号外!!
第25作 寅次郎ハイビスカスの花
ついに発見!!リリーと高志のエメラルドの海
高解像度の画像↓
7年ほど前、私は沖縄のロケ地調査を実地した。
最後のリンクURL参照↓
その中でこのシーンだけが不明だったのだ↓
物語の流れはこうだ↓
遠く沖縄で病気をしてしまったリリーを寅は苦手な飛行機で駆けつけ、懸命に看病し、
退院するまでリリーの病院に毎日のように通い、二人の蜜月は続いていく。
そして退院したあとも本部の漁村に下宿先を見つけてリリーは養生する日々だ。
ある日、ずいぶん元気になったリリーは高志と
小舟で海に出て高志の漁を楽しそうに見るのだった。
初夏の陽を受けて、キラキラ輝く珊瑚礁の浜。
設定は本部の近くのさんご礁の海岸付近。
ロケ地は下に紹介する渡嘉敷島の東にある【前島】最北端。
澄みきったエメラルド色の海。
日傘を差したリリーが見守る中、
高志がモリを持って海に飛び込んでいく。
水しぶきがリリーにかかって、びっくりする。
リリー「キャー!!」
リリー「あー!魚いた!」
パッと本部ロケに戻って…
本部 浜崎漁港
海岸から家までの道
海岸から家までの道
ハイビスカスの咲き乱れる路地を、
魚を入れた手網を抱えてリリーがやってくる。
魚が網の中で動いて
リリー「うわ!!」
とはしゃいでいる。
リリー「おばさーん、おばさ-ん!」
後ろからついてくる高志。
本部町 建堅(けんけん)
浜崎漁港から細道を入ってすぐの場所。
国頭家 庭
リリー「おばさん、おばさん!
ほら、こんなにたくさん!」
富子「捕れたね」
リリー高志君がもぐって突いたのよ」
おばさん「あ〜これカースビーだねぇ、
これ刺身にしてもおいしいよ」
リリー「ほんと」
おばさん「うん」
リリー「じゃ、今夜食べようかな。
これおろしてくれる?」
おばさん「いいよ」
リリー「あ、うれしい」
と、まあ、そのようなリリーの快復が象徴されるような明るいシーンだ。
物語の流れからするとまずは本部の海や目の前に見える瀬底島と
思うのは当然のことだ。
そして私がロケ地調査を行なった時、
映画撮影当事、あの本部の国頭家下宿に実際に家族と住んでおられた高校生だった娘さんも、
あの海の漁の撮影のために、彼女のお父さんは自分の舟を貸してあげて
本部周辺の海か瀬底島で撮影したらしい…。と私に電話で証言してくれたのだった。
そして、その証言の前日には、
東京から駆けつけてくださった沖縄大好きの盟友の寅さん友達である吉川明さんと
現地で再現をしたり、聞きこみをしたりと奮闘努力したがやはりあの海は見つからなかった。
証言のあとも、東京に戻ってからストリートビューで瀬底島周辺を探しまくったが
それでも見つからないまま7年も過ぎて行った。
そして昨年2021年10月 会津湯川村の高羽哲夫さんの記念館におじゃまして
彼が持っていた脚本を見てみたら、そこに書き込みがあったのだ!
■第2稿では広範囲に慶良間(慶良間諸島)
■完成稿ではもう少し絞って渡嘉敷島
私は喜び勇んで東京へ戻り、
数日間地図やストリートビューで探しまくったが渡嘉敷島には
あのような島や岩や向こうに見える陸と小さな離れ小島が見当たらなかった。
この慶良間諸島の中で、
ある程度有名な島は まずは渡嘉敷島、そして座間味島、
阿嘉島、慶留間島、前島なので
この中のどこかかもしれないがけっこう広範囲だし、
ストリートビューが来ていない場所も多い。
第2稿では広範囲に『慶良間(ケラマ)』
脚本の完成稿ではもう少し絞って『渡嘉敷島』と書きこんである。
現場でのリリーと高志の動きもメモしてある。
おおそらく、撮影の前は、事前のスタッフロケハンティングで、
広域の慶良間諸島全体が候補だったのだが
後に現地で渡嘉敷島に良きロケ地が見つかり
より絞って渡嘉敷島に落ち着いたのか…
しかし、渡嘉敷島本島にはあのような風景は見つからなかった。
そこでその周辺の島々をストリートビューの範囲で見て行った。
12月に入ると絵画展などでかなり仕事も忙しくなり、
なかなか進まない日々が続いた。
しかし諦めないで今日も少し別の島を探すことにした。
ストリートビューが来ている島やポイントはとても限られるゆえに諦めもつくのだ。
そして、遂に、今日、ある島で、
いきなりあの真ん中に見えるコッペパンのような島がモニターに映し出されたのだ。
映画に合わせてみる!!↓↓
まさにあの島だ!!
このストリートビューの島は、渡嘉敷島の東、約8キロほど離れた前島という島だった。
前島は渡嘉敷島と沖縄本島の間にある比較的小さな島だ。
本島からそこそこ近いゆえにチャーター船でもそんなにかからない場所だ。
そして沖合いに映っているコッペパンのような島は黒島という無人島だった。
この前島は、リリーの下宿先のロケ地である本部からは100kmも離れている。
渡嘉敷島の東の、現在ほぼ人が住んでいない南北に細長い島なのだ。
本島の那覇からチャーター船で1時間半ほど。
あの、映画スター浅丘ルリ子さんはこんな島まで行ってくれたのか…凄い…。
前島は地元の人はメージマとかメーゲラマと呼ぶらしい。
那覇から向うと慶良間の手前の方にあるので、前慶良間(メーケラマ)→“めーげらま”。
渡嘉敷島の東約7km、那覇からは西へ約20km、
チービシ環礁(慶伊瀬島)と渡嘉敷島の間にある細長い島。
北に続くウガン島、中島、ハテ島を含めてサンゴの環礁の中にあるため周囲の砂浜は白く、
海はエメラルドグリーンをしている。しかし、隆起珊瑚礁の島にありがちな平坦さは無く、
どの島も緑に覆われ山が盛り上がっている。
戦前はこの森のリュウキュウ松などを利用した薪(たきぎ)の産地になっていた。
この薪は“慶良間薪(けらまたきぎ)”あるいは“キラマダムン”というブランドとして知られており、
火付きが良いキラマダムンは良質の燃料として重宝されていた。
戦前、戦後とカツオ漁が盛んで、昭和30年には水道施設も完備され、
小学校も開校した。しかし、度重なる台風の被害やカツオ漁の不振などにより、
昭和37年(1962年)には全島民36人が沖縄本島へ移住、無人島となった。
昭和60年頃から平成4年まで3人の定住が確認されていた。
そして手前に映っていた三角の岩も、かなりカメラ位置は違うが、なんとか把握できた。
あとはもう数少ないストリートビューの定点ポイントの中から比較的似ているポイントを選んで行った。
ストリートビューは、こんなほぼ無人島にまで定点ポイントとは言え、来ているのだ。
地元の方々の協力があったのだろう。
黒島の見え方はほぼここらへん。ドンピシャで同じ形!!
映画本編は、三角岩と黒島の間に狭く見える。
ということは、この前島の北の端、
右の三角岩の手前のやや深いところで
舟を浮かべて、前島最北の浅瀬あたりからの撮影だと思われる。
世界初登頂
【カメラ位置考察】
黒島と三角岩の間の見え方は狭い。
と、いうことはこの前島の先っちょの砂浜から取っている。
三角岩の右横の小岩も3つ見えないといけないので、
さらにこのストリートビューより西側にカメラはあるはず。
リリーを乗せて、島と島の間のやや深いエメラルド色のエリアで漁をする高志。
三角岩とその横の小さな岩たち
映画をよく観察すると、手前がかなりの浅瀬で、
舟の付近がやや深くなっていて、
三角岩のあたりもかなり地面が見えている。
リリーの背中向うに見える渡嘉敷島↓
せっかく世界初登頂なのだから
このコロナ騒ぎが収まった頃行ってみたい気がするが、
渡嘉敷からのチャーター船はバカ高くて最低でも3万以上は払わなくてはならないらしい。
安くつく方法はこの前島の文化観光ツアーに参加することだそうだ。
そうすると半額以下ですむ。
【追記】
2023年4月4日掲載
沖縄県島尻郡渡嘉敷村 前島北部
2022年12月に
寅さん友達のちびとらさんと夕映君が那覇からの単独チャーター船で
前島を訪問されました!!
■一方、もう一つの風景
社長、手をのばして茶の間のテーブルの
絵葉書を手にとり、眺める。
窓の近くにリリーの持ってきたハイビスカスの鉢植え
と金魚鉢。
後ろで源ちゃんがメロン味のカキ氷を食べている。
沖縄本部の国頭高志から諏訪さくら宛の、
美しい海の写真の絵葉書である
第12作『私の寅さん』のりつ子のテーマが
ゆったりと流れる。
物語のラスト付近で、お盆の時期に
高志のお礼ハガキを読むタコ社長のシーンの時、
もう一度この前島のロケが映し出される。
今度は東側の海岸から沖縄本島を遠く映し出していた。
近場にとっかかりがない映像ゆえに、前島の東側の海岸のどこかからとしか言えないが
おそらくあのリリーと高志の舟のシーン撮影場所から、さほど遠くない場所になるんだろうなと思う。
沖縄本島がうっすら見える。
本島がはっきりわかるためにコントラストを強くしてみた。
ストリートビューで見た前島北東部からの眺め
映画では手前が海だけでなんのとかかりもないゆえに、
おおよそ前島の東海岸の北部あたりという程度しかわからない。
現地で、沖縄本島の島影と比較するしかないかな。
以上、リリーと高志のエメラルドの海
大発見の号外でした。
2014年 沖縄ロケ調査 アーカイブ
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■奮闘努力の電柱アイスキャンディ再現動画
http://youtu.be/SF1IV6GDX_0
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