第44作 男はつらいよ
(本編完全版に限りなく近い、長めのダイジェスト版)
1991年12月23日 公開
104分
211万1000人動員
配収15億円
渥美さんの背中で見せる作品群 PART3
民子から耕作へ そして 満男から泉へのバトン
山田監督の中で黄色いハンカチがポイントになっている作品は実は
『幸福の黄色いハンカチ』だけではない。
もうひとつハンカチが重要なポイントになっている作品がある。
それは『遥かなる山の呼び声』だ。
ラスト、網走刑務所に護送される田島耕作が乗る急行大雪に乗り込んだ風見民子は、
耕作に『黄色いハンカチ』を手渡すのである。
そのハンカチで耕作はあふれる涙を拭くのだ。
主人公の男性は殺人で今から服役。
主人公の女性は息子を抱えて牛飼いをついにやめてしまう。
社会的にはまったくお先真っ暗な二人が、目とハンカチで寄り添うラストを見て、
観客が明るい未来を強く感じるのは、この二人の心が見事に深く強く繋がっているからである。
あのラストによって、人間に最後必要なものは、お金でも、地位でも、権力でもなく、
たった一人の他者との深い絆、ただそれだけなのだと。
このことを私たちに見事に心底分からせてくれたのがこの映画なのである。
実はあの民子が耕作に手渡した黄色いハンカチは、
そのずっとあと、この第44作男はつらいよ『寅次郎の告白』における山陰線内での
泉ちゃんと満男の黄色いハンカチに繋がっていくのである。
あの別れの日、目を真っ赤に泣き腫らして耕作を追いかけていった
ちっちゃな風見武志君がいつしか大人になった。
そして今、諏訪満男君として、恋人が握る黄色いハンカチを自分もまた握り締めるのだ。
感無量とはこのことである。
山田監督はなんとも奥深いことを演出される。
満男と泉ちゃんは毎回このパターン↓
第43作からの満男シリーズのパターン。
まず泉ちゃんが柴又にやって来る。
↓
泉ちゃんに何らかの試練。
↓
満男が泉ちゃんを心配して旅に出る。
↓
現地でなぜか寅と再会。
↓
泉ちゃんが満男と寅に救われる。
↓
正月に泉ちゃんが「アポなし」でやって来る。
これはまあ、第45作まで、おおよそ続いていく。
今回は泉ちゃんの就職問題と泉ママの再婚問題が
泉ちゃんの試練。
で、まあ、泉ちゃんはそれでいいとして、
寅のほうだが・・・
今回の寅のマドンナは昔いろいろあった料理屋の女将さんである聖子さん。
渥美さんの体調のせいか、第43作同様、この第44作の恋には物語が出てこない。
すべて過去の物語として語られ、一夜飲明かすにとどまっている。
まあ淡白なこと。名優吉田日出子さんが宝の持ち腐れの感がある。
要するに、あくまでも物語の核は満男と泉ちゃんなのである。
そして、今回もOPの「夢」はない。
もう第40作以降まったくなくなってしまった。
これも、長い長い物語が終焉を迎えようとしていることを暗示しているのだろう。
結果的には第45作だけ奇跡的に夢が復活したものの、
結局は全体的にはOPの夢は姿を消すのである。
このように、渥美さんの体調が次第に思わしくなくなってきていることは
誰が見ても明らかだった。
それゆえか、夢の代わりに山田監督は寅次郎に「故郷柴又での懐かし思い出」を語らせたがるのである。
終わりの日は徐々にそして確実に近づいてはいる。
■第44作「寅次郎の告白」全ロケ地解明
全国寅さんロケ地:作品別に整理
それでは本編いきましょう。
松竹富士山
江戸川の流れ―。
それは寅にとってはふるさとの原風景。
川が流れております。
岸辺の草花を洗いながら、たゆまず流れ続ける川をながめますと、
何やらわたくしの心まで洗い流される気がしてまいります。
そうしていつしか思い起こされるのは、わたくしのガキの頃のことでございます。
わたくしは川のほとりで生まれ、川で遊び、川をながめながら育ったのでございます。
祭りから祭りへのしがない旅の道すがら、
きれいな川の流れに出会いますと、ふと足をとめ、柄にもなく物悲しい気分になって
川をながめてしまうのはそのせいかも知れません。
落合ダム湖上流 走っていく中央本線
第一木曽川橋梁
今頃、故郷に残した私の肉親たち、たった一人の妹さくら。
その夫の博、息子の満男、おいちゃんおばちゃんたちは
どうしているのでしょうか・・
岐阜県 落合川駅
奥恵那峡
木曽川がゆったりと流れている。
きっぷをきっぷ入れにほりこむ寅
その時 目の前をバスが横切る。
あわてて追いかける寅
寅「おいおい」
ポンシュウを呼ぶ寅。
寅「おいおいおい、バス来た!早く来い早く!早く来いよおまえ」
寅「おい!ポンシュウ」
ポンシュウ「酔っ払っちゃった」
寅「酔っ払ったじゃねえ、早くしろ!」
無情にもバスは行ってしまう。
寅「ああああ」
ポンシュウ「こら、バス~~!こらバス~!あ~行っちゃった」
寅は怒って 足けり
バスの時刻表を見て
あと2時間も待たないといけないことがわかる。
貸しボート屋
寅ぶつぶつ
そうです。
私の故郷と申しますのは東京は葛飾柴又
江戸川のほとりでございます。
タイトル イン
口上「わたくし、生まれも育ちも葛飾柴又です。
帝釈天で産湯をつかい、姓は車、名は寅次郎、
人呼んでフーテンの寅と発します。
『奇石、怪石の奥恵那峡下りの遊覧船』にも乗り遅れた寅たち・・・
口あんぐりのポンシュウ。
乗り遅れた寅たちは、
木曽川を下って行く農家の野菜積みの小船に乗せてもらうことに。
♪どおせおいらはヤクザな兄貴 わかっちゃいるんだ妹よ
いつかお前の喜ぶような 偉い兄貴になりたくて
奮闘努力の甲斐もなく 今日も涙の
今日も涙の陽が落ちる 陽が落ちる♪
間奏が長く入る。
奮闘努力の甲斐もなく 今日も涙の
今日も涙の陽が落ちる 陽が落ちる♪
この船の夫婦は最初は本当に現地の人を使っているが
最後のほうは山田監督が時々使っている女優さんが演じている。
このあたりから女優さん↓にチェンジ。
船のエンジンの色も変わってしまう。
途中の俯瞰映像↓では、
渥美さんの代わりを助監督さんがやったりもしている。
歌の終わりでは渥美さんたちが船で歌っている。
監督 山田洋次
東京葛飾区 江戸川土手 早朝
柴又より川下 小岩のあたりを走る博。
本当はロケとしてはここは「江戸川区」
今回も第43作同様 さくらの3番目の持ち家。
江戸川区北小岩7丁目30 付近
博「もう秋だなあ」
さくら「うん、空気が冷たいわね」
博「小学校の校庭の萩の花が真っ白に咲いていたよ」
さくら「そう」
満男、珍しく機嫌よく二階から降りてきて
満男「父さん おはよ~」
博、意外な顔で
博「え?」
機嫌がいい理由
どうやら今日名古屋から泉ちゃんが柴又に来るらしい。
さくらは泉ちゃんを畳の部屋で食事させることを選ぶ。
ちなみに第45作「寅次郎の青春」では自分の家で夕食をごちそうする。
さくら「さっきおばちゃんに電話したらね、ぜひうちにおいでって言うの」
ということで、とらやで夕食をすることに。
博「泉ちゃんなにしに来るんだ?」
満男「決まってるだろ、オレに会いに来るんだよ」┐('~`;)┌
博「ほんとか、フフ、それでお前機嫌がいいんだな。
おはよーなんて何年ぶりに聞いたか」
博は泉ちゃんが来るなら、残業やめて早く帰ってくると言う。
満男「父さんには関係ないだろ、働いてろよ」
博「このヤロー、フフ」
というわけで
満男はとりあえず午前中 城東大学へ。
満男、玄関口で
満男「あ、そうだ、おばちゃんにまかせっぱなしじゃだめだよ、
がんもどきとか芋の煮っ転がししかできないんだから
なんかしゃれたもん作ってよ」
さくら「はいはい」
玄関壁には油彩複製
モディアーニ作 「赤ん坊を抱くジプシー女」
1918年 原画サイズ(116×73cm)
所蔵:ワシントン・ナショナル・ギャラリー
このモディアーニはさくらが気に入ってるのか
ずっとこの満男シリーズの間玄関に掛かり続けている。
博「そうか~、泉ちゃんあいつに会いに来るのか。
うまく行ってるんだなあの二人は」
いやいや、まだちゃんと付き合ってはいないでしょ。
ほとんど会ってないと思うけどね、この一年間┐('~`;)┌
さくら「泉ちゃんはね、大事な用があるの。
満男に会うのはそのついで。
単純なんだからあの子は」
博「なんだ、大事な用って」
さくら「就職」
博「えええー・・・、大学行くの諦めたのか?」
頷くさくら。
さくら「高校の音楽の先生がね
銀座の大きな楽器屋さんを紹介してくれたんで
明日そのお店に行くんだって」
えええええ、
泉ちゃんまだ高校生??
満男と2歳違いで
満男が浪人している時に2年生で
満男が大学入った時に3年生のはず。
今年満男は大学2年生だから、
泉ちゃんはもう卒業しているはずなんだが・・・
留年してしまったのかな・・??
とは言っても まあ実は・・・
いつもの山田監督のご都合主義なんですけどね┐('~`;)┌
博「そうか・・あの子も闘ってるんだな・・」
さくら頷きながら
さくら「満男なんて恵まれているわよ」
博「泉ちゃんの苦しみをどこまであいつが理解できるか・・・。
そこにかかってるな」
さくら「なにがかかってるの?」
博トイレに向かいながら
博「満男が泉ちゃんを獲得できるかどうかだよ」
さくら、フフ と下を向いて微笑む。
泉ちゃんのママは雇われマダムとは言え
泉ちゃんを短大に行かせることができないのだろうか?
いつもいつも高い洋服を着て、
ゴルフ道具も1セットそろえ、家具もまあまあ良くて
鉄筋の2LDKマンションに住んでいるのに
一人娘を2年間大学へ通わせられないのだろうか。
満男が通う八王子の 城東大学 キャンパス
八王子市堀之内1432-1
東京薬科大キャンパス
ドイツ語を教える外国人講師。
このドイツ語を教えていたシェアマン,スザンネ先生は、
現在明治大学のドイツ語教師。
昨年11月に明治大学で「東京家族」の試写会を観た時に
ゲストで舞台で挨拶されていた。
映画当時よりちょっとふっくらされていた^^;
シェアマン,スザンネ 教授
職格教授.
学位文学博士.
.主な担当講義ドイツ語.
専攻分野(研究分野)映画学.研究テーマ日本映画、
オーストリア映画、映画理論
泉ちゃんと午後から落ち合うので
友人との遊びの誘いを断る満男だった。
葛飾柴又 帝釈天参堂
さくらがとらやに向かう。
タコ社長は仕事はあるのに人手が足らないと言う
今までとは違う悲鳴を上げている。
三平ちゃんを自分の工場に引き抜こうと策略^^;
ちょっと前まではオフセットを入れたので
余剰人員を整理しないとと悩んでいたのに
今度は人手不足・・
博の投資を利息ともども戻してあげたのかな?
タコ社長「よ!三平ちゃん、うちの工場で働かないかね。
こんなところで団子こねてたって面白くないだろ。
第一将来性ってものがないぞ」
おばちゃん、社長にそんなこと言うのやめてくれって合図^^;
三平ちゃん「僕、お菓子作るの好きなんです」^^;
確かに三平ちゃん将来どうするんだろう・・・
三平ちゃんがいずれこのとらやを継げるのかなあ・・・
せめて暖簾分けを手伝ってもらえるんだろうか・・・
おばちゃん「ねえ、あんた向いてるもんね、この仕事」
おいちゃん「おい!いくら親しいからと言ってもな、
従業員の引き抜きはやめてくれよー」
逆だよおいちゃん、
普通は親しいからこそ引き抜きしようなんて決して思わないもんだ。
おばちゃん「そうだよ」
タコ社長「冗談だよ冗談」隙あらば狙ってるのまるわかり(ーー;)
おばちゃんは社長に寅を雇ってくれないかと頼むのだが・・・
寅が朝日印刷で勤まらないのは第5作「望郷編」でもうわかっているのに
おばちゃんどうしちゃったんだ??
寅の性格を熟知しているおばちゃんの発言としてはおかしい。
社長は間髪入れず
タコ社長「それは断る!
寅さん雇うくらいならオレ工場閉めたほうがいい!悪いけどな」
社長が表に出ようと店に出て行った時
表を見て驚く社長。はい来ましたお約束(*´∇`*)
振り向くさくら。
寅登場
寅が江戸家の若い女性店員さんと楽しそうに話をしている。
さくら「お兄ちゃん」
寅「よ!へへへへ」
さくら「おいちゃんおばちゃん、お兄ちゃんよ」
寅「どうしたさくら、元気か」
みんなで挨拶を交わした後・・
寅は人探しだと言ってちょっと困っている。
どうやら啖呵バイの「サクラ」役を探しているらしい。
寅は店員の三平ちゃんを見て・・・
寅「あれ?なんだ、おまえまだいたのか?」目がキラリン ( ̄∇ ̄;)
三平ちゃん「はい」
寅「あ!お待ち、お待ち、おまえ~、
こんな店にいたって暇でしょうがないだろう、え~」
おまえ明日、・・・一日だけオレに付き合え。
コレはずむからこれ」お金^^;
寅、さくらをちょっと気にしながら「サクラ」を頼む ヘ(-.-ヘ;)... コソコソ...
三平ちゃん「なにするんですか?」
寅「サクラ」
さくら、ちょっと離れた場所から反応
さくら「え?」倍賞さん「ボケ」ご苦労様です^^;ヾ
寅「おまえじゃない」
三平ちゃん「??」
寅「サクラをやるんだよ」
三平ちゃん「サクラってなんですのん?」
寅は三平ちゃんにサクラのコツを教授。
寅「たとえばだ、駅から降りた人通りの多いうす暗がりで、
おまえがひとつの箱を大事そうにもって泣いているだよ。
『ええん・・えええん・・・えええん』
そこへオレがすっと通りがかる。
『兄ちゃん、おまえこんなとこで何泣いているんだ?』
おまえはひときわ声を大きくして泣くな」
『ええええん、うえええええ』」
おいちゃんおばちゃん タコ社長 呆然^^;
寅「『泣いてばかりいたってわからないじゃないかよ~、え、
どうしたんだ、わけを言ってごらん。
うん、ううん、ほお、え~~~、なんだ、
それじゃ泥棒じゃないかああ!」
おいちゃん、どうしょうもないって感じでいやな顔する。^^;
寅「みなさん、ちょっと聞いてやってください、
この兄ちゃんのおとっつあんってのがね、今北海道でもって
病気で危篤なんですよ。
どうしても死に目に会いたい。
その汽車賃を貸してくれと言ったら店の親父が
ろくな仕事もできないくせに前借なんて生意気だって
いきなりポーン!と殴られた。
カアーっとなって、店先にあったこの品物を持ってきちゃった。
と、こう言うんですよ」
おばちゃんだけうなずいて聞いている。
さくらはやや呆れてしらけている^^;
寅「ね、こうやって汽車賃の足しにしたいと、こう言うんだ。
可哀想じゃありませんか。
ちょっと見せてごらん。どんなもの?おじさんみてやる」
三平ちゃん「???」
寅「んな、黙ってないで、カッと持って『やだやだやだ 』って言ってごらん」
三平ちゃんにやけながら^^;
三平ちゃん「やだ やだ??」
寅「いやがってたらダメなんだ。ちょっと見せてみな、ってんだよ」と芝居。
寅、その品物を眺めるふり
寅「なんだ、おお、西洋剃刀・・・はっ!!
しかもドイツのゾリンゲンだよ!!」┐('~`;)┌
おいちゃん、いやな顔て首を振る^^;
さくら呆れてる。
寅「こりゃ、たいしたもんだ万とするよ~!
いえ、わたくしはね、元床屋の職人やってましたから
剃刀のことjは詳しいんですよ。」
さくら睨んでる^^;
寅おかまいなくすすめる。
寅「ちょっとお兄ちゃん、これ全部売るの?
あ~、オレ一箱全部買いたいなあ~!!
え、そんなに安くうう!」
さくら下を向いてしまう。
寅「って言ってるうちにな、
まわりの連中が、あ、僕も、私も、オレも、
あっという間に全部パーっと売り上げ。
売り切れちゃう。へへへへ」
と、寅は椅子に座りなおして
寅「その時の親切な紳士がこのオレで、
箱を抱えてないている兄ちゃんがおまえだよ。な」
オレたちの世界ではこれを一口に「サクラ」と言うんだ。
やれ。」
さくら、どうしょうもないわと言う顔。
三平ちゃん、超馬鹿正直に
三平ちゃん「せやけど、僕の故郷は北海道やのうて京都です」芝居やってヽ(´o`;
寅「いいよ、京都で、京都でいいよ」
三平ちゃん「親父もぴんぴんしとるし」
寅「長い一生だから、たまには患うことだってあるじゃないか、な」
三平ちゃん「第一、お団子屋さんで働いてる僕がなんで剃刀もってますのん?」お芝居だってば^^;
寅「おまえも融通が利かないね~、これ、商売だよ。
嘘も方便っていうじゃなえかさ~~~」
三平ちゃん、やや憤慨して立ち上がり
三平ちゃん「僕、そんな嘘つくのいやです!」
三平ちゃんはいやがってるけど
第15作「相合い傘」のリリーやパパなんかだったら
ウキウキと芝居やるんだけどなあ・・・^^;
店先へ行って接客してしまう。
寅「くう~~~、
そうですか、
たいしたもんだよかえるのションベン、へ!
見上げたもんだよ屋根屋のフンドシだあ!」
さくら寅の横に座って
さくら「いいかげんにしてよお兄ちゃん。
黙って聞いてれば、バカなことばっかり」
おいちゃん、がっくりうなだれながら
おいちゃん「いい年して、
そんなペテン師みたいなことやってるのか・・・はあ・・あ」
おばちゃん半泣きで
おばちゃん「三代続いたこの店の跡取りが・・・はあ・・・ぐすんぐすん
情けない・・・」
と台所へ行ってしまう。
第6作「純情篇」ではふるさとの川江戸川という番組で
江戸時代から竜造さんで六代目って言ってたんだけど・・
山田監督相変わらず、過去のことはなかったことにしてる ┐(~ー~;)┌
タコ社長「人手不足が聞いて呆れるよ、またったく」と外に出て行く。
寅「きれいごと言ってたんじゃな、
生きちゃいけねえんだよ!この世の中~!」
タコ社長、寅のほうを向いて
タコ社長「へ!!えらそうに!!」
寅、ぱっと立ち上がって
寅「なんだこのヤロー!」
さくら「お兄ちゃん、やめて、ここはお店よ」
寅、プンプン
タコ社長、寅を遠く眺めながら
タコ社長「はあ~~~、やだやだ・・・」
怒ってる寅
寅をなだめるさくら
寅「お!満男どうした満男」
さくら「元気よ」
寅「このうちでじっくり話し合えるのは
あいつだけになったなあ・・」
ここ数年満男とはいろいろなことがあったからねえ・・・...( = =)
さくらは泉ちゃんとデートしてることを告げて
今夜来るから会ってやってくれとお願いする。
寅は市川での宴会をキャンセルし、泉ちゃんに会うことに。
寅、奥へ歩いて行きながら
寅「たまにはオレの顔見せてやらねえと、
あいつらも寂しがるからな~」
一方満男と泉ちゃんは・・・
東京駅 東海道新幹線 ホーム
18番線で満男が泉ちゃんを探している。
手を振って声を出す泉ちゃん。
泉ちゃん「せんぱ~~~い」
第42作、第43作を経てなお、
まだ名前でなく「先輩」って言ってるのか (ノ_-;)ハア…
嬉しそうに走ってくる満男
泉ちゃん「私一番後ろに乗ってたのよ探しちゃった~」
満男「あ、そっか、オレ一番後ろってこっちかと思ってた」
ま、このミスはよくありますけど・・・(ノ_-;)ハア…
かばんを持ってやる満男。
泉ちゃん「ありがとう、授業は大丈夫なの?」
満男「午後は授業ないんだよ」
銀座4丁目 三越デパート2階の
ラデュレ サロン・ド・テ 銀座三越店
パリの老舗レストランの銀座店
http://ginzadining.com/restaurant/detail/laduree/index.html
http://taberu.sakuradakozue.com/salon_raduree/
ちょうどこの三越をはさんで道向こうに、時計台の和光ビルがある。
そしてその横に泉ちゃんが就職したがっている山野楽器本店がある。
このあたりでまとめてロケしてるんですね^^;
葛飾柴又 帝釈天参道 夕方
三平ちゃんと源ちゃんが泉ちゃんたちを待っている。
源ちゃん「あ!来た来た!」
三平ちゃん店の中のさくらを呼ぶ。
三平ちゃん「奥さん、来はりました~~!」
台所から参道に出てきて手を振る。
この日はなかなかいい光だ。
泉ちゃん午後の日差しの中 走りながら手を振り
泉ちゃん「こんにちは~~ ('ー') フフ」
朝日印刷の工場内
三平ちゃん入って来て
三平ちゃん「博さん」
と、かけより
三平ちゃん「来はりましたよ」
博「 おお!来たか」
と言いながらチラシ印刷の作業をしている。
中村君「 なにが来たんだ?」
三平ちゃん「え、満男君のガールフレンド」 その言い方はもう死語だね^^;
ゆかりちゃん「ほんと~~!?やったあ~~!」
中村君「パパ心配だねえ~~」
博に頼まれて残りの印刷をする三平ちゃんを
40分千円でスカウトしようとするタコ社長^^;
タコ社長「税金抜きだから」と逃げていくタコ社長
三平ちゃん「こんなん困るわ~~ ちょっと~~」と追いかけていく。
源ちゃんの撞く夕方6時の鐘
ゴ~~~ン
このシリーズで毎回流れる鐘の音だが。
実際の帝釈天の鐘の音はもう少し高い。
私は毎日聴いているからわかる。
これは松竹さんの効果音からとったもの。
みんなで大笑いしている。
泉ちゃん「だからね、佐賀のおじいちゃんはおじちゃまのこと
今でも偉い先生だと思ってるのよ」
みんな大笑い
お膳には梨
佐賀のお爺さんの事で盛り上がっている。
さくら「そういえば、年賀状に車寅次郎先生って描いてあった立派な字で。」
博「ははは あったあった」
おいちゃん満男に肩を揉まれながら
おいちゃん「いつの話だ?」
満男「おととしの秋だよ」
博「もうそんなになるかあ・・」
さくら「あの時泉ちゃんは高校1年生だったでしょう」
そんなわけないだろが、当時すでに2年生2年生┐('~`;)┌
泉ちゃん「うん」
さくら「それがもう就職だもんね」
第42作「ぼくの伯父さん」で
泉ちゃんは満男の高校の下級生である。
満男が3年生のとき、彼女は1年生だった。
そのあと満男は卒業はしたものの浪人生となる。
泉ちゃんは両親の事情で
名古屋へ戻るが、母親と上手く行かず、
佐賀の叔母さんを頼って転校する。
この時点で泉ちゃんは当然新2年生である。
そして秋に佐賀にバイクで会いに行くのである。
第43作「寅次郎の休日」でようやく満男は大学へ入る。
つまりこの時点で泉ちゃんはおそらく当然ながら3年生である。
しかしなぜかそのまた翌年の第44作「寅次郎の告白」で
まだ高校3年生をしている。
そしてその晩秋に就職活動のために東京に上京するのである。
泉ちゃんが言うように、高校を何度も転校してはいるが
留年したとは思えない。満男も泉ちゃんは成績が
いいと言っていたし…。いったいどうなっているのだろうか??
いったい泉ちゃんに何があったのだろうか。
ちなみに満男も
第1作(69年)で誕生。
第17作(76年)で小学校入学。
そして第33作(84年)で中学校入学(^^;)
なんと小学校を8年も行っている。
義務教育を8年間も・・・
いったい満男に何があったのだろうか。^^;
寅「
聞いたよ、就職するんで出てきたんだってな」
泉ちゃん「
うん」
寅「
どんなとこへ勤めるんだ?ん?」
泉ちゃん 微笑んでいる。
寅「 さしづめ銀行か?フフ。
かわいい制服なんか着ちゃって。な。
(札束ピリピリピリ、キュウキュ、ピピピピ、ピッ)
確かにお預かりいたしました 」
渥美さんうまいなあ・・・
泉ちゃん「フフフ」
みんな「フフフ」
おばちゃん「ね、デパートなんかもいいんじゃないかい? 」
寅、頷きながら、
寅「 ネクタイ売り場か。 」
ネクタイを首に巻く仕草をして
めちゃくちゃ上手い。
こういうコントは渥美さんは名人芸だね。
寅「 お客さま、これなどいかがでございますか」
泉ちゃん、クスクス
寅「 『まあ、10歳は若返りますわ』
『ほんとか、おい~~。じゃあオレ3本もらっちゃお』」
泉ちゃんのいるデパート売り上げ上がるからな。ハハハ」
みんな大受け
おいちゃんも口を出す^^;
おいちゃん「アレなんかどうだ。飛行機に乗ってる、ほら」
さくら「 スチュワーデス?
おいちゃん「
そうそうそう」
タコ社長「 泉ちゃんのスチュワーデスか可愛いだろうなあ」
さくら「 ねえ」
このように泉ちゃんはとびっきり容姿がいいので、
外見的なこのでちやほやされもする。
満男だって泉ちゃんがああいう容姿じゃなかったら
こんなにベタベタはしていないと思う。
一方容姿のいい人はその容姿ばかりに気が行って
内面や精神をなかなか重視してもらえないということもおこりがち。
容姿が良いと言うのは得をしがちではあるが、そこばかりにみんなの注意が
いくという欠点もある。
満男おいちゃんの肩を揉みながら
満男「 あのなあ、泉ちゃんが勤めたいのは楽器屋さんなんだよ~。
母さんに話しただろ」
寅「
あー・・楽器屋の店員さん・・。
そういうのいいな博。なあ」
博「
泉ちゃんにふさわしい職場ですね」
寅「
ふさわしいよ~~」
寅「
品がいいもん売ってるものなあ。
ヴァイオリンだとかピアノだとか。
駅前の八百屋とかと違って一年中客が出たり入ったりしないもんなあ」
満男、まだ寅がしゃべり続けるのでゲンナリ^^;
寅「 時おり、上品なご婦人がすっと、現れる。うん。
『すいません、ピアノを見せていただけませんでしょうか』
『どうぞ』泉ちゃんがそう言う」
みんなでクスクス。
寅「 『嬢や、ピアノを弾かせていただきましょう』
『はい(*^▽^*)』」
泉ちゃん、思わず
泉ちゃん「フフフフフ」
寅、フタを開ける仕草
寅「 ポロポロポロポロポロ・・・・」
なにしろ値の張るもんだからねえ。
1日一台出るか出ないかだ。
そのピアノのそばで泉ちゃんは
静かあ~~~~に座っていて
『今頃寅さんは何をしてるかしら??』
そんなこと考えてりゃいいんだから」ヽ(´~`; ォィォィ
みんなで大笑い。
寅「
ねえ」
満男真顔で
満男「思わないよ、伯父さんのことなんか!」
寅「 お~~お~~
やきもちやいてやがんのこのヤロー 。ねえ、ハハハ」
みんなで大笑い
寅、泉ちゃんに
寅「ほら、見てごらん見てごらん顔色変わった。ハハハ」
満男ブスッとしながら
満男「泉ちゃん、先帰ってよもう」と帰り支度しはじめる。
さくら「そうする?私たちもそろそろ帰るから」
泉ちゃん「それじゃあどうもご馳走さまでした」
と、さくらの家に行こうとする泉ちゃん。
おばちゃん台所から
おばちゃん「いいえ、おそまつさま」
泉ちゃん「じゃあ・・おじちゃま」
寅「送ってくよ」と立ち上がって店のほうへ。
店の中で見送るのに「送っていくよ」ってのは変だね。
おいちゃん「
がんばれよ。就職」
泉ちゃん「
はい」
さくらの声「博さん片付けていい?」
おばちゃんの声「いいよ。私がやっとくから」
店の中で
泉ちゃん、寅に向かって
泉ちゃん「楽しかった」
寅「そうかい」
泉ちゃん「おじちゃまにも会えたし、よかった」
寅「
オレもだよ」
泉ちゃん「今度はいつ会えるのかな」
寅「
泉ちゃんがな、オレに会いてえなあって思った時だよ」
泉ちゃん「
フフフ♪うん」
満男「 もう、行こ行こ」気持ちに余裕ないね満男┐('~`;)┌
寅は満男のほうに行くように泉ちゃんをエスコート。
泉ちゃん「
おやすみなさい」
寅「
おやすみ」
メインテーマが静かに流れる。
手を振る泉ちゃん。
手を振る寅
戸が閉まる。
寅、柱に背中をくっつけて
寅「 はあ~~、まっすぐ家へ帰るかな。
いや、帰るわけねえなあ。
今夜は月夜だ。
『月がとっても青いから遠回りして帰ろ♪』かあ・・・・」
寅「そんなことを繰り返しているうちに
いつか満男の胸は恋心ではちきれんばかりになる」
茶の間で頷いている博。
寅「 そして、ある晩、
月夜の川原を歩きながらついに告白するな」
さくら「なんて?」
寅、低い声で^^;
寅「 アイ ラブ ユウ」なんでまた英語^^;
ちなみに第42作「ぼくの伯父さん」で満男は
佐賀県で一度直接「軽いノリで アイ ラブ ユウ」って
言っちゃってるんだけどね^^;
さくら、くすっと笑ってしまう。
博「それからどうなると思いますか?」
寅「 できれば、添い遂げさせてあげたい。
しかし・・・残念ながらそうはいかない・・・」
と、二階の階段へ
さくら「どうしていかないの?」
おばちゃん「満男ちゃんもてるんだよ」
さくら「そうよ」
寅階段の手すりにひじを付けて
寅「 いいか、恋と言うものはな、
長続きさせるためにはほどほどに愛するということを
覚えなきゃいけない。
ところが若すぎる満男にそれはできない」┐('~`;)┌
おいちゃん「えらそうに」
おばちゃん「よく言うよ」
タコ社長「おまえがな、
一度だってほどほどに
愛したことがあるか?
( (ミ`エ´ミ))ぷ~~! ククク・・なあ~~」
寅「 てめえ、オレにぶっ飛ばされてえのか!タコ!」
とタコ社長に迫って行く。
博「それを言っちゃだめですよ」と、タコ社長を諭す。
寅、さくらになだめられながら…( ̄。 ̄;)ブツブツ上にあがっていく。
タコ社長、帰り際に
タコ社長「あ、さくらさん、泉さん、もし万一だよ、
万一楽器屋さんの就職がうまく行かなかったら
いつでもオレの会社で引き受けるからって、
そう言ってくれ」
泉ちゃんが断りそう・・・・((((((^^;
さくら「はい」
寅、ススっと下りて来て
寅「 お?おい」
タコ社長、振り返る。
寅「 会社・・?会社ってどこにあるんだ?」
来ましたよ来ましたよ( ̄∇ ̄;)
タコ社長「裏にあるじゃないか」と指差す。
寅「ええ~~、な、なんだい、
あの薄きたねえ工場が会社か・・・。
ほほう~~~~、
寅「 いや、おりゃ 会社ってのはさ、
デーンとしたビルの受付にきれいなお嬢さんが2,3人いて
『はい、いらっしゃいませ、どなたにお繋ぎします?』ってのが
会社なんじゃないの?
なんだおまえのとこなんか
こんちはって開けたらすぐ便所じゃねえかバカヤロ~~」
タコ社長「そういうてめえはなんだい。
体のいい失業者じゃねえか。
悔しかったらな。いっぺんぐらい就職してみろてんだ
ざまあみやがれチキショウ」
寅「言ったなこのタコ!!」
さくらやおばちゃんが止めにはいるが
寅の怒りは収まらず
寅「 表へ出ろ!!」
タコ社長も
タコ社長「お、おもしれえや久しぶりにやってやろうじゃねえか!!」
寅との喧嘩では
このシリーズでほぼ全敗のタコ社長-----------------^( ToT)^
庭でやりあう二人。
さくら「博さん、止めてよ~~!!」
博も止めにはいる。
バンバンタコ社長がやられている。
茶の間で
おばちゃん「困ったもんだね~~」
おいちゃん「あの子が見てなくてよかったよ・・」
まあ泉ちゃんが見てたらそこまで大喧嘩はしないけどね^^;
さくらの声「誰か来て~~~」
博の声「やめてくださいよもう~~~」
目をつぶってしまうおばちゃん。
翌日
銀座四丁目 交差点
歩道を歩いていく満男と泉ちゃん。
銀座 ワコーの時計ビルの前で
これは泉ちゃんと満男が新幹線から降りてお茶を飲んでいた
三越の喫茶店が真向かいにあるので
当然まとめ撮りです(^ー^)ノ
泉ちゃん「 じゃあ・・行くから」
満男「いいよいいよ、一緒に行くよ」
>
ワコーの時計ビルのちょっと隣
銀座 山野楽器本店
泉ちゃん「すいません」
店員「はい」
泉ちゃん「売り場主任の吉村さん、おいでになるでしょうか」
店員「お客様は?」
泉ちゃん「名古屋から来た及川と言います。
大町先生の紹介だと言ってくだされば」
店員「少々お待ちくださいませ」
クラリネットを吹いている小学生
ペツォールト作曲 「メヌエット」
しばらくして
売り場主任の吉村が出てくる
吉村「及川さん・・ですね」
泉ちゃん「はい」
吉村「大町先生からお話伺っています」
みんなで喫茶店に。
銀座 コーヒー専門店
サティの 「ジムノペディ」が流れている。
エリック・アルフレッド・レスリ・サティ
19世紀から20世紀に生きたフランスの作曲家である。
あだ青年だったパリ音楽院在学中にピアノ小品『オジーヴ』『ジムノペディ』『グノシエンヌ』などの
イージーリスニングを発表。
吉村「これは・・・うちだけではないと思いますけど・・・
高卒採用の場合都内のいくつかの学校に枠を持ってまして・・
学校推薦の形で採用する事になってるんです」
つまり、高卒の採用試験は無いってことですね」
吉村さん、システムが動かしがたいんだったら
それならそれで、大町先生に事前に言わなきゃだめでしょ。
泉ちゃん往復新幹線代損してるやン(ノ_-;)ハア…
っていうか・・・
脚本が甘い( ̄∇ ̄;)
泉ちゃん、大ショックを隠しきれない表情
満男も心配そうに見つめている。
そらそーだ。門前払いだもんね(ノ_-;)ハア…
吉村「大町先生のご紹介ですから
僕もなんとかしたいと思うんですけどね。
どうもこればっかりはねえ・・・」
吉村「もちろん、アルバイトでしたらお世話できるんですけど
それじゃ、あなたはご不満でしょ」
となりで携帯電話をかけている男がいる。
このシリーズ最初の携帯電話だ。
吉村「あなた・・短大へ進むつもりはないんですか?」
泉ちゃん「行きたいんですが、いろいろ事情がありまして」
え!?泉ちゃん自身も本当はマジで短大行きたいの!?
吉村「でも・・たった2年ですよ。
どうですか、がんばってみたら、
はっきり言って高卒と条件も違うし、
将来管理部門にも進めるし、
もちろん採用試験はありますけど、
その場合その場合、
私も十分に力になれると思いますけどね」
泉ちゃん「私どうしても来年就職しなければいけないんです」
吉村「だったら・・・地元の名古屋のほうが有利なんじゃないですかいろいろと・・・」
泉ちゃん「親元を離れて東京へ出たいんです。
なんとか採用していただけないでしょうか
お願いします。」
どうしていいか・・・おろおろしている満男。
吉村「だからそれはできないって
申し上げたつもりなんですけどねえ・・・
弱っちゃったなあ・・・僕も用事あるし・・・
じゃああの、一応この履歴書はお預かりしておきますから。
ね。 一応ですよ・・・」
泉ちゃん、立ち上がってお辞儀。
去っていく吉村。
キャッシャーでサインをし、会社のツケにする吉村。
このコーヒーショップの真向かいに
「朝日ソノラマ 」が入っているビルが見える。
BGMで同じく「サティ」の
クノシエンヌ第5番が流れている。
泉ちゃん「無駄足だった・・・」
満男「ほかの会社をいろいろ当たってみればいいじゃないか
泉ちゃんならどこでも入れるよ」
泉ちゃん「バイト探すようなわけにはいかないわよ。
私、条件がうんと悪いし・・・」
満男「条件?どうして・・・泉ちゃん成績だっていいんだろ」
泉ちゃん「先輩は・・履歴書なんか書いたことないでしょ。
私、高校3回転校してるのよ。
両親は離婚・・・
おまけに母親はクラブの雇われマダム」
満男「そんなこと、泉ちゃんには関係ないだろ」
泉ちゃん、堪えきれずにちょっと泣いてしまう。
泉ちゃん、席を立って
泉ちゃん「付き合ってくれてどうもありがとう。
私・・・名古屋に帰る」
満男「あ・・・送るよ」と荷物を持ってあげる。
泉ちゃんは言わなかったけれども
さきほどからしつこく書いているように
泉ちゃんは高校を1年留年しているのだ。
満男が3年生の時
泉ちゃんは1年生。
満男が浪人生の時
泉ちゃんは2年生
満男が大学1年生の時
泉ちゃんは3年生
満男が大学2年生の時
泉ちゃんはまだ3年生(留年)
ま、大人の事情。
山田監督の脚本の気まぐれですけどね。┐('~`;)┌
ちなみに...↓
泉ちゃんが真剣に短大に行きたいのなら親からの援助がさほどなくても
行ける道はある。
もっともポピュラーなやり方は奨学金を取ることだ。
これは、純粋に高校3年生の時の成績で取れる。
泉ちゃんは幸いな事に高校の成績は良いとのこと。
別にクラスでトップでなくても高校で上位3分の一くらいに位置していれば
無利息の奨学金が取れる。
どんな高校でも条件は同じなので楽なのだ。
短大の文系は4年大学より安い。
私立短大入学金(25万~30万)も含めて
ほとんど学費(年間65万前後)と教材費(年間10万ほど)は
この無利息奨学金で賄えるはず。
泉ママが正社員じゃなくても、この奨学金は泉ちゃんさえ短大に入学すれば取れるのだ。
(月々の貸与金額は自由に選べる。月々3万、5万、8万、10万だったかな・・・)
卒業してから20年間かけてゆっくり返していくことができるので
泉ちゃんの負担は極めて少ない。
短大なのでたぶん働き出してから返済は月々1万円弱でいいと思う。(無利息)
私の息子も親の私や連れ合いにさほど甲斐性がないので^^;
この無利息奨学金(月々5万)を入学時からずっと利用している。
東京での食事などの基本生活費(月々4万~5万ほど)は
泉ちゃんの週4回の1回につき夕方からの4時間アルバイト
(東京都は規則で時給850円以上~)でなんとかなる。
住居は短大の寮に入ったり4~5万円くらいで安くて清潔なアパート借りるなりすればOK。
5万出せば駅からちょっと歩くかもしれないし、鉄筋じゃないかもしれないけど
とりあえず女性の一人暮らしができそうなシャワートイレつきのワンルームは借りれる。
敷金礼金なしってのも最近は結構多い。
泉ママだって、あれだけ派手な高価な服たくさん持ってて
、ゴルフなんかの大きなセットも持ってるくらいだから
いくら自分の事しか考えない派手な親だとしても
学費や生活費は出せないかもしれないけれど
引越し代はまず出せるだろう。就職したって引っ越すのだからね^^
そして当然ながら
同居中に泉ちゃんにかかった費用(おそらく月々5~6万)は、これからも当然出せるはず。
つまり、アパート代の月々4~5万と光熱費だけは2年間仕送りできるはず。
「雇われママ」なので、いわゆる雇われているサラリーマン。
だから経営者の抱えるような借金もほとんどないと思う。
(あの泉ママのいろんな室内を覗いたかぎりでは
は月々最低25万以上は手取りあると見た)
柴又 さくらの家
食堂
博、さくら、満男が沈んでいる。
さくら「しょんぼりして帰ったの・・・可哀想に」
満男「オレ・・・大学辞めようかな・・・」
博とさくらびっくり。
さくら「どうして?」
満男「オレが父さんからもらってる金を
泉ちゃんにやればあの子は短大に行けるだろ。
オレはアルバイトすれば食って行けるんだから。
な、父さんそうしてくれないか。な、いいだろ」
めっちゃくちゃやな発想が(ノ_-;)ハア…
博「満男、それは決して正しい解決方じゃないぞ」
満男「…どうして」
博「大事な事は、どうして泉ちゃんがいわれのないハンディキャップを
背負わなければならないのか、
これからどうすればいいのか、
それを一緒に考えてやることじゃないのか」
さくら「そうよ、第一そんなお金受け取るわけないでしょ。
泉ちゃんにだってプライドがあるんだから」ねえ^^;
博「うん」
満男「あ~あ・・・オレは無力だな・・・伯父さんみたい」
寅は無力ではないと思うけどなあ・・・。
寅のおかげで人生が救われたマドンナはたくさんいる。
だから寅は無様な雰囲気だが無力ではないのだ。
博、満男のウイスキーの水割り作りながら
博「なあ満男、泉ちゃん看護婦さんになる気ないかな、あの子は」
満男「どうして?」
博「工場のゆかりちゃんの妹が看護学校行ってるんだけれども
病院から奨学資金が出るんだって。卒業して2年か3年その病院で
働くことを条件にしてな」
博「看護婦さんなら立派な職業だもんな」 どんな仕事もそれなりに立派だよヽ(´~`;
さくら「泉ちゃんが看護婦さん?いいわねえ・・・
素敵よきっと」
いらついている満男・・・
博「白衣が似合うぞ。
うっとりしちゃうだろうなあ。。。
男の患者なんか・・・」
満男、怒って テーブルを叩くき、立ち上がる。
満男「不真面目だよ。
制服が似合うとか似合わないとか、
そんなことはどうだっていいじゃないか。
一人の人間がどんな職業を選べばいいかということを
話し合ってるんだぞ今は。
それに対して夕べからそうじゃないか。
可愛いだの上品だの、そんな言い方は泉ちゃんに対する
侮辱だよ」
>
博「そ、そ、その通りだ。父さんの言い方が悪かった」
満男「反省しろよ」
と二階へ上がって行く。
ヤレヤレと言う感じで博に微笑むさくら。
結局容姿の良い女性は常にこうなる。
外見がきらびやかなので、見た目で物事が運びがちになるのだ。
いいこともあれば、このように精神面を見てくれない場合もある。
電話の近くに、フィンセント・ファン・ゴッホの絵のカレンダー
『麦を束ねる農婦 (ミレーを模して)1889年』が掛かっている。
ゴッホはミレーを心から尊敬していて、それゆえに
ミレーのタブローの模写をかなりやっている。
ペンでもしたし、油彩でもした。
これはその中でも代表的な模写のひとつ。
ゴッホ美術館で私も観た事がある。
電話のベルが鳴る
プルルルル
博が出る
博「はい諏訪ですが。
よお、泉ちゃんかあ・・」
いきなり階段を駆け下りる音
ドドドドド!!!
寅か┐('~`;)┌
博「ちょっと待ってね」
階段を滑ってしりもち
さくら「あら!!あああ」
博「あああ」
満男「・・・いてえ・・・」
さくら「ちょ・・・なにやってんの」
ドアに勢いよくおでこをぶつける満男
満男「ちちち・・・・」
さくら、つい笑ってしまう。
博、ありゃ~~って言う顔
満男「もしもし・・・ああ・・・」
泉ちゃんの声「ねえ、どうかしたの?」 心配そうに。
満男「なんでもない なんでもない。
あの、おふくろがね、階段から足滑らせて
しりもちついただけ」
( ̄∇ ̄;)ハッハッハ さくら濡れ衣 可哀想
さくら、笑いながら 満男の頭をぺちっと叩く。
満男「いっち・・」
泉ちゃんの声「大丈夫?」
満男「平気平気うん」
満男「あの、今家からか」
泉ちゃん「今日はどうもありがとう」
さくらは、満男にアルコールつき濡れティシュを
おでこの傷口に当ててやる。
満男「残念だったな・・・
あの・・・世の中なかなか甘くないんだって
オレもよくわかったよ」
名古屋 泉ちゃんの家
居間
コードレスフォンで電話している泉ちゃん。
泉ちゃん「ふ・・ごめんね。
久しぶりに会ったのに暗い気持ちにさせちゃったりして」
久しぶりだったんだ・・・。
付き合っているわけではないんだな。
満男の声「元気になった?」
泉ちゃんの家 居間
泉ちゃん「うん。私は大丈夫よ。
頑張って就職探しするから」気丈夫だね(T_T)
柴又 さくらの家
満男「うん、また休みの日に遊びに来いよ
あの、東京はすぐ近くなんだからさ」
名古屋 泉ちゃんの家
泉ちゃん「うん、そうする」
泉ちゃん「おじちゃまはどうしてる?」
満男の声「うん・・・もう旅に出ちゃったみたい」
泉ちゃん「そう・・・もう旅に出たの・・・。
会えると思ってなかったからうれしかった」
ドアが開いて
泉ママ(礼子さん)が入ってくる。
玄関の方を見る泉ちゃん。
なんと礼子さんの後ろから中年の男も入ってくる。
礼子さん「ただいま~~」
男は、礼子さんの恋人の北野。
礼子さん「さ、どうぞ」
北野「うん」
北野を無視して満男としゃべる
泉ちゃん「さっきもね、夕べの事思い出して
一人で笑ってたの。
楽しかった~~~」
満男の声「オレもだよ」
泉ちゃん「それじゃあ・・・おじさんおばさんによろしく」
満男の声「うん、お母さんによろしく言ってね」
泉ちゃん「本当にいろいろありがとう。
じゃあ、おやすみなさい」
満男の声「おやすみ」
受話器を置く泉ちゃん。
礼子さん「泉、北野のおじさんよ」
北野「こんばんは。こんな時間にお邪魔して」
礼子さん、高そうな洋服たくさん持ってるなあ。
なんか生活ぶりからして、
泉ちゃんが短大に行けない家計だとは思えない
なぜたった一人の大事な娘を
行きたがっている短大に行かせないのだ ・・・(ノ_-;)ハア…
礼子さん「車で送ってもらったの。
お茶でもいっぱい飲んでもらおうと思ってね」
礼子さん「さ、どうぞ」
礼子さん、泉ちゃんはかなり嫌がっているのに
なぜ気づかないのだ。凸(--メ)
礼子さん「ママちょっと着替えるから」 鈍感やーー;
北野、泉ちゃんに近づきながら
北野「あ、これ、お土産」
泉ちゃん、北野が近づいてきたので
北野を無視して自分の部屋に走って行き、
強くドアを閉める。
礼子さん「あら!」 と怒って
礼子さん「泉~!」
北野「あ、ちょっと待って」
礼子さん「だってあんな失礼なことを」
北野「いいって いいって」
礼子さん「・・・・」
北野「僕が話す。一度そうしなければいけないと
思ってたんだよ」
微笑む礼子さん。
北野ドアに近づき
コンコン
北野「泉さん、・・・入っていいかい?」
コンコン
北野「泉さん?」
ちょっと、声にやさぐれた感じが滲み出て
どうもこの男ひっかかる・・(▼▼)
ドアを突然開けて
北野を押し出す泉ちゃん。
礼子さん「ああ!!」
礼子さんも一緒にぶつかって倒れてしまう。
泉ちゃんの部屋
電気をつけずにドアのところで悲しんでいる。
ドアの向こうから北野の声
北野の声「あいった~~」
ドアの前
倒れている北野
北野「あ~~~、びっくりした」
コントの帝王
津嘉山正種さん、ごくろうさまです^^;
泉ちゃんの部屋
ドアを押さえながら 身構えている泉ちゃん。
礼子さん立ち上がって
礼子さん「泉~~~!!!」 とドアノブを回しながら
礼子さん「なんてことするの~~!!開けなさい!泉!」
ママ、あんた何にもわかってないね> ┐( -"-)┌ヤレヤレ...
北野「もういい、もういいよ」
北野「オレ、今夜は・・・もう帰るよ」
礼子さん「えー・・・・、そうぉ・・・」
コートを差し出しながら
礼子さん「本当にごめんなさい・・・」
夜の仕事にこだわって寂しい思いをしている泉ちゃんに
寄り添っていないあなたがもう少し反省すべき。
北野「時間が必要なんだよ。・・・しょうがないさ。な」
と、礼子さんの背中を持ちながら玄関へ・・
泉ちゃんの部屋
その会話を聞いている泉ちゃん。
泉のテーマが悲しく流れる。
礼子さんの声「かえってごめんなさいね」
玄関
北野「いいんだよ」
「見送りはいいよ」って北野は言うが
礼子さん「ううん、いいのいいの」
玄関を出て送っていく礼子さん。
泉ちゃんの部屋
悲しんでドアをずり落ちながらしゃがみこみ嗚咽する
泉ちゃんだった。
パンダのぬいぐるみ。
東京ディズニーランドのポスター
玄関に紫のゴルフのセット
きらびやかなたくさんの洋服といいゴルフセットといい
泉ちゃんに対する短大の教育費を払えないとはどうしても
思えないんだけどなあ・・・
泉ちゃんは、1年前に遠く日田へ父親に会いに行った先で
自分の目の前で無神経にも父親が若い女といちゃつかれ
今度は母親の方が男を作ってしまった・・・
泉ちゃんの悲しみは深いよなあ・・
鳥取市 若桜町 若桜通り
久松山が迫る大通りでしゃんしゃん祭りが行われている。
しゃんしゃん祭りでバイをする寅とポンシュウ
(男)「ソレ」 (女)「ハイハイハイ」
(男)「サテ」 (女)「シャン シャン シャン」
咲いて嬉しい 咲いて嬉しい 心意気よ
(男)「ソレ」 (女)「ハイハイハイ」
(男)「サテ」 (女)「シャン シャン シャン」
やるなら どんとやれ ごついこと
根性すえて やってみな
男女)「ソレ シャン シャン シャン」
二、うちもあんたも 鳥取生まれね
(男)「ソレ」 (女)「ハイハイハイ」
(男)「サテ」 (女)「シャン シャン シャン」
同じいで湯の 同じいで湯の 湯の育ちよ
三、山は久松山 出てくる月はね
(男)「ソレ」 (女)「ハイハイハイ」
(男)「サテ」 (女)「シャン シャン シャン」
色も黄金よ 色も黄金よ 日本一よ
寅、可愛い電気スタンドをバイしている
寅「 やけのやんぱち日焼けのナスビ
色が黒くて食いつきたいが(手をパンと叩く)
あたしゃ入れ歯で歯がたたないよときた!
みんな走って踊りを見に急ぐ。
寅「 ああ~~あ、
今日はお祭り特別の日だ!ほら。ね!
ただみたいなもんだ持ってけどろぼう!!」
若桜通りの若桜橋の西側でバイをしている寅。今も建物はほぼ同じ。
サブ「よっしゃ!買った!!」
寅、ハリセンで頭叩いて
寅「 バカ!誰も客がいねえじゃないか」
サブ「あれ?」
ポンシュウ「おい、一服だ一服」
寅「サブ」
サブ、掃除しながら
サブ「はい」
寅「 おまえ、高校でたって言ったな」
サブ「はい、一応・・」
寅「 よーしよし、じゃあちょっと手紙書け」
ハガキを渡して
寅「そこへ座って」
サブ「手紙?」
寅「 ん」
寅「 えーっとね。最初はね。
『拝啓』だな」
サブ「ハイケイ・・・」
寅「 拝啓ご無沙汰の『拝啓』」
サブ、上を見て考え込んでいる。
空宙に文字を書いてみる。
寅「 なんだおまえ、拝啓も知らねえのか」
サブ「・・・はい」
寅「 じゃ、ま、ま、まあいいや ひらがなで拝啓って書け」
寅「 拝啓、彼岸も過ぎて・・と」
サブ「ヒガン・・・」
寅「 彼岸も過ぎて」
サブ「ヒガン・・・」お手上げ┐(~ー~;)┌
寅、サブの頭をペちっと殴る
寅「 こっちかせ」
寅「 ポンシュウ見たか、
えー、これからこういう若い衆雇うのにもよ
厳しい面接試験が必要だな」
ポンシュウ「おい、まじめに勉強しろよ」
サブ「はーい」
寅、ぶつぶつ言いながら
今度は自分がハガキを書き始める。
空宙を見ながら
寅「 ・・・ハイケイ・・・」
寅「 ヒガンも過ぎて・・・」
寅、はっとサブをにらむ^^;
寅「 行け!」
たぶん寅もひらがな┐('~`;)┌
しかし実は寅は「拝啓」と言う漢字は
今までかなりハガキに書いてきたのだ。↓
男はつらいよ 全作品書簡集
http://www.yoshikawatakaaki.com/lang-jap/torajironahibi24.html#387
遠く橋のたもとで踊っているしゃんしゃん踊りを見るサブ。
吉田一陽堂
中村歯科クリニック
岡田産婦人科
色も黄金よ 色も黄金よ 日本一よ
(男)「ソレ」 (女)「ハイハイハイ」
(男)「サテ」 (女)「シャン シャン シャン」
やるなら どんとやれ ごついこと~~~♪
ミス 鳥取しゃんしゃん祭り の女性も踊っている。
雨の柴又 帝釈天参道
このシリーズで
正月の年賀状を除いて
手紙かハガキが来る時はほとんど例外なく雨なのだ。
面白いくらいいつも雨。
題経寺の番傘を差して
源ちゃんが店の店員さんに執拗にお茶を誘っている。
源ちゃん「今度お茶飲もな」
店員さん ガン無視。(((((¬_¬) フンッ
源ちゃん「・・・・・(T_T) 」
とぼとぼと帰って行く源ちゃんだった・・・ううううううう(TT▽TT)
雨の中、
とらやに「ゆうパック 」が届く。
ぶどう が中に入っている。
三平ちゃんが開けて
中にハガキ
三平ちゃん「あ、ハガキ入ってますよ」
このパターンは第5作「望郷編」の寅が送った油揚げのアレンジ。
タコ社長「寅さん、何送ってきたんだい?」
三平ちゃん「ぶどうですね」
タコ社長「ふーん」
おいちゃん「『はいけい・・・』ひどい字だなこりゃ・・・
『ひ…が・・・ひがんも過ぎました。
『少しばかりだけどぶどうを送ります。裏の社長にも、
おす・・・おすそわけしてやってださい。
山陰にて 車寅次郎』
おいちゃん「なんだあいつ山陰にいたのか」
おばちゃん「送ってくれるのはありがたいけど、
半分くらい腐ってるよ」
三平ちゃん「ほんまや、こばえいっぱいたかってますこれ(≧▼≦;)アチャ」
おばちゃん、おいちゃんにぶどう見せて
おばちゃん「どうしようこれ・・・」おいちゃんの顔の前に
おいちゃん、無理だって顔をする。
タコ社長「ぶどう酒になるんじゃないかこれ。
絞ってビンの中に砂糖と一緒に入れておいたら」
おばちゃん「じゃあ あんたもらってくれる?」
タコ社長「みんなもらっていいの?悪いね」
タコ社長箱をいそいそと持ち帰りながら
タコ社長「10年か20年経ったら上等なワインができたりしてな」
と裏へ帰って行く。
おいちゃん「そしたらお前の墓にかけてやるよ」
おばちゃん「泣きながらね」
雨の庭で振り返りながら
タコ社長「冗談じゃないよ。
まだまだ生きてやるよ、オレは」
おいちゃんたち笑っている。
おばちゃんは、ふと、腰を下ろし・・・
旅先の寅の事を考えている。
こういう演出は山田監督の十八番。
柴又 さくらの家
雨の中郵便物を届ける局員さん、
満男の家の前で停まる。
満男の部屋
珍しく勉強をしているのか
タバコを吸いながら辞書を引いている。
机には泉ちゃんの佐賀の高校の時の姿が飾ってある。
ロケ地としては佐賀県立小城高等学校。制服も小城のもの。
横にはブタの貯金箱
英和辞典(寅がくれたものかな・・)
下で郵便屋さんの声
「郵便です」
さくらの声「はーい、あ、ごくろうさま」
そばらくして
さくらが上がって来る。
その気配で急いでタバコを消す満男。
ドアをノック
さくらの声「満男」
満男は泉ちゃんの写真フレームも裏返しにする^^;
さくらはドアを開け
さくら「勉強?」
満男「うん」
Tin Machine Ⅱ の 大きなポスター
ティン・マシーン (Tin Machine)は、
イギリスのロック・バンド。
ソロ・ミュージシャンとして活動していたデヴィッド・ボウイを
中心に結成された。
ティン・マシーンII(tin machine II)は
ティン・マシーンの2枚目のアルバム。
1991年9月2日にヴィクトリー・ミュージックよりリリースされた。
同作は、セールスも評価も大きな成果は挙げられなかった。
10月より大規模なワールド・ツアーを行うが、
1992年2月17日の日本武道館公演が、
バンドとして最後のライヴとなり
ボウイは封印を解いて再びソロ活動に専念する。
1992年7月、ライヴ・アルバム『ティン・マシーン・ライヴ oy vey,baby』発表。
ちなみに第42作「ぼくの伯父さん」では満男は尾崎豊の
アルバム「回帰線」を飾っていた。↓
第43作「寅次郎の休日」ではアルバム「BIRTH」のポスターも。↓
さくら「泉ちゃんからよ」
と絵葉書を満男に渡す。
満男ちょっと驚いて
満男「人の手紙勝手に見るなって言ってるだろ」
さくら「絵葉書だもの見えちゃうでしょ」ねえ^^;
絵葉書を見る満男。
さくらは満男の服を洗うために服を片付けている。
満男「鳥取砂丘だ」
満男「鳥取に行ってんのかな・・・」
裏を返すと
日本海が見たくて鳥取に来ました。
寂しい海が
私の寂しさを
吸い取ってくれるようです。
泉
泉のテーマが静かに流れる。
もう一度ゆっくり表の砂丘を見る満男。
泉ちゃんの気持ちを想っている満男
満男「母さんこれ読んだ?」
さくら「読んだわよ」
満男「へ・・変だと思わないか」
さくら「うん、ちょっと気になるわね」
さくらは心配そうにしている満男を見ながら
心配そうにする。
ハガキの文字にかぶさるように
日本海の波打ち際に佇む泉ちゃんの姿が見られる。
まず、満男はすぐに名古屋の泉ちゃんの家に電話する。
名古屋 泉ちゃんの住む町
名古屋城が見える。
名古屋 泉ちゃんの家
電話が鳴る
コードレス電話を受ける礼子さん。
憔悴している様子。
礼子さん「はい、及川です」
礼子さん「・・・! は、満男君!?
実はね、あなたに電話しようと思ってたのよ。
うちの泉、お宅におじゃましてない?」
柴又 さくらの家
満男「え、 いいえ。あの、どうかしたんですか?泉さん」
礼子さんの声「それが・・・家出しちゃったの・・・」
満男「家出!?」
さくらも台所から満男を見る。。
満男「あの、泉さん家出したんですか?」
名古屋 泉ちゃんの家
礼子さん「三日前なのよ・・・その前の晩大喧嘩したのね。
私も言いすぎたんだけど・・うううう」と泣いている。
3日間も満男に電話しないなんて遅すぎる(ノ_-;)ハア…
っていうか、脚本が甘い。
礼子さん泣きながらクリネックスティッシュを何枚も取る。
雪印3,6牛乳500CC
礼子さん「朝目が覚めたらいないのよ~~うううう。
学校にも行ってないし、
もしなんかあったらどうしょうかって・・・ううううう。
夜も眠れないのおばさん」
満男「大丈夫です、泉ちゃんは生きてます。
鳥取から僕にハガキをくれたんです。
だから、あの、これから僕探しに行きます。」
さくらの横の目覚まし時計
3時55分。
礼子さんの声「どこにいるの?」
満男「いや、住所はわかりませんけど、
何とか必ず探します」
さくらがずっとそばで聞いている。
満男「僕に任せてください。あと、あの、泉さんから
電話があったら、必ずうちに知らせてください」
礼子さんの声「そうします」
満男「それじゃ失礼します」
電話を切って
満男「よし」と言って階段を駆け上がっていく。
さくら、見上げながら心配な顔。
満男の部屋
部屋で旅支度を急いでする満男。
雑誌「ぴあ」が置いてある。
さくら上がってきて
さくら「ちょっと満男!あんた正気なの」
さくら「泉ちゃん探しに行くって言ったって
鳥取にいるっていうだけで居場所もわからないんでしょ」
満男はもう何も考えられない様子で
黙々とかばんに服を詰め込んでいる。
そんなに追い込まれた状態とも思えないけどなあ┐('~`;)┌
さくら、満男の肩をこちらに向かせ
さくら「ちょっと満男!落ち着きなさい!」
満男の追い込まれた表情を見てはっとしてしまうさくら。
満男「見つかるまで家でじっと待ってるわけにはいかないだろ」
さくら「だからと言ってやみくもに出かけて行ったってしょうがないでしょう」
満男、上着を着ながら
満男「泉ちゃんから電話があったら、
僕は鳥取の砂丘で待ってるってそう伝えて」
さくら「ねえ・・」
さくらをかわして下へ下りて行く満男。
さくらはそれでも執拗に満男を止めようとする。
さくら「満男!」
さくら階段を下りながら
さくら「お願いだから。ねえ、
出かけるの、お父さんが帰ってからにしてくれない?」
満男の体を止めながら
さくら「お金なんかどうするの?」
満男、さくらをふり払い
満男「そのためにアルバイトしてんじゃないか」
さくら「満男!」
雨が強く降っている
雨の中傘も差さずに走っていく満男だった。
気持ちだけが急いて、
傘差すだけの気持ちの余裕もすでにないのだろう・・・
確かに泉ちゃんのハガキはちょっと気になる書き方ではあったが
自分自身の問題ではなく、
母親の結婚問題なので、自殺など、さほど緊急性があるとは思えない。
確かに雨に濡れながらひたすら走り続けるのは青年の特権かもしれないけれど
傘をさし、しっかり体の体温を保持しながら必死で走っていく青年でないと
目的は本当は成就しないし、恋は長続きしないとも言える。
人間が行う全ての行動は『気持ちは最高に熱く、頭は極めて冷静に』が必要条件。
そうならないと厳しい山の頂には達せないし、下山もできないだろう。
続く
2014年4月1日アップ
第44作 寅次郎の告白 後編
2016年1月15日 完結
2014年7月5日 寅次郎な日々571
第44作「寅次郎の告白」
山陰本線ロケ地めぐり車窓も含めて完全制覇
後編 聖子さんの住む河原町と満男&泉の山陰本線車窓
2014年7月5日 寅次郎な日々571
第44作「寅次郎の告白」
山陰本線ロケ地めぐり車窓も含めて完全制覇
後編 聖子さんの住む河原町と満男&泉の山陰本線車窓
それでは後編行きましょう!
鳥取県 倉吉市「打吹公園」(うつぶきこうえん)
日差しが差し込んでいる。
遠くで高校生のブラバン練習が聴こえる。
林ヘアサロンの屋上から撮影した倉吉の白壁群周辺
聖テレジア幼稚園の園児が日差しの中歩いている。
ありゃりゃ泉ちゃん、
こんなところにいたのか・・・
みんな心配してるよ。
2014年ロケ地をめぐった時の公園と高羽アングル 写っているのは息子。↓
母親との軋轢の悩みを抱えながらの淋しい旅なんだね、
表情が暗い泉ちゃんだった。。
倉吉市 泉ちゃんがたたずむ吹打公園下の
成徳小学校 グラウンド
高校生のブラスバンドが練習を行っている。
1989年度課題曲 ポップス・マーチ「すてきな日々」 岩井直溥作曲
2014年5月のロケ地めぐりにて。高羽アングル。
ブラバンの練習を観ながらかつての自分を重ならせる泉ちゃんだった。
葛飾高校時代のブラバンや満男との懐かしい思い出が蘇る泉ちゃん。
泉ちゃんはご存知「フルート」
満男は最後尾で巨大なスーザフォンを演奏している。
第42作でもこのように夏バージョンが回想されている↓
今度は下にいる満男に上から消しゴムを投げてからかう泉ちゃんバージョン^^
泉ちゃん「あったった・・ふふふ」とクラスメートと一緒に笑っている。
楽しい満男先輩との日々というイメージ
けしごむを投げ返す満男だったが
泉ちゃんうまく受け取れなくてまた下に落としてしまう┐('~`;)┌
で、現在に戻って・・・・
倉吉の刃物街(鍛治町)
「ひろせや」
現在は大通りが作られ、横切っている。
で鍛冶職人の仕事を眺める泉ちゃん。
現在も向かいの家は名残がある。
玉川沿いに並ぶ白壁土蔵群
江戸、明治期に建てられた建物が多く、今でも当時の面影を見ることができる
倉吉打吹玉川伝統的建造物群保存地区
かおり風景100選
美しい日本の歴史的風土100選
泉ちゃんに扮する私の息子
ふしみや商店 の前で立ち止まり
店を覗く泉ちゃん
泉ちゃん「こんにちは このアンパン ください」
おばあちゃんの声「自分でとんさいな」
山田監督って、お客さんにセルフさせるの大好き^^;
みずやを開けて アンパンを取る泉ちゃん
泉ちゃん」「ここで食べていいですか」
おばあちゃんの声「はい、どーぞー」
この年齢の女の子が一人で店でアンパンを食べる状況はなにかある。
おなじみ杉山とく子さん
俳優座で活躍された超実力派俳優さん。
山田洋次監督も頻繁に呼びかけ出演してもらった。
フジテレビの「男はつらいよ」のおばちゃん役。
第5作「望郷編」 豆腐屋の節子さんのお母さん。
第20作「寅次郎頑張れ!」の柴又のパチンコおばちゃん
第26作「かもめ歌」国勢調査のおばちゃん
第28作「紙風船」宿の女将さん
部屋の中からおばあちゃんはそっと泉ちゃんを見る。
鋭い洞察力・・・
おばあちゃん「あんた、中へ入んなさい。お茶入れてあげるけえ」
泉ちゃん「はい」
ここまでは倉吉ロケ
泉ちゃんは中に入っていく。
ここからは大船のセット。
おばあちゃんの横に座る。
こどもがお菓子を買いに来る。
おばあちゃん「腹がへっとんさるだか」
おばあちゃん「今な、晩ごはんの仕度するけん、あんたもいっしょに食べよう。
おばちゃん、一人暮らしじゃけんなーんの遠慮もいらんよ」
泉ちゃん「・・・」
おばあちゃん「そのかわりな、豆腐買ってきてくれるか」
泉ちゃん おばあちゃんに渡されたナベを両手に抱えながら店を出て行く。
泉ちゃん「あの川沿いですね」
おばあちゃん「そうそう」
泉ちゃんに扮する息子
本当は泉ちゃんは1キロも歩いていくw( ̄▽ ̄;)wワオッ!!
倉吉市河原町の通称「地蔵通り」
泉ちゃんに扮する息子
その通りの中に雑貨屋さんをかねた豆腐屋さんがある。
店に入って
泉ちゃん「すいません お豆腐ください」
おかみさん「自分で取ってください」出た!山田監督大好きな「セルフ至上主義」
しかし、おかみさん、ちょっときつめやなあ・・・その言い方┐('~`;)┌
泉ちゃん「・・はい」
豆腐を手で掬う泉ちゃん。
現在豆腐屋さんはなくなってしまっているj
なべを抱えてとぼとぼ歩いている泉ちゃん。
玉川が流れている。
子供たちが魚捕りをしている。
ふと、向こうを見る泉ちゃん。
でました。天文学的確立で寅と再会!w( ̄▽ ̄;)wワオッ!!
魚の行商を覗いている寅。
「トビウオです」
寅「ほお~~~」
寅もこちらを見ている泉ちゃんに気づき立ち止まる。
泉ちゃん「おじちゃま!!」
寅「泉ちゃんか!」
泉ちゃん、走りながら
泉ちゃん「どうしてこんなとこにいるの!??」と、駆け寄っていく。
我を忘れて寅の元に走っていくのだった。
独りぼっちだった泉ちゃんは嬉しかったんだろうね(*´∇`*)
泉ちゃんの走りを再現してみた。
採用動画 テイク3
http://youtu.be/j5-BUb-9Tu8
寅「よお!」
泉ちゃん、息をはずませながら走る。
立ち止まり
泉ちゃん感極まり
泉ちゃん「どうして・・・うううう」
と寅に抱きついてしまう。
必殺鍋豆腐落とし!
★涙の鍋落し再現動画成功!
http://youtu.be/YTs5U8s3fH0
豆腐の入った鍋を手から離してしまい、川に落ちてしまう。
ポチャン (/・_・\)アチャ-・・
再現の写真
泉ちゃん「うううううう・・・・」と泣きじゃくる。
寅「どうした?え?何があったんだ?」
泉ちゃん「会いたかった・・・おじちゃまに。。ううううううう」
寅「なんか悲しいことがあったんだな」
寅「よし、もう大丈夫だ。な、オレがいるから」
大きくうなずく泉ちゃん。
寅「うん」
川の子供A「あ、鍋だ」
川の子供B「豆腐だ」
子供たち橋の上の二人を見る。
おばあちゃんの住む「ふしみや」の中から三味線の音
おばあちゃんの演奏と唄い
♪何の因果(いんが)で 貝殻(かいがら)漕(こ)ぎなろうた
カワイヤノー カワイヤノ~~~~
♪色は黒うなる 身はやせる~~~
聴き入ってる寅と泉ちゃん。
♪ヤサホーエヤ ホーエヤエー
ヨイヤサノ サッサ
ヤンサノエー ヨイヤサノ サッサ~~~
鳥取県民謡
貝殻節
何の因果(いんが)で 貝殻(かいがら)漕(こ)ぎなろうた
カワイヤノー カワイヤノ色は黒うなる 身はやせる
ヤサホーエヤ ホーエヤエーヨイヤサノ サッサヤンサノエー ヨイヤサノ サッサ
寅と泉ちゃん拍手
寅「いいねえ~~んん~~、
銭がかかってるなあ、おばあちゃんの芸は」
いい表現だね~~。今度使ってみよ^^
おばあちゃん「久しぶりに男の前で歌唄ったった、フフフ」
寅「昔は結構男を泣かせたんだろうね」
おばあちゃん「またそんなことを言って、フフフ」」
寅「互いに手に手を取って満州くんだりまで駆け落ちしたりしてな」
おばあちゃん「フフフフフ・・・」
寅「フフフフ」
おばちゃん「そんなこともあったけどなあ・・コホコホ」
寅、マジ顔になって
寅「ほんとかよ、おい。
じゃあおばあちゃん、ちょっとそっちのほうの話聞かせてくれよ、おい」
おばあちゃん「いや、大昔、んにゃ戦前の話の話」
寅「いいんじゃないかよ、フフフ」
おばあちゃん「忘れちまったよ。フフフ・・なにしろ・・・これぐらいの年だったけんのう」
泉ちゃん睡魔で ウトウト・・・コックリ
寅「お~、眠くなっちゃった。
見知らぬ土地の一人旅だ。
疲れ果てちゃったんだい」
泉ちゃん 寝顔
寅「おばあちゃん、先にちょっと寝かせてやってくれるか」
おばあちゃん、起き上がりながら
おばあちゃん「じゃ、布団敷こうかな」
寅、あくびしながら
寅「ああ、おばあちゃん頼むね」 と寝転がる。
寅「フアア~~、眠くなっちゃったなこりゃ」
おばあちゃん「さて、どうやって寝るかな・・。
かと言って二部屋しかないだけな。
あ、二階へはこの娘さんが寝て、
この部屋にはあんたとわしが寝る。
それでいいかな」
寅「いっしょにね、ん」
おばあちゃん「うん」
寅「うん」
寅驚いて
ムクッと起き上がり
寅、あたふたしながら
寅「ばばばば、おばあちゃんとオレ一緒に寝るのかあ?」
おばあちゃん仏壇にお参りしながら
おばあちゃん「いけんだかあ?」ねえ^^;
チ~~~~~~~~ン (仏具のリンを鳴らす)
おばあちゃん「ナンマンダブツ ナンマンダブツ・・・」
寅「オレはいいけどさ、おばあちゃん困るんじゃないか、な。
亭主が死んでからずーーっと長い間操を守り通してきたんだから」
おばあちゃん「うふふふ」
寅「旅の男に狂ったなんて悪い噂たてられたらどうするんだよ」なにもそこまでゞ( ̄∇ ̄;)ヲイヲイ
おばあちゃん「ふふふ」
寅「だからさ、今夜は川の字になって寝よ、な、川の字に、な」
おばあちゃん「ふふふふ、面白い人だな、ふふふふ」
おばあちゃんの二階 寝室
月明かりの中
3人が川の字に寝ている。
秋の虫が鳴いている。
泉ちゃんはなかなか寝れていない。
泉ちゃん、寅が寝てないことに気づく。
泉ちゃん「おじちゃま?おじちゃま、もう寝たの?」
寅、薄目を開けて
寅「ん、起きてるよ・・・ん?」
泉ちゃん「おじちゃまは、何も聞かないのね」
寅「おまえが風呂に行っている時、さくらに電話してちゃんと聞いたよ。
家出したんだって?」
泉ちゃん「うん・・・」
寅「満男は心配して、泉ちゃんのことを探しに鳥取に出向いたってさ」
泉ちゃん、ちょっと起き上がって
泉ちゃん「ほんとに?」
泉ちゃん「今、どこにいるんだろう?」
寅「泉ちゃんの居場所がわかったら、知らせてくれって、
鳥取の砂丘で待ってるって・・・」
泉ちゃん「・・・・・」
寅「今頃、砂丘のてっぺんに突っ立って
『泉ちゃん!!』なんて叫んでんじゃないの?
可笑しいねあいつは、フフフ」
泉ちゃん、上半身起き上がって
泉ちゃん「そう・・・わるいことしちゃったなあ・・・」
寅も、上半身起き上がって
寅「原因はなんなんだい?
よかったら、オレに話してみないかい」
おばあちゃん、 むにゃむにゃ寝言^^;
泉のテーマが流れる。
泉ちゃん「私が悪いの。
それはわかってるの」
寅、小さく頷きながら
寅「どういうことなんだ」
泉ちゃん「ママに好きな人がいるの。
それはいいのよ。
パパに裏切られた可哀想な人なんだし、
相手の人だって悪い人じゃないし、
よかったら再婚すればいいの。
それがママの幸せなら、私は祝福してあげなくてはいけないって・・・
頭では思うんだけどね、心はそうじゃないの。
いやなの、不潔なの、汚らしいのママを見てると」
寅「少しも悪くねえじゃないか。ええ。
泉ちゃんが、おふくろさんのことをそう思うのは当たり前なんじゃないのか?」
泉ちゃん「ううん、そうじゃない。絶対違う。
ママを一人の女性として見ることができないのは、
私の心に何かいやらしい汚いものがあるからなのよ。
だから、私間違ってるの。」
寅「ふーん・・・、泉ちゃんはえらいなあ・・」
泉ちゃん「どうして・・?」
寅「オレはなあ、親父が酔っ払って芸者に産ませた子供なんだよ。
だからさくらとは腹違いなんだ」
泉ちゃん「ほんと?」
寅「ああ。ひどいおふくろでなあ・・・
オレのこと産みっぱなしで逃げちゃった・・」
泉ちゃん「・・・・・・」
寅「オレは一生恨んでやろうと思ったよ。
でも、泉ちゃんの話を聞いて、
少しオレも反省したな。
あんなバアアでも一人の女性としてみてやらなきゃいけねえんだな」
おばあちゃん、起きる
寅「そうだ、腰巻でも買って贈ってやるかあのクソババアに」
二人して クスクス笑う。
おばあちゃん「なんだ?わしの悪口だか?クソババアって・・」
寅「違う違うおばあちゃんのことじゃないよ」
おばあちゃん寝返り打ちながら
おばあちゃん「うーん、眠たいんだから」
泉ちゃん「ごめんなさい、もう、静かにするから」
と、おばあちゃんの背中を指圧してあげる泉ちゃん。
おばあちゃん「明日早いんだから・・・むにゃむにゃ・・・」
寅小さな声で布団に寝ながら
寅「泉ちゃん寝ろ寝ろ フフフ」
泉ちゃん「フフフ」
泉ちゃん、おばちゃんの腕も揉んでいる。
満月
翌朝
【因州佐治】のワゴン車(トヨタ ライトエースワゴン4WD)が迎えにやってくる。
手すき和紙協同組合の車らしい。
佐治村は、古くから因州和紙の産地として知られてきており、平安時代の延喜式にも記述が見られる。
佐治村内では、江戸末期 明治期にはローカルな原料であった稲ワラなどの茎かん植物とみつまた故紙などをほどよく配合した漢字用画仙紙が作られていた。
工芸紙は長い歴史を持った楮紙に高度な染色技術で美しく染め上げたものだった。
因州和紙は昭和50年に全国で初めて伝統的工芸品産業として全国で最初の和紙での産地指定を受けた。
おばあちゃん「来た来た。寅さん、車が来たでえ」
寅「あいよ~~」
車店の前に停まって孫が降りてくる。
おばあちゃん「この孫があんたらを砂丘まで送りますけん」
寅「お、それはどうも」とお礼。
孫「おはようございます」
寅「ごくろうさん」
泉ちゃんもすっと乗り込む。
孫は美しい泉ちゃんを見て、表情が固まり、動きが固まる。
目がハート^^;
おばあちゃん、孫の腕を叩いて、彼の意識を現世に戻してやる^^;
おばあちゃん「乱暴な運転をしちゃいけんで。お客さん乗せてるさけ」
孫「あーわかっとる」
寅車の窓から
寅「それじゃなおばあちゃん、また寄らせてもらうから」
おばあちゃん「楽しみにして待っとるけーなー」
泉ちゃん「どうもありがとう」
おばあちゃん「気をつけて行きんしゃいよ」
泉ちゃん「うん」
車が発車する
おばあちゃん「さいなら」
泉ちゃん「さよなら」
過ぎ去る車を見ているおばあちゃん。
高校生たちが自転車で通り過ぎてゆく。
孫はバックミラーで美しい泉ちゃんをチラチラ見ている。
寅、ニコニコしながらその様子を眺めてる。
寅「兄さん」
孫「は」
寅「あのー、仕事なにやってんの?」
孫「この山奥の村で紙すきをやってます」
寅「ほー、紙すきを。ほー、そら、大変だ~~。
へーー。でなに、今日は休み?」
孫「いえ~~~、ばあさんに仕事休めって命令されたけえ==」
寅「はあ~~、それはご苦労さんだねえ~~」
泉&満男ののテーマが軽快に流れる。
海が見えてくる。
国道9号線の景勝地「魚見台」
現在はこうなってる↓
泉ちゃん、にっこにこで
泉ちゃん「海・・・・」
気高中学の前の坂にさしかかるワゴン。
気高中学の前の坂↓2014年5月取材
で、車は鳥取砂丘にたどり着く。
泉ちゃん「砂丘はあっちですね」
孫「はい」
寅が起きずに寝ているのを心配した孫が泉ちゃんに尋ねる。
孫「あの人はどうしたらええんだ??」
泉ちゃん走って行きながら「いいの~~」
砂丘の「馬の背」のてっぺんで遠くを見つめている満男が小さく見える。
日本海を見ながら泉ちゃんを心配している満男。
2014年5月 ロケ地旅の途中、満男と同じ場所で再現を試みる私の息子(龍太郎)
うろうろ歩いている満男。
泉ちゃんの声「せんぱああ~~~い!!」
泉ちゃんいいかげん「満男さん」って呼んでやってくれよ┐(-。ー;)┌
満男の姿が砂の向こうに消え
そしてようやく泉ちゃんの声に気づいた満男は引き返してくる。
泉ちゃんを馬の背のふもとで発見した満男。
満男「あ」
顔が明るくなる。
泉ちゃん、ピョンピョンピョンγγγ彡ヽ(^゜ρ゜)ノ跳ねて
泉ちゃん「わたし~~~~!!!」
満男は喜んで走り下っていく。
勢い余ってコロコロ転がる。
泉ちゃんも馬の背を上がっていく。
そして二人は手を取り合い、転んでしまう^^
勢い余って転がる。
至福な二人(*^▽^*)
満男は天国にいるような表情^^;
満男「なーんだよ、生きてたのか、ハハハ」
泉ちゃん「心配したー?」
満男「当たり前だよ、あんなハガキくれるんだもの」
泉ちゃん「ごめんね」
満男は心から安心して仰向けになり
満男「あ~~~苦しい~~~ はあはあはあ」
一方寅と孫は遠くで「おーーーーーい」と叫んでいる。
泉ちゃんは手を降って寅の元へ.
寅「見つかったか??」
ふらふら へなへな どて ┐(-。ー;)┌ヤレヤレ
寅「よかったよかった はあ~~~」
泉ちゃん「あそこにいる」
寅「ああ、はあ~~~~~~」
泉ちゃん「大丈夫?」
寅、首を振って
寅「ダメダメ(;´Д`)×」
満男、寅だと気づき
満男「・・・!!」
満男「なんでここにいるんだ??伯父さんが」
さくら「そ、わかったわ。さっそく泉ちゃんのお母さんに電話して
安心させてあげなくちゃ。は~~~よかったわ~~~」
泉ちゃんは昨夜ふしみや商店で「確保」されてることは
寅からさくらへの電話でわかってるはず。
このさくらのセリフはそれゆえ辻褄があわない。
さくらは寅の昨夜の電話の後すぐに泉ちゃんのお母さんへ
電話して泉ちゃんが無事であることを知らせているはず。
これは確実に脚本ミスと言えるのかも。
さくら「で、昼過ぎに列車に乗って、
名古屋で泉ちゃん降ろして、
あんたは今夜遅く帰ってくるのね。そう
いま、鳥取のどこにいるの?」
鳥取県鳥取市河原町 新茶屋
さくらと電話
満男「うん、伯父さんの昔からの知合いの家で鮎をご馳走してもらってる。
ずいぶん古くからの料理屋さんみたいだよ。だってもう床なんか傾いちゃってるもん。
わかった。そう伝えるよ」
窓から外の霊石山を眺める寅。
泉ちゃん「あー、美味しかった」
寅「おなかいっぱいか?」
泉ちゃん「うん、もういっぱい」
寅「そりゃよかった」と頷く。
ここまでがロケ。
ここから満男が部屋には入って来るがここからは大船ロケ。
満男「電話してきた。伯父さんも帰って来いってさ」
そろそろ帰ろうとして、
満男「伯父さん、ここの勘定大丈夫なの?」
寅「まかしとけよ。
ここの女将はな、オレから銭をとるようなことはしねえよ」
満男「へえ~~」
寅「もうすぐ帰ってくるから、挨拶だけしてそれででかけよう」
聖子さんが車に乗せてもらって新茶屋に戻ってくる。
車から降りて「ありがとう、またね~」
と車を見送る。
店の中を覗いて。
店の中に走ってくる。
聖子さん「ただいまー、なあ、お客さん、まだ、おんさる~?」
二階へ上がる階段の下で上を見て微笑む聖子さん。
聖子さん「寅さん!」
寅「久しぶりだな~、お聖ちゃん」
聖子さん「ようきんさったなあ~」
新茶屋 二階
聖子さん上がってきて
聖子さん「ちょっとも変わっとらんねえ~」
寅「おまえも相変わらず綺麗じゃねえかよ」
聖子さん「ようそんなこと言って」
寅は二人を紹介して、汽車の時間があるのでもうそろそろ
帰ることを聖子さんに伝える。
聖子さん「せっかく会えたのに・・」と淋しがる。
寅「さっきはごちそうさま、お料理うまかったよ。
お勘定はいかほどですか?」
聖子さん「そうねえ・・・100万円くらいもらおうかな。
寅さんお金持ちじゃけん」
寅「ほほほ~~」
満男と泉ちゃんはドキッとしている^^;
寅は昔聖子さんとの間にあった物語を話し始める。
寅「これは昔の話だけどな、オレはあの人が好きだったんだ。
一緒になって所帯を持ちたい。と、思ったんだ。」
うそつけ、好きになって、恋愛までしかしたくないのが寅。
その先の所帯なんか持ちたくないのはお千代さんや
もろもろのマドンナで証明済みーー;
寅「ところが、二枚目の板前がすっと現れた。
これが腕がいい。
オレみたいにおしゃべりじゃない。
かなわねえな。
あっという間にさらわれちゃった。
そうだよなお聖ちゃん」
聖子さん下を向いて「うん」
寅「悔しくってなあ・・、
だからオレはこの人に会うといつも言ってんだ。
ん・・『亭主は無事か?鮎釣り行って深みにはまって
おっちんだりしないのか?』」
満男と泉ちゃんクスクス笑う。
寅「『まだ生きてる?ちぇ!勝手にしろい』へへへ。
そう言ってんだよなお聖ちゃん」
聖子さん「そうだな・・・会うたんびにそんなことばかり言っとんさったな」
と、3人にお茶を出す。
寅「あー、言った言った。ところでどうだい?
その亭主はまだ死なねえのか?元気か?二枚目の板前は?」
聖子さん「死んでしまったの・・・」
寅「死んでしまったんだと・・・フフフ」
沈んでいる聖子さん。
顔が青くなる寅。
満男たちも真顔になる。
寅「悪い冗談はよせよお聖ちゃん・・・」
聖子さん「嘘じゃないのよ本当なのよ・・・
寅さんの予言どおり、土砂降りの中で鮎を釣っとってな、
鉄砲水に流されて、二日後ドザエモンであがっただが。
ちょうど一年前。」
みんな、黙ってしまう。
沈黙を破って
聖子さん「寅さん、ごめんなあ・・誰かに聞いとんさったかと思ってた・・・」
はじめに寅さんに話さないけんのになあ・・・本当にごめんなあ・・・」
寅、正座をして
寅「女将さん、このたびはまことにご愁傷様でございました」
と、深々とお辞儀をする。
寅「知らぬこととは言いながら本当に失礼いたしました」
聖子さん「私の方こそ・・」とお辞儀。
寅は、札入れをテーブルに置いて
寅「満男。ひとっ走り行ってな、
香典の袋と花を買って来い」
聖子さん「もういい・・」
寅「いやいや、いいんです、満男、早く行け」
満男「でも伯父さん・・ほら」と時刻表を見せながら
満男「汽車の時間が来てる・・」
寅「汽車に乗らないと死ぬのか!ん!?
墓参りと汽車に乗るのとどっちが大切か
大学生のおまえはわからないのか!?
バカやろう!すぐ行け!」
満男、おろおろしながら
満男「はい・・・」
満男「それじゃ、女将さん、ご主人のお墓へ案内していただきます」
河原町円通寺
河原町円通寺という地名にある小さな墓地公園
お墓はちょっと並び方が変わったが、向こうに見える風景に名残がある。
拝んでいる寅。
満男と泉ちゃんも神妙な顔。
お悔やみを聖子さんに述べる寅。
お墓から降りてすぐの河原町稲常を歩く。
お墓の帰り
聖子さんは寅の腕を組みながら
明日の朝マツタケ狩りに行くことを提案。
聖子「今夜はみんなで泊まって、
明日の朝派早う起きてマツタケ狩りいかんだか~
な、そうしょう~~。
うちにはぜんぜん遠慮はいらんよ~~」
聖子さん「な、寅さん、よかろ~~~」
寅「女将さんにそんあんいご迷惑おかけするなんて
とんでもありません」
聖子さん「かまやせんといっとるでしょうが!ふふふふ」
寅「ええでも・・・あいつら大食いだからねえ・・」
聖子さん「フフフフフ」
寅「汽車の時間もあるしなあ・なあ」
聖子さん「ははははは」
新茶屋 夜
夜の宴会客たち相手に大忙し。
島根県民謡 安来節
あら、一番鶏から二番鶏、(あ~~それそれ)三番鶏が鳴くまでも
好きなお方を寝かしおき、起きて見たれば ~~~
一番鶏から二番鶏、三番鶏が鳴くまでも好きなお方を寝かしおき、起きて見たれば
雨や風、(あ~~それからどーした)
雨風見かけていなさりょか~~~、親方はれての客じゃなし。
聖子さん厨房に行って注文したり運んだり。
厨房横の聖子さんの部屋で寅たちは鍋料理の夕食をとっている。
聖子さん「あらまだこれ着てないの~~~」
と、半纏を寅にかけてやる。
聖子さん「これ主人の何だけど、フフ」
寅、微妙にドキッとして、なにげに袖を通す。
聖子さんと泉ママは二人とも夜に働いている厳しい仕事だから
泉ちゃんは聖子さんの仕事がわかるだろう。
そして、満男は恵まれてるぞと会話。
泉ちゃん「おじちゃま、おひとつどうぞ」
寅「あ、泉ちゃん、お酌してくれる、ふふふ」
泉ちゃんにお酌されてニタニタの寅
寅、満男の方を見て『別にいいjだろが』という目をする。
満男はその光景を見て微笑んでいる。
川井みどりさんも仲居さんで登場!^^
宴会の間
川井みどりさんも大きく映る!
宴会の客「今夜は別嬪にみえるぜ~~」
聖子さん「あら、今夜だけかな?」
客「いい人ができたんじゃねえか」
聖子さん「なんでわかっただ~~!」
一同大爆笑
川井みどりさんの声で「おやすみなさ~~い」
従業員がみんな帰る。
満男たちは宴会の間で布団を敷いている。
お酒のにおいがまだ残っている。
聖子さん「これから寅さんと二人でゆっくりと飲もうと思って、フフ」
挨拶をして下へ下りていく聖子さん。
まだ酒飲むのかと呆れる満男たち。
聖子さんの部屋で待つ寅
聖子さんが入って来る。
聖子さん「お待ちどうさま」
寅「うんうん」
聖子さん「さあ、寅さん飲もう」
寅「はい、ごくろうさんでした」
灯りを付ける聖子さん
じゃまず一杯
とコップ酒乾杯
聖子さん一気飲み
聖子さん「あ^^~美味しい。フフフ」
寅驚きながら
寅「・・・」
二階の二人
満男「寒くない?窓閉めようか・・」
窓を閉めながら
満男「あのおばさん言ってたよ、夏になるとね
この辺は蛍が一杯飛ぶんだって」
何かを考えている泉ちゃん。
満男「どうしたの?」
満男「なに考え込んでるの?」
泉ちゃん「フフフ、名古屋の内を飛び出したときはね
私は世の中で一番不幸せで、
誰も私の気持ちなんかをわかってくれないって思ってたの
でも田舎の町ででしらないおばあさんに親切にされたり
おじちゃ間にばったり会ってすがりついて延々名いたり
それに砂丘のてっぺんからころころ転がってくる先輩を見たりしているうちに
私はそれほど非幸せじゃないんだ・・ってそう思えてきたの」
満男「そうだよ、オレの親父やおふくろだってみんな泉ちゃんのこと心配してんだよ」
泉ちゃん「うん、今度悲しいことがあったら、満男さんの家の人たち思い出すようにしよう」
満男「それと、あと伯父さんとな」
泉ちゃん「フフフ」泉ちゃんにとって満男と寅は救世主^^
満男「フフフ」
下の部屋から寅と聖子さんお笑い声が聞こえてくる。
寅の声「ハハハ」
聖子さんの声「フフフ、ほんとあの時寅さんおかしかったね、フフフ」
キャッ(*/∇\*)キャ騒いでいる。
寅の声「おっと危ない!ほらほら ハハハ」
聖子さん声「ハハハ」
満男「伯父さんたち盛り上がってるなあ~^・・・
ちょっと心配だな。
いったい何時だと思ってるんだ」
階段の手すりにもたれかかって、下の部屋を覗く満男。
部屋の窓から聖子さんの姿が見える。
聖子さん「寅さん、電気消してもええ?眩しゅうて・・・」
寅たじたじしながら
寅「うん?あ、ああ」
電気が消され、
薄暗いピンクの関節光だけになる。
障子に映る影で聖子さんが寅に近づいて座るのがわかる。
寅「あ~~、けっこういける口になったんだね
お聖ちゃんも」
聖子「眠れない晩が続いてなあ。
しかたがないけん、眠り薬の代わりに毎晩お酒を
ちびちびやってるうちに妙に強うなってしもうた」
寅「ほお~~」
と酒を注ぐ
寅「それで、ご亭主とは何年一緒にいたんだ?」
聖子さん「10年ちょうど」
寅「10年か・・でもその10年間幸せだったんだ。そうだろ?」
悲しい顔をして、お酒の用意をする聖子さん。
寅「どうしたい?」
聖子さん「とっても泣かされただで、あの人には・・」
寅「それじゃ、お聖ちゃんは・・」
聖子さん「とんでもない浮気モンだっただが・・・」
寅「そうか・・オレはまたお聖ちゃんはてっきり幸せに
暮らしているもんだとばかり思ってた」
聖子さん「フフフ・・寅さんがうちにきんしゃるたんびに
『亭主はまだ生きてるかい?』っって冗談みたいに
言っとんさったでしょ。
私、『まだ生きてますよ。お気の毒様』って笑っいながら答えとったけど
本当は心の中で泣いとっただよ。ううううううう」と泣き崩れる」
寅、どう慰めていいかわからず黙っている。
聖子さん「私・・後悔してる・・」
寅「な、なにを?」
聖子さん「寅さんにしようか、あの人にしようか迷って、
結局あの人を選んでしもうたんだけど・・
私、アホだったなあ・・。
寅さんにすればよかったな・・」
寅「い、いま、いまさらそんなこと言われてもなあ・・」
ふらふらと寅の所へかけよる聖子さん。
途中で電気のスイッチを踏んでしまい。
暗くなってしまう。
聖子「あ、あいたた・・・」
電気がすべて消える。
寅「あ・・」
寅の胸に飛び込む聖子さん。
ちょっとたじたじのけぞる。
聖子「どうして逃げんさるだ?」
ややのけぞりながら、
なすすべもなく聖子さんが寄りかかっているままになっている。
聖子さん、しっかり寅の手を握りながら胸に顔をうずめる。
満男はどんどん体を階段にもたれかけていく。
突然、階段の枠がパキッっと外れて
満男「うわあああ!!!」
階段から2メートルくらい下にあった
バシャ~ンと小さな浅い池に落ちてしまう。
満男の体が空中に浮いてしまい・・
満男はバランスを崩し、下へ落ちてし行く。
部屋のある方向とは違う角度を見てしまっている満男
寅、上を見て
寅「はあ!!?」
バシャ~~~ン!!
聖子さん「な、なんだろ??」って走って外へ。
満男は、浅い池の中でもがいて
満男「おぼれる!うわ!」
障子を開けて寅が顔を見せる。
寅「満男!大丈夫か!!?」」
泉ちゃんも降りてくる。
聖子さん「満男君、大丈夫?」
と起こそうとする。
満男、怪我したおでこを抑えながら
立ち上がり
満男「大丈夫です、大丈夫です」
寅「なにしたんだよおまえ」
満男痛がりながらも照れて
満男「へへへへへ、
やっちゃった~~へへへへへ」
笑ってごまかそうと へらへら
でも口にも水が入って
満男「(>o<;))((;>o<) ゴホゴホ」
翌朝
この家は見つけるのに手間がかかった~~~。
鮎料理の店の前で
獲って来たばかりの鮎を木箱に入れる猟師さん。
この小さな用水路は今も健在だが、場所によっては蓋がしてある。ちょうどこのロケ場所は蓋がしてあった。
再現を協力してくださった小手寅さん↓
森下医院
病院から出てくる満男と泉ちゃん
。
頭に包帯
満男「だから病院っていやなんだよ。
おおげさな包帯なんかまいちゃってさあ」
泉ちゃん「本当に大丈夫?」
満男「平気平気」
今はもう開業していないようだ。玄関の柱や全体の有り方は今も同じ。
満男自転車をこぎながら
満男「ねえ、さっきのさ、川原行ってみよ」
泉ちゃんもこぎながら
泉ちゃん「うん」
取材の日は雨だった。ここは面影が残っている。
千代川の支流八束川で合流点のすぐ近くの堰
泉ちゃんと満男が中州でたたずんでいる。
泉ちゃん「ねえ、おじちゃまは前からあのおばさんが好きだったんでしょ。
おばさんも好きだったけど、ほかの人と結婚したわけよね。
でもその人が川で溺れて死んじゃったから
いずれ二人は結婚するわけ?」
雨で川の中の島に入れないので、橋の上から撮った。
満男「。。。いや・・そんな方程式を解くようにはいかないんじゃないか?男と女は」
泉ちゃん「じゃあ、どうなんの?」
満男「あの伯父さんはね、
手の届かない女の人には夢中になるんだけれども
その人が伯父さんのことを好きになるとあわてて逃げ出すんだよ。
もうなんべんもそんなことがあって、そのたびに
オレのおふくろ泣いてたよ『ばかねえ・・お兄ちゃんは』なんて」
泉ちゃん「どうしてなの?どうして逃げ出すの?」
満男「よくわかんねえや・・・」
泉ちゃん「自分の伯父さんのことでしょ。どうしてわかんないの?」
満男「つまりさ・・きれいな花が咲いてるとするだろう。
その花をそっとして置きたいなあっていう気持ちと、
奪い取ってしまいたい気持ちが男にはあるんだよ」
泉ちゃん「ふーん・・・・」
満男「あの伯父さんはどっちかって言うと
そっとしてきたいっていう気持ちの方が
強いんじゃないかな」
惜しいなあ、ちょっと違うんだな・・・ーー;
泉ちゃん「じゃあ、先輩はどうなの?」
満男「は?」
満男、立ち上がって
満男「オレ?」
満男、ちょっと思い切った感じで
満男「奪い取ってしまう方だよ!」
泉ちゃんも、満男も ちょっと照れて笑ってしまう。
満男「フフフ、なあんちゃってね~~!!」
と川原の石を放り投げる。
運悪く、鮎つりの釣り人の頭に当たってしまう。
笹野高志さん、釣り人 ちょい役で出演!
笹野さん「あたあああああ」
笹野さん「おまえかああ!!石投げたんは!!」ヾ(*`Д´*)ノ"彡☆ ケシカラン!!
満男「どうもすいませんでした!!」と頭を下げるが・・
物凄い剣幕で走りよって来る笹野さん。
完全に「キレ」てる^^;
笹野さん「おのれえええええ~~~」と走ってくる。
満男は泉ちゃんを先に行かせて
満男「逃げろ」
満男だけ止まって
もう一度謝る。
満男「ごめんなさい。誰もいないと思ったモンですから」
笹野さん「この時期にはよーけ釣り人がおるのに
それくらいのことがわからんだかや!」
満男「どーもどーもすいません!」とお辞儀
笹野さん許す気配なし “(*`ε´*)ノ彡☆バンバン!!
満男、走って逃げていく。
笹野さん「この、ダラズんがああ。」
鳥取方言 だらず=愚か者 馬鹿者
石川富山でも「ダラ」という言い方で「愚か者」と言う意味があり現在でも
いたるところで若者たちも使っている。
遠くから笹野さんの声
笹野さん「逃げるだか、おまえは~~~どこのもんだ!」
もう2回も深々とお辞儀して謝ったやん┐(~ー~;)┌
友人の釣り人が心配して
「なにがあっただ」「どこに当たっただ」「こぶができてる」と話しかける。
満男、土手に上がってきて
満男「ブザマだなあ・・」
「行こう」と自転車で去って行く。
笹野さん怒って「ダラズがあ!!」
と地団駄を踏む。
満男は寅の恋愛のことをかなりよくわかっているが
一番肝心な寅の気質の本質はわかっていない。
寅が美しい花をそっとしておきたいその心の奥には
ヤクザな寅の気質が存在する。
寅は、結婚や生身の夫婦生活が煩わしいのだ。
高嶺の花につくすことは「責任」や「覚悟」を必要としない。
献身的につくせば友人として「感謝」される。
もちろん寅は無私の気持ちでつくすので邪心は持ってはいない。
・・・とは言え、
寅は、責任のないフリーな立場から人のためににつくすことが大好きなのだ。
しかし所帯を持つと言うことは責任をまっとうすることであり。
その女性や子供の生涯を責任と覚悟を持って
命がけで護りぬくことなのだ。
寅はその生涯を「夢」の中で生きている。
「どろどろした現実」を避けながら生涯を終えるつもりなのだ。
言い換えれば寅はやはり「エゴイスト」なのだろう。
だから彼は身から出た錆であってもこう言う
「そこが渡世人のつれえところよ」と。
新茶屋の洗面
寅が歯磨きの後のうがいをしている。
聖子さんがやってきて
聖子さん「おはよ」
寅「あ、おはよう」
聖子さん、微妙にちょっと根に持ってるかな
昨日の寅の逃げ腰を。
寅「すっかり寝坊してしまって・・・」
聖子さん「私も・・」
お湯を洗面器にそそいであげる。
微妙な緊張感が流れる。
まあ、満男が池に落ちたから
何もなかったんだけどね ┐('~`;)┌
寅「若い二人どうしてる」
聖子さん「大丈夫だと言いんさったけど、念のためと思って」
聖子さん、お湯を注いだ後
聖子さん「はい、タオル」
聖子さん「寅さん、うちのらっきょ食べる?」寅はらっきょ嫌い^^;
寅「ああ、オレは大好物だよ」
聖子「ちょうどおいしいに浸かっとるから」
聖子さん 声がさみしそう
寅はそんな聖子さんの寂しい後姿を眺めている。
玄関の戸が開いて
満男と泉ちゃんたちが戻ってくる。
たいしたこと無かったことを告げる泉ちゃん。
朝ごはんができていることを伝える聖子さん。
「出会橋」のたもと
日ノ丸バス 「出会い橋前」 バス停
路線バスを今っている寅たち。
赤い車は小手寅さんの風天号
2人分の土産を渡す聖子さん。
満男「僕、夕べ壊した手すり・・弁償しなくちゃいけないんです・・」
聖子さん「なにを言いさるだ、うちが怪我させたんじゃけん、お見舞いださないけんぐらいよ」
寅は満男をからかう
寅「ははは、だいたいおまえ頭悪いんだからさ、
ゴツッっとぶつけて、少しよくなったんじゃないのか?
そう言えば、なん目の周りが利口そうになったよ。
なあ泉ちゃん見てみなよ」
泉ちゃん「ひどいわ、おじちゃま」
寅「あ・・・だいたいおまえ、夕べあんなところで何してたんだ?
え?手すりまたがって・・。
下へ下りようと思ってたのかガキみたいに。
ほんとにバカなんだから、もう・・・」
満男、ちょっとブスッとして
満男「ちょっともたれただけだよ~~。
伯父さんどうしてるかなあ~~っと、思って」
寅「・・・・」
聖子さん、寅に近づいて
聖子さん「覚えてるだか?夕べなにしたか」
寅「いや、オレ、なんにも・・・」
聖子さん「私も、すっかり酔っ払ってしまって、
なーんにも覚えとらん」
寅ヘラヘラ笑う。
聖子さん、くるっと背中を向いて、そっと寅の手の甲をつねる。
寅「いてて、あいつ・・・」
バスが来て 「鳥取駅」行き 日ノ丸バス
吉原建築の広告
泉ちゃん「じゃあおばさん、お世話になりました」
聖子さん「また二人で来て頂戴ね。
今度はゆっくりして、魚釣ったり、山できのこ採ったりしような」
泉ちゃんたち「さようなら」と別れの挨拶。
寅もバスに乗り込んで
振り向き
寅「それじゃ、お聖ちゃん」
聖子さん「寅さん、また二人で飲もうな」
寅「うん、じゃあ、そうしような」
聖子さん「うん」
小さく、
寅「じゃ」
バスのドアが閉まり
メインテーマがゆっくり流れる。
大きく手を振る聖子さん
窓から、満男と泉ちゃんが手を振る。
バスが遠ざかって行き・・
「出会い橋」は工事中だった↓
聖子さんの笑顔もゆっくり消えていく。
それでも手を小さく振っている聖子さん。
遠ざかるバスの窓から「さよなら~~」っと手を振っている満男たち。
メインテーマが静かに流れ続けている中
聖子さんはそっと手をおろす。
顔に寂しさが表れ・・一人坂を下りていく。
窓の外を見ている満男たち。
この場所も見つけるのに苦労した~~
バスの中、
聖子さんの気持ちに寄り添えきれなかった後悔を
かみ締めている寅。
しかしその悲しみは、自分の宿業とも無縁ではない。
そのことが寅の悲しみの本質にある。
だから寅は哀れなのである。
JR 鳥取駅
1番ホーム
寅が売店でお菓子などを買って満男たちに渡す。
現在は公衆電話はもうない。
そして寅は泉ちゃんを満男に託し
鳥取駅1番ホームで大阪行きの【はまかぜ】を見送る。
追記 2021年2月28日
寅さんファンであり私のサイトの読者さんである斉藤さんからのメールで
この列車は【はまかぜ】ではなく。
窓の開く急行であるとお知らせがありました。
満男君と泉ちゃんが乗っている車両はキハ58系あたりの急行車両なので、
当時『だいせん』(急行)あたりの設定だろうということだ。
特急『はまかぜ』は181系。※窓の開かない車両。
みかんとグリコアーモンドチョコと午後の紅茶ミルクティをキヨスクで
買いこんで寅は発車前の大阪行き特急「はまかぜ」の
泉ちゃんと満男のもとへ。
のキヨスクの横にかつては緑色の公衆電話があった。
寅「それじゃあ、泉ちゃん、お別れだ」
泉ちゃん「これから どうするの?」
寅「ん?そうだな、まあ、改札口出てからゆっくり考えるさ」
泉ちゃん「おじちゃま」
握手を求める泉ちゃん。
両手で寅の手を包んで
泉ちゃん「いろいろありがとう」
寅、泉ちゃんのてをもう一方の手でまた包んで
寅「うん、お母ちゃんと仲良くな」
泉ちゃん「・・・」
寅「女だから時々寂しくなることもあるんだよ。
おまえ娘だから、そこんとこよくわかってやれよ。な」
泉ちゃん「・・・」
うなずく。
満男「伯父さんは寂しくなることないの?」
寅「バカヤロー、オレは男だい、寂しさなんてのはな、
歩いているうちに風が吹き飛ばしてくれら~~」
笛が吹かれて
汽車が動き始める。
寅、満男に
寅「道中気をつけてな」
泉ちゃん「おじちゃまも元気でね」
寅「幸せになるんだぞ」
うなずく泉ちゃん
泉ちゃん「さよなら~~」
汽車は過ぎて行く。
寅は止まり
手を軽く上げる。
本編と同じ位置に汽車が停まっていまた。
やがて・・・汽車は鳥取駅を出て行った。
1番線の一番後ろは今も面影が残っている。
鳥取駅前の商店街を歩く寅
幸鮨
豊楽 空室あります
満男と泉ちゃんと別れた寅は
鳥取駅の北側を歩く。
本編で出てきた「幸鮨」はもう店じまいし、売りに出されていた。
そして角を曲がった寅は今日の宿を探す。
寅が泊まりたがった「旅館豊楽」は居酒屋になっていた。
その向こうの「桐の家旅館」は今もなお建物が残っている。
はたはた姿寿し
桐の家
旅館豊楽に向かう。
寅「この部屋ひとつ空いてるかい?」
豊楽の従業員さん「すいません。いっぱいなんですわ」看板変えとけよなーー;
寅「あ、そう」
と、また歩いていく。
変わってしまった物と変わらない物
山陰本線 日本海側
倉吉から鳥取駅の間にあるいくつかの日本海がなぜか映る┐(~ー~;)┌
まあ、風景がよかったのでここを採用したんでしょう^^;
なぜか倉吉の北海岸
泊漁港の東「小浜」付近を通過。
その後泊漁港付近が映って
徳永英明さんの「どうしょうもないくらい」が流れる。
今を生きようと 弱音も吐かずに誰にも負けぬと 涙も見せずに
でも どうしょうもないくらいどうしょうもないくらい
恋に破れた夜も
強がる事しか 出来ないでいるとは
世間の流れを 恨んだところで
自分の愚かさ さらけ出すだけさもう
どうしょうもないくらいどうしょうもないくらい.
あやまりたい夜も 嘘つくことしか 出来ないでいるとは
瞳を閉じれば 幸せが見える・・・
なのに脅えてる 何故に抜け出せず
もう どうしょうもないくらい どうしょうもないくらい
・・・・
グリコアーモンドチョコレートを食べる泉ちゃん
満男を見て微笑みながら黄色いハンカチで指をふく。
宝木駅直前の河内川鉄橋
を渡る。
なぜか全部鳥取から東ではなく、とtt利から西の風景ばかり。
この橋を渡る直後
満男は、黄色いハンカチを持った泉ちゃんの手を握る。
突然のことで体を硬くする泉ちゃん。そして静かに目をつぶる。
満男の手をそっと見て・・・
そして
満男の手をもう片方の手で包み込み・・・
そして 強く握っていく。
お互い手を握ったまま窓の外を見続ける二人。
友達の枠からようやくその先へ踏み出し、
お互いの愛情を確かめる二人だった。
泊漁港の東「小浜」付近を通過。
本編
現在の小浜
上は私が乗った車窓から写した映像。
下は映画本編。
上は私が乗った車窓から写した映像。
下は映画本編。
上は私が乗った車窓から写した映像。
下は映画本編。
上は私が乗った車窓から写した映像。
下は映画本編。
この一連の車窓は発見に手間がかかった~~~~(T^T)
満男の告白 運命の河内川
現在の同じ位置での車窓 私が撮った映像。
いきなりぐんと東に飛んで・・・
兵庫県豊岡市竹野切浜海岸の車窓風景。
同じ場所の画像
この黄色いハンカチのシーンは、
初めての満男の愛の告白と言えるだろう。
名古屋のマンションに戻ってきた泉ちゃん
近所の幼児が遊んでいる。
泉ちゃん「ケンちゃ~~ん」
泉ちゃん、玄関を開けて
泉ちゃん「ただいま~~」
ママ、はっと驚き、安心の吐息。
泉ちゃん「はい、お土産」と、
河原町の聖子さんからもらった「かわはら」のお土産を渡す。
泉ちゃん「寅さんが、くれぐれもよろしくって」
上着をもう一度脱ぎながら
ママ「黙って家を飛び出したりして。
どうして言ってくれないの?
あんたはママの娘なのよ」
と、台所の鍋から料理を泉ちゃん用によそい、テーブルに置く。
ママ「ママはね、あんたなしじゃ、生きていかれないんだからね。
再婚だってあんたが嫌なら諦めるわよ。
あんたの方がうんと大事なんだから。
・・・だから、ちゃんと自分の気持ちを言ってよ」
泉ちゃん「・・・」
ママ「ね」
泉ちゃん「うん、そうする」
まま、安堵で腰を下ろしながら
ママ「あ~~~・・・どんなに心配したか」
と、涙ぐんでいる。
泉ちゃん、部屋に入る時に
泉ちゃん「ママ・・・」
ママ「なによ」
と、お茶を入れる。
泉「幸せになっていいよ。私、もう大丈夫だから・・」
泉のテーマが流れる。
と、ちょっと寂しそうに告げる。
ドアの向こうに消える泉ちゃん。
ドアは開いたまま。
ママ、お茶をこぼし・・・
ママ「ううううううう」と泣き崩れる。
泉ちゃん、ドアからママを見て…
少し寂しそう。
夫と離婚した後、
泉ちゃんとなるべく一緒にいてあげようとするのが親だろう。
それなのにわざわざ泉ちゃんが学校から帰ってくる時には
店に出て行くという選択を続けているその業。
バーの雇われマダムになって夜に仕事をして稼ぐこと自体、
ちょっと考えられない。
泉ちゃんはまだ高校生なんだから昼間にしっかり働いて夜に
一緒に食事をしたりして家にいてやるのが
親というものだと思うのだがどうだろうか。
で、まあ、さぞかしたくさん稼いでいるのかと思いきや、
泉ちゃんを短大にさえ行かせてあげることができない。
玄関にはゴルフのセットが置いてあるし
衣裳部屋は高そうな服がずらっと掛けてある。
お金を泉ちゃんに使うよりも自分に使っている。
どうもこのママの生き様は私は好きにはなれない。
柴又 諏訪家
玄関のチャイム
ピンポ~~ン ピンポ~~ン
博が開ける。
満男「ただいま」
博「どーしたんだその頭?」
満男「ちょっと打ったんだよ」
博「おい、なんで昨日の内に帰ってこなかったんだよ?」
満男「伯父さんに付き合ってたんだよ」
博「母さん怒ってるぞ」
満男「え?・・・」
博「謝れ」
満男「うん・・」
台所に入ってきて
満男「心配かけてどうもすいませんでした」
さくら振り向かないで、台所仕事をしている。
満男「昨日の昼の時点で帰ろうと思えば帰れたんですが、
思わぬハプニングが転がり込みまして・・・」
博、入って来て
博「なんだそれ?」
満男「料理屋の女将さんが昔伯父さんが好きだった人で
それがなんと今は未亡人で・・」
さくら、ちょっと振り返りながら聞いている。
満男「ほっておくと・・やばいなあ~~~、
またまたお母さんを泣かせる結果になるんじゃないかなあ・・。
だから、僕は最後まで。。」
さくら「要するにどうなったの?その未亡人とは?」さくら必死^^;
満男「はい、あの、結局はいつものパターンで終わったけど
伯父さんとっても可哀相でした。以上です・・」
とお辞儀。
全部おおまかにはばらしてしまいました┐('~`;)┌
博「ふーん、そうかあ・・」
さくら「そう」と、ちょっと微笑んで
少し涙ぐんで・・・また台所仕事。
満男、博にお土産を渡す。
満男「これ、その人からの土産」 かわはら(河原町の聖子さんからのお土産)
博「美人かその人」^^;
満男「まあ、タイプで言えば・・」と明るくしゃべりだす。
さくら「なに言ってんの、お腹すいてんでしょ。
なんか作ってあげるから、お風呂でもはいってらっしゃい」
博「くさいぞ」
満男「一週間着のみ着のままだったからなあ・・」とお風呂場へ行く。
博「やれやれ、一件落着か・・・」
さくら泣いているのが背中でわかる。
博「…どうしたんだ?」
さくら「バカね、お兄ちゃん。
なにやってんのかしら・・いい年して、」
キャベツを切るさくら。
カメラは二人の寝室の方からダイニングを映す。
新聞を読み、テレビを付ける博。
二十年以上にもわたって繰り返される寅の出口のない恋に対する
さくらの疲れ果てたその先の苦い悲しみが
このカメラアングルに表現されていた。
柴又 帝釈天
御前様の庭
減ちゃんがさくらにお茶を持ってくる。
御前様「そうですか・・満男君がもう恋をする年頃になりましたか・・」
さくら「恋かどうか、本人にもよくわかってないと思いますけど・・」
御前様「いや、恋に決まっています。
私も満男君の年頃にはいくつも恋をしたものです」
さくら「えーーー!?御前様が恋を?信じられませんわそんなこと」
御前様「なあにをおっしゃいます さくらさん、
私の恋の激しさときたら寅なんか問題じゃありませんでしたよ」
さくら「ンフフフフフフフフ」
御前様「おかしいですか?」
さくら「いいえ」
と手を振るが
やはり笑いまくってしまう^^;
このさくらの手の振り方がとてもユニーク
数回は横に振るのだが
その後振りながらも手を下におろして行く。
一度見てみてください。面白いですよ(*^^*)
ぼや===っとお茶を手に取る御前様
お茶を飲んで
さくら「フフフ」
最初は手を横に振り↓
その後、手を振りながら
手を下におろしていく↓
笠智衆さんの表情がなんとも・・・(^o^)
とらや 店
さくらが帝釈天から店に戻ってくる。
麒麟堂の息子の結婚式に呼ばれた備後屋が歩いている。
さくら「あら、備後屋さん、見違えちゃった」
備後屋「え?普段着慣れないからさ、ナフタリン臭くて、ははは」
おいちゃんとタコ社長が台所で礼服を着て笑ってる。
さくら、台所にやって来て
さくら「なに笑ってるの?」
おばちゃん「馬子にも衣装だってそう言ってたとこよ」
さくら「あら、ほんとだ」
みんな笑ってる。
さくら「御前様がお花のお礼おっしゃってた」
おばちゃん「お元気だったかい?」
さくら「うん、とっても」
おいちゃん「さてそろそろ行くか麒麟堂の結婚式」
と二人立ち上がって店へ出て行く。
さくら「麒麟堂さんにくれぐれもよろしくね。おめでとうございますって」
おいちゃん「長続きするかな、あのドラ息子」
おばちゃん「そんな不吉なこと言って~~!つるかめつるかめ」
タコ社長「あれ!いけねえ、オレ香典忘れちゃったよ!」ヽ(´~`; ォィォィ
おばちゃん「またそんな~~!!」
さくら「ご祝儀でしょ」
タコ社長「はは、祝儀祝儀!つるかめつるかめ」
笑ってるさくら。
工場のユカリちゃん走ってきて
ユカリちゃん「社長!忘れ物」
とご祝儀を渡す。
タコ社長「サンキューサンキュー」
さくら「ごくろうさま」
おいちゃん参道から
おいちゃん「いい天気でよかったな」
おばちゃん「ほんとにね」
三瓶ちゃん「いってらっしゃい」
おばちゃん「はあ~~ああ・・・」
さくら「どうしたの?ため息なんか付いて?」
おばちゃん「いつになったら寅ちゃんの結婚式に出れるのかと思ってさ」
ユカリちゃん「ぷっ」っと吹き出して工場へ走っていく。
電話が鳴る
リリリリリン
おばちゃん「もう夢かねえ・・・」
さくら「くしゃみしてるわよ、今頃」
さくら電話に出て
さくら「はい、! お兄ちゃん!」
おばちゃん「え?」
さくら「満男?夕べ帰ってきた。
いろいろお世話になったみたいね、泉ちゃんと一緒に。
感謝してるわ」
っていうか、
泉ちゃんが思いっきり寅にお世話になったんだけどね┐(~ー~;)┌
安部駅
寅「伯父きとしてな、あたりまえのことをしただけだよ」
うん、一生懸命勉強して、遅れを取り戻せって言っとけ」
とらや
さくら「ねえ、どうして一緒に帰ってこなかったの?
みんな待ってたのよ~~」
安部駅
寅「帰りたいのはやまやまだけど、商売もあるし、
それにィ・・・あの、満男から聞いたろ?なにもかも」
さくら「ううん、聞いてないわ」 舌抜かれるデさくらヽ(´~`; ォィォィ
鳥取県 若桜鉄道安部駅
さくら「なにがあったの?」さくら知ってるくせに((((^^;
安部駅
寅「え?聞いてない?あ、そう・・」
さくらの声「なんなの?」満男がばらしてた( ̄∇ ̄;)ハッハッハ
寅「いや、なんでもない」
さくらの声「お兄ちゃん」
寅「なんでもないよ」
寅話題変えて^^;
寅「あのー、おいちゃんおばちゃん達者か?
え?麒麟堂の倅の結婚式。
ほ~~~~、あいつもとうとう年貢の納め時かおい フフフ
可哀想に、ん、ん、それじゃな」
と、腕時計を見て
寅「博によろしく言ってくれ。ん」
と、受話器を下ろす。
寅、十円玉の残りを取って
寅「満男のやつ黙っていてくれたか。
あいつもだいぶ成長したな」
と、頷いている。
満男普通に言いまくってたよ。・・・・・・・・( ̄。 ̄ )ボソ...
安部駅の簡易改札
寅「お姉さん、切符一枚おくれ~~」
委託のおばさん「すんません中で買ってくだせえな」
寅、わかったよという合図
鉢植えの菊が美しく咲いている。
メインテーマがゆったりと流れる。
ホームでぼんやりポンシュウとさぶが待っている。
駅員さんが鉢植えにジョウロで水をかけている。
寅「まだか?」
サブ「あと・・15分ぐらいでしょ」
のんびりと歩きながらかばんを置く寅。
メインテーマが静かに流れている。
ちょっと肌寒いのか、背広を胸で閉じて 腕を組む。
この「間」がいいですね。
安部駅は今も同じ風情を漂わせている。
正月 さくらの家
よっちんと友人がバイクに乗って、家の中にいる満男をせかしている。
今回は岡部ではない。
クラクションをプープープププププ~~~~と鳴らしている。
友人「おーい、まだかよ====」
よっちん「満男ちゃ~~~ん、早くして~~~」
さくらの家の中
正月ラベルのビールがある。
二階から満男下りて来て
満男「行って来るよ」
台所からさくらが呼び止める
さくら「満男!」
満男「え?」
さくら「どこ行くの?」
満男「ちょっと横浜・・・」・・・・・( ̄。 ̄ )ボソ...
さくらちょっと怒って
さくら「なに言ってんの~~~。
今日は2日よ。
帝釈天にお参りして、御前様にご挨拶する日でしょ」
満男「今年から降りるよオレ。
親と初詣なんてさ、ガキじゃないんだからさ」
さくら「1年に一度くらい3人で出かける日があったっていいでしょ」
満男「形式だろ」
博「形式だって大事なことがあるんだ」と怒っている。
満男「勘弁してよ」とみかんを1つ持って、玄関に去って行く。
さくら、追いかける。
博「もうほっとけよ!」と怒っている。
さくら「お正月くらい家族で過ごしたいという親の気持ちがわからないの?あんたには」
満男「友達が表で待ってるんだから、もう~」
さくら「そう、じゃ、勝手にしなさい!」と怒っている。
満男「帰り遅いからね」と出て行く。
さくら「どうそー!」と怒っている。
満男、玄関に出て
二人に
満男「オエース」
二人「遅いよ 遅い」
満男「ワルイ ワルイ」
と、みんなバイクにエンジンかける。
KAWASAKI GPZ400R」D2と呼ばれる2代目 Ninjya
ヘルメット Arai
満男ヘルメットかぶりながらエンジンをかける。
はい、来ました^^ みなさんお待ちの・・・・
前方に女性発見。
ヘルメットのプラスチックを上げる。
なんと泉ちゃんが歩いてくる!
手を振る泉ちゃん。
泉ちゃん、3作連続アポなし・・・
アポ取れよ頼むから(T_T)
ヘルメットを脱いで満面の笑みを浮かべる満男
泉ちゃん、走り寄って来て、
泉ちゃん「おめでとう~~」
満男「なんで・・い。今来たの?」
泉ちゃん「うん、東京駅からまっすぐ。
お正月なら満男さん家にいるかなって思って・・」
よっちんたち、早くしろとバイクのクラクションを鳴らす。
泉ちゃん、ちょっと淋しそうに
泉ちゃん「なんだ、これからどこかでかけるの?」
満男すぐに打ち消して
満男「いや、違う違う!違う!、今帰ってきたところだよ、
ちょうどよかったよ!」寅の遺伝ーー;
泉ちゃん信じて
泉ちゃん「そう」と安心して微笑む。
満男「さあ、おいでおいで」
と手をとって、家の中へ導く満男。
泉ちゃん「フフ、おじさんたちいる?」
満男大喜びで
満男「いるいる!」
ちらっと よっちんたちを見る満男。
よっちんたち (T0T)
よっちんたち「あ・・・あ・・・」
満男の声「ただいま~~~~~!!」
おまえは寅か ( ̄∇ ̄;)ハッハッハ
驚いて玄関を見る博とさくら。
満男「母さん、泉ちゃんが来た」
さくら「え」
あっという間に、台所まで入ってしまう泉ちゃん ( ̄∇ ̄;)ハッハッハ
しつこいけど
アポ取れって、東京駅からでもいいから・・・(ノ_-;)…
泉ちゃん「あけましておめでとうございます」
さくら「まあ~~、泉ちゃん来てくれたの、おめでとう」
博立ち上がって
博「おめでとう」
さくら「寒かったでしょう」と、こたつに案内する。
泉ちゃん「わあ~~。こたつがある~~~」
博、満男に気付いて、
博「おい、おまえ、でかけるんだろ?」
満男「なに言ってんだよ、オレは今帰ってきたんだよ」と、あたふた
外で、よっちんたちのクラクションの音
(◎`ε´◎ ) ブッブウウウ~~~!!!
満男「うるせえなあ~~~」と玄関に行き、ドアから顔だして
満男「悪い悪い、やっぱり、今日オレ行くのやめるわ。
お前ら二人で行ってくれ、なさいなら、じゃあな」
よっちんたち「えええ、ゆるさねえぞ!!こらああ!!」
3作品連続でドタキャンされたよっちんたち。
怒りながらバイクで行ってしまう。
江戸川土手
金町取水所前の土手上を歩く4人。
本来ならもっと下流に住んでいるのだが金町取水塔を見せたいゆえに
この位置の江戸川土手ロケとなる。
泉ちゃんが、さくらにおそらく新茶屋で池にはまった満男のことを伝え、
さくらが「ほんと~~?」って笑っている。
博「バカだなあいつは」
数歩送れて バツが悪そうに、ちょっと笑って歩いている満男。
満男「なんだよ~~」と口の開き方でそう読み取れる。
満男の独白
「伯父さん、世の中で一番美しいものは恋なのに、
どうして恋をする人間はこんなにブザマなんだろう。
今度の旅で僕がわかったことは、
僕にはもう伯父さんのみっともない恋愛を笑う資格なんか
ないということなんだ。
いや、それどころか、
今の僕には恋する伯父さんのブサマな恋愛が
まるで自分のことのように悲しく思えてならないんだ。
子供たちの凧揚げを土手を駆け下りて手伝ってやる満男。
だからこれからはもう伯父さんを笑わないことに決めた。
だって伯父さんを笑うことは僕自身を笑うことなんだからな。
岐阜県 蛭川村 安弘見神社 杵振り祭り 花馬奉納
杵振り踊り(きねふりおどり)とは、岐阜県中津川市の蛭川(旧蛭川村)及び、
隣接する岐阜県恵那市の中野方(旧中野方村)や岐阜県加茂郡白川町切井で
行われている五穀豊穣を願う踊り。
先頭は赤鬼と青鬼、その後におかめ、ひょっとこ、
天狗、稚児、杵振りの踊り子、笛の囃子、太鼓、蝿追い、獅子と続き、
大きな花を背負った花馬・神馬が、約2時間かけて2㎞の道のりを踊り歩き、
村の鎮守である安弘見神社(あびろみじんじゃ)に到達する。
踊り子は、24歳までの男達で、赤、青、黄の市松模様の臼をかたどった縦長の大きな傘を
目深に被り、「ソーイ」「ソーイ」という掛け声とともに黒と紅色に塗られた杵を振りながら練り歩く。
踊りの一行は安弘見神社の鳥居をくぐり、拝殿までの石段の参道を登るが、拝殿前で一旦休憩した後、
参道を下って広場に入り、杵振り踊りを披露する。
その後、再度参道を拝殿まで登って行った後、花馬が参道を駆け上って行き祭りは終了する。
岐阜県の無形重要文化財
同じように青空に凧が揚がっている。
寅は健康サンダルのバイをする。
寅「お姉ちゃん綺麗なおべべ着ていいね」
ポンシュウがお茶を寅に渡す。
蛭川村の祭りを見に行く人々
花馬の奉納が始まる
マイクでのナレーション
「続いて花梅の奉納が行われます」
「花馬に飾られた花飾りをいっせいに抜き取ると
馬が階段を駆け上がり社への奉納となります。」
花をたくさん刺した状態で馬が動き出す。
「馬が動き出しました。
小さいお子さんをお連れの方はお立ちください」
次々と花を抜いていくお客さんたち
全ての花飾りを抜かれて
いよいよ階段を駆け上がっていく馬。
「ただ今、無事、新年の花馬の奉納が終わりました。
ご協力ありがとうございました。ありがとうございました。」
サブが走ってやってくる
サブ「先輩!!」
寅「おお・・・!ポンシュウ!」
ポンシュウ「サブじゃねえか!」
サブ「おひさしぶりです!
いや、正月はこの神社来てるんじゃないかな~~と思って」
寅頷きながら
寅「はあーん、ここはおまえの故郷の近くなんだ」
サブ「ええ」
ホポンシュウ「お前その後どうしてんだ?」
サブ「はい、おかげさまで、地元の会社の就職試験受けて、
今、ダンボール作ってます」
寅とポンシュウ「ほう~~」
サブ、横にいた婚約者を紹介
安部駅ではまだポンシュウと一緒にいたから
あのあと1ヶ月以内にテキヤを辞めて、故郷の岐阜県で堅気になったんだな。
早いな~~~~。
でも、このサブは第47作ではまたもやポンシュウとつるんでいたから
結局はテキヤに戻るんだねこのあと。
っていうか、山田監督的は
この作品のサブとあの47作の青年とは別人だというだろう。
サブ「あ、それから、これ、オレの中学の同級生なんですけど、
今度一緒になるんです」
婚約者「こんにちは」
寅「んーーー、ダンボールに嫁さんか、な、
おまえも立派に更生して一人前になったんだ!」 更生ってヽ(´~`; ォィォィ
サブ「フフ、照れくさいですけど」
寅「いや、よかったよ!よかったなポンシュウ!」
ポンシュウ「おう、それがなによりだ」
お客さんに応対
「へい、いらっしゃい」
サブと婚約者さん二人でニッコリ。
メインテーマが流れ始める。
寅「へへへ・・・さあ!もうやけだ!!」
寅「ねえ、どう、お二人のために安くしちゃう!
普通ならば千円、どう900、800、飛んで500だ」
サブ「よしっしゃ!!買った!!」
ポンシュウしかさず「お兄ちゃんいい買い物したね~~!」
サブ、まわりの客に「みてくいださい本物ですよ、安いですよ」と勧めている。
寅の啖呵バイ
寅「さあ!四谷赤坂麹町、ちゃらちゃら流れる御茶ノ水
粋な姐ちゃん立ちションベン!
白く咲いたがユリの花!四角四面は豆腐屋の娘、
色は白いが水臭い!」
この第44作も渥美さんはもうさほど動いていない。
体調が思わしくないのがわかる。
30作台40作台の渥美さん晩年の「男はつらいよ」を
ひとつの完全な映画作品だと思い、鑑賞していくのは酷というものだろう。
もう後半の20作品近くは大きな大河映画のエピローグだと思うと
実に味わい深いものが見えてくる。
第1作~第8作が青春期
第9作~第29作が壮年期
第30作~第48作が晩期
そう思っていただきたい。
もうこの第44作は夕日が山に沈む直前あたりなのかもしれない。
このあと夕日は山に沈み、深い夕暮れ時がいよいよ訪れはじめるのである。
男はつらいよのシリーズはこのように1作品で考えてはまったく
本質を見誤ってしまうだろう。
物語も渥美さんも弾けてはいないけれども
ひたすら渥美さんの静かな表情と背中を見続けてほしい。
終わり
さて、これで全48作品で、本編制作をしていないのは
第46作「寅次郎の縁談」、第47作「拝啓車寅次郎様」の2作品だけとなりました。
この2作品は今年中に必ずアップしようと思います。
宣言しないとまたずるずる先延ばしになりそうなので宣言します。
残った2作品、第46作と第47作は今年の夏までにアップします!