『寅次郎な日々』バックナンバー
第31作「旅と女と寅次郎 ダイジェスト
2008年4月20日 寅次郎な日々 その356
ご注意) 下の文章をはじめ、私のサイトには物語のネタバレが多く含まれます。
まだ映画作品を一度もご覧になっていない方は必ず作品を見終わってからお読みください。
第31作「旅と女と寅次郎」ダイジェスト版
歌の中にこそ輝くはるみさん
この作品のマドンナは歌手であり、スターである都はるみさんだ。
彼女の芝居は役者の『間』では無い。このシリーズの中で歌手だった人が芝居もする時がある。
たとえば第33作「夜霧にむせぶ寅次郎」のマドンナ風子を演じた中原理恵さんなどはどちらかというと一時期歌手だった。
しかし風子さんの『間』は役者の間にかなり近いものがあり、違和感なくほかの役者さんと一緒に溶け込んでいた。
しかし都はるみさんは役者になりきれていなかった。
だからあの作品を見るとちょっと見づらいいリズムになってしまっているのだが、
それとは別に、歌手ゆえにはるみさんが歌を歌うシーンも結構ある。
これはさすがだ。聴く人を魅了して離さない才能をいやがうえでも見せつけられる。
その歌の中でも『惚れちゃったんだよ』を歌うはるみさんの声が凄く冴えている。
当時日本一の歌い手のひとりだったことがよくわかる。
それこそ水を得た魚のような歌声と表情の輝きだった。
物語的にも前半の『運動会騒動』はなかなかよくできた喜怒哀楽の物語だったし、はるみさんと別れた後の、
東芝ウォーキー騒動もこれまた、無理なく物語の中に入り込んでしっかり笑わせてもらった。
都はるみさんの出演は、はるみさんのファンでもあった渥美さんの強い希望だったとも聞いているが、
そのせいか、はるみさんと共演している時の渥美さんはなんだかうれしそうだった。
■第31作「旅と女と寅次郎」全ロケ地解明
全国寅さんロケ地:作品別に整理
それでは本編ダイジェスト版をどうぞご覧下さい。
@とらや『運動会騒動』と旅立つ寅
寅の夢から
時代劇であるが
劇中舞台劇である。
「天保佐渡一国騒動」
@天保4年(1833)凶作、同7年(1836)大凶作、
同8年(1837)凶作で飢饉(ききん)が各地に蔓延、
一揆や騒動が全国で年に100件以上に達した。
天保8年、大坂大塩平八郎の乱、越後柏崎の生田万(よろず)の乱など内乱に相当する一揆が発生。
佐渡でも、翌年の天保9年(1838)佐渡一国を挙げての大規模な一揆が起こった。
この一揆の首謀者の一人は現羽茂町の善兵衛という義民だが、
この夢では寅(寅吉)がその首謀者になっている。
新たに発見された絵巻物のなかに寅の絵が描かれてあったりするのだが、
この絵巻物がなかなか味がある絵なのだ。最初は本物の絵巻物かと思ったくらい
よくできたものだ。
博のナレーションによると
「その首謀者は柴又無宿寅吉という男であることがわかった。
この一揆の後寅吉は幕府の追及の手を逃れて流浪の旅を続けていたが、
望郷の念止み難く、天保8年、生まれ故郷の葛飾郡柴又村に立ち戻ったと
記されている」
ここから劇中劇 舞台劇
拍子木がチョーン!と鳴る。
江戸時代 天保年間
とらや 店
タコの十手持ち親分「おおい、何とか言ったらどうなんでい、おら、ああ!」
源ちゃん「おおう!」
と、博にくってかかっている。
さくらがやってきて親分に謝る。
さくら「親分さん、この人がなにか不始末でも?」
タコ「てめえの亭主のような意気地なしは見たことねえや、
いまさっきも泥棒を一人取り逃がしてしまったとこよ。
近所付き合いのよしみで十手取らせてものの、こんな役立たずじゃ、
オレッちの顔がたたねえや。さっさと十手返しやがれ!おい、」
下っぴきの源ちゃん、博吉の十手を取ろうとする。
博吉はなんとか源ちゃんに取らせないように格闘する。
懇願するさくら。
タコ「今回のところは見逃してやる、今日明日で手柄をたてなきゃ勘弁できねえぞ」
と、笑って帰っていく。
そして店が暗くなったあと、
寅吉が隠れるように帰ってくる。
観客「待ってやした!」
観客「大統領!」
観客「いい男!」
寅吉「おさく…オレだよ」
おさく「あんちゃん」
おばちゃん「寅吉」
寅吉はおさくに佐渡の金山で掘り起こした金塊を、
生活の足しにしろと渡す。
重くて落としてしまうおさく。
寅吉「達者でな」と、出て行こうとする寅吉。
そこへタコと源ちゃんがやって来て、人相書きと「左の眉毛に一つのほくろ!」、と、
言い放って寅吉を取り押さえようとする。
寅吉しまった!という顔で見栄を切る。
観客「目、千両!」
格闘の末、寅吉はタコと源ちゃんを刀でやっつける。
観客「寅次郎!」
観客「後家殺し!」出た!後家殺し!(^^)
寅吉「キジも鳴かずば撃たれもしめえにィ!無益な殺生しちまったァ」
立ち去ろうとしたその時、
博吉の十手が床に落ちる。
はっと気づく寅吉
寅吉「そうか、おめえは…」
おさく「あんちゃん、早く逃げて!」
寅吉「妹の亭主は岡引…、これもなにかの因縁だァ、
さあ、おいらにお縄を打ってお手柄にしな」
おいちゃんもおばちゃんも寅吉にお縄をかけないで欲しいと懇願。
おいちゃん「いけねえいけねえ!たった一人の甥っ子に縄かけるなんて、
このオレが許さねえ!」
おばちゃん「寅吉を縛るなら、この私を殺してからにしておくれ!」
おさくも寅吉をかばうが、寅吉は博吉に手柄をたてさせてやりたくて、
寅吉「この意気地なし!てめえ、それでも!(拍子木タタ!)岡引かァ!!」
と、見栄を切り、博吉に無理やり縄をかけさせようとする。
シリアスな音楽がゆっくり流れる。
ベルリオーズ 幻想交響曲 第5楽章〈ワルプルギスの夜の夢〉
博吉「真心赤いこの朱房…、恋女房と血続きの義理の兄貴の手を縛るたァ…、
御免なすって」
寅吉「お縄頂戴いたしやす」
と、手に縄をかけさせる。
おさく「おさく、許せ」
泣き崩れるおばちゃん。
寅吉「さあだんな、めえりやしょうか」
縄をかけられた寅吉におさくは、寅吉のマントをかけてやる。
寅吉「ありがとよ」
観客「車!」
観客「寅次郎!」
源ちゃんがむっくり起き上がるが
定吉(満男)にポッカリ柄杓でなぐられ又気絶。 死んでなかったんだね(^^;)
とらやで泣き崩れるさくらや老夫婦。
近所の衆が義民の寅吉が捉えられていくのを見て泣きながら拝んでいる。
あああ、あそこの中に谷よしのさんらしき人が…↓。
新たに谷よしのさん発見でした。
花道を歩く寅吉
寅吉「いつやら雪も降り止んで、綺麗な星空だ!」
博吉泣いている。
寅吉「明日はきっと!」
観客「車!」
拍子木「キーン」
寅吉「いい天気だぜェー!」
観客「日本一!」
観客「日本一!」
観客「大統領!」
現実に戻って…
越後のとある茶店で寝ている寅。
小千谷市 船岡公園
このロケ地が船岡公園だとわかったのは
は、越後で農場(滝沢農園)を営まれておられます
滝沢直紀さんからの詳細なメールによります。
滝沢さんはいろいろなロケ地もめぐられています。
滝沢さんのサイトです。↓
http://www.ac.auone-net.jp/~takizawa/torajiro31.html
チンドン屋さん役の関敬六さんに起こされる。
カバンを枕に寝ていたのだ。
夢から覚めても時代劇風にしゃべってしまう。
寅「お大切な荷物をまっぴら失礼さんでござんす」
関さんからは「時代遅れよ」と言われてしまう寅だった。
タイトル 男はつらいよ 旅と女と寅次郎
口上「わたくし、生まれも育ちも葛飾柴又です。
帝釈天で産湯をつかい、姓は車、名は寅次郎、
人呼んでフーテンの寅と発します。
♪どおせおいらはヤクザな兄貴 わかっちゃいるんだ妹よ
いつかお前が喜ぶような 偉い兄貴になりたくて
奮闘努力の甲斐もなく 今日も涙の
今日も涙の陽が落ちる 陽が落ちる♪
後半は演奏のみで歌は無し。
奮闘努力の甲斐もなく 今日も涙の
今日も涙の陽が落ちる 陽が落ちる♪
江戸川土手に立つ寅。
ここで致命的な悪手が・・・
なんとOPの歌のシーンで
第27作のフィルムの使いまわしがあったのだ!
★2016年に発見したあの2つの作品本編OPで、使いまわし。
寅が映っている全く同じ映像(18秒間も!)の理由を知りたい!
矢切の渡しを駆け落ちらしき若い二人が渡って行く。
細川たかしさん特別出演。
しかし、うっかり櫓を持たせるのを忘れて、
細川さんたちは右往左往。
止めに来た彼らの身内たちも右往左往。
寅、いつものように知らん顔でそそくさと立ち去っていく。
というミニコント。
本編
帝釈天参道を自転車でやって来るさくら。
とらや 店
さくら、自転車でとらやにやって来る。
店には日生のおばちゃんこと中北千枝子さん。
実はこの方、黒澤映画でも出演していたなかなか演技の上手い人。
作品の中でもやっぱり、『日生のおばちゃん』らしき役やってました。
そんな時、寅がフラフラ風に飛ばされながら帰ってくるのだった。
お土産も超軽い【畳イワシ】だ。
そこへ博がやって来て、明日の満男の運動会に見に行ってやれなくなった
と、悩んでいるのだった。
寅「博、おまえ仕事行け、オレが父親代わりになって、満男の運動会に出てやる」
と、俄然張りきりだす。
とらや 庭
特にPTAが出る、『パン食い競争』には異常なまでの意欲を見せ、
庭でパンを吊るして練習にいそしむのだった。
とらや 茶の間 夜
夜、満男にそのことを伝えると、満男は微妙な顔をしてしまう。
満男「おじさん…」
寅「なんだ?」とニッコニコ。
満男「あのー…、明日忙しいんじゃないの?」
寅「安心しな、他の人になくてね、伯父さんに有り余るもの、
それは暇だよ」
これは寅お得意のいつものセリフ(^^)
満男「えっと…、でも、退屈だよ、大人の人には子供の運動会なんて…」
と、いかにもやめて欲しそう…(TT)
寅「オレ、大好き、子供の運動会、旅先なんかで子供の運動会にみるとな、
仕事ホッポリ出して一日中ずーっと見てるの。
最後の父兄のパン食い競争ってのあるだろ、
あれなんか我慢しきれなくなって伯父さん飛び出て行っちゃうからねえ〜、ああ。
ましてや可愛い甥っ子の運動会だ!な、明日の朝、一番目立つとことって、
力いっぱい伯父さん応援してやるから、
おまえ一等賞取らなきゃ承知しないぞ!いいな」
満男、下を向いてしまう。
さくら、心配そうに
さくら「応援するの?お兄ちゃん…」
寅「しますよ!」
と言って柴又運道具店で買ってきた赤いホイッスルを思いっきり吹く。
ピ〜〜〜〜〜〜!!!!
みんな耳をふさいで身をかがめる。
寅「フレェ〜〜〜エ!フレェ〜〜〜エ!満男ー!!
タンタンタン!、タンタンタン!
タンタンタヌキの金玉はぁ〜!、
…ウワー〜〜!!
フレーフレーォ〜ミツオー!!
『金玉』の部分でさくらがビビッテ(^^;)いた
バンザーイ!!」と大はしゃぎ(TT)
一同シラ〜
寅「♪うみ〜〜ゆ〜〜かば〜〜〜」
博「いいですよ、兄さん僕が行きますから」
と、言い出したり、満男がお父さんやお母さんのいない子もいるから
と言って、誰も行かないことにしだしたり、なんとか寅に行かせないように工夫し始める。
寅、不思議がって
寅「ちょっと待てよ、なんだオレは、なにもめんどくさいって言ってるんじゃないんだよ、
喜んで行ってやるって言ってんだからなにも遠慮するこたあないじゃないか」
さくら「遠慮じゃないの、遠慮じゃなくてね…、分かってよお兄ちゃん」
寅ブスッとして
寅「満男、おまえ、オレが行くのが迷惑なのか?」
おいちゃん、たまりかねて
おいちゃん「少しは満男の気持ちにもなってやれよ」
寅「あなたには聞いてません!」座布団一枚(^^;)
おいちゃん「迷惑なのに決まってるじゃないいか」
寅、おいちゃんを睨んで、満男の方も睨みながら、
口の中でブツブツ文句を言っている。(^^)
満男、その視線に耐え切れず下を向いてしまう。
寅は、矛先を博にも向ける。
寅「博、おまえはどんな教育をしてるんだ、息子に、えー、
忙しい中をやりくりして、面白くも無い運動会に行ってやろうと言ってんだぞ、
その気持ちがわかんねえのかお前の息子に」
寅はとにかくとにかく収まりがつかない。
ついに満男は泣きはじめてしまう。
タコ社長が、なんとか仲裁に入ろうとして、『参観日に娘に来るなって言われた話』をしたが、
寅は、せせら笑って
寅「そりゃあ、当たり前でしょ、みっともないタコ入道みたいなオヤジが学校に来たんじゃ、
あの鈍感な娘だって自殺したくなるよ」
社長「言ったなこのやろ!たとえね、零細企業でもオレは社長だぞ!
おまえはなんだ文無しのフーテンじゃねえか!」
タコ社長が持っている「気くばりのすすめ」
(講談社)は鈴木健ニの1982年の大ベストセラー。
単行本332万部、文庫本を含むと400万部以上売れた。
寅、プチっとキレてタコ社長に殴りかかる。
必死で止める博やさくら。
寅「やめたよ!やめたよ!運動会行くのやめりゃあ文句無いんだろ!
フン!こんなみっともねえ伯父さんが行ったんじゃな、満男が可哀相だからな!」
さくら半泣きになりながら
さくら「そんなこと言って無いでしょ」
満男、仏間に行って泣いている。
寅は怒って飲みに行ってしまう。
社長ぼそっと
社長「寅さんが悪いわけじゃないんだよな…、じゃあ誰が悪いのかね…」
と、帰って行く。
翌日 さくらの家
雨がザーザー降っている。
傘を差した満男が家に戻ってくる。
運動会は中止だったようだ。
公立の小学校なら必ず近々もう一度日を選んで、運動会は開催しますよ、絶対に。
満男はとらやに寄って来たそうだ。
その時寅はもう旅に出ていて、書置きを残していったようだった。
その封筒を見せる満男。
『必ず一等賞とれよ。 寅おじさん』
そして五百円札。
哀しい顔のさくら。
満男、下を向きながら、
満男「母さん…」
さくら「なに?」
満男「もし、おじさんから電話がくるようなことがあったら…」
さくら「なに…?」
満男「ごめんなさと言っといて」
さくら、うなずき、満男のカバンに封筒と五百円札を戻してやる。
階段を上がっていく満男
兄のことを考えているさくら。
A越後で知り合ったわけありの女性
新潟県新潟市西蒲区並岡 はさ木農道
2018年9月 寅福さんが今までの定説を覆し、新発見されました!
数年前に
この「はさ木」の場所は
越後で農場(滝沢農園)を営まれておられます
滝沢直紀さんからのメールで教えていただいた場所です。
最初にも書きましたようにOPの小千谷市船岡公園も教えてくださいました。
滝沢さんは北海道をはじめ、いろいろなロケ地もめぐられています。
滝沢さんのサイトです。↓
http://www.ac.auone-net.jp/~takizawa/torajiro31.html
越後(新潟県西蒲原郡中之口村福島)の『はさ木』。
中之口村打越から中之口村福島方面の金比羅山、護摩堂山方位、で撮影。
しかし、さらに新事実がわかったのです。
2018年9月23日 新事実発見!!
寅友の寅福さんがこのはさ木の場所を新たに新発見されました。
今も残る物証が複数ありますので
今度こそ100パーセント新しい場所でした。
実は滝沢さんの場所とは別の場所だったのです!!
滝沢さんの言われていた場所から3キロちょい離れた場所だったのです。
詳しい場所は今は書けません。
寅福さんが現地へもうすぐ行かれますので
もうしばらくお待ちくださいね。
バックに見えるのは角田山と弥彦山
ビバルディの四季から春第2楽章が流れる。
「はさ木」とは刈り取った稲を乾かすために植えられた木。
越後平野にはたくさんある。
この場所のピンポイントは
新潟県新潟市西蒲区並岡
雨乞山、弥彦山、多宝山、天神山、と続いて行く。
■追記:ついに2021年秋 寅福さんが現地に行かれましたので
まずはストリートビューで位置だけは記載しますね。
https://goo.gl/maps/CBoQrbnzAfhK3oZ39
白根凧合戦が映し出される。
新潟市内万代橋
市民ホールの前で啖呵バイをする寅
寅「ヤケのヤンパチ日焼けのナスビ色が黒くて食いつきたいが
アタシャ入れ歯で歯がたたないよと来た!ね」
お客さん「フフフフ」
寅「今日は新潟美人のおそろいだからもう安くしちゃおう」
と、言ってコンパクトやセカンドバッグを売っている。
そのころ市民ホールでは「京はるみ」のコンサートがキャンセルされていた。
都はるみさんはデビューする時「京はるみ」の名前でデビューする予定だったが、
先客がおり、しかたなく「京」ではなく「都」に変えてデビューしたのだった。
おっと、さっき啖呵バイ聞いていたお姉さんも
キャンセルの払い戻しの列に並んでいる。
マネージャー達は、記者達にひた隠しに隠しているが
どうやら京はるみさんは失踪したようなのだ。
この時の新聞記者さんに梅津栄さんがいた。
新潟市内 関新1丁目 ガード近く 食堂
一方そんなこと関係ないし、知る由も無い寅は、
新潟の町外れの食堂で夕飯を食べている。
でました谷よしのさん!
今作品2回目の出演!
食堂のおばちゃんで登場
寅「おばちゃん、この近くに安い宿屋ねえかな」
谷さん「近所にはねえなあ…、駅まで行きゃぁ、
いくらでもビジネスがあるけど…」
と言いながらテレビを見ている。
寅「ビジネスか…ビジネスは按配悪いな…、
独房にいるみたいで」
テレビでは京はるみリサイタルの中止の報道が流れている。
新潟の夜の街に消えていく寅
「新潟電鉄」が走ってゆく。
この電車が市電ではなく「新潟電鉄」だとわかったのは
は、越後で農場(滝沢農園)を営まれておられます
滝沢直紀さんからの詳細なメールによります。
このカットいい雰囲気だね。
一方マネージャーや事務所のスタッフたちはてんやわんやで
慌てふためいている。新聞にも実は失踪したのではないかと
書かれている。
越後 出雲崎 良寛堂前
『虫眼鏡』をバイしている寅。
こんな人が少ないところでは売れないだろうに…(^^;)
少女が遊ぶ紙風船を膨らませてやる寅
寅「この町は商売にはむかねえなこりゃ」
出雲崎 港
はるみのテーマ流れる
堤防で京はるみが海を眺めている。
寅も近くで漁師船のオヤジ(山谷初男(ヤマヤハツオ)さん)としゃべっている。
山谷初男さんは松竹映画にはなくてはならない人。秋田出身のせいか、東北弁の役が
多い。今回も越後の漁師さん(^^)
寅は、佐渡の金山で金を掘らせてくれないかな、と時代錯誤なことを
言って笑われている。
京はるみさんもクスクス笑っている。
はるみさん、芝居下手やなぁ〜(^^;)
寅振りかえって
寅「お姉さんもおもしれえか、ハハハ」
寅「船長、どこ行くんだこの船は?」
船長「わしは、佐渡に戻るっちゃ」
寅「佐渡行くの?乗せてってくれ、頼む」
と拝むカッコウ。
時間がかかるぞと言う船長に
寅「そらあ、かまわねえよ、オレは暇だったらなあ、
もう腐るほど持ってるんだ。持ってないのは金だけだい。
よしそーと決まったら渡りに船だ」
はるみ「あの…」
寅「ん…?呼んだか?」
はるみ「私も乗せてくれないかな」 芝居ちょっと下手(TT)
寅「じゃあ…姉ちゃんも佐渡行こうってのか?」
はるみ「うん」
と言うことで二人で佐渡へ。
うーん、お忍びとはいえ、京はるみさんが、いきなり、見ず知らずの男と一緒に
こんな漁船に乗るって無理があるなあ…(^^;)
寅「♪はあ〜〜〜佐渡へええ〜〜〜佐渡へえ〜〜と〜〜」と、
佐渡おけさを機嫌よく歌ってはいたが、最後は船酔いで、
バケツを持って吐いていた寅だった(TT)
はるみ「お兄さん、大丈夫?もう着くわよ」
それにしてもはるみさん、もろ京都弁だなあ〜(^^)
はるみのテーマが流れる。
はずれの入り江
矢島と経島にかかる赤
いアーチ橋をくぐって、港へ入ってくる。
たらい舟で漁をする女性の姿
小木に昔から伝わるたらい舟は、
小廻りがきき安定しているので、
女性がサザエやワカメ漁に使っているもの。
寅が船酔いでふらふらになっているので
はるみさんがリードして民宿を探している。
京はるみさん、知り合ったあったばかりの見知らぬダボシャツの中年おじさんと
同じ民宿に泊まるなんて勇気あるね(^^;)
このあたりの作品は寅がいきなり信用されているが、
ちょっと『お約束』のしすぎかも…(^^;)
B二人だけの佐渡の休日
佐渡 宿根木(しゅくねぎ)
佐渡.宿根木[しゅくねぎ]
(重要伝統的建造物群保存地区選定)
江戸時代は廻船基地として栄えた村で、船主や舟大工職人達が住んでいた。
小さな入江に質素な板壁の家が100余軒肩を寄せ合って建っている。
大正期には木羽葺石置屋根の家並が独特の風景をつくっていたと言う。
民宿 吾作
おばあちゃんはあの「阿弥陀堂だより」の名優北林谷栄さん。
上手いなあ…なんともおばあちゃんだよなあ。
夜になって
はるみさんは民宿のおばあちゃんの浴衣を貸してもらって
ほろ酔い気分で飲んでいる。
すっかり寝てしまった寅ははるみさんと酒を酌み交わす。
寅、まじまじとはるみさんを見る寅。
はるみ「なに?」
寅「え?…どっかで見た顔だなあ…」
はるみ「そう?」
寅「ん」
はるみ「…そお?」
寅「前オレと会ったことなかった?」
はるみ「ううん、会ってない」
寅「どこだったかなーしょっちゅう見てた顔…」
テレビのモニターを見て…
寅「思い出した!
去年!
岐阜の千日劇場。
あそこの前で
トウモロコシ焼いてたろ?
こうやって、ナッ!焼いてた」このしぐさ、渥美さん天才です!!(^^)
あちょ〜〜〜ヽ( ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∇ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄;)ノ
はるみ「ううん、焼いてないよ」焼いてないよなあ、そら(^^;)
寅「焼いてない?人間違いか…」
このギャグはこの作品のメインだ!最高の間合い。
ここははるみさんも上手い!
はるみ「そうよ、どこにでもある顔だもん、フフフ。
さあ、飲もうお兄さん」
寅「あ、申し遅れたけどね、
オレは車、寅次郎という男だ」
はるみ「じゃあ、寅さんね」
寅「ん、みんなはそう呼ぶよ」
はるみ「あのー…私のことだけどね…」
寅「いいよ、わけのありそうな女の一人旅、
くどくど身の上聞くほど野暮じゃねえよ…」
渋い!カッコイイ!殺し文句!大統領!後家殺し!
はるみ「…ありがとう」
涼やかに笑って頷く寅
はるみさんは、そんな男気のある寅に、
自分の悩みを打ち明けるのだった。
どうやら…
好きな男の人と別れてしまった悲しみが、
彼女の中に押し寄せてきているのだ。
スターゆえに相談できる相手もいない。
そして気持ちの整理がつかないまま歌を歌えず」、
発作的に失踪してしまったことをとても後悔してしまっているはるみさんだった。
縁側で涼むはるみさん
はるみのテーマが流れる。
はるみ「あら、寅さん蛍よ…」
寅「ん」
はるみ「どこって言ったっけ、寅さんの故郷」
寅「東京は、葛飾柴又よ」
はるみ「時々帰るの?」
寅「いやあ、めったなことにゃ…」
うそうそ、半年に2度ほど帰ってます。(^^;)
寅「オレも姉さんと同じ家出人だから」
はるみさん、寅の袖をつかみながら
はるみ「ねえ、なにがあったの?」
寅「え?…へへへ、惚れた女と逃げたのよ」 嘘八百(^^;)
寅「ところもちょうど矢切の渡」
はるみ「フフ…♪連れて…逃げてよ、」
寅「♪ついて…おーいでーよー」
はるみ「♪ゆーぐれーのー…」
二人で「♪あめがふるー、矢切の〜渡ィ〜」
寅、その歌にはっとする。
はるみ「♪親の心にそむいてまでまでもォ〜」
寅聴き惚れている。
寅「上手いなあ歌が…」そらそーだ(^^;)
はるみさん照れながら首を振る。
寅「銭取れるよ」取ってるよかなり(^^;)
はるみ「そう?どうもありがと」
寅「でも、もうちょっと歌ってくんないかな…」
はるみ「フフフ」
はるみさんは、その直後に眠くなり二階に上がっていく。
悩んで悩んで疲れていたんだね…。
階段で止まって
はるみ「寅さん」
寅「ん?」
はるみ「明日何時?」
寅「何時って、好きな時に起きりゃいいじゃねえか」
はるみさん、はっとして、寅の手を握り、
はるみ「そうなのよ、私自由なんだ。どっかいいとこ連れてって明日」
寅「わかったよ」
はるみさん、階段を上がりながら
はるみ「♪連れて逃げてよ〜」
寅「♪連れて逃げてよ〜…か」
そのあと、宿のおばあちゃんは寅にはるみちゃんにサインをもらって欲しい
と頼むのだった。
おばあちゃん「今の人、有名な京はるみさんだろ、歌手の…」
寅、はっと二階のはるみさんの部屋を見る。
寅「いや違う、いやおばあちゃんあれはな、オレが出雲崎の港で
めぐり逢ったわけありの女よ、ん、そんな有名人じゃない」
とは、言ったものの、そういえば瓜二つだと、思わざるを得ない寅だった。
おばあちゃんの見せた写真を見て、もう一度二階を見上げ、確信していく寅だった。
ちゃぶ台が上からのアングルで映るが、
はるみさん、ほとんど何も食べなかったんだね。
二階
ぐっすり寝入るはるみさんの寝顔。
ようやく訪れた安らかな夜。
翌日
マネージャー達は、
出雲崎から、はるみさんが船で佐渡に向かった情報を手に入れ、佐渡へ向かう。
沢崎鼻灯台付近
佐渡で寅とはるみが遊歩道を歩いていく
はるみさんがキバナカンゾウの花を持って歩いている。
「砂山」を歌うはるみさん。
はるみ「♪海はあーらーうーみー、むーこーおーは、さーどーよ、
すーずめなーけーなーけー、もうーひーはーくーれーる」
寅は、京はるみさんだと分かってしまったので、緊張気味に歩いている。
寅「歌うまい」
はるみ「フフフ」
はるみ「寅さんいつもこんなふうに旅してるの?」
寅「おう、風の吹くまま気の向くまま、好きなところへ旅してんのよ、
ま、銭になんねえのがたまに傷だけどな」
はるみ「そんな人生もあるのね…、
明日は何をするか、明日にならなきゃ
決まらないなんて…いいだろうな」
結局、都はるみさんの芝居に若干の違和感が残るのは、
役者ではないので、『気』が違うというのもあるが、
京都弁と標準語がいつも入り混じっているせいなのかもしれない。
役者は普通どちらかにかたよってしゃべるが、彼女は普段のチャンプル言葉
のまま、芝居をしているので、どこかぎこちなさが残るのだろう。
マネージャー達がようやく追いついてくる。
そうとは知らないで、浜辺で寅とはるみさんが遊んでいる。
ドリーブ作曲 コッペリア より第1幕ワルツ
こけそうになり寅の胸に抱きつくはるみさん。
『佐渡おけさ』を長く歌うはるみさん。
はるみ「♪はあ〜〜ああ〜〜、
さどーへーえ、さどーへへ〜〜と草木もなーびーくよ」
寅「あありゃありゃありゃせっと」
現地の方々も手拍子をとって交じっていく。
聴き惚れながら眺めている寅
マネージャー達は、なんとか突き止めるが
ギリギリで漁船船に乗られて行かれてしまう。
木の葉のこさんは遥かなる山の呼び声で好演していた。
藤岡琢也、桜井センリ、木ノ葉のこ、ベンガル、扮する
マネージャーたち、ヘトヘトで目がペケ。
ベンガル君は、はるみさんを追うためにタライ舟に
乗って漕ぎ出すが、くるくるまわってあえなく転覆。
あったりまえ〜〜 ゞ( ̄∇ ̄;)
C別れの時、忘れられぬ面影。
小木の港
小木の港の「山本屋みやげ店」でビールを飲む寅とはるみさん。
人見 明 さんが店のオヤジ。
マネージャー達を見つけるはるみさん。
少し顔が青ざめる。
観念をしたようだ。
寅「さて、これからどうする」
はるみ「寅さんは?」
寅「そうだな、5時に連絡船が出るから、それで本州行って汽車に
乗り継いで信州行くか。さもなくば北に上って青森秋田だな、
これからどこへ行っても若葉が萌えるようだぜ」
いいねえ〜(^^;)
はるみ「私も行きたいなあ…」
寅「じゃ、そうするか、船が5時に出るからよ、ビール急いで飲んじゃおう」
はるみ「寅さん」
寅「え」
はるみ「私ね…」
とうつむく。
寅「どうした?はるみちゃん」あちゃ〜〜〜(((((><;)
と、つい口がすべってしまう。
はるみさん、驚いて寅を見る。
寅、自分の言ったことに気づいて顔がこわばってしまう。
はるみ「…」
寅、下を向いてしまう。
沈黙が流れる。
涙の連絡船が流れる。
はるみ「最初から知ってたの?」
寅「え?ほら、あの…夕べのばあさんによ、教えられて、
それまで全然気がつかなかった、あんたみたいな有名な人をよ。
オレもバカだよ」
はるみ「じゃあ、知らないふりしてくれてたのね」
寅「うん、まあ、そのほうがいいんじゃないかなと思ってな」
はるみ「そう…寅さんていい人だね」
寅「…」
プロダクションの社長やマネージャーたちが追いかけてきて
はるみさんはついに完全に観念する。
人払いをしたはるみさんは、
はるみ「とっても楽しかった寅さん」
寅「せめて、あと、2、3日ありゃ、もっともっと楽しい目みせてやれたのにな」
はるみ「でもこの旅のこと、私一生忘れないよ」
この言葉は、第34作「真実一路」でももう一度出てくる。
ふじ子さんが手紙でそうしたためるのだ。
寅の手を握るはるみさん。
寅、びくっと、手を引きがちになる。
寅、ゆっくり頷く。
はるみさん、行きかけて…
はるみのテーマが流れる。
はるみ「寅さん、行きたくない」
寅「オレだって行かせたかねえよ。でもそんなことしたらあんたのことを待ってる大勢の
ファンが、がっかりするよ…」
別れ際に、はるみさんは「エメラルドの指輪」を寅に渡す。
寅「オレ、こんなもん…」
はるみ「違うの、私の思い出に…、ね」
階段を下りようとするはるみさん。
寅「はるみちゃん」
はるみさん振り向いて「なに?」
寅「もし、辛くてたまらないようなことがあったら、
そして俺のような男でも相談相手になれるようなことがあったら
東京は葛飾柴又帝釈天参道のとらや行きな、
オレがいなくったって、親切なおいちゃんおばちゃんや、
妹のさくらが相談に乗ってくれるからな」
はるみ「うん、きっとそうする…。
さよなら」
寅、さみしさに打ちひしがれている。
エメラルドの指輪を見つめ続ける寅。
ちいさく
寅「いっちまったか…」
とつぶやく。
寅「あれ?オレどうしてここにいるんだ?」
よくよく考えてみると寅も5時のフェリーで帰る予定だったのだ。 バカ(^^;)
アタフタ追いかけるが
もう連絡船は出て行ったところだった。
第7作「奮闘編」オープニングのギャグのアレンジだ。
メインテーマ流れる。
埠頭で口に手を当て叫ぶ寅
寅「京はるみ、ガンバレー!」
まさにその時汽笛が
ボーー!!
耳を押さえるはるみさん。
佐渡汽船カーフェリー
「ギャビー」と叫ぶ主人公の声が汽笛に消されるラストシーン
本編ではここで、汽笛で声がかき消される。
まるで寅は、フランス映画.『望郷』のラストで、
「ギャビー〜〜〜ッ!!」って叫ぶジャンギャバンだ。
D寅の東芝ウォーキー騒動と佐渡の事情説明
柴又 帝釈天参道
さくらがロークの角を曲がり題経寺ニ天門前で御前様と挨拶。
第5作「望郷篇」からすでにオープンしていた
喫茶店ローク最後の姿。
とらや 店
タコ社長に今作品からかわいい秘書さんが登場。
名前はゆかりちゃん。
ゆかり「奥さんが帰りに油揚げ2枚買って来てくださいって」
っていう程度の役目(^^;)
このゆかりちゃん、ちょっと前まで大阪の港近くで住んでいた。
ふみさんの弟君と婚約までしていたが、彼が急死してしまって、ショックを受けてしまう。
その後女子大生となって、すっかり明るくなり、京都の加納作次郎の自宅を見学などしていたが、
どういうわけか、この柴又まで流れてきたようだ(^^;)
以上、楽屋落ちでした(^^)
まあしかし、社長苦しい首くくりてえ、なんて嘘だね。秘書なんて必要なわけ無いじゃないか
あの小さな工場に。一年でいくら人件費必要だと思ってんだろね。
松月堂の開店セールでチンドン屋さんが出ている。
『大阪しぐれ』を演奏している。
テレビ局スタジオ 収録
「惚れちゃったんだよ」を快活にテンポ良く歌うはるみさん。
この歌はよかったー!
そうとう乗っている感じがでていた。
はるみ「♪ほぉぉ〜〜〜〜〜〜おおお、
ほれェ…ちゃったんだぁああああんだーよぉー
意地でェさよなら言っては来たが、ほれェちゃ…たんだよー〜〜〜〜、
思い切れずに泣いてるバカさぁ、夜汽車で今すぐ会いにゆくぅー〜〜、
ま〜〜〜〜〜あって、まあっておくれよ、
こーのお〜〜〜〜れーをー〜〜〜」
なにか吹っ切れたみたいで乗りまくっているはるみさんだった。
一方とらやの茶の間では…
とらや 茶の間
タコ社長がテレビで都はるみの『涙の連絡船』を聴いている。
奥さんが時代劇を見ているので、ここまで見に来たのだった。
タコ社長、はるみさんの歌に合わせて
社長「♪今夜も、汽笛が、汽笛が、汽笛が、〜」
と、口ずさみみんなの失笑をかっている。
なんと寅、のそっと入ってきて、
土間に立って後ろからテレビを見る。
『ほうき』で社長の顔をのかせようとして。
みんなビックら仰天!
さくら「お兄ちゃん!」
寅「しっ!」
はるみさんの歌に聴き入る寅。
歌が終わった後、下のようなCMが始まった。
このCM見たことあるんですが思い出せない…。
化粧品だったかなあ…。
知ってる方メールいただければうれしいです(^^;)ゞ
顔はやつれ、意識は朦朧としている。
はるみさんのことでかなりダメージがあったようである。
いつものように手紙か電話がなかったか聞く寅だったが、
スターのはるみさんだから来るわけ無いとあきらめ、フラフラ
二階に上がっていく寅だった。
社長「みなさん、たいへんだねえ、
これから、さあ、失恋するまでたっぷり楽しめるぞ〜〜」
怒ったおいちゃん、社長を出入り禁止にする。
翌日
柴又駅近く 葛飾電器
東芝ウォーキーにはるみさんのカセットを入れてお金も
払わずに持って行ってしまう。
駅前のコサカフルーツがバッチリ映る。
とらやに電話がかかってきて、おいちゃんやおばちゃんが大恥をかくことに。
おばちゃん「あ、葛飾電器さん、何の用?え?寅ちゃんがお店の品物を?
黙って持ってったぁ?あのね、うちの寅はね、そりゃいい加減な男ですけどね、
人の道にはずれるようなことはしませんよ!」
おいちゃんもそれ聞いていきりたって、おばちゃんと電話変わって
おいちゃん「寅がどうしたってんだ、え、何か証拠でもあるのか」
ちょうどその時、東芝ウォーキーではるみさんの歌を聴きながら、
寅が駅の方向から題経寺へフラフラ歩いていく。
あちゃ〜〜〜(^^;)
最高の演出(^^)/
題経寺 境内
寅が境内をはるみさんの歌を聴きながら歩いている。
御前様「おー…、寅、」
寅「あ、御前様」とお辞儀&拝む
御前様「耳あてなどして、どうかしたか?」
寅「あ、おかげさまで…」とまったく聞いていない(^^;)
御前様「中耳炎にでもなったか?」
寅、歌を聴いているので全てうわの空。
寅「ええ、このぶんですと明日はどういう天気になるか」適当(^^;)
御前様、手を口に当てて
御前様「なに聞えんのか!?」
寅「ごもっともでございます」ずっと上の空(^^;)
寅、ベンチで歌を聞き続ける。
源ちゃん「兄貴、何聞いてるねん!?」とさくらのバイクの時同様、興味津々。
源ちゃん「ちょっと聴かせて」
と寅に擦り寄り、イヤホンを取り上げるが、
『惚れちゃったんだよ』を一心に聴いている寅は、それに気づかず、
いきなり声が聴こえなくなったので、思わずボリュームを最大に上げる。
源ちゃん、爆音が耳の中で暴れまくり髪の毛総立ち、ひっくり返る。
イヤホンが転がって、ようやく寅は源ちゃんの仕業に気づく。
いつもやられっぱなしの源ちゃんが
今回は珍しくほうきを振りかぶって寅にはむかっているのが面白い。
御前様「進歩がない」と、呆れ果てている(^^;)
夕方遅く
とらや 台所
寅がフラフラもどってくる。
あれからず〜〜〜〜っと歌聴きっぱなしで、
完全にその世界に入り込んでいる。
寅「たっぷり聴いた、これで十分だ」と、おいちゃんや満男にウォーキーを返そうとしたが
さくらに叱られる。
さくら「しっかりしてよお兄ちゃん、それは今朝お兄ちゃんが、
葛飾電器からだまって持ってきちゃったのよ」
寅「それじゃまるで泥棒じゃないか、オレがそんなことするかい」病気か(−−;)
おばちゃん怒り心頭で
おばちゃん「何言ってんだい!
そのお陰で私たちはね、大恥かいたんだよ。
うちの寅に限って泥棒みたいな真似しませんって啖呵きったら、
あんたほんとにやったんじゃないの」
さくら「私飛んでって、謝ってお金払ってきたのよ」
寅「あ、そーか…、オレそんなことしちゃったかぁ」夢遊病者か ヾ(^^;)
と、みんなに謝る寅だった。
博たちに、その深刻な放心状態の事情を尋ねられ、
ついに寅は、みんなに話し始める寅だった。
寅「ん、それでは、話ましょう…」
みんな真剣に聞こうとする。
寅「♪はあ〜〜〜〜、さどーえーえ〜〜〜、」おいおいおい ヾ(^^;)
一同びっくり
おいちゃん「なんだいそりゃあ」
寅「…歌だよォ、こっから始めなきゃ話がわかんないじゃないの」
博「わかりました、どうぞ歌ってください」
寅、ちらっとみんなを睨みながら
寅「♪はあ〜〜〜〜、さどーーえーえ〜〜〜。
佐渡へ佐渡へと草木もなびく。
唄で知られた佐渡島。
海の向こうに見える小さな港町。
一人の女が立っていたと思ってくれ。
満男「ねえ誰それ?」 満男 ヾ(^^;)
おいちゃん「きれいな女の人だよ」 おいちゃんまで ヾ(^^;)
おばちゃん「いくつくらいの人だい?」 おばちゃんてば ヾ(^^;)
博「若いに決まってますよ」決まってるって…博っていったい(^^;)
おばちゃん「まあ〜…」 まあって… ヾ(^^;)
寅「…、どうしてそうやって話の腰を折るんだよ、
それじゃ話が続かねえじゃないかよ」
それでまた寅は唄から入る。
寅「♪はあああ〜〜〜…」
みんなげっそり
寅「歌もういいか…」
さくら「うん、もういい」
それで、わけありの女、京はるみさんとの出会いと佐渡へ小船で渡った経緯と
短い蜜月の時間を説明する。もちろん京はるみさんだということは言わない。
寅「しかし、やがてつらい別れが来る。
小木の港の小さな食堂で…、
と、さくらの手を取り、
寅「あの人はオレの手をしっかりと握り、
『寅さん、ありがとう。この思い出は一生忘れないわ」
エメラルドの指輪をチラチラ見せて、さくらの手の平に乗せてやる。
寅「私の一生の思い出として持っていて」
さくらの指を折り曲げ、エメラルドを握らせる。
さくら、その指輪を見て、少なからず驚いている。
寅「さようなら…。
あの人を乗せてでてゆく連絡船…。
ボー〜〜〜、
♪…汽笛ィーが、汽笛ィーが、
一人ぼっちで泣い〜てェいー〜〜る〜〜。
やがて消えてく連絡線…
話はそれで終わりよ」
博たちはどこの誰か聞くが、
寅「聞きたいか」
さくら「どういう人?」
寅「オレも言いたい!でも、その人の名前を言ったら
おまえたちは『あ!!』っと驚くかもしれない」
一同ビクッ!
寅はグッとこらえてその人に迷惑がかかるからと
断じて言おうとしない。
これ以上ここにいると名前を言いそうになると二階へ上がっていく。
寅は二階へ上がりながら無声音で小さく
寅「はるみちゃ〜ん」と叫ぶのだった(^^;)
博は、寅の発言を疑っているが、おばちゃんは指輪を見ながら
おばちゃん「でも…、これ、本物じゃないかい?」
さくら「まさかー…、本物だったら大変よ、エメラルドだもん」
おばちゃん「へえー…」と、シゲシゲ眺めている。
さくら、よくわかるね、エメラルドだって。普通わからんよ。
色だけでわかるってことは、さくらって結構好きなんだね宝石を。
寅の土産としては加納作次郎の茶碗といい勝負の高さ。
普通は宝石の中古は値がかなり下がるが、
京はるみさんが持っていたとなると逆にかなりの値がつくね、たぶん(^^;)
博は寅の聴いていた歌を聴きながら
博「演歌に指輪に佐渡島か…」
おいちゃん「三題話だなァ…」
E柴又にやってきたはるみさんと失意の寅。
題経寺 二天門前
源ちゃんが柱を洗いながら『大阪しぐれ』を歌っている。
そこへなんと京はるみさんが、車で道を聞く。
源ちゃん、呆然…。そして光ファイバーに変身!!
なんとはるみさんは寅に会いにとらやにやって来たのだ。
タコ社長呆然&嬉々
おばちゃん、しげしげと本物かどうか観察(^^;)
世紀の大スターが柴又へ来たもんだから、
源ちゃん光ファイバーで情報が伝わりもう町中大騒ぎ。
呼ばれた寅も二階から下りてきてびっくり仰天。
誰にもはるみさんとのことを言わなかったと告げる寅に、
はるみさんは頷く。
みんな店の中まで押し寄せてくるので、
とりあえず二階に非難する寅とはるみさんだった。
寅は、部屋中京はるみさんの写真やポスター、カセットで溢れているのを、
ごまかすために次々に隠していく。いつの間にこんなに集めたんだ??
気づけよな、はるみさん(^^;)
はるみ「今度、東京でリサイタルをすることになったの」
と、寅に来て欲しくてチケットを持ってきたのだった。
はるみ「こないだ会ったの」
寅「誰に?」
はるみ「彼に」
寅「え?」
はるみ「二人の間のことをきちんとしておくためだったんだけど、
いろいろ話してるうちにね…、こないだの旅のことや、寅さんのことや…、
話してるうちに、ふと、もう一度やり直してみようかな…、
そんな気持ちになってね、お互いに」
寅、あああ…(TT)
静かにメインテーマが流れていく。
寅「……」
沈黙の時間
はるみ「私こんなこと言いに来たんじゃないの。
話したの、寅さんが初めてよ」
寅「うん、オレは誰にもしゃべらないから大丈夫だよ」ああ…(TT)
当然ながら急に元気のなくなった寅だった。
下の階では、タコ社長がサイン用の色紙をたんまり抱えて
社長「頼むよ、税務署には、はるみちゃんのファンがいっぱいいるんだから」
ありえねえ〜!ワイロかよ〜〜((((^^;)
そこへ二階から下りてくるはるみさん。
みんなで大歓迎、大騒ぎ。もう収拾がつかない。
はるみさんは、みんなの気持ちを考えて
縁側に立ってみんなに歌を歌うことになった。
恋人との復縁を知った寅は、二階で静かに沈んでいる。
なんと…、あのスターを本気で好きだったんだね…。
はるみさんは団子屋さんにちなんで『アンコ、つばきは恋の花』を歌うことに。
ベタやのう…(^^;)
はるみさんがベタなシャレを言ったのでみんな爆笑。
「♪三日遅れの頼りをのーせーてー〜、
船ェーがあああ〜〜〜、ゆううーくー、ゆうううーく、
波浮港ォ〜〜〜、
みんな一心にはるみさんの声に聴き入っている。
「いくらー、好きーでーもー、あなたはァーとおおおーい〜〜、
波のーかーなたへー、いいったきーり、
アーンーコー〜〜〜ォェ、便りーはェー〜〜、
アーンーコー〜〜〜ォェ、便りーはェー〜〜、
聴き入るゆかりちゃんはじめ工員たち。
ゆかりちゃんと中村君に挟まれて聴いているトシオ君は実は、ゆかりちゃんのことが
好きになっていくのだが、そんことがわかるのは第37作「幸福の青い鳥」の中。
はるみさんの歌う横で変に目立つ「手洗いの青い水ダメ」
博とさくら、は茶の間にいて聴いている。
この二人は、結構冷静(^^;)
博「兄さんはどうした?」
さくら「…うん」
寅、静かに下りて来る
♪アーンーコー〜〜〜ォェ、便りーはェー〜〜、
アアンアンアアンアー、
片ァだーよォォーりー〜〜〜〜!
寅「お、歌ってるな…」
間奏の時、みんな拍手
静かに真顔で見守っている寅。
「♪三原ーやまーからー、噴きだーすーけーむーりー、
北ーへー〜〜、なーびーけェ〜〜ばァ、思い出す〜〜、
惚れちゃならーなーいー、都のーひーとーにー、
寄せるおーもーいーがー、灯ともーえーて、
アーンーコー〜〜〜ォェ、つばきーはェー〜〜、
アーンーコー〜〜〜ォェ、つばきーはェー〜〜、
アアンアンアアンアー、
スウスリィ〜〜なーああきィー〜〜!」
そこにはファンの顔でなく、
親密な繋がりを意味する寅の真剣な目の光があった。
そんな真顔な寅を見て、
さくらはドキっとしてとまどってしまう。
F寅の旅立ちとはるみさんのリサイタル
さくらの家 夜 台所
満男「ねえ母さん」
さくら「ん」
満男「どうしてあんな有名な人がおじさんなんかに会いに来たの?」
そらそーだよな(^^;)
さくら「そーねー…」
博「きっと楽しかったんだろ、旅先でおじさんと語り合って」
さくら「いったいなにがあったのかしら佐渡島で…」
さくら「だって…お兄ちゃんとはるみさんはまるで恋人どうしみたいに…」
博「つまり、ああいう立場の人は意外と淋しく暮らしてるってことじゃないのか」
さくら「そういうことかもしれないわね…」
満男が二階へ上がろうとして、廊下に出た瞬間、
満男の目に玄関に座る寅の背中が映りだす。
救急車の音。
これはとても意外な展開だ。
この演出には見ている私もドキッとした。
満男、台所に顔を出して
満男「父さん、おじさんが来てる」
博とさくら「え!?」
博、急いで廊下に出て
博「どうしたんですか、こんな時間に」
寅「んー、フフフ、脅かしてわるかったな」
さくら電気つけて
さくら「とにかく上がったら」と、寅の手を取るが、
寅「いやいやいいんだ、
オレこれからすぐ旅に出なきゃならねえから、
ここでいいよ」
さくら、しゃがんで
さくら「どうしてまた、突然に…」
寅「うん…、だいぶ怠けちまったからな、ヘヘへ、少し稼がなきゃ
しょうがねえや」
さくら「…」
博「…」
寅「あ、これ、はるみちゃんにもらったリサイタルの券だけどな、
七月の末っていうと、旧盆前でオレたち稼ぎ時なんだ。
まさか、顔出すわけにもいかねえんだ。
おまえたち二人オレの代わりに行ってくれねえか、な」
さくら「でも、…お兄ちゃんに来てほしいんでしょ、はるみさんは…」
寅「…ま、しょうがねえや」と立ち上がり出て行こうとする。
博「どうですか、たまにはうちに泊まってみたら?」
寅「ありがとう、また今度帰った時に泊めてもらうよ、な」
実際第34作「真実一路」で泥酔の寅は最初で最後のさくらの家でお泊りをするのである。
と出て行こうとする寅。
ふと振り返って
寅「さくら」
さくら「ん?」
寅「はるみちゃんの、リサイタルに行くとしたら、一本でも二本でもいい、
きれーな花を買って、オレからだと言って届けてやってくんねえか」
メインテーマが静かに流れる。
寅「そして、車寅次郎は、どんなに遠い旅の下でも
はるみさんの幸せを祈っていますと、そう伝えてくれ」
さくら、頷く。
寅「満男勉強するんだぞ」
廊下の向こうで頷く満男。
出て行く寅。
追いかけるさくらと博。
さくら「お兄ちゃん」
初めて映る夜のさくらたちの家の前。
寅立ち止まり、振り返る。
寅「博」
博「なんですか」
寅「この家の払いはもう済んだのか?」
博「え…」
さくら「まだだいぶ残っている」
寅「そうか…、なんか役にたちてえと思うけれども、
おめえたちも因果だな、こんなヤクザナ兄貴持って…、あばよ」
と、立ち去っていく。
それでもまだ追いかけるさくら。
さくら「お兄ちゃん、お金持ってるの?」
寅「そこまでおめえに厄介かけねえよ」
と歩いていく。
寅、追いかけてこようとするさくらに
寅「いいよ、送って来なくって」
と、足早に立ち去っていく。
何も言えず、ただ見送るさくらだった。
静かにフェードアウト
このさくらの家の前での別れはなかなか味のある演出だった。
このあたりが本当のメインかな…今回は。
「おめえたちも因果だな、こんなヤクザナ兄貴持って…、あばよ」
は、なぜか心に残る淋しい言葉だった。
真夏 7月末
入道雲 蝉の声
とらや 店
ガリガリがりがりいちごのカキ氷を作るおばちゃん。
、この音、夏だねえ〜〜〜(^^)
なんとタコ社長に作ってやっている。
おっと、『日生のおばちゃん』、今日も来ている。
日生のおばちゃん「今日はさくらさんは?」
おばちゃん「さくらはね、博さんと二人で京はるみさんのリサイタル行ったんですよ」
日生のおばちゃん「そう、いいわねえ」
タコ社長は「入場料取れば儲かったのに」と言っておいちゃんの顰蹙を買っていた(^^;)
京はるみさんの話題で盛り上がるとらやの店。
京はるみ リサイタル 東京
みんな拍手
はるみ「お花ありがとうございました。
十六歳でデビューして十五年、
私は夢中で今まで歌い続けてきました。
歌うことが私の幸せだし、
私から歌を取ったら何も残らないと、思っています。
でも時々、ふと、一人の女として私の人生は、ほんとにこれでよかったのかしらと、
迷うこともあります。
今年の五月、そんなつらい気持ちで小さな旅をしました。
そして佐渡島である男性と知り合いました。
その人は私に何も聞こうとしませんでした。
でも、その人の小さな細い目は、私を優しく見つめてくれてました。
面白い冗談を言って、笑わせてもくれました。
名前を寅さん…、と、言いました」
博、さくらを見る。
さくら「…」
さくらの横の席は寅の席
空席のまま…。
今日とってもここにいて欲しかったんですけど、その人の替わりに
綺麗なお花が届きました。
今ごろ、どこにいるのかしら、寅さん…」
「おんなの海峡」の伴奏が入ってくる。
(作詞 石本美由起 作曲 猪俣公章)
♪別れることは死ぬよりも
もっと淋しいものなのね
東京をすてた
女が一人
汽車から船へ乗り換えて
北へなれる 夜の海峡
雪が舞う
砕けた恋に 泣けるのか
雪がふるから 泣けるのか
…
G北の大地の寅次郎
北海道 羊蹄山の麓、
羊蹄山は蝦夷冨士と呼ばれる名山。
静かに胆振線(いぶり せん)が走っている。
胆振線は、この作品のあと3年後に廃線となってしまった。
京極駅(きょうごくえき)北海道虻田郡京極町
京極駅から出てくる寅
留寿都村
留寿都村役場近くの交差点
羊蹄 夏祭り の準備が行われている。
『おんなの海峡』 続き
♪ふたたび生きて 逢う日はないと
こころに決めた旅なのに
みれん深まる 夜の海峡
わかれ波
花火
寅、テキヤ仲間の「長万部の熊」に挨拶。
寅「おい、よ」
熊「よ、寅じゃねえか」
出ました佐山俊二さん。
佐山俊二さんのねずみ顔をからかう。
長万部の熊さん、大立ち回りを試みるがみんなに止められ、
足空中ぶらぶら、バタバタ。
これは第9作「柴又慕情」でも博が佐山さんを軽く持ち上げていた
のでこれのバリエーションだ。それにしても佐山さんはこういう役がよく似合う。
寅笑いながら、真面目に怒る熊をからかい続ける。
追記 2015年1月
寅さん仲間の新潟の滝沢直紀(寅さんのHPをお持ちです)さんに情報をいただき、
っそれぞれのピンポイント場所を貼り付けました↓
遠く羊蹄山が見えて
夏祭りはもうすぐそこまで来ている。
終