この第6作も「望郷」の念が強く押し出された作品である。
(旅立っていく兄を追いかけるさくら。ラスト近くの別れの場面。倍賞さんの表情がなんともいえない)
夕子さんの非凡さ
彼女は、寅とは縁が薄かったが、この長いシリーズのマドンナたちの中でも
洞察力の鋭さではトップクラスである。実に感覚がいい。
夕子「ごめんなさい。わたしね、わたしが今まで暮らしてきたまわりは
あんな自分の気持ちを隠さないで笑ったり怒ったり泣いたりすることなど
一度もなかったわ…、私達の生活なんて嘘だらけなのね、
そう考えてたら急に涙が出てきちゃって…」
江戸川土手で寅と散歩した時も
夕子「寅さんはこういう風景を見ながら育ったのね。」
寅「はい!わたくし、生まれも育ちも葛飾柴又です。」
夕子「なに、それ?」
寅「これは、私達商売人仲間の挨拶ですよ。」
夕子「まあ、素敵ねもう一辺言ってみて」
寅「わたくし生まれも育ちも葛飾柴又です。
帝釈天で産湯を使い根っからの江戸っ子、
姓は車、名は寅次郎、
人呼んでフーテンの寅と発します。フフフ…。まだ、続くんですよ」
夕子「そう」
寅「わたくし、不思議な縁もちまして
生まれ故郷に草鞋を脱ぎま
した。あんたさんと御同様、東京の空の下、
ネオンきらめき、ジャンズ高鳴る花の都に
仮の住居まかりあります。
故あって、わたくし親分一家持ちません。
ヘヘヘ…まだまだ続くんですよ。」
夕子「素敵…ほんとうに素敵よ」
これらの会話は、一見なにげないただの好奇心交じりの世間話に聞こえるが、
寅の口上に『美』を感じる事ができるマドンナは実はそうそうはいない。
そして寅の気質の形成にこの江戸川の自然が深く影響している事を
肌で実感している。そういう意味ではとても感覚が鋭敏な人だったといえよう。
夕子さんは寅のことを愛する事はできなかったが、寅の根っこの部分をひょっとして
理解する事ができたんじゃないだろうか…、と近年そう思うことがある。
夕子さんと寅は夕子さんが下宿をした割にはさほど縁がなかったが、
その鋭い洞察力で短い時間で寅を把握できた数少ない女性だったのではないだろうか。
このような内省的な思考ができるのが夕子さんの優れた資質なのだろう。
ただ単に上品な山の手のご婦人じゃないのだ。
そのような夕子さんであるから、寅の態度のちょっとした変化から、寅が自分のことを想って
くれていることをきちんと察知するのである。
彼女は愛されたことに対しても責任を持つ人なのだ。
浦安の三浦節子さん、聞いてますか?…(^^)
寅の気持ちに気づく夕子さん
■第6作「純情編」全ロケ地解明
全国ロケ地:作品別に整理
それでは本編をどうぞ
今回は夢のシーンはない。
夜汽車に揺られて侘しく
旅をする寅の姿から始まる。
まずはいつものように松竹富士山
(バックミュージックは今回は「男はつらいよ」)
夜汽車の中
前の席の赤ん坊をあやす寅
『ふるさとは遠くにありて思うものとか申します。
葛飾は柴又を飛び出してより、もう二昔と半、どおせ気楽な
旅烏渡世と粋がってはおりますものの、侘しい独り旅の
夜汽車のうたた寝に、ふと夢に見るのはふるさとのこと、
お笑いくださいまし、四十に手が届くこの寅次郎は
行きずりの旅の女の面影に、故郷に残した妹を
思い出しては涙をこぼす、意気地なしでございます。』
設定的にはちょうど40歳ということになっているらしい。
もっとも第26作「寅次郎かもめ歌」でも入学願書が昭和15年に
なっていたので、この時もまだ40歳だ。9年の歳月を経て
まだ40歳のまま生きている寅はサザエさん的時空に棲む存在
なのだとしみじみ思った。もう随分晩年にさえ四十を過ぎて
一人もんなんてのは、かっこ悪いだけなんだよ。っておばちゃんが
言ってたね。さすがにこれは苦しかった。
缶ビール(今回も第5作に続いてサッポロビール!)を開ける寅。
プシュー!!
隣で寝ていたおじさんにかかり「うわっ!なんだ」と逃げていく。
泡をふーっと吹く寅
前の席の赤ちゃんが泣く「エーン、エーン」
寅あやそうとして「ペロペロぺロー!」
メインタイトル「男はつらいよ 純情篇」 赤黄白文字
ヘリコプターかセスナから撮った俯瞰映像(なかなか興味深い)
おなじみの口上 ゆったりとした口調で
「わたくし、生まれも育ちも葛飾柴又です。
帝釈天で産湯をつかい、
姓は車、名は寅次郎、
人呼んでフーテンの寅と発します。」
ゆったりとした歌い方
♪どおせおいらはヤクザな兄貴 わかっちゃいるんだ妹よ
いつかお前の喜ぶような 偉い兄貴になりたくて
奮闘努力の甲斐もなく 今日も涙の
今日も涙の陽が落ちる 陽が落ちる♪
この間ずっと航空からの柴又付近の俯瞰映像が流れる。
キラキラ光る江戸川。
帝釈天参道
今回はショートコントなしだが、帝釈天参道や
江戸川などを俯瞰で見ることができ、とても私には面白かった。
『原作.監督 山田洋次』の文字のバックが帝釈天の門
→そのままの構図で白黒テレビの画面に変わる。
なかなか上手い手法。
いきなりテレビの白黒番組で柴又が映る。
ナレーションと字幕が入り、これがテレビ番組だと
いうことがここで分かる。
ナレーション
『この江戸川のほとりに
周囲の繁栄から取り残されたような町、
柴又があります。
(周囲の繁栄から取り残されたって、
柴又の人聞いたら怒りそうなナレーション..)
柴又駅への案内版が映る。
おっと、御前様が映る。
ここで、そば屋の古ぼけたテレビに映る御前様になる(^^;)
寅は、山口県の港のとあるそば屋で
偶然この番組を見ている。
↑このそば屋のテレビが凄いアンティーク!
テレビのナレーション
江戸時代から多くの人々の信仰を
集めた帝釈様として知られる題経寺。
昔は江戸川を船でさかのぼって
人々はこのお寺にお参りをしました。』
『今も門前町には江戸庶民の味覚を楽しませた
お団子屋さんが軒を並べています。
江戸時代から続いて六代目だという
車竜造さんは団子も若い人たちに
そっぽを向かれてしまってと、
悲しそうに語っていました。』
おいちゃん、なかなか渋い職人さんとして
映ってるねえ!寡黙な人柄に見えるから不思議(^^;)
このナレーションによれば寅は7代目となるわけだ。
渋いね〜!
↑寅は「浪花の恋の寅次郎」でふみさんには
奈良時代創業と言っていた。
「知床慕情」ではりん子さんにはちょっと控えめで
鎌倉時代若返っていた(^^:)
寅「!……」
いきなり、題経寺やとらやが出てきて驚いて
食い入るように番組を見ている。
店の店員チャンネル回そうとする。
寅「さわるねい!!ほらっ」
江戸川の岸辺に満男とたたずむさくらが映る。
寅「さくら!!」
テレビ画面ではさくらが満男と一緒に
江戸川のほとりにたたずみ、さくらが満男を抱いて
微笑んでいるアップが映っている。
なぜさくらが取材されたのか?
おそらく、おいちゃんの取材の際、美しいさくらと
可愛い満男を見て、江戸川まで一緒に行ってたたずんで
もらったのだろう。実にいい雰囲気で
映っていた。ほんとうに地味だが、味わい深い番組。
とらや 茶の間
とらやでも皆で見ている
(とらやのテレビはそば屋のものよりもずっと新しいタイプ)
続男はつらいよの「おかーさーん」の時のものが
壊れて買い換えたのだろうか。
第2作のテレビ 第6作のテレビ 第10作は第6作と同じテレビのまま
社長「映った映った!いい女!ホラ!」
おばちゃん「スマシちゃってさ!ハハハハ!」
社長「あーこうやって見ると江戸川もきれいだもんなあー…」
ナレーション
『このあたりの美しい自然の景色はいつまで
残ってくれるのでしょうか…、
今、江戸川は静かに暮れようとしています…』
ふるさとの川 ― 江戸川 ― 終
しかし、番組スタッフも、目が高い。
数あるだんご屋からとらやのメンバーを
選んで取材して、さくらたちにも眼が行く。
なかなか感覚が冴えた番組制作会社だね(^^;)
社長「よかったなー!んー、イヤー!パチパチパチ
イヤーけっこうでした!ハハハ!」
さくら「あー恥ずかしかった!!顔から火が出ちゃったー!!」
おばちゃん「いいじゃないか、美人に映ってたから」
さくら「何いってんのよー」
おいちゃん「オレなんかわりと男前だったろう?」
社長蜜柑食いながら
社長「えー、ほんとほんと、
落ちぶれた団子屋オヤジって感じがよく出てたよー」
おいちゃん「バーカー、ハハハハ」
←初めてテレビなんかに映っちゃってみんな上機嫌。
とても短くて地味な番組。
スポンサーはどこなんだろう(^^;)?
ひょとしてNHK教育か?
それよりもまだ地味。これはおそらく
間違いなくシリーズもの。視聴率は
低いがなんとも味のある番組
の典型だね。(^^)私は毎週見ますよ〜。
社長「しかし、な、なんだね、とらやさんも大宣伝だったな!」
おいちゃん「ほんと全国の人が見てるんだもんな」
一同「そうですねえ」「うん」
さくらもおいちゃんも『全国の人』で、ちょっと気づいて、
さくら「どっかで見てなかったかしらね…お兄ちゃん」
電話 リ―ンリーン
おいちゃん「本当になぁ、どこで何してんだかねー、あのバカ」
とタバコに火をつける。
博、電話に出る。
博「えっ?兄さんですか!?」
一同、驚く。
おいちゃん、手にマッチの火が付いて、熱がる。
↑森川おいちゃんおなじみのミニギャグ(^^;)
マッチの火が指につくパターンは第1作でも出てきた。
博「えー、みんな元気ですよ!
あー!今のテレビ見てたんですか!僕たちもみんなで、
さくらもいますよ。」
さくら(今どこなの?)
博「今どこですか?兄さん、え?遠いところ?」
おいちゃん「嘘だよ、すぐ近くにいるんだよ」はずれ(^^;)
↑確かに第3作「フーテンの寅」で、遠くのふりして、
とらやの斜め向かいからかけてたこともあったぞ。
おばちゃん「そうだよ、駅前あたりじゃないのかい?」
博「兄さん、近所にいるんじゃないですか?え?山口県?」
実はここは山口県ではないのだ!
撮影監督の高羽哲夫さんの脚本の当該箇所部分書き込みによると
このシーンは、神奈川県 相模線 寒川駅でロケが行なわれた。
2021年10月16日
会津湯川村の高羽哲夫さんの記念館にて書き込み箇所発見!
ロケの様子 スチール写真
寒川駅の駅舎入り口の売店脇の赤電話からの撮影だ。山口県ではなかった!!
絵にも売店が描かれている。
まだ売店があった頃の昭和の写真。 ロケが行なわれた売店が見える↓
寅が赤電話に10円入れながら
寅「これから九州に行くところよ。
オレかぁ?うん、
元気でやってるから心配するな、え?
あっ、みんな仲良くやってるか?
あーっ、もう10円なくなっちゃうんだよ、
帰ってこいって?
そーもいかないよ、オレ忙しいんだよ。
なっ、みんなによ、よろしく言ってくれよ、な!
オレも元気でやってるからよ!うん!
あっ、さくら!!あの、あんちゃんな!!
おい??…」
私はこのシーンが好きだ。
寅の郷愁が滲み出ていて少し悲しい
ツー、ツー
さくら「もしもし!お兄ちゃん、もしもし…。切れちゃった」
おいちゃん「やっぱり近所からじゃねえのか?」
十円玉がどんどん落ちていた音がしたことで、
本当に遠くからかけていたことが分かって、
おいちゃんたちは実はがっかりしている。
寅に対する気持ちが出ていていいシーンだ。
おいちゃん「山口県ね…、
あーあー、帰ってきたら帰ってきたで、
おめえ頭がいてぇし、
帰ってこなけりゃ帰ってこねえで
気がもめるし、困った奴だなまったく…」
↑この『ヤマアラシのジレンマ』がこのシリーズの
最大の面白みだ。
とらやのみんなもなんだか寂しそう…
長崎港
「長崎開港400年記念碑」
今日最後の船が出てしまった後。
寅「行こか、戻ろか思案橋ってなぁ…」あくび
五島行きの船が終わってしまったのである。
一日ここで泊まるか。違う土地に行くか迷っているのであろう。
向こうの桟橋で「軍艦島」行きの船が停泊している。
赤ん坊泣く
寅「どこか具合が悪いのかい?」
絹代「いいえ…」(暗い)
寅「あんたも長崎の人かい?どこ行くんだい?」
絹代「五島まで…」
寅「おーおー、おう、じゃ、オレも一緒だよ。
明日まで船が出ないんだそうだ。一日2本だってよ。
まあ、早いとこ暖かい部屋入ったほうがいいぜ、
赤ん坊風邪引くよ」
絹代「あのー…すいましぇんけど…
お金貸してもらえんとでしょうか…、
少しでよかです…
今晩泊まるお金が足らんとです…」
寅、しばらくだまって、じっと見つめ、何か言おうとして…、
寅「来な…」
宮本信子が体当たりのいい演技している。
まだこの頃は若い!
もちろん伊丹十三さんと結婚はまだしていない。
この少し前、渥美さんの『泣いてたまるか』の
「恋をつまびく」でこの二人は恋人役で共演していた。
その時の宮本さんの演技はなんとも初々しくて素敵だった。
旅館『丸重』 電 (22)五九六四
谷よしのさんがまたまた下働きの女中さん役で登場!(ちょっとセリフ貰っていた)
絹代は寅に夫のひどい競輪狂いと遊び癖を告白して泣きじゃくる。
谷よしのさん「すいませーん。あの、明日の朝は?」
寅「この人も明日8時の船なんだ7時に起こしてもらおうか」
谷よしのさん「はい」
寅「あっ、勘定は一緒に払うから」
谷よしのさん「はい、ではおやすみなさい」
寅「さあて、じゃ、寝るか…」と襖を開けて隣の部屋へ行こうとする寅。
ふと絹代を見ると、
絹代が服を脱ごうとしている。
絹代「泊めてくれて…なにもお礼できんし…」
寅「……」
絹代「子供がおっけん電気ば消してください!」
と、泣いて寅を見る。
船の汽笛ブオーッ
寅、絹代を見つめ、悲しい表情になって
寅「あんた、そんな気持ちで、
このオレに金を…そうだったのかい…」
寅、やさしい顔で
「オレの故郷にな、
ちょうどあんたと同じ年頃の妹がいるんだよ。
もし、もしもだよ、その妹が行きずりの旅の男に
たかだか二千円くらいの宿賃でよ、
その男がもし、妹の体をなんとか
してえなんて気持ちを起こしたとしたら、
オレはその男を殺すよ……。
五島とかいう…あんたの故郷で待っている
おとっつあんだってオレと同じ気持ちだよ。
それに決まってらぁな…」
寅の心根が分かる美しいシーンだ。
静かに襖を閉めて隣の部屋へ行く寅。
このシリーズの中で、このような性的な匂いが
少し感じられるシーンは珍しい。ほとんどないと
言ってもいいだろう。
五島行きの船の中
テキヤ仲間と話をする寅
「どうでい、売になってるか?」
「いやー、このところ不景気であきまへんわ」
「まあ、お互い御時世よ」
「あのー、あんさん紹介しますわ」
「あー、そうかい」
「これねえ、うずまさの兄貴」
「こりゃどうも」
こういう、その道の者どうしの挨拶は、見ていて
気持ちがいいね。この場面も大好き。
五島、福江島(福江市)
牛がクレーンで吊り上げられている。
食堂 「宝来軒」
大衆食堂「つよし」の看板
食堂から出て、
寅「じゃあな」
絹代、どうしようか迷っている姿
寅、仲間に「先行ってくれ…」
寅「まだ考えてるのか。次の渡し舟に乗らないと遅れるぜ…」
結局寅もついていってやる。
渡し舟の中から、
寅「あれがあんたの故郷か?なかなかいいとこじゃないかよ、
懐かしいだろ、無理もねえや3年ぶりだもんな…、」
絹代、懐かしく、いろいろな思いが
噴出してきて泣きじゃくる。
「♪うさぎ追いしかの山ー〜♪」と歌う寅
玉之浦漁協の建物を通り過ぎて・・・
自宅(中村旅館)に案内する絹代。
玉之浦郵便局 そば 中村旅館
第6作のテーマ曲流れる。
この曲は柴又駅でのさくらと寅の別れのシーンでも使われている。
「誰もいねえのか?とうちゃ―ん!」
五之浦漁協
父親戻ってくる。
絹代「あっ、とうちゃん」
父親「…」
絹代「元気で暮らしとったね?」
寅のほうを見る父親
寅「あっ、違う、違う、違う、オレは行きずりの旅の男だよ」
絹代「この人にはすっかりお世話になって」
寅「なんでぇ、おっかねえ顔すんなよおじさんよ、え、
娘さんに優しくしてやれよ、いろんなことがあったらしいぜ...、
故郷恋しさでもってよ!矢も盾もたまらず帰って来たんだ、な!」
寅、気を利かせて外へ行く
父親「なんて名前だ」
絹代「さなえ」
父親「えっ?」
絹代「早苗」
絹代、父親の頭に手を伸ばし、
絹代「藁…」
父親「…」頭の藁を手で取る。
赤ん坊ずっと泣く
「よかよかあー」とあやす。
短い言葉のやり取りの中から親子の情愛が
滲み出る味わい深い場面だ。
玉之浦教会
寅、教会の扉を開けてしまい、十字を切る。
「寒いね」
第20作「寅次郎頑張れ!」でも平戸の教会前でたしか遊んでいたなあ寅
第35作「寅次郎恋愛塾」でも五島の教会で働くポンシュウを茶化す寅がいた。
玉之浦のずっと西。
鯛の鼻 近くの 赤灯台付近でたたずんでいる寅。
寅、夕方遅く戻ってきて
寅「あー、寒いなあ〜、夕方になると冷えるねえ。
おじさん、熱燗いっぱいつけてくれや」
父親と娘の間に緊張の空気が漂っていることに寅気づく。
絹代「でも、もうあげん男と…思い出したくもなか…
うち、お父ちゃんといっしょに…」
父親「出来んて…。明日の船で帰れ」
絹代「どうして、どうしてそんな酷かこつ…」と泣く。
父親「絹代、3年間も、便り一つもよこさず急に戻ってきて、
おとうちゃんが死んどったら、どげんする気やった。
おいはもうそう長くは生きとらんぞ。おいが死んだら…おまえは
もう帰るとこはないようになる。その時になって、
おまえが辛かことがあって
故郷(くに)に帰りたいと思っても、もうそりゃできんぞ。」
絹代「でも…うち、もう、あげん男とは…」泣きじゃくる。
父親「おまえが好いて一緒になった男やろが、
そんならどっか一つくらいよかとこのあっとじゃろ、
そのよかとこをおまえがきちんと育ててやらんば、
その気持ちがのうてどんな男と一緒になったって同じたい。
おいの反対ば押し切って一緒になったんならそんぐらいの
覚悟しとらんでどげんすっか。そんな意気地のないことじゃ
父ちゃん心配で死ぬることもできん…」
寅、ずっとそれを聞いている。
父親酒を注ぎながら
父親「えらい、娘が世話になりまして、
母親をコマイ時に亡くしましてね…目の届かんことも多くて、…
しかしあんたみたいなよか人に会えてほんとによかった。
ゆっくりしていってくだしゃい今、あの、水イカの刺身造るけん。」
熱燗を作ろうとする。←容器が少しぺコってへっこんでいるところが芸が細かい
しんみり黙っている寅
父親「どうかしましたか?」
寅「まったくなあ、おじさんの言うとおりだよ。
帰れるとこがあると思うからいけねえんだよ。
失敗すりゃぁまた故郷(くに)に帰りゃいいと
思ってるからよ、オレゃ、いつまでたっても
一人前になれねえもんなおじさん。」
父親「故郷(くに)はどこかね?」
寅「くにかい?くには、東京は葛飾の柴又よ。」
父親「ほう…、親御さんはおるのかね?」
寅「うん、もう死んだ。
でもな親代わりにおいちゃん、おばちゃんがいるんだ。
それに妹が一人いるよ。
おじさんの娘と同じくらいの年頃だ。」
↑ほんとは産みの母親(お菊さん)は存命で
京都のグランドホテル(ラブホテル)の経営者
父親「幸せかな妹さんは?」
寅「あっ、子供がいるよ。その亭主ってのがな、
オレみたいな遊び人とはまるで違うんだ。
真面目の上にクソってのがつくくらいなんだ。
印刷工場の職工やってるよ。
(この時、父親が娘の亭主の事を思ってか、ちらっと娘を見る。)
↓
その印刷工場の裏手でもってね、
オレのおいちゃんてのがケチな団子屋やってるんだ。
さくらがよ、あっ、これはオレの妹だけどね、
近所のアパートに住んでるんだ。
買物の帰りなんか、子供連れてね団子屋に
ちょくちょく顔出してよ、くだらないこと
しゃべっているうちに、日が暮れらあな。
『どうだい?晩御飯食べてお行きよ』
『いいよ悪いから』←渥美さんのこの言い回しが絶妙。
『何言ってんだい、これからじゃ面倒だろ?』
『ね、さっ、裏に亭主いるんだから博呼んどいで。』
みんながまぁーるくにぎやかに晩飯よ。
その時になると決まって出る噂がこのオレだ。
オレはもう二度と帰らねえよ。
いつでも帰れるところがあるからいけねえんだ。うん!」
(ここで寅の想像したとらやの人たちの静止画が7枚次々と映し出される。
山田監督には珍しい寅の頭の中のイメージ映像だ。
もっとも実際はほとんどの作品でこのような和気合い合いで、
大歓迎されているわけではない。
時には戸惑われたり、望郷篇のようにのけ者にされる場合もある。
あくまでも寅のいいとこ取りの幻想だといえる。)
船の汽笛『ブオー〜』
父親「風が出てきたな…」
寅「おじさん、今の汽笛はなんだい?」
父親「あれは渡し舟の最終がもう、
ぼつぼつでるちゅう合図たい。」
寅、そわそわ…
父親「どうしたの?」
寅「いや、出るってよ…」
父親「ションベンか?」
寅「ションベンでない」
父親「便所ならこっちにある、いや、表でやってよか」
寅「オリャ帰らねえ、どんなことが
あっても二度と帰りゃしねえよ!
帰るところがあると思うからいけねえんだ。
でもよ、オレ、帰るとおいちゃん、
おばちゃん喜ぶしなあー。
さくらなんか、『お兄ちゃんばかねえ、どこ行ってたの?』
なんて目にいっぱい涙貯めてそう言うんだ。
それ考えるとやっぱり、帰りたくなっちゃったなー。
でもワタクシは二度と帰りませんよー。
でも、やっぱり帰るな!!うん!あばよ!」
この時の嬉しそうな顔
寅「おい!その船待ってくれー!!
絹代「あれー!ウチあの人にお金ば借りとったとよ!」
父親「もう、間に合わんよ…。あの人はちょっと
体の悪かとねー…、可哀想に…」←おいおい(^^;)
渥美さんは森繁さんを、若い頃から尊敬し、
その芸に憧れてきた。
森繁さんとのからみがもう少しあれば、
物語に奥行きが出てさらにこの作品は名作になったであろう。
さすがに森繁さんは、セリフひとつひとつに人を引き込む魅力がある。
森繁さんは渥美さんを無名時代からずいぶん評価して来たと聞く。
それを知っているから渥美さんは一層森繁を慕うのだ。
かつて強く「社長シリーズ」に渥美さんを起用する事を提言したとも聞く。
しかし、会社の幹部が渥美さんを嫌がってそれを許さなかったらしい。
そして、それより前、まださほどブレイクしていない頃の渥美さんを森繁さんの
プロダクション映画で起用して渥美さんの良さを見事に引き出している作品があるのだ。
東宝と森繁プロダクション製作で、渾身の力をこめた映画
「地の涯(はて)に生きるもの」だ。
実はこの映画は観たことがなかったのだが、
寅さん仲間で相模原に住むT.Sさんが、プライベートに録画したDVDを
送ってくださったのだ。
北の果て、若き日を漁師として過ごした第2の故郷の国後島が
すぐそこに見える「知床半島の羅臼」で
今は北洋漁業の番屋の守りをするために、
ネズミ捕り用の多くの猫と一緒に独り越冬する村田彦市老人の話だ。
アイヌ語で、知床は
"地の涯て" "大地の尽きる所" を意味する。
晩秋…人々の去ったあとの番小屋の中には、
漁網が残されるが、それが飢えた鼠を呼ぶ。
その網を鼠から守るために猫が必要とされ、
猫に餌を与えるために守り役が必要なのである。
誰もいない冬、言葉では言えない孤独は、
彦市老人に過ぎ去った人々を回想させていく。
生まれたばかりの3匹の子猫は、かつての3人のわが子…。
彼はかつては漁師の才能に恵まれ、独立して舟を持ち、よき奥さんに恵まれ、
よき子供たちに恵まれるが、
戦争や海の事故や病気が非情にも彼から次々に妻や子供たちを奪っていく。
長男の与作は流氷にさらわれて死に、
二男の弥吉は戦争に招へいされ南方で倒れ戦死した。
妻のおかつも、急性肺炎で寝込み、網走搬送への途中で死んだ。
彦市は東京の工場で働いていた三男の謙三を呼びよせて船を与えた。
その船で漁に出て行った謙三は、嵐に会って帰ってこなかった。
彦市は謙三の死をその後も信じることができなかった。
国後島の見える番小屋の留守番さんを続けているのも、
謙三の帰りを待つためでもあった。
ある夏、網走から来た美しい娘がこの羅臼を訪れた。
謙三の恋人だった。
謙三が死んだ場所を一度見たかったという。
しかし、彦市老人はあえて自分のことを明かさず、
彼女の心を謙三へのしがらみから開放させてやるのだった。
森繁さんは、その老人の30歳代から始まり、最後老人になり、
厳しい自然の中で凍えて死んで行くまでを
完璧に一部の隙もなく演じきっている。
当事森繁さんは47歳。
森繁さんの演技を見るためだけにその映画はあると言っても過言ではない。
無駄の無い、しかも大きな演技、なんともいえない眼の輝き。
渥美さんが生涯森繁さんを慕っていたのがよくわかる。
そして若き日の渥美さんの出番はほんの数分だ。
酔っ払いで怠け者の漁師仲間ハチの渥美さんが、
まんまと森繁さんを口先で騙して、
森繁さんの家族への手土産のタラバガニを
全部ぶん取ってしまう
ずる賢くて、それでいて憎めない役。
人の良さも感じさせるちょっとした遊び人は渥美さんの十八番だった。
渥美さんの類稀なあの溢れるような才能が観客によくわかるように、
森繁さんは渥美さんをじっと見入ったり、上手に控えめに合いの手を
入れられて助けていた。こういうところがさすがだなあと唸ってしまった。
渥美さんに翻弄される時の森繁さんのあの絶妙の「間」は
当事誰もかなわないだろう。
森繁さんの静かなつっこみの中で思いっきり元気にボケる渥美さん。
最高のコンビだった。
森繁さんがあの当事から渥美さんの才能を認めていたことが
あの二人の演技でよくわかった。そんな映画、そんなシーンだった。
渥美さんが「拝啓天皇陛下様」で大ブレイクするのは、
その数年後である。
メリハリがあり、絶妙の「間」あり、誰も真似出来ない滑舌の良さがある。
そして歌もかなり上手い。
このような同じ共通点を驚くほど持つこの二人は、
共に天才と言い切って間違い無いだろう。
それと本編ではカットされたが、
予告編では「福江城」での絹代さんとの別れのシーンがある。
話は長くなった…
それでは本編、寅の帰郷へと入ろう。
↓
柴又 とらや
とらやの裏庭で柿が成っている。
おばちゃんパタパタ掃除
タコ社長「なんだい今ごろ掃除なんかして、大掃除には早いんじゃないか?」
おいちゃん「ちょっと下宿人が来たんでね。」
丹念に櫛で髪をおめかしセットしている
↑おいちゃんも困ったもんだ(^^;)
社長「お、学生さん」
おいちゃん「いや、女だよ」
おばちゃん「ちょっと、訳ありでねー、ご亭主と別居してえからね。
しばらく店の手伝いさせてくれっていうんだよ…
おいちゃん、「うちもな、この暮れ控えてちょうど都合がいいだろ」
社長「ほー、そりゃいいじゃねえかァ、人手不足の折だよ、
亭主持ちだってなんだって贅沢いってられねえよ」
おいちゃん「そーそー、そーそーそー」
おいちゃんいやに乗り気(^^;)
社長「お手伝いが来たんだってねえ、よかったねえ。
どうかねオレんとこでも、そういうのでいいから、来てがいないかね、
なにしろ、手がなくて手がなくて」
人手が足らないくらい注文があるんだね。
この頃の朝日印刷はそんなに経営難でもないのかもしれないね。
後に、社長は、苦しい、首くくりてえ、とか頻繁に言い出すのだが…。
夕子さん、階段を下りてくる。
夕子「おじさん」
おいちゃん「はい!」急にシャキっと。(^^;)
夕子「おじさん、ハイ」←タクシー代310円!安い…
おいちゃん「そんなのいつでもいいんですよ」
タコ社長、食いつくように見ている。スゲ―美人分かる分かる(^^;)
おばちゃん「社長さん」
社長「ハイ!」
おばちゃん「あのね、
私の従兄弟の
嫁いった先の
主人の
姪の夕子さん」
(すげー、遠縁!!もう親戚でも何でもネエぞ!
それにしてもおばちゃん詰まらずに
スラスラッと早口言葉のように言っていた。)
三崎さん、練習したんだろうなあ…。
社長、全身ハートで「ハッ!、いやどうも」
おばちゃん「小学生の頃だったよね、
まだ。一度会ったっきりだもんね。
こんなちっちゃかったよね」
夕子「あら、おばさんだって若かったわよ」
おばちゃん「あら、いやだよ、フフフ」
と雑巾で口を押さえて、ハッ←おばちゃんミニギャグ。
美人だネエ…(@@)
おいちゃん、社長ともどもお口ポカーン…(見とれている)
↑確かに若尾文子さんは美人の典型のような顔だなぁ。
↓
おばちゃん「ちょっとなにポカ〜ンっと口あけてんだよぉ」
タコ社長「スゲェ―上玉だね!!」
←社長ちょっと下品だぞ
社長「見直しちゃったよ」っと首をプルプル振る。
社長「とらやさんの縁続きだとは思えないね」プルプル
だから、縁続きでも何でもないってば(^^;)
おいちゃん「フ!見損なっちゃいけないよ。
俺の親戚がね、寅みたいなヤツ
ばっかりだと思っ…!!」
寅がたくさんいたら町は大混乱だよ(^^;)
社長も黙る。
おいちゃん「いやなヤツのことをことを思い出しちゃったな…」
社長「でもいなくて幸いだったな」
おいちゃん「ほんとだよ、あいつがいたらただ事じゃすまねえぞ…」
社長「でもね、こういう時に限って
帰って来るんだよ、あの男は」
↑社長鋭い命中率100パーセントですね。
おいちゃん「嫌なこと言うなよおめえ、縁起でもねえこと.…」
寅がスーッと前を通る。
おいちゃん気づいてビビリまくる。
(この顔が凄い!
森川さん十八番の顔芸)
社長「ど、どうしたどうした?」
おいちゃん、『もうだめだ顔』して指を指す。
おいちゃん「今、寅のヤロウがな、表をスーッと通ったような
気がしたんだ。いや、これはオレの気のせいだい。
どうも近頃、もうろくしたなオレも…」
タコ社長、も寅を目撃。
社長「あ!!」
おいちゃん「どうしたい?」
社長「オレも見たぞ!」
おいちゃん「見た?」
おいちゃん「ほんとか、おい。気のせいだろ?」
社長「気のせいかな…」
おいちゃん「そうだよ…」
寅、ちょっと向こうで、入ろうか、やめようか迷いに迷っている。
しかし、やっぱり、表情が明るくなって
寅、元気に入ってくる。
「よお!おいちゃん、おばちゃん元気かね、えー!何ねちょっとその辺まで来たもんでね、
どーしてるかなっと思ってちょっと寄ってみたんだよ、うん、」(お土産人差し指に引っ掛けて)
おいちゃん、おばちゃん、タコ社長、固まって呆然と寅を見る。
寅「どうしたの?」
おいちゃん「い、いや、別に…」
おばちゃん、硬直から溶けて「お帰り」
おいちゃん、チラッと奥を見て「あ、お帰り」
社長「お帰り」
寅「おかしいなあ…?」
2階の階段をチラチラ見るおいちゃん。(絶体絶命のピンチ)
寅「何かあったのか?社長、」
社長「え?何にもないよ!オレ、こうしちゃいられないんだ
忙しいんだ!またな」と裏へ逃げていく。
不信がりながらあたりを見渡して、階段の上を見る寅
おいちゃん「あー〜!は!…」
寅「おいちゃん」
おいちゃん「え、」
寅「なんかおかしいよ、え!?オレが帰ってくると
具合の悪いことでもあるんじゃねえのかい?うん?
だったらねえ、はっきり言ってもらった方がいいんだぜ」
と、茶の間を見渡す。
おいちゃん「具合の悪いことなんかありゃしないよ。
よ、よ、良過ぎるくらいだよ」ばれそう(^^;)
寅「良過ぎる?、どうしてそう奥歯にもののはさまったような
言い方するんだ。え?おばちゃん」
おばちゃん「いいえ、別になんにも挟まっちゃいませんよ…」これもばれそう(^^;)
寅「ほら、その言い方おかしいだろ」
おいちゃん、ひそかに階段を『通せんぼ』して、上を気にしている。
寅「嘘でもいいから、『あーよく帰ってきたね』とオレはそう言ってほしいんだよ」
おいちゃん「なんだよ、そう僻むなよ」
寅、通せんぼ中のおいちゃんの肘ストンと払って
寅「だったら、どうしてそう言う態度とるんだよ!
え?おかしいじゃねえか」
寅、工場で博に聞いてくると言って工場へ
すれ違いに夕子すぐ降りてきて雑貨屋へ買物。
おいちゃん、しゃがんで「あー〜、あー〜」
裏の工場
寅「どうも、オレを歓迎しねえ雰囲気がある。
なんかあったのか?あー?」
博「それは兄さんの被害妄想じゃないのかなあ?」
分からんって博(^^;)
寅「え?なんだ、ヒガイモーソーって?」ね。
博「いや、心理学の言葉ですけどね」
「なんだい?シンリガキーって?」
もっと分からんって博(^^;)
博「つまり、そういう学問なんですよ」
「バカヤロー!人が真面目に話している時にねー、
英語なんか使うんじゃないよおまえは」
「すみません」ぺコ←博すぐに問題を回避(^^;)
寅、社長見つけて、「社長!梅太郎さーん!」社長逃げる。
「けー!上等だよ、タコ! 労働者諸君!
稼ぐに追いつく貧乏なしか!
結構結構!けっこう毛だらけ猫灰だらけ、
お尻の周りはクソだらけか!
ハハハ!ってきやがらってまったく!」
ちなみにこの工場のロケは大船撮影所から歩いて
5分の距離にある「三誠印刷株式会社」である。
そこの社長さん「タコ社長」にそっくりだとか。↓
とらやへ戻る
おいちゃん「寅さん、さっきは悪かった。こりゃ、おまえの誤解だぜ…」
寅「5階でも6階でもいいよ。どーせオレは
ヒガイモーソーだからよ!」
階段を上ろうとする寅
おいちゃん「あ、あー!、う、うー!!」(^^;)
寅「おいちゃんよ、たったひとりの甥がね、
はるか南(みんなみ)から寝もせで
こうやって来てるんだぜおい。
いくら、不人情なおいちゃんでも
それくらのことは許してくれるだろ?」
(いいねぇー!この言い回し)
おいちゃん「寅さんよ!実はなー…、
おまえの部屋人に貸しちゃったんだよ…、
だから物置部屋で、おい、つね、布団出してやれ」
寅「おばちゃん、待ってくれ」
下に座って
寅「そうか、そうだったのかい…」
おいちゃん「すまねえな、これはちょっと訳ありでな…」
寅「どうせ、オレはこのうちの人間じゃねえもんな。
だけどよ…そうだったらはじめからひとこと言って
くれりゃいいじゃねえか、なんてこたあねえのによー、
それとも遠慮かい?おいちゃんとオレの仲は
そんな水くせェ仲だったのかねえ…」
おいちゃん「ちょっとどこへいくんだい?」
寅「さくらによろしくな」
寅、店先まで出て
「夏になったら鳴きながら、
必ず帰ってくる
あの燕(つばくろ)さえも、
何かを境にパッタリ姿を
見せなくなることも…
あるんだぜぇ。
おいちゃん、おばちゃん、
オレゃ、もう二度とここのうちには
帰ってこねえよー。本当だぜー、」(土産物を置く)
寅、店を出る。夕子とすれ違う。(^^;)
夕子「ただいま、おばさんこの辺り物価が安いわね、←箱ティシュ70円」
(今なら安売りで70円くらいでよく売っている。昔は100円以上が普通だったかな)
三味線、ペンペンペンペン…
寅、足をつまづかせながら夕子を見る。
夕子寅に気づく。
おばちゃん「あ、あれね、あたしたちの甥なのよ」
紹介されて
夕子 「まあ、甥子さん。あの、夕子です。
ご厄介になります。どうぞよろしく」
寅、低音で「ハハァ…」
夕子「どうも、ちょっと失礼」
寅「へハハハ…」
夕子二階へ
寅ニカーと笑う。はじまったよ…((((^^;)
おいちゃん「ばかだねー」としゃがみこむ。
寅、もじもじ、後ろ髪を引かれながらも事の流れ上、
店の外へ出てしまう。
そのときさくらが来る。←グッドタイミング!
さくら「お兄ちゃん!」
寅「さくら!!」
さくら「いつ帰ってきたの?」
寅「今、たった今帰ってきた!」でた〜(^^;)
さくら「おじちゃんたち!お兄ちゃんよ!」
寅「ただいま!」よく言うよ(−−;)
おばちゃん「おかえり…」優しいね(^^;)
おいちゃん「おか、おかえり…」大変だね(^^;)
寅「元気!?」 ┐(-。ー;)┌
おいちゃんたち「うう…うんうん…」おつかれさま(^^;)
さくら「お兄ちゃん元気だった?」
寅「うんまあぼちぼちな…」
さくら「ネエ今度ゆっくりできるんでしょう?お正月も近し」
寅は全48作で結局一度も正月をとらやで過ごさなかった。
寅、おいちゃんたちをチラチラ横目で見て、
寅「ありがとうよ、今おいらにそんな優しいこと言ってくれるの、
さくら、おまえひとりだよ」メソメソ…(^^;)
さくら「泣いてるの?どうしたのお兄ちゃん」
寅「おまえがいない時ね、
なんだかんだ言ってこの老人夫婦が…」←笑える
夕子暖簾をくぐって店にやって来る。
寅、いきなりすくっと立ち上がって、パッと華やいで、
↑おなじみ豹変ギャグ
寅「さきほどはどうも」
このあたりとらやの「メニュー」の張り紙が読み取れる。
ジュース…50円
サイダー…50円
コーラ…60円
団子一折…300円
(団子はシリーズの後半の方は1000円になっていく。)
冷蔵庫は、今回は『森永』森永マミーの文字も見える。
全48作中雪印が一番多いが、森永やペプシもがんばっている。
寅「えーあー、こりゃ、オレの妹なんですけど…」
おばちゃん「いつか話したろう、遠縁の夕子さん」
寅「そう、遠縁のユウコさん!」 おいおいゞ(^^;)
「さくらです」
寅「そう、さくらです」(^^;)
夕子「まあ、この度はどうも…」
寺の鐘「ゴーン」
夕子「おばさん、ちょっと帝釈様へ。一度お参りしたいと思っていたの。」
さくら「そう」
寅「私も一度お参りしたいと思っていました。
参りましょうかご一緒に」死ぬほど行ってるだろ ヾ(−−;)
夕子「じゃ、さくらさん、後ほど」
寅「さくら、後ほどな」
店を出て
夕子「そうですか、お初めてなんですか、」
寅「お初めてってほどじゃないんですけどね」バカだねえ〜(^^;)
とらや
さくら「どうなっちゃったの?おいちゃん」
おいちゃん指差して、
おいちゃん「あーなっちゃったんだよ…。
あーあー気持ち悪くなっちゃった。
あー〜…」
帝釈天参道
寅、参道で、知り合いに
寅「なんだおまえ、まだ生きてたのか!?やだねーー!!」←お馴染み「参道ギャグ」
御前様に夕子を紹介する寅。
御前様の不信そうな寅を見る目
源ちゃん寺男(小坊主)の格好している。
源ちゃん「御前様が「ぼんさん」になったら飯食わしたるいうさかい…」だそうです。
初期の頃の源ちゃんは、とらやの従業員をしたり、寺男になったり
居場所がはっきりしないが、このあたりから、ようやく題経寺に定着。
源ちゃんをコケにする寅
夕子「フフフ、面白い方ね、あなたって、」
夜、さくらたちのアパート
さくら「ねぇ、誰に書いてるの?」
博「親父にだよ」
さくら「お金の事?」
博「独立するにはなんとか機械を持たなくっちゃ…、
機械さえあれば」←80万円!
↑博が独立!タコ社長えらいこっちゃこれは!
満男可愛く部屋をうろうろしている。
『ゆづ餅』のダンボール箱がおもちゃ入れ。
さくらなんとなく乗り気でない表情…
とらやの朝
寅起きたばっかりで裏庭で背伸び
おばちゃん2階で「夕子さん?」
寅、上を見て思わず植木鉢の中身だけ引っこ抜く。『ポコ』
「お昼まで寝かせて欲しいってよ」
「へぇ、どっか悪いのかなあ」
「疲れが出たんだろう、いろいろあったらしいから…」←別居問題
寅あわてて戻ってきて
寅「万が一ってことがあるじゃないかよ!
電話だよ電話!医者医者!医者を呼べよ早く!」
夕子寝ている(下から声が小さく聞こえる)
寅「なにい忙しい?それでも医者か!夕子さんがペストかコレラに
なったらどうするんだ!?え?
夕子さんてのは病人の名だよ!何ィ!?
女に決まってるじゃないかまったく!」←近くにいるおばちゃん唾かけられまくり
寅「何ィ!年はいくつくらいだ!?
ふざけるな!このスケベ医者!!」
医者がきて
↑後の2代目おいちゃん
松村達雄さん登場!!
寅「だいじょうぶか?あの医者」
おいちゃん「あの先生はね、ちょっとでも自信がないと、
すぐ他の医者紹介するんだ。
その点じゃ信用していいよ」
寅「情けねえ医者だなあ、じゃぁ、
ずいぶん今まで殺してんだろ?」←おいおい…(^^;)
医者降りてくる。
医者「いやー、なんでもないちょっと疲れてるだけだ。
一日ゆっくり寝てリャ治るよ」
寅「よく診てくれたんでしょうね」
医者「見た、見た、じっくり見た!!
しかし、美人だネエ!!」
寅「何ィ!!?、
いっていドコ見てたんだよ!?」
「どこったって…オッパイ…」←身振り手振りつき
寅「あ―――!!!」←寅錯乱!(@@;)
医者の首絞める
寅「あっ!タコ!
てめえは何ゲラゲラ笑ってんだ!このやろう!」
二階のおばちゃんと夕子
おばちゃん「ごめんね、騒々しくて、あいにく変なのが戻ってきちゃって、
根は悪い人間じゃないんだよ」
↑おばちゃん優しいね、寅をかばってる。
夕子「でもね、私ここに来て、ほっとしてるの…。
人間が住んでるって気がして。
だから夕べは久しぶりにぐっすり眠れたわ、本当よ」
おばちゃん「そうかい」
いったい、どんな暮らししてたんだろうね、夕子さんって…。
それを思うと悲しくなってくる。
しかし、同時に、彼女の優れた感覚が
垣間見れるシーンでもある。
下から寅の声が聞こえてくる。
寅「病人にうるせえんだよ!工場の機械止めろ!」
↑そういえばこの機械止めろのパターン「相合い傘」の中で
リリーがとらやに泊まった時にも使っていた。
このシーンの中でおばちゃんが襖の方も開けている貴重なアングルが見れる。襖の向こうに
下への階段が見れる。
題経寺の前
さくら、通りかかる。(江戸川ラインハイキングコースの立て札)
源ちゃんが門のところで町内の人集めて浪花節で寅をちゃかしている。
「♪寝ては夢〜、起きてはうつつ〜幻のぉ〜、
♪さてこの寅さんの幸せがいつまで
続くことでしょうかぁー!!」
みんなでハハハハハと笑っている。
さくら、呆然…(TT)
大塚君代さん登場。顔があまり映らない・・^^;
とらや 夜
寅が風呂のお湯をワリワリ板でかき回している。
寅「♪十五、十六、十七、と〜私の人生暗かったぁ♪〜とくらぃ」
寅が歌っている藤圭子の『圭子の「夢は夜開く」』
(1970年)は園まりが歌ったのをカバー
したとのこと。だから曲のタイトルに「圭子の」で
枕詞がついている。ちなみに、ちあきなおみ
も『なおみの「夢は夜開く』を歌っている。
宇多田ヒカルさんのお母さんはスターだったんだなあ…。
たしか前川清と一度結婚したと思う。
寅「おばちゃーん!風呂沸いたよー!」
おばちゃん「夕子さん、お風呂どうぞ」
さくら「そろそろ帰ろか、満男ちゃん」
おいちゃん「いいじゃねえか、めし食ってけよ、博さん残業だろ、」
おばちゃん「もうあんたたちの分作っちゃったよ、博さん呼んで来るからさ」
やっぱりさくらって遠慮するんだね、甘えだしたらキリが無いからね。
おいちゃんやおばちゃんたちに言わせれば、水臭いのかもしれないが、
こういう遠慮が長続きのコツとも言える。人生の機微だ。
↑この場面は五島の中村旅館で寅が
一人語りして想像していた場面の再来。
夕子「どうもすいません、それじゃ、お先にいただきます。」
寅「汚い風呂ですけど我慢してくださいね、何しろこの家は貧しいものですから。」
寅夕子が入ってからもじもじ、せわしない。
満男のおしゃぶりをくわえたりする。
ゴーン…
「もう6時だな…」
もじもじ…、そわそわ…、(^^;)
寅「なんだ、おいちゃん、なに考えてんだ?ん?」
おいちゃん「おめえと同じことよ」
寅「い…いい年してなんだよ!汚ねえよ!
考えてる事が不潔だよ!まったくなあ!
ああ、オレは恥ずかしいよ。
こんな卑しいジジイがオレの身内だと思うとなぁ…」
おいちゃん「なにいってんだい?あー今日も日が暮れるなぁって…」
寅「うそだよぉ―!ハハハハ!隠したってダメだよ、
今その口で言ったじゃねえか!オレと
同じ考えだって、そうだろ!ハハハ!
なぁ!ハハ…
…あれぇ―??」
(さくらの顔怒っている)
↑このギャグは第28作「紙風船」でも使われた。
愛子が寅と相部屋になった時に使っていた。
もっともその時は愛子が寅の役割だったが。
おいちゃん「そうか!!おめえ、そういうことを…!
分かった、へっ!汚ねえのはてめえじゃねえか!
恥ずかしいのはこっとのほうだい!いい年して
ニキビづらの中学生みたいに…
あーいやだ!あーいやだ!」
さくら、おしゃぶりを寅から取って、帰り支度を始める。
寅「そんなにいやかよ、上等だよ!
そちらさんみたいに上品な方じゃないんだよ!へへ!」←居直った寅
寅「鼻くそ丸めるついでに
団子丸められたんじゃかなわねえよ!」
おいちゃん「この野郎!オレが一番気にしてることを!
もういっぺん言ってみろ!」
気にしてるって…、おいちゃん(^^;)
寅「なんべんでも言ってやる!
近所のガキどもはみんな言ってるぜ、
とらやの団子はね、ハナクソ団子だってよ!!ハハッハ!」
おいちゃん「くそー!!ヤロー!!テメエー!」揉み合いになる。
おばちゃん「いいかげんにおしよ!!
夕子さんに聞こえたら
恥ずかしいじゃないか!
なんだいふたりともいい年して!」
さくら「やっぱり帰ってこないほうが
よかったんじゃない!?」
さくら帰る。
おばちゃん「さくらちゃん、怒ったよ…」
おいちゃん「謝ってこいよ…」
寅、さくらを追いかける。
おいちゃん「効いたねー!今のひと言は
バシィッ!!と効いたねー!」
題経寺山門前で
寅「悪かったよ、どんなふうにも謝るからさー、機嫌なおせよおまえ…」
さくら「今日だってこの道歩いていたら、ここんところで源ちゃんが
川甚さんや菊寿司さん集めて
お兄ちゃんの悪口言って笑ってたのよ」
寅「えー!源公のやろうがー!あのやろう、張り倒してやる!」
さくら「どうして…?、(泣きながら)どうして
お兄ちゃんはそんな人にそんな人に
笑われるようなことばかりするの?」
寅「えっ…泣くなよ、おまえ…」
さくら「そりゃ、夕子さんはきれいな人よ,
誰が見たって
素敵だって思うわよ。
でも、お兄ちゃんとは関係ない人よ」
寅「そんなこと言われなくても分かっているよ。
頭の方じゃ分かってるけどね、
気持ちの方じゃついてきてくれねえんだよ。ねっ!
だからこれはオレのせいじゃないよ」
あんたのせいだよ(−−)
さくら「だって、その気持ちだってお兄ちゃんのものでしょ?」
寅「いや、そこが違うんだよ。早い話がだよ、
オレはもう二度と柴又に戻ってこないと、
そう思ってるんだよね。
でも、気持ちのほうじゃ
そう考えてくれねえんだよ。あっ、と思うと
またオレここに戻って来ちゃうんだよ。困った話だよ。」
「フフ…」笑ってしまうさくら
寅「なんだい、おまえ、笑いごとじゃねえぞ、おい…真剣な話だぞ。」
さくら「そうね…本当に困った気持ちね…」←さくら、優しいね」
さくらのマフラーをなおしてあげる寅
さくら「帰るわ…」
寅「そうかい、うんうん」
さくら「おやすみなさい」
寅「うん、じゃ、おまえ気をつけてよ、
そういう訳でよ、オレも反省するから、よし!」
寅、ヘルメット付けてこっち見ている源ちゃん見つけて、
ヘルメットごと張り倒す。
寅「しまいにゃ、怒るぞ!!」
源ちゃん大泣き
寅、手がしびれて、
三味線ペペペペペンペン…
横浜市西区宮崎町30
横浜成田山 本堂下 階段横
ラーメンどんぶりなどの食器をバイしている寅。
1971年1月10日号、『増刊号』
話は少し脱線するが…
実は、このロケ地はどの寅さん本やサイトにも『柴又の神社の縁日』と書かれている。
しかし、そんなはずは無いと寅友の寅福さんはおっしゃる。
柴又ではあんな高台に寺院はないと。
確かにその通りだ。
なるほどと思い、いろんな資料を駆使して調べた結果、
昔のキネマ旬報の中に非常に興味深い記事を発見した。
1971年1月10日号、『増刊号』
この号は第6作が放映される直前の特集なのだ。
そこに『39才.映画監督 ― 山田洋次』
という取材記事があった。
もちろん以前にこの記事は一度読んでいるのだが、結構忘れてもいるのだ(^^;)ヾ
その中のこういう一文が目に止まった。
『クランク.インは十一月二十一日横浜.野毛山ロケから始まった。
この日は寅さん十八番のバイのシーンであった。
前日の雨もカラリと晴れ「寅さん来る」の報に見物人が殺到。
渥美清の動きに目を凝らしていた。
だがそれ以上に目を凝らしているのが山田洋次監督。
意外に澄んだ、そして高い声でテキパキと指示を与える。』
第6作は二度啖呵バイが登場する。一度目はもちろんこの高台の寺の石垣の下。
もうひとつはラストでの啖呵バイ。これは場所がはっきりしていて静岡県浜名湖湖畔である。
ということはこの取材の『横浜.野毛山ロケ』こそが
探していた啖呵バイのロケ地に違いないのだ。
はやる気持ちを抑えながらグーグル地図と空撮で大きな寺院を探す。
真言宗 智山派 横浜成田山
関東三十六不動霊場 第三番
成田山横浜別院
寺号は延命院
一般的には『野毛山(のげやま)不動尊』と呼ばれる。
本尊:不動明王
いくつかのサイトにはこのように書かれてあった。
成田山横浜別院は、野毛山不動尊の名で知られ、
横浜開港の頃(明治初期)、易断で名高い高島嘉右衛門氏等の協力により、
明治26年大本山成田山新勝寺(千葉県成田市)の横浜別院として分霊され、建立される。
成田山には、大本山成田山新勝寺(千葉県成田市)のもと、
8つの別院と12の分院、39の末寺、14の末教会があるが、
成田山横浜別院は、その由緒ある8つの別院のひとつ。
世界平和、万民豊楽を祈願している。
本尊である不動明王は、もと徳川家の秘蔵仏であったが、
元禄年間成田山へ徳川家より累代祈願を懇願された際に
賜ったもので理源大師の御作といわれるそうだ。
横浜市西区宮崎町30
電車・バス
JR京浜東北線(又は東急東横線)・桜木町駅より330m。
京浜急行本線・日の出町駅より450m
近くには伊勢山皇大神宮もある。
ADの印が横浜成田山本堂、そこから下に長い階段があり
赤丸印をつけたあたりで寅が食器のバイをしていた。
本堂 向こうは横浜市職員会館
階段脇石垣の下の狛犬の見事な石彫も健在。(似た画像を検索して同じ位置から見てみる)
キネマ旬報の記事の中のスチールにも映画に出てくる石彫の狛犬が見られる。
これもキネマ旬報でのスチール。
寅の背後に広がる町並みは40年の時を経て激変!!
桜木町や伊勢佐木町、みなとみらい、山下公園、元町、そして横浜港などが
遥か向こうにあるのだろう。昔は海が見えたそうだ。
これもキネマ旬報に載っていたもの。 右の写真のめがねの方は朝間さんだと思われる。
狛犬越しに見えるランドマークタワー
もっと詳しい経緯を知りたい方は『寅次郎な日々403』をご覧ください。http://www.yoshikawatakaaki.com/lang-jap/torajironahibi.htm#403
また寅福さんが、その後、2009年6月下旬に実際に
横浜成田山へ行かれている。
その時の写真が寅福さんのブログに満載。
ぜひご覧ください。
ちょっと立ち直ってバイをしている寅
寅の啖呵バイを取材で録音している若者二人。「ラーメンどんぶり」をバイしている
寅「結構毛だらけ猫灰だらけお尻の
まわりはクソだらけ、ってね。
タコはイボイボにわとりゃハタチ、
いもむしゃ、ジュウクで嫁に
行く、ときた!」
バシ!!
黒い黒いはなに見てわかる、
色が黒くてもらいてなけりゃ
山のカラスは後家ばかりっ!ね!
色が黒くて食いつきたいが
あたしゃ入れ歯で歯が立たないよときやがった!
、どう!
バシ!!
まかった数字がこれだけ!どう!
バシ!!
ひとこえ千円といきたいが、ダメか、
八百!六百!よし!腹切った
つもりで五百両!!もってけ!オイ!
寅「どうだい?うまく入ったかい?」
「ええ、じゃ、どうも…」(と、五百円差し出す)
寅「いいんだ、いいんだ、いいんだ。あっ、そうかい…」
ささっと腹巻にしまう。
「どうもありがとうございました。」
とらや
工場の従業員がとらやで昼ごはんを食べている。
夕子「お待ちどうさまでした。」
「すいませんお茶ください」
「はい」
さくら入ってきて
さくら「あら、こんなところでごはん食べてるの?」
おばちゃん「夕子さんがお店にいるとね、お客が増えちゃっててんてこ舞いだよ」
さくら「おいちゃん、お兄ちゃんどうしてる?」
おばちゃん「なんだか知らねえけどよ、毎日稼ぎに出てるよ。」
おいちゃん「そのうちひと騒動起こすんじゃネエかー?」
さくら「知らねえよ、オレゃ…、か…」←おいちゃんの口真似で
タコ社長えらい形相で源ちゃんを蹴散らしながら
参道をスクーター飛ばしてとらやに来る。
社長「だめだー!オレの工場、もうだめだー!」
もともとだめだろ(−−;)
おいちゃん「おい、どうしたとうとう不渡りだしたか!?」
社長「何いってんだい!博君のことだい!」
このころは『博君』後には『博さん』
おばちゃん「博さんがどうしたの!?」
社長「何にも知らねえのか」
おいちゃん「知らねえよオレは、悪いことでもしたのか?
使い込みやってもしれてるしなぁ、
おまえの工場じゃ。」(^^;)
社長「博君、オレのとこ辞めるらしいんだよ!」
みんな「ええー!!」
社長「さくらちゃん!!どうなんだよ!ほんとうかい!?」
さくらちゃんと呼んでいる。
さくら「まだはっきり決まったわけじゃないのよ、
ただ計画だけはね、機械とか家とか…」
社長「あー!ダメだ!ダメだ!
オレの工場ダメだー!オレの工場…」
←タコおいちゃんにツバかけまくり
っていうか、十年も二十年もあの工場で
満足している方も、それはそれでちょっと特別な感覚かも(^^;)
遠くで募金のキャンペンの車通っている。
スピーカで
『♪あなたの温かい手を
恵まれない方々にお渡しください…』(^^;)
社長さんには悪いが、この募金ギャグには笑った。
さくらたちのアパート
寅が来ている。
(サントリーホワイト)
さくら「独立して自分の工場持ちたいっていうのが
結婚した頃からの博さんの夢だから
私だってなんとか実現させてあげたい
と思うのよ。でも、今、博さんがあの工場辞めちゃったら
本当につぶれてしまうかもしれないのよ。
それよりも一緒に働いていた人がどんなにガッカリするか…。
いつまでもこんなところにいたくないって気持ちは誰だって
同じだもんね。その同じ気持ちで我慢していることが
わかっているからこそなんとかいままで辛抱
してやってこれたんだもの。」
さくら、優しい口調で
なかなかシビアな分析をするなあ…。
社長の工場は「こんなところにいたくない」ような場所だって
しっかり思っているんだね…。
博「それを言ってちゃいつまでも同じなんだよ。
いってみりゃ、今までオレはそのことで
我慢してきたんだ。もうこれ以上は…」
さくら「そりゃよくわかるわよ。でも、独立したからって
未来がバラ色に輝くわけじゃないでしょう?」
博「だから、女の考えは進歩がないって言うんだよ」←博少し偏見
さくら「どうして?」
博「新しい事をやるには危険がつきものだよ。
人生は賭けだ!、ねえ兄さん」
寅「そうよ!人生は賭けよ!…あー独立結構!
おまえ社長だよ!なー!、さくらはさしづめ
社長夫人だよ!えー!、
こんな、おまえ狭っくるしいアパートでもってよ
内職なんかするこたあねえんだよ、
芝生のある庭の大きなお屋敷で
目まで毛糸がほつれて垂れ
下がっちゃった犬かなんか抱いてよ、
『あら、奥様ごきげんよう』なんてよ、このやろう、
どうするさくら、おまえ!」そこまで考えるか…(^^;)
上手くいかなかったことを考えないのかね寅って…。
上の語りは第11作「忘れな草」の
『ピアノ騒動』の時にも使われている。
寅「博、タコに気兼ねしてるようじゃ、
おまえもフーケン主義者だよ。
いまどき、人情だとかさ
ハチのアタマだとかアリのオチンチンなんて
古いんだよ!よし!この話、オレが社長のタコに
話してきてやろうじゃないか!」
↑このギャグは第1作で博に使ったもの。
出て行く寅
さくら「え?お兄ちゃん待ってよ!」
寅「いいんだ、いいんだ!あんちゃんにまかせとけ!
大船に乗ったつもりで待っていろよ!」
とらや
寅「おばちゃん、ただいま!」
おばちゃん「おかえり、話どうだった?」
素通りしてヒューッとと裏の工場へ
寅「行ってきます」
タコ社長の居間大公開!!!
社長「あー!寅さん!いいところへ!さ、さ、ささ!」
↑タコ社長凄いカッコウ新聞紙の兜かぶって、
おもちゃの白いプラスチック刀を腰に差している。
なんと2兄弟2姉妹の計4人
上から順番に↓
★おとなしくて頭のよさそうな『お兄ちゃん』と呼ばれている長男
★そうとうおてんばそうな長女。←これが後の「あけみ」(美保純)
★超ヤンチャなチャンバラ好きの次男。
★『ミー坊』と呼ばれている次女。
奥さんは第1作のさくらの結婚式に
仲人役で出てきた水木涼子さんである。
「あけみ」以外の子供達の消息はその後分からない。
ほんとうに謎の家族。
寅「な、なんだよ…」
社長「さあさあ、ミー坊は向こうへ行ってなさい」
遠くの方で声「ねんねしよ、ね」みんなガヤガヤしている
社長「おい母ちゃん、酒だ酒だ」
長女(あけみ)がおもちゃの
バットとボールで遊んでいる。ワイワイ
奥さん「静かにおしよ!!」
長男だけは勉強していて静か。
社長「あんたを男と見込んで堤梅太郎…」
(後に監督の設定変更で桂梅太郎に
なるが、桂はついに本編では使われなかった。)
第6作の脚本でも『堤梅太郎』と、なっている。
『共栄印刷』やとらやのニ階ともども初期作品の、不具合である。
★映画(本編)の中だけを見る限りでは
社長のフルネームが出てくるのはこの第6作の堤梅太郎のみ。
後の作品では「梅太郎」としてしか出てこない。
それとはべつにその後、脚本や関連書物などで
桂姓を松竹やスタッフたちが広めていったので今や
世間一般の認知としては桂梅太郎になってしまっている。
という事になっている(^^;)。
いきなり次男が切り込んでくる
「ヤー!!」次男もタコ社長と
同じ新聞兜に刀差し(パジャマ姿)
社長「うるさい!!あっち行ってな!!」
タコ社長の兜吹っ飛ぶ
社長「博さんに辞められたらオレは
首くくらなきゃならねえ、
見てくれ、後に残ったこのかわいい子供たち、
このかわいい奴らがだな、路頭に
迷ってしまうんだよ!
そんなムゴイことしてまでも博さんは辞めなきゃ
いけないのかい?なあ、寅さん!」
遠くで長女「ねえ、かあちゃん…」ガヤガヤ
奥さん「あっち行ってな!!」
社長「オレは言いたかねぇけどな、
北海道の親元を飛び出してきて
頼るところのなかった博さんを
工場の2階に住まわせて仕事を覚えさせ
て今日までにしたのはこのオレだよ!」ガヤガヤ
ボールタコ社長の頭かすめる。
社長「バカー!!いたい!!」
奥さん遠くから「あっち行ってな!!!」
全体にまったく騒々しい。
頭のよさそうな長男勉強机から寅の方見ている。
社長「義理と人情に生きる者だったら
これだけ言えば分かって
くれるはずだ。」
腕を組み考えて考え込む寅
『こっくり』うなずく。
社長「引き受けてくれるのかい?
寅さんありがとう!命の恩人だ!
おまえ、礼を言わないか、礼を!」
奥さん「ハイ!よろしくお願いしますね。
なんたってお兄さんの口から
言っていただければねえ!」
水木涼子さん、結構長いセリフ。
寅「ま、オレに任しな」
二股かけた!しらねえよ( ̄ー ̄;)
社長「お兄ちゃん(長男)魚甚で蒲焼買って来い。
400円の一串だぞ!←おいおい社長せこい(^^;)
今夜は寅さんにご馳走するんだよ。」
寅、やばいなー、の顔
翌朝 とらや
タコ社長、おいちゃんたちに寅いるか聞いて、あわただしく駆け上がっていく。
おいちゃんたち「?」
とらや 二階
社長「寅さん!寅さん起きてくれよ!夕べ話してくれたんだろ?」
寅「何を?」ふとんに入ったまま凄く眠そう
社長「なにをって、博さんにだよ」
寅「ああ…話ついたっていったじゃないか…」(眠そう)
社長「じゃあ、オレの気持ち分かってくれたんだな!
工場辞めないですむんだな!」
寅「そうだよー」(ほとんどうわの空)
社長「そうか!ありがとう!寅さんほんとにありがとう!
起こしてすまなかったな」
寅「冗談じゃねえよ、朝っぱらから」またふとんに潜り込む
とらや 台所
タコ社長降りてきて
社長「あー、よかった!竜造さん、助かったよ!」
おいちゃん「そら、よかった…。…?」
おいちゃん、わかってない(^^;)
そのあと博が来て同じように
博「兄さんまだ寝ていますか?」
おいちゃん「うん」
博「ちょっと失礼します」2階へ駆け上がる。
おばちゃん「どうしたんだろう?」
おいちゃん「…さぁ…??」
(おいちゃんよく分かんなくてタコ社長の立ち去った方向と
博の駆け上がった方向をきょろきょろ見る)
とらや 二階
博「じゃあ、本当に社長に話をしたんですか。」
寅「うん、話はついたよ」(これまた凄く眠そう)
博「そうですか、じゃあ、社長は僕が独立することをお受けして
くれたんですか。」
寅「あーしたした」(眠そう)
博「兄さん、どうもすみませんでした。」
寅「あー、もう少し寝かしてくれよ…」(またすぐ布団かぶる)
工場の中
博「おはようございます。あの―兄さんから聞いたんですが、この度はどうも…」
社長「いやほんとにこちらこそどうも」
博「申しわけありませんでした。」
社長「冗談じゃないよ、それはこっちのセリフだよ」
博「なんと言っていいか…」(すまなさそう)
社長「分かってるよ!ありがとう!」(嬉しそう)
博「ありがとうございました」
社長「今夜お祝いにパーッといくか!な、みんなそうしよう!今夜は残業止めて
パーッと派手にやろう!!必要経費でな!ハハハハ!」
←どこまでもせこい社長でした(^^;)
このシーンで工場に女性の従業員が
いるのが映し出される。新発見!
とらや 宴会
社長「さあ、姐さん達、柴又芸者の腕に
よりをかけてサービスをしとくれよ!」
(年配の芸者さんが2人呼ばれて来ている)
(今回もサッポロビール)
芸者役は松竹大部屋 秩父晴子さん、戸川美子さん
夕子さんよく働いている
さくら遅れてやってくる。
おいちゃん「なんせ、突然の宴会なんでてんてこまいなんだよ。
社長の奴、安く上げようと思ってオレんちなんかでやりやがるから」
さくら「でも、よく社長さん辞めること
許してくれたわねー。」
夕子「それが、さくらさん、社長さんの話では
博さんのほうが諦めてくれたって言ってるわよ」
さくら、えっ!?と彼らの方を振り向く。
おいちゃん「見ろよ、あのえびす顔!」
社長と博和気合い合いで飲んでいる。
心配そうに見ているさくら。
さくら「どっちが本当なの?」
おいちゃん「さあ…オレもあんまりつっこんで聞くと
差しさわりがあるような気がしてな…」
夕子「でも、寅さんがね、オレがうまく
さばいてやったから安心しろって…」
さくら「お兄ちゃんが…?」
おいちゃん「さっ、それだよ!」
それがくせえってんだよ!あの野郎、
またまた何かやらかしたんじゃねえかな?
知らねえぞ、オレゃ…」
↑さすがおいちゃんきちんと見抜いている。
「無責任ねえ、おいちゃん」
寅必死で話をはぐらかせようとしている。
博上機嫌で「兄さん、これだけは言わせてくださいよ」
社長上機嫌で「ま、ま、寅さん、聞こうじゃないか」
寅「そうかよ!じゃ、勝手にしろよ」
博「社長、北海道を飛び出して新宿でぐれていた僕を拾って
今日まで育ててくれたのはあなたです。本当に僕は
感謝しています。」
社長「ありがとう、うれしいよ、オレはそう言われると…」
この間にも寅は必死で話をはぐらかそうとする。
博「そして、また、今夜のこと、僕がいなくなれば社長が
困るのは目に見えているのに快く辞めるのを許して
くれるなんてなんと言っていいか、社長はいい人ですね…」
社長「いやー、ありがとう。君がやめ…???」
タコ社長ショックで呆然
寅「君、お酒ついでくれる…?」一同無視
寅、バツが悪くてビール瓶の上にお猪口乗せる。
博「みんな聞いてくれ、実はとっても言いにくいことなんだけど、
だいぶ前から僕は工場を辞めて独立する計画でいた。
このたび社長が快く許してくれたことを機会に…」
社長「違う!!そりゃ話が違うよ!!なんだい、どうなってるんだい!?
おい!寅さん話がぜんぜん逆じゃないか!」
博「逆?逆って、どういうことですか兄さん!?」
寅「知らないよ、オレ」でた〜(^^;)
おいちゃん「寅!なんて言い方だ!
知らねえよオレとは何だ!
そんな無責任な口の利き方あるか!!」
この森川ギャグ最高です(^^)!!
寅「うるせえな!遠くの方から。だまってろ!」
博「じゃぁ社長、社長が承諾してくれた
というのは違うんですか?」
社長「オレが承諾なんかしてたまるか!!
よくもそんな恩知らずなことをしてくれるな!
おまえがこの工場辞めたら
どうなるんだ!?
つぶれちまうんだぞオレの工場は!」
寅「上等じゃないかよ!おまえの工場が
ぺシャンとなりゃスパンと
日当たりが良くなるんだよ!」
社長「言ったなあ!よくも!」
もうめちゃくちゃな取っ組み合い
おいちゃん「謝れ!おまえが悪いんだ!」
芸者さんたち「あぶない!あぶない!やめなさい!」
博、その場を抜け出して帰ろうとする。
さくら「博さん、どこ行くの」
博「僕、帰ります!不愉快だ」
さくら「博さん、そんな帰りかたってないわよ」
博「どうして」
さくら「せっかく楽しくしているみんなの気持ちにも
なってごらんなさいよ。」
博「しかし、あんまりだよ、今夜のことは」
さくら「でもそれは、元はといえばね、
私たちがお兄ちゃんに相談したから
いけないのよ。」
真っ当な考察(^^)
博「しかし…」
さくら「お兄ちゃんの言葉を真に受けた私たちが悪かったのよ」
博「これが独立できるチャンスなんだぞ、今は」
さくら、博にハガキわたす。
さくら「これ、今日北海道のお父さんから来たハガキよ。
80万ものお金はないらしいわ。
いくら退職金が入ったからって
公務員なんだもんね」
↑博のお父さんはなかなか厳しい!博を甘やかさない。
博、呆然とする。
さくら「だから、機嫌なおして早く謝りなさいよ、ね!」
にっこり笑うさくら←この笑顔がいい
社長「卑怯だぞ!博さん、どうなんだ!?本当に辞めるのか?」
寅「こんなボロ工場辞めちまえよ!」
社長「(寅に)みんなおまえが悪いんだぞ!」
タコ社長寅の頭をバシッと叩く!!
おいちゃん「そうだ、おまえが悪いんだ!」
寅「こんなことやったなあ!おめえは!」寅、タコ社長に叩き返す
もう大喧嘩でドタバタドタバタ
さくら「やめなさい!やめなさい!」
さくら「夕子さんが見てるじゃないの!」
一同シーン
さくら「今日のことはみんなお兄ちゃんの責任なのよ」
寅少し我に帰って、「……」
博「社長」
社長「なんだい!」怒っている
博「僕、撤回します。みんな悪かったな。」
工員達安堵の表情
博「どうもすいませんでした。」
寅「ほぉーっ、本当か、さくら」
さくら「うん」
一同「……」
おいちゃん「まあなんだよ、博さん、
あと2年か3年したらさ、
オレもこの店でも売って力を貸すからさ、
その時になりゃな、
社長おめえだって応援するよな、」
↑さすがおいちゃん年の功!心に響くねぇ!
社長「ありがとう、
ほんとうにありがとう。オレ助かったよ…」
床にヘナヘナと座り込む。
おいおい泣き出す社長、
おいちゃんの前掛けで涙拭く
おいちゃん「えっ?よせよ。泣くなみっともねぇ」
さくら「そうよ、社長さん」
寅「おまえもムキになって社長に
なりたがることないぞ、これがいい見本だよ。
せいぜい行ってタコ止まり!働きゃ、働くほど、
こうやって苦労しょい込んでるんだからな」
社長「ほんとだよ、いいことなんかありゃしねぇよ、
つれぇことばかりだよ」
寅「分かってる、分かってるよ。
でもなタコ、こんなことばっかり続きゃしねえぞ。
おめぇそのうちにグーっと運勢が上がっていくよ!」
社長「そうか…」
寅「そうともおめえ(ぷっ、と笑って)
「凧凧揚がれって言うもんねー!」
一同ハハハハハ!!!みんな笑いがとまらない。
おいちゃん「冗談言ってる場合じゃないないぞ,笑うなよ」
もう笑っていいんだよおいちゃん(^^)
寅「スッと出ちゃったんだよ」と笑っている。
さくらも博も笑っている。
おいちゃん「おまえたちまで、なんだよ」といいながら自分もにやついてしまう。
夕子笑いながらも目に涙を貯めている。
さくらがそのことに気づく。
夕子さくらに見られたことに気づき
2階へ上がっていく。
さくら、少し気になって2階へ
さくら「どうかなさったの?」
夕子「ごめんなさい。わたしね、
私が今まで暮らしてきたまわりは
あんな自分の気持ちを隠さないで
笑ったり怒ったり泣いたりすることなど
一度もなかったわ…、私達の生活なんて
嘘だらけなのね。
そう考えてたら急に涙が出てきちゃって…」
少しまた泣く。
さくらも目に涙。
★珍しく朝日印刷の表玄関が映る。
これが最初で最後。
(従業員慰安のため臨時休業いたします)
江戸川
江戸川で舟遊び+船の中で宴会!
←すごい発想。季節選べよ。
こんな寒い時に誰もやらねえぞそんなもん(^^;)
「♪木曾のなぁ〜、なかのりさ〜ん、
木曾の御嶽山〜はなんじゃらほい♪」(お馴染み木曾節)
博、タコ社長、工員たち、夕子さん、さくら、社長の長男!も座っている、
2艘の船で川下り 寒そ〜〜…
寅、仲間に入れてもらえず源ちゃんと土手で焚き火
博も歌う「♪袷なー〜なかのりさーん、
袷せやり―たやーなんじゃらほい♪」
寅、土手から「おーーい、おまえ達は貧乏だぞー!」
数日後
例のスケベ医者(2代目おいちゃん)走ってとらやに来る。
おいちゃん「先生、ここ2〜3日まえから食欲がなくなりましてね…」
医者「早速診ましょう!診ましょう!2階ですね」
夕子さんが病気だと
思っているので髪の毛を唾で整える(^^;)
荷物部屋に行かないで台所の階段のほうへ
夕子階段から下りてきて
夕子「病人は寅さんです」と自分の階段の上を指差す。
おかしいぞ、夕子さん、寅が寝ているのは荷物部屋。
台所の階段からは行けないはず。
それとも、例の開かずの茶色いドアを開けて、
今だけ廊下を行き来しているのか??
医者「寅?……あなたは元気?」
夕子「はい、おかげさまで、とても元気です」
医者「そりゃ結構だ。じゃ、帰る」
おいちゃん「それじゃ、病人は?」
医者「電話のときにはっきり言ってよ!
寅なら3〜4日食べなくても
死にやしないよ。私は忙しいんだ」
おいちゃん「だったら寅がかわいそうですよ」
医者「だったら精神科の医者に
電話したらどうかね?」
おいちゃん「ひでーなー…」
↑
森川信さんは第8作の直後に亡くなられてしまい、
第9作から松村達雄さんになるが、
くしくもこの二人が第6作で上の画像の
ように競演しているのは感慨深い。
さくら、2階に上がって寅の様子を見る。
寅「体の真ん中に穴っぽこが空いちゃって、
そこをスース―風が通ってゆくような
気がすらぁ、どういうのかねぇー。」
さくら「そうねえ、困ったわねぇ…」さくら本片付ける(少年ジャンプ)
寅の愛読書は少年ジャンプだった!
「お稲荷さんの赤い鳥居にションベンかけたのが
悪かったのかなあ…?」
と考える寅。
夕子2階にやってきたので寝たふりする寅
夕子「寅さんはいいわー、こんな温かい家があるし、
こんないい妹さんがいらしゃるんですもの
幸せよ…」
(夕子さんは孤独なのである)
下でご飯食べてる博とおいちゃん
おいちゃん「♪お医者様でも草津の湯でも、のアレか?」
博「そうですよ、絶対恋の病ですよ。
でも何かの拍子でコロッと治る」
おいちゃん「何かの拍子てえと?」
博「彼女に優しい言葉かけられたりしたとか…」
寅、降りてくる。
夕子「あら、具合いかかですか?」
寅「悪いよ…」
また上にあがっていく
夕子心配そうにおいちゃんや博に向かってご飯食べながら
夕子「寅さんが病気だとまるで消えたみたい。
早く治って、また散歩に連れてって欲しいわ、
私、まだ江戸川にいってないのよ」
↑ついこのまえ江戸川で舟遊びしたんでは?
夕子さんど忘れしてる!
寅階段を猛烈に駆け下りてくる
『ドドッ!ババン!!』
寅「僕、ちょっとお腹すいたみたい!!」
寅、思いっきり博をどかせて博のご飯を猫飯にして
凄い勢いでむしゃむしゃ食べ始める。
この寅の豹変に夕子さんは『はっ』と
自分に関係があるのだと気づく
勘がいい夕子さん。
こういう夕子さんのような勘のよさが、
第5作の節子さんや、第20作の藤子さんに
あったら悲劇にならなかったのに。
おばちゃん、さくらに電話
おばちゃん「やっぱり、恋煩いだったんだねえ。
今朝6時に飛び起きて
いきなり朝風呂入ったかと思うとその後でね、
腹減った、腹減ったってごはん6杯も食べて、
それから今度は床屋へ飛び出していってさー!」
さくらの電話
さくら「えっ?床屋?」
おばちゃん「だから、夕子さんが散歩にでも連れって欲しいって
言ったのを真に受けちゃったんだよ」
さくらのアパート(コーポ江戸川)
第5作では管理人さんの電話使っていたが、
この第6作では共同の
ピンク電話が取り付けてあり、
ちょっと使いやすくなった。
江戸川土手
寅と夕子さんが散歩
寅、野の花を摘んで、夕子に渡そうとする。
夕子「東京にもこんなところがあるのね。
フフ…嘘みたい…。
寅さんはこういう風景を見ながら育ったのね。」
↑いやはや、夕子さんいい感覚してるね
寅「はい!わたくし、
生まれも育ちも葛飾柴又です。」
夕子「なに、それ?」
寅「これは、私達商売人仲間の挨拶ですよ。」
夕子「まあ、素敵ねもう一辺言ってみて」
寅「わたくし生まれも育ちも葛飾柴又です。
帝釈天で産湯を使い根っからの江戸っ子、
姓は車、名は寅次郎、
人呼んでフーテンの寅と発します。
フフフ…。まだ、続くんですよ」
夕子「そう」
寅「わたくし、不思議な縁もちまして
生まれ故郷に草鞋を脱ぎました。
あんたさんと御同様、東京の空の下、
ネオンきらめき、ジャンズ高鳴る花の都に
仮の住居まかりあります。
故あって、わたくし親分一家持ちません。
ヘヘヘ…まだまだ続くんですよ。」
夕子「素敵…ほんとうに素敵よ」
テレながら笑う寅。
石を投げてカップルにあたってしまう。「あいたっ!」
夕子「ねえ寅さんに、
どうしてもお話しておきたいことがあるの…
私、困ってるの。
…ある人がねえ…」
寅「女の人ですか」
夕子「男の方」
夕子「その人がね、私にとても好意を寄せてくださるの。
その人とてもいい人なので私嬉しいんだけれど、
でもね、私どうしてもその気持ちを
お受けするわけには…」
寅「よく分かります!よーく分かりますよー!
オレァハナッからピンときてたんだ!諦めろ!とスパッと
言ってやりゃいいんだ、そのバカに!よしオレが行って
来ましょう!大丈夫!大丈夫!」
夕子「えっ!?」
寅「よし!善は急げだ!オレこれから話してきますよ!
ふてぇ野郎だ!あんチクショー!!」
走っていってしまう。
夕子「いいえ、あの…、ねえ、寅さん!」
内科、小児科
山下医院
その向こうに「黒瀬獣医科」
2代目おいちゃん医者「はい、大きく息を吸ってぇー」
髪が長い患者(後姿)
寅がバーンと登場。
医者「何だい!?君?、何しに来た?」
寅「ひと言だけ言いに来たぜ!!」
医者「じゃ、はやく言え」
寅「諦めてもらいます」
医者「なに?」
寅「これだけ言やぁわかるだろう。
いい年して可哀想に。
今更女に惚れるのはちょっと無理だぜ。
あばよ!!」
患者「だれです?」
医者「あれは、オレの患者でね、
神経侵されてるんだ。
オレの手に負えないんだ。
はい、胸を開けてごらん。
なんだい、君は男か!」
「はい」
医者「バカッ!」
寅、「♪十五、十六、十七と〜わたしの人生暗かったぁ〜
過去はどぉーんなぁーに暗くともぉー♪」
参道をスキップしながらとらやへ。
2階に向かって
寅「夕子さん、ただいま帰りました。お役目務めて参りました。
ご心配なく!あっ、呼びました?」
寅「2階に上がって来い?。はい!」
夕子下にいて「ねえ、寅さん…」
寅驚いてドタバタ、「あ痛ぁー!!」
夕子「大丈夫?」
おいちゃん「バカだねぇ…、まったく」
もうどうしようもないっていう顔。
おばちゃん、寅のひとり相撲に哀れを感じて、
ぐぐっと涙が出てくる。
階段の向こうのリンナイのダンボールの
ところに夏用のかき氷の機械が置いてある。
このシーン、寅があまりにも道化で、
見ていてやり切れないところがある。
年末の大忙し とらや
夕子さん電話で注文受けている
「のし5枚、供え一寸五分を六個ね…」
←でました!とらやさん専門用語
おいちゃん「このままじゃ、
夕子さんもいづらくなるし…
どうすりゃいいのかね、さくら…」
さくら「困ったわね…」
おいちゃん「ほっといたら一番嫌なことが
起きそうだよ…、オレは知らねぇよ」
夕子さんの夫とらやに来る。
夫「こちらに夕子がおじゃましてないでしょうか,」
夕子さんにうわべで言い訳する夫。
自分の反省は大してしていない感じ。
それでもなぜか、夕子さんは家に戻ることを決意。
おいちゃん「こういうときに限って帰ってくるんだ、あのバカ」
寅と源ちゃん「わっしょい!わっしょい!」と臼と杵を寺から借りて戻ってくる。
おいちゃん「やっぱ…やっぱ…」と嘆く。
おばちゃんもうだめだと目をつぶる。
寅、固まる。
さくら「あのね、お兄ちゃん、夕子さん、
ご主人と一緒にお家帰るんだって…」
寅「…、今?」
さくら「うん」
夕子おいちゃんおばちゃんにあやまる。
夕子「またいずれあらためてご挨拶に伺いますから…」
夕子、寅の方を見て
夕子「寅さん、寅さんには
本当にお世話になったわねぇ…、」
寅「い、いいえ」
夕子「あなたのご親切いつまでも忘れないわ…」
寅「そんなことより、
夕子さんもどうか幸せになってくださいね」
(自分の担いでいる杵で頭をゴッ!と打つ。)
夕子「ありがとう…」別れが悲しそう
←この時の若尾文子さんは名演技だった。
夕子「さよなら」
一同「さよなら」
寅、手を上げて「さよなら!」
寅よろけながらさくらに
寅「よかったな、さくら、これがなにより」
さくら「そうね、仲直りしたんですものね」
寅「よかった、ハハハ…あーあーぁぁ…」
寅『圭子の夢は夜開く』の口笛を
吹きながらよろよろ2階へ上がろうとする。
そこへタコ社長例のごとくバイクでやって来て
社長「おーい!とらやさーん!!大事件だよ!
今そこで夕子さん、男と歩いていたよ!
寅さん、またふられちゃったんじゃないのか!?」
寅を見て
社長「おッッ!!」
(慌てて口を押さえる)←もうおそいって
寅「何か言ったかい?」
社長「何も言わない!何も言わない!」
階段に頭ぶつけて、
ふらふらになって2階へ上がっていく。
さくら心配で2階のほうを見る。
杵がゴロゴロガタガタガタドーン!!
(>м<)と落ちてくる
柴又駅ホーム
さくら「お兄ちゃん、
またどっか行っちゃうのね…」
寅「さくら、…覚えてるかい、
この駅でよ。
オレが16の時に親父と
喧嘩して家出したら…」
さくら「そうね…確かにね、
なんだかお兄ちゃんと
別れるのが辛くてどこまでも
追っかけてったんじゃない?私」
寅「そぉよ、追っ払っても、追っ払ってもよ、
え、おまえ泣きべそかいてよちよち
くっついてくるんだろう、オレ困ちゃったよ。
でも、そこの改札のところまで来たらあきらめてよ、
これ餞別よってオレに渡しておまえ帰ってったろ。
電車乗ってそれ開けてみたらよぉ、
こんな真っ赤なおはじきが入って
やがんのオレ笑っちゃったよ。」
さくら「そう…」(笑いながらも、泣いている)
さくら「ねぇ、お兄ちゃん、もうお正月も近いんだしさ、
せめてお正月までいたっていいじゃない?」
寅「そうもいかねえよ、オレたちの稼業はよ。
世間の人がコタツにあたってテレビ観てるときに、
冷てぇ風に吹かれて鼻水たらして声を枯らして
ものを売らなきゃならねえ稼業なんだよ。
そこが渡世人のつれぇところよ…」
後ろの壁に張り紙広告
「鬼怒川工業株式会社。男女社員急募、女子パートタイマー」
立石駅より5分
立石金竜座 『血まみれの犯行』『団地夫人』
東成名画座 『明日に向かって撃て』『雨の訪問者』150円均一
成田山参詣記念「珍しい錦絵の記念乗車券出来ました」
神谷バー「ビール」
植木ゴム工業株式会社
電車が来る
寅「みんなによろしくな、博と仲良くやるんだぞ」
電車のドア開く
寅「じゃぁな、さくら」
さくら、自分の首のマフラーを、
素早くとって、寅の首にかける。
寅「うん?」って小さく
言いながら素直に従う。
さくら「あのね、お兄ちゃん。辛いことがあったら、
いつでも帰っておいでね。」
ここから第6作のテーマ曲
ハーモニカで入る。
寅「そのことだけどよ、そんな考えだから、
オレはいつまで一人前に…、
故郷(こきょう)ってやつはよ、」
さくら「うん」
電車の笛『ピ――!!』
寅「故郷ってやつはよ!」
さくら「なに?」ドアが閉まる。
電車の発車音『ビーーーー!!』
さくら「えっ!?なに?、
なんて言ったの!?」
走り出す電車寅必死で
ドアの向こうで何か言うが
さくらには分からない。
さくら「え!?なんて言ったの!!?」
テーマ曲大きく流れる。
目に涙をいっぱいためて走るさくら。
寅過ぎ行く電車のドアから何か言う。
『寒いから風邪ひくなよ』と、口の動きから
読み取れもする。しかしそうでないようにも見える。
もうこの時点では、寅は明るい顔をしてるので
さくらのことを気遣う普通の別れのセリフに
変わっている気がする。
電車速く走る。
寅の顔が見えなくなる。
それでも電車を
追いかけるさくら。
悲しい顔
音楽最高潮に達する。
行ってしまった電車を
いつまでも息を
ハァハァいわせて
泣きながら見送るさくらの
後姿がなんとも
切なくて泣けてしまう。
シリーズ屈指の名場面である。
寅とさくらの別れのシーンの中ではベストだ。
正月 とらや
絹代夫婦が以前のお礼に来ている。
おいちゃん「さささ、どうぞ、お平らにしてくださいよ。」
おいちゃん「そうでしたか、ちっとも存じませんで、
寅の奴がねえ…、あいつもたまには
いいことするんですねぇ。」
絹代「あの方、どちらにいらしゃるのか…?」
おいちゃん「あの、凧が切れて…いえ…」
さくら「糸の切れた凧」
おいちゃん「そ、そうそう、それなんだよ。一度家を出てしまうとどこにいるのか…」
さくら「お父さんはお元気ですか?」
絹代「はい、たぶん」
さくら「長崎でしたね。」
絹代「長崎の五島です」
長崎、五島
電話 リーン、リーン
千造(絹代の父親)「あっ、絹代か…」
絹代「今ね、東京から電話しとっとよ、
いつか世話になった寅さんいうお宅でな、
年賀状も出しとらんいうたら、かけろー、
かけろー、って勧められて、
父ちゃん、聞こえる?」
千造「はい、きこえる…」
絹代「そいでねー、
うちら二人同じ店に住み込んで
一生懸命働いとるけん、安心して。」
千造「……」
絹代「じゃ、電話代高こうなるけん、
もう切るよ。体大事にな。」
さくら声に出さず口だけ開いて『おめでとう』
絹代さくらの口見て
絹代「あー、肝心なこと忘れとった。
とうちゃん、
おめでとう。じゃ、さいなら。」
絹代、かけたあと、はーっ、と汗を拭く。
千造、泣いている。鼻水も出る。
座布団に鼻水と涙のじる。
寅から千造への年賀状
「昨年中は色々お世話になりました。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
元旦 車寅次郎
浜名湖と猪鼻湖の境
レークサイトウェィ付近のお宮
猪鼻湖神社
鶴亀の置物をバイしている寅と源ちゃん
源ちゃん寺男はどうしたの?やめたの?
ボール紙に書いてあるうたい文句
★ 「実用新案出願中」
★ 「日本万国博民芸館出展」
★ 「アメリカ、カルホルニア州博覧会
★ 「玩具コンテスト2位」
寅「御通行の皆様、
新年あけましておめでとうございますように。
さてここに陳列されましたる幸せを
呼ぶ鶴亀でございます。
鶴は千年、亀は万年、
あなた百までわしゃ九十九(くじゅく)
まで共にシラミのたかるまで、
三千世界の松の木が枯れても、
おまえさんと添わなきゃ
シャバに出た甲斐がない。
七つ長野の善光寺、
八つ谷中の奥寺で竹の柱に萱の屋根、
手鍋下げてもわしゃ、いとやせぬ。
信州信濃の新そばよりもあたしゃあんた
のそばがいい。
あなた百までわしゃ九十九まで
共に白髪の生えるまでというのが本当!
もしこれで買い手がなかったら、
貧乏人と思って諦めます。
右に行っていづつ(?)橋、左に行って三ケ日、
右と左の泣き別れだ!!」
↑浜名湖にちなんで少しアレンジしてある。
終
スタッフ
製作 ................ 小角恒雄
企画 ................ 高島幸夫 小林俊一
監督 ................ 山田洋次
監督助手 ...............大嶺俊順
脚本 ................ 山田洋次 宮崎晃
原作 ................ 山田洋次
撮影 ................ 高羽哲夫
音楽 ................ 山本直純
主題歌 ................『男はつらいよ』
作詞 ................ 星野哲郎
作曲 ................ 山本直純
唄 ................ 渥美清
美術 ................ 佐藤公信
装置 ................ 若林六郎
装飾 ................ 町田武
録音 ................ 中村寛
調音 ................ 小尾幸魚
照明 ................ 内田喜夫
編集 ................ 石井巌
スチール ...............堺謙一
進行 ................ 柴田忠
製作主任 ...............池田義徳
現像 ................ 東京現像所
協力 ................ 柴又神明会 五島観光連盟
福江市 玉之浦町
衣裳 ................ 東京衣裳株式会社
出演
車寅次郎 ................ 渥美清
諏訪さくら ............ 倍賞千恵子
明石夕子 ................ 若尾文子
車竜造 ................ 森川信
車つね ................ 三崎千恵子
諏訪博 ................ 前田吟
御前様 ................ 笠智衆
梅太郎 ................ 太宰久雄
源ちゃん ................ 佐藤蛾次郎
千造 ................ 森繁久弥
絹代 ................ 宮本信子
山下医師 ................ 松村達雄
夕子の夫 ................ 垂水悟郎
北竜介 大杉侃二朗 大塚君代 城戸卓 水木淳子
谷よしの
山本光栄 竹田昭二 みずの皓作 市山達己 長谷川英敏
源勇介 松原直 高木信夫
上映時間 89分
観客動員数 85万2000人
配収 2億3000万円
(2004年2月10日更新。第7作奮闘篇は数日後にまた更新します)
男はつらいよのトップへ戻る
一番最初のページ「バリ島.吉川孝昭のギャラリー」へ戻る