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菜穂ちゃんと満男の未来に幸あれ! season 1
この第47作「拝啓車寅次郎様」のラストは
ご存知川井菜穂ちゃんと満男の再会と和解で幕を閉じるのだが
実はこのラストには続きがあったのだ。
【脚本第1稿】にはこの本編の続きが書かれてあったのだ。
注意:私のサイトの全ページはスマートフォンでは文字列がガタガタになります。 パソコンでご高覧いただければ幸いです。
脚本第一稿
菜穂「こんにちは」
さくら「はい?」
菜穂「私、長浜の川井菜穂と言います。
満男さんいらっしゃいますか」
さくらの表情がほころぶ。
さくら「じゃ、いつか満男がお世話になった先輩の妹さん?」
菜穂「はい、お電話もしないで、突然おじゃましまして・・」
さくら「いいんですよ、さあ、どうぞ」
さくらの、背後に立っていた博
二階に向かって大声を出す。
博「満男、お客さんだぞ〜〜!」
二階から
満男「ヨッチンなら明日にしてくれってそう言ってくれる?
オレ、頭痛いから」
博「ヨッチンじゃないよ、長浜の川井菜穂さんだぞ!」
菜穂「病気ですか?満男さん」
博「大丈夫、今に転がるように下りて来るから。さあ、どうぞ」
リビングに招き入れる二人
菜穂が二階を見上げた時、ドアの開く音がしてドタンバタンと音を立てて下りて来る。
菜穂「こんにちは」
満男「あー、びっくりした。いつ出てきたの?」
菜穂「さっき東京駅からまっすぐ」
満男「よく分かったなここ。
あ、父さん、紹介するよ。
この人、長浜でお世話になった先輩の妹さん」
菜穂「はじめまして、
明けましておめでとうございます」
博「おめでとう」
満男「今年の正月は天気良かったね。長浜も?」
菜穂「うん、とっても良かった」
満男「帝釈天行こうか、江戸川の土手通って」
さくら「何言ってるの、とにかくお茶飲んで一休みしなくちゃ」
満男、そわそわしながら椅子に腰を降ろす。
博「おまえ、顔でも洗ってきたらどうだ?」
菜穂「ずっと寝てたの?」
満男「違うよ、朝、ジョギングなんかしてくたびれたから
ちょっと横になってただけだよ。
よし、顔洗ってこよ」
ひとときの歓談の後
江戸川土手
菜穂「はじめは腹がたって腹がたってたまらなかったの。
今でも兄のことは許せないけど、でも、落ち着いて考えてみたら
そのことで、私と満男さんがなくなるなんて、悔しいと思うの。そう思わへん」
満男「オレもそう思ってたんだよ」
菜穂、ほっとしたように笑顔を見せる。
菜穂「本当に良かった。いつ言おうかいつ言おうかと思っていたの」
満男「それで、わざわざ来てくれたのか?」
菜穂「ついでがあったから。
コンサートのチケット買ったの、今度の」
満男「なんだ、そうか」
菜穂、ポケットから1枚のチケットを差し出す。
菜穂「これ」
満男「わあ!ガンズアンドローゼズ!行きたかったんだ!」
菜穂「本当?良かった! もう1枚買っておいたの」
満男「ええ!オレのもあるの!?やったぜーー!!」
チケットを持って踊るように歩き出す満男。
笑顔でその後に続く満男。
というラストシーンでした。
ガンズ.アンド.ローゼズは、アメリカ合衆国出身のロックバンド。
1980年代末からヒットを連発し、全米で4,200万枚、
全世界で1億枚以上のアルバムセールスを記録した。
その後、活動の停滞期が長く続いていたが、2000年代中頃からまた活発な展開をした。
完成稿にはこの↑のシーンは無いので、
おそらく尺の問題で、二人が再会してすぐの段階で終わらせたんだと思う。
山田監督はこの菜穂ちゃんと満男の恋の話を第48作でさらに進行させようとしていたと
人づてに聞いたが、
突然後藤久美子さんの事務所から新作にもう一度出演したいと言う意向があったようで
それで、山田監督は第48作の脚本を書き上げたらしい。
実は、第45作の時に後藤久美子さんの事務所は泉ちゃんのイメージがつくことを嫌がって
第46作以降のオファーを当時は断わっていたのだ。
もし、後藤久美子さん側があのまま、「男はつらいよ」には
もう出演しない態度を続けていたら・・・
間違いなく菜穂ちゃんと満男の物語は第48作では進行し、
ひょっとしたら結婚寸前まで行ったかも
しれないと思うと、少し残念ではある。
下に【付録】がありますので、ご高覧ください↓↓菜穂ちゃんと満男の未来に幸あれ!
将来に幸あれ
その後の菜穂ちゃんと満男の顛末
菜穂ちゃんと満男の未来に幸あれ! 完結編
バックナンバーからの蔵出し
2009年8月18日 寅次郎な日々 その412
ところで
第47作「拝啓車寅次郎様」を見るたびに思うことだが、
川井菜穂ちゃんと満男は本当に『似合いのカップル』だった。
皆さんもそう思われませんか。
泉ちゃんはちょっと美人過ぎるし、家庭の事情もあって明るさに欠けるので
満男とはそんなにも相性はよくない気もする。
満男は何だかんだ言っても明るくて屈託がなくて、いざという時に夫をリードしてくれるくらいの
強い女性がいいと思う。
で、菜穂ちゃんはぴったりではないだろうか。
もちろん、泉ちゃんとは第42作「ぼくの伯父さん」から4作品連続で付き合った長い歴史があるし、
満男を一番必要としているのは菜穂ちゃんよりも泉ちゃんなのは言うまでもない。
この泉ちゃんと満男の相思相愛牙城を突き崩すのは容易ではないが、
やはり「お似合い」というのは何ものにも勝つのである。
そもそも泉ちゃんのよさは、容姿はもちろんのこと、超然としたところというか、凛としたところ。
これは見ていてとても素敵だし憧れるが、
しかしどうも満男とは違う世界のような気がする。
と、いうことで今回だけ私が勝手に
ラストの第48作を菜穂ちゃんバージョンにアレンジしてみた。
新しい物語は以下の通りである。↓
泉ちゃんと付き合いが途絶えて2年経った秋。
満男は長浜で大学の先輩の妹である川井菜穂と出会う。
そして、上記のように菜穂ちゃんと満男との仲は第47作「拝啓車寅次郎様」のラストで
彼女が諏訪家を訪ねてから急速に進展していった。
脚本第1稿では満男と菜穂ちゃんはなんと音楽のコンサートにでかけているのである。
おそらくその夜は満男の家に一泊し、さくらや博と親交を暖めたのではないだろうか。
それとは別に満男の中にはずっと初恋の相手である泉ちゃんの残影が残っていたが、
年月が経ち、次第に菜穂ちゃんの笑顔の中にかき消されてしだいに薄まっていったのだった。
そうこうしている間に菜穂ちゃんとの最初の出会いから2年が過ぎ、
二人は婚約し、同じ葛飾区に新居の仮契約も決め
遂に満男は菜穂ちゃんと正式に結納をかわすことになった。
そのけじめとして数日前に
満男は泉ちゃんに長い手紙を書き、本当の別れを告げたのだった。
ある晴れた吉日 結納の日
なんと両家と二人の目の前に泉ちゃんが突然現れたのだ。
泉「満男さん、結婚なんかやめてください」
菜穂「え。。。あの人…誰なの…?」
満男「!!…泉ちゃん…」
諏訪家も川井家も大混乱。
今更ながら自分のしてしまったことに急に気づき我にかえった泉ちゃんは
いたたまれなくなり泣きながらその場を逃げるように離れ立ち去っていく。
大変な事をしてしまった泉ちゃんは自暴自棄になりながら
ブルートレインに乗り
奄美大島にたどり着く。
そこから水上タクシーで加計呂麻島へ。
船長が悲嘆にくれる泉ちゃんの様子を見て
自殺でもするんじゃないかと心配する((^^;)
その船には偶然リリーも乗っており、暗く沈んでいる泉ちゃんの事がどうも気になる。
泉ちゃんはそんなりリーに声をかけられ、家に連れて行かれると
なんとそこに「おじちゃま」が!(((^^;)
リリーの家で 寅に優しく慰められる泉ちゃん。
寅「そら、いろいろ思うことはあるだろうけどさ、女は諦めが肝心だからな」
涙を流しながら、うなずく泉ちゃん。
一方、満男は、翌日
大変な事になってしまって悲しむ菜穂ちゃんと
泣きながら立ち去った泉ちゃんの間で
心が板ばさみになりながらも、
菜穂ちゃんの目をしっかり見つめ、
満男「俺を信じてくれ」
と言い切るのだった。
その日の夜に
泉ママから泉ちゃんが奄美大島にいる事を聞いた満男は
きちんともう一度会って話し合うことを決意し
柴又にあのまま滞在している菜穂ちゃんにそのことを伝え、
その翌朝
飛行機で奄美大島に向かう。
浜辺で泉ちゃんと何年かぶりに二人っきりで会った満男。
驚いた表情で、満男を見つめる泉ちゃん。
そして泉ちゃんの目が潤んで行く。
その哀しい、すがるような目を見たとき、
満男の中で彼女との数々の思い出が一気に鮮やかに蘇り、
胸がしめつけられていく満男だった。
エピローグ
菜穂ちゃんは、あの結納の日から、さくらちに引き止められ、
そのまま柴又に滞在しながらも
満男はもう自分の元へは戻っては来ないかもしれないと泣きくれる数日だった。
そして、満男が奄美から帰って来た。
満男「ただいま…」
菜穂「!…」
満男「…」
静かに、しかし力強く菜穂ちゃんの肩を抱く満男。
嗚咽し満男の胸に顔を埋める菜穂ちゃん。
その1年後
ようやく心の傷が癒えた泉ちゃんは、
岡山県津山の若いお医者さんとお見合いをし、
その後結婚したのだった。
それから数年後
津山に立ち寄った寅は泉ちゃんの家に立ち寄ってくれたのだ。
寅によると、
泉ちゃんは今は津山で新しい家族と共に幸せに暮らし、子供もいると聞く。
寅「満男、安心しろ。
あの子は今は心から幸せそうだったよ・・・。
・・・・安心したか?」
満男「うん、安心した・・・。
伯父さん、泉ちゃんに会ってくれてありがとう」
その後・・・
三平ちゃんとかよちゃんが結婚と同時に今年独立し、とらやの人手が足らなくなったので
菜穂ちゃんもとらやをさくらと一緒にきりもりしていて忙しそうだ。
向こうの茶の間で菜穂ちゃんの赤ん坊を寝かしつけているおばちゃんの姿も見える。
とらや(くるまや)は明るい菜穂ちゃんが来てからお客さんが増えたそうだ。
終わり
めでたしめでたし
チャンチャン(^^)
注意:この物語は超フィクションでありすべて2009年時点での吉川孝昭のうわ空言であり妄想です。