男はつらいよ/予告篇集
― もうひとつの物語 ―.
No.5
第9作
もうひとつの「男はつらいよ」 ― 3分間に賭けた映画人たち ―
5日に1作品のペース。全48作、順不同気まぐれ選択でいきます
松竹映画「男はつらいよ」のDVDには実に嬉しい特典が付いている。それは『予告篇』だ。この予告篇は、たかだか2分から3分だが、
なかなか捨てがたい貴重な映像が入っていたりする。例えば撮影ロケが挿入されているもの。倍賞さんのNG場面が挿入されているもの。
本篇では出てこないシーンがたくさん挿入されているもの、等々、興味が尽きないのだ。どのカットも本篇採用のカットとは、微妙に
違うシーンがわざと入れられてあるのが心憎い。どちらかというと本篇と全く同じカットを使っている方が少ないくらいだ。とにかく
この「3分間の作品」を見て、本篇を見ようかどうかお客さんは決めるわけだから編集に携わった人々は常に真剣勝負だったと思う。
それらの方々のセンスと心意気が強く感じられる名作予告編も何作もある。まさにそれは「編集の勝利」だともいえる。
特に、短いゆえに、たったひとつのシーンのインパクトが本篇以上に強烈に印象に残ったりもする。そこが実に面白い。
一寸の虫にも五分の魂があるのだ。
しかし、一般的には、この『予告篇』たちは、いつも本編の陰に隠れて日陰者扱いになっている。
そこで本日から私が全48作品の『予告篇を』このページで簡単ではあるが全48作品紹介していきたい。
ただでさえ、本篇解説がダラダラ長いのに、予告篇までつきあってられないよ。という方はどうぞ、このページは飛ばしてください。
予告篇はたった3分。どの予告篇も見るべき重要カットはおそらくたった一つか二つ。しかしそれが燦然と輝くカットなのだ。
そのキラッと光るカットを本日から10ヶ月ほどで全48作を紹介していくつもりだ。
ただ、予告篇なので、私の気まぐれ的な選択により、順番に第1作から始めないで、順番は不同、ランダムにその日の気分で
作品を紹介していこうと思っている。だいたい5日に1作品のペースで更新していく予定だ。これもだいたいで、気分が
乗ったら4日に1作品アップしたり、仕事が忙しい期間は6日になったり、日本滞在中(1ヵ月半)はやたら忙しいので7日に一度に
なったりすると思うが、基本的には5日に1作品はアップしていきたい。
今回はその第5回目
第9作「柴又慕情」である。
源ちゃんが寅さんに!?
第8作で自動車事故をおこし、ポスターに名を連ねながらも緊急入院した佐藤蛾次郎さんが
この第9作から復帰したのである!。全48作で蛾次郎さんが出なかったのは、それゆえ第8作だけ。
この予告篇では元気になった姿を『寅さんの格好』をしてさっそうと歩く事で観客に紹介している。
寅さん以外の人が寅さんの格好をするのは第32作のレオナルド熊さん以外ではこの源ちゃんこと
佐藤蛾次郎さんだけ。
また、この作品で使われた歌子ちゃんと寅とのとらやでの再会部分は、本編とは似ても似つかない全く違う
演出が使われていて、観客は歌子ちゃんと寅の2種類の違ったバージョンでのとらやでの再会を
味わう事が出来るのである。
尺八 プァーパァ〜…ピピピポォ…パァ…
みどりさん扮する高橋基子さんが寅にインタビューしている。
ちょっと変わった趣向。
彼女は後にラジオ番組で活躍していく。
石川県 『尾小屋鉄道』 金平駅 堀口歯科
『キハ2』が止まっている。鉄道ファンにとっては美味しいパターン。
ホームのド真ん中には大きな転鐵機
車掌さん役は第18作「純情詩集」で見事な『お掃除芸』を
見せてくれた大杉侃二朗(かんじろう)さん。柴又のご近所さん
や、菊の湯のご主人、寅の昔の仲間、などなど常にこの
シリーズでどこかに登場している。男版「谷よしの」だ。
ポスター 行ってみたい故郷 大気澄む緑の…
美しい日本と私 DISCOVER JAPAN
懐かしい!( ̄∇ ̄)
インタビュー(声だけ)
みどりの声「ちょっと失礼します.
おじさん観光旅行ですか」
寅の声「なあに、そんな気の利いたもんじゃねえ。
あてのねえ旅人さ」
尺八 ピィピィピーパァ〜…
みどりの声「あのー当てのない旅人って、じゃあ、
いつもは旅行ばっかり?」味も素っ気もないよそれじゃ(^^;)
寅の声「そうですよ」
みどりの声「あの、お国はどこですか?」
寅の声「私ですか?」
『尾小屋鉄道』 大正8年(1919年)鉱山鉄道として開業した
軽便鉄道で、新小松〜尾小屋間16.8Kmを結んでいた。
晩年は、希少な軽便鉄道として、鉄道ファンはもちろん、
映画やテレビのロケなど注目を浴びたが、
昭和52年(1977年)3月、廃止されてしまった。
キハ2のバスケット(荷台)には地元農家のミルクタンクが載せてある。
混雑時の増結車ホハフ7は交換列車にに連結され
新小松へと戻っていく。ホームのド真ん中には大きな転鐵機が
あり入換作業に忙しい。
尺八 ピィー…
みどりの声「はあ」
寅の声「東京は葛飾郡柴又村と昔は言ったがねえ」
警笛 ブゥー…
尺八 ボーバァー…ロロロ…ポォ〜…
寅の声「さて今ごろはどうなっているやら…」
パーン!
男はつらいよ 柴又慕情 予告篇
寅「あ!よお! 」
クレジット 車寅次郎 渥美清
とらや
テーマ曲が流れ続ける
マリ「ちょっとお伺いしますけど車寅次郎って方
ご存知じゃないですか?」 ここは自宅だよ(^^;)
おいちゃん「え?ええ、そりゃ知ってますよ
(寅をチラッと見て)
私の甥っ子ですがね」
クレジット おいちゃん 松村達雄
この作品からおいちゃんが松村達雄さん。
マリ「あら…」
みどり、驚く。
マリ「ビックリなされちゃいけませんよ!
あの人がその寅次郎さんなんですよ」
びっくりしてるのはみどりとマリだけだって ヾ(^^;)
みどり「寅さんあなたの叔父様!叔父様よ!」
もう舞い上がりっぱなし(^^;)
マリ「寅さん!よかったわねえ」
みどり「よかったねえ」
寅「生きてた!?」
みどり、マリ、同時に「うん」
寅、驚いたふり。
その拍子にカバンを落とす。
たじろぐ、おいちゃん、おばちゃん
クレジット さくら 倍賞千恵子
博 前田吟
社長 太宰久雄
社長「あ〜あ、今日も彼女はこなかっ…!!
あー!ヒャッ!」( ̄ー ̄;) 血を見るぞ…。
ドンシャーン!!
一目散に逃げるタコ社長!
寅「 ! ! 」
タコ社長を飛ぶように追いかけていく(^^;)
社長「おお、オレなんか言った?」
いつもながらの寅さんが
クラッシック音楽が流れはじめる。
旅で出会った…
クレジット 歌子 吉永小百合
お宝映像登場!
歌子「ほ、本当に楽しかったんです」カチンコチン
寅「え?」カチンコチン
歌子「いえ、あの、北陸の旅…」カチンコチン
寅「あ、ああ…いいえ」カチンコチン
歌子、顔に手で当てて、「それじゃあ、あたし、そろそろ」
寅「あ、あの…だんご、団子くいなよ」
歌子「いえ、あのもう…あの」
寅「そっから入るんだけども…
そっから入るんだけども」
無意識に歌子を帰らせないように
している涙ぐましい寅
上記の再会のカットは本編では全く違う演出になっている。
予告編のみで見ることが出来るお宝シーン。特に
吉永小百合ファンは必見。(私もです(^^;)ゝ)
さくら、とらやに来て
さくら「歌子さん…でしょ?」
歌子「ええ、あの、さくらさんですか?」
さくら「まあ、よく来てくださいましたわねえ」
歌子「始めまして」
さくら「は」
歌子「お兄様にはすっかりお世話になって」
さくら「いいえ、迷惑かけたんでしょう」
歌子「とんでもない私の方こそ」
さくら「とにかく上がってください」
さくら「おばちゃん歌子さん」
おばちゃん「え?」
さくら「ほら写真の」
おばちゃん「あら!あー」
寅、作業場から出てきて
寅「何だよォ!
みんな留守にして店空っぽにして
オレ一人だったんだぞ」
と、ダダをこねる。
顔中、餅粉だらけ。すごい団子の盛り付け方(^^;
歌子ちゃん食べるなよ。(^^;)
今回は満男役の中村はやとくん都合でお休み。
代わりに『沖田康浩』君。
可愛い〜!!(^^)
再び音楽が流れ出す。
北陸の青い海
福井 永平寺
城下町金沢
越前松島の松林
そして
寅さんと美しい女性たち
記念撮影
歌子「真ん中にどうぞ」
寅、記念写真のため二人の間に入る。
マリ「もうちょっとくっ付いて」
マリ「はい、わらって」
寅「バタァ〜…?」
第1作で御前様が使ってから、寅のお馴染みギャグ。
本編では歌子ちゃんもこのあと海岸の
記念撮影でバタ〜って言って笑っていた。
寅「あれ間違えちゃった、
オレバターって言った?
チーズと間違えちゃった」
歌子、ピクピク顔が引きつっている(^^;)
クレジット 源公 佐藤蛾次郎
寅さんか!?…いや、源ちゃんだ!!
佐藤蛾次郎さんは第8作の撮影直前で
自動車事故で大怪我をし、この第9作から登場!
寅のコスチュームを着てさっそうと復活をアピール!
御前様 笠智衆
寅と源ちゃんが題経寺の渡り廊下を滑っている
物凄いやんちゃ!よく許可がでたな〜。
ご存じ 寅さんシリーズ 躍進 第九作
江戸川土手
江戸川土手で白つめ草の花冠を作る歌子。
まわりでじゃれる寅と源ちゃん。これは名場面。
しみじみと笑いの旅に誘う
山田洋次監督作品
この雰囲気、格好いい!!
男はつらいよ 柴又慕情
ご期待ください
吉永小百合さんが寅さんに出演!これは当時凄いインパクトだったに
違いない。江戸川土手のたわむれは当時の美しい吉永さんを
堪能できる名シーン。この作品から、このシリーズが明らかに
変わって来る。
初期の荒々しさから脱却し、華やかさを身に付けて
行くきっかけになった作品だ。
第9作「柴又慕情」予告篇 上映時間3分36秒
第9作「柴又慕情」予告篇 終わり
このあと、8月18日に日本に1ヵ月半帰国いたします。しばらくは仕事で超ハードスケジュールが
続きますので、次回予告篇アップは8月30日頃となります。気長にお待ちください。
ただ、日本においてあるノートパソコンが昨年から調子が悪いので、修理に出さないといけないかもしれません。
動かしてみないと分からないので、もし修理に出すとしたらさらに遅れて9月6日頃になるかもしれません。
どうか寛大なお心でお待ちください(^^;)ゝ