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お気楽コラム


寅次郎な日々

バックナンバー2005年12月分
その18〜その48まで


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大晦日の夜のとらや(2005、12、31)

さくらから博への愛の告白(2005、12、30

あなどれない工場の中村君(2005,12,29)

慈悲深い『よっちん』たち (2005,12,28)

泉ちゃんと満男の不思議(2005,12,27 

タコVS寅 因縁の対決 第4ラウンド(2005、12、26)

タコVS寅 因縁の対決 第3ラウンド(2005、12、25)

タコVS寅 因縁の対決 第2ラウンド(2005、12.24

タコVS寅 因縁の対決 第1ラウンド(2005、12、23)

タコ社長の奥深い懐 そのA(2005、12、22)

タコ社長の奥深い懐 その@
(2005,12、21)


ゆかりちゃんの人生航路(2005,12、20)

あけみの純情 そのB(2005,12,19)

あけみの純情 そのA(2005,12,18)

あけみの純情 その@(2005、12、17)

じん弘さんのアリア(2005、12、16)

わが心の寅次郎の歌  ギャグ篇(2005,12,15)

わが心の寅次郎の歌  ベスト10「感動篇」(2005,12,14)

とらや一同&社長のTV出演(2005,12,13)

不思議なとらやの2階部屋(2005,12,12)

たった一度の寅の宿泊(2005,12,11)

さくらの一言に泣いたおいちゃん(2005,12,10)

郷愁の谷村昌彦さん(2005,12、9)

寅の葬式好き(2005,12,8

ああ、魅惑の笹野高史(2005,12,7)

寅のカメレオン的豹変(2005,12,6)

寅のとらや一日(2005、12、5)

寅のとらや構造改(2005、12、4)

さくらの失言 博の失言(2005,12,3)

ああ、源ちゃんの悲劇!(2005、12、2)

2度のとらや大爆発
(2005、12、1)




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48



                          
『寅次郎な日々』バックナンバー






大晦日の夜のとらや          2005年12月31日 「寅次郎な日々」その48



寅は年の暮れにいつも柴又を出て行ってしまうので、当然寅は正月を一度もとらやで過ごしていない。

それゆえか、このシリーズではとらやの寅のいない大晦日を表現しようとしなかった。

ただ、一度だけ例外があって、第3作「フーテンの寅」でみんなで除夜の鐘を聞きながら
年越しそばを食べ、除夜の鐘が鳴り、年が明けて、おもむろに新年の挨拶をする場面がある。

そしてやっぱりそばを食べながらも寅のことを心配するのである…。


そのあとは例の如く、寅がテレビに映って、番組を滅茶苦茶にしてしまって。とほほとなるのだが(^^;)




では、その場面をちょろちょろっと再現してみよう。




御前様が除夜の鐘を撞くためにお祈りをしている。


          





みんなで年越しそばを食べようとしている。
向こうには源ちゃんと店員の女の子もいる。



         







テレビを見ながら年越しそばを食べるとらやの人たちとお駒さん夫婦。

テレビでは
銀座の時計台が映し出され今正に1969年が終わろうとしていた。



アナウンサーの声

1969年よ、さようなら…。

ゴ〜〜ン!!!

明けましておめでとうございます。

輝かしい希望に満ちた1970年がやって参りました



1970年か…そういう時代だったんだねえ( ̄ー ̄)


          





新年の挨拶がはじまる。


おいちゃん、ハチマキを取って、

おいちゃん「じゃあなんだよ…、とりあえず、おめでとうございます」

一同「おめでとうございます」

おいちゃん「本年も、ひとつよろしくどうぞ」

一同「よろしくおねがいします」

ゴ〜〜〜ン!!



          



そして…寅の心配をするみんな

博「今ごろは…吹きっさらしの駅のホームかなんかで…」
おいちゃん「そうだな…バカだねえ…あいつは…」



          






そのあと霧島神社で寅が映って、滅茶苦茶で…チャンチャン(^^;)


          

     




みなさん、どうかよいお年を…






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47



                          
『寅次郎な日々』バックナンバー            






  
さくらから博への愛の告白             12月30日 「寅次郎な日々」その47





第1作の中で、さくらは博の愛の告白を受けたあと、たった1時間で結婚を決意し、寅に報告する。

その直前の博のさくらへの愛の告白シーンはとても力強く、見ている私たちの琴線に熱く触れるものがあった。
前田吟さんの演技は絶品だった。このシリーズで最も光っている前田さんだったと言い切ってもいいだろう。



               




しかし、さくらがそれに応えるシーンははっきりとは映らない。

それは、博が、その告白の後、すぐ工場を辞めて柴又駅から出て行こうとするからである。これについては
いろいろややこしいのだが、そのことはまた
正月元旦頃にアップする第1作大幅加筆改訂版
ご高覧いただくとしてここではさくらのことに絞ろう。

さくらは博を追いかけ柴又駅まで走りに走り、ギリギリで博に追いつく。そしてなんと一緒に電車に乗ってしまう。
それゆえ、電車の中で二人がどのような会話をしたかは全く分からない。
しかし、実はさくらは博に追いついたプラットホームで博に自分の気持ちを伝えているのである。


しかし、それは言葉によってではない。

その表情によってである。



さくらのあの時の博を見つめる表情こそが彼女の博に対する愛の告白だったのではないか…、と
そう思えるのである。

そしてこのシリーズの中でさくらの表情がもっとも美しく光り輝く瞬間が、このプラットホームでのさくらの
表情だったのではないかとも思っているのだ。

下にあのシーンを再現してみよう。





柴又駅 プラットホーム




さくら「博さん!


さくらの声に振り向く博



                   





さくら、改札を鎖を取って開け、走って来る



                   






呆然とさくらを見つめる博



                    






博の目の前に立って博を見つめるさくら。

走ってきたので顔が緊張し、息がまだ荒い。




                     





信じられない顔でさくらを見つめる博



                     







さくらは、何も言わず博を見つめている。

そして、スッと表情が変わるのである。


なんともいえない優しい表情で微笑んで博を見つめる。


この表情から、大きな歴史の幕が開けられたのだ。


この長い物語はさくらのこの微笑みから始まった。



このシリーズの中でさくらの最も重要かつ鮮やかな表情があるのがこのシーンである。

倍賞千恵子さん一世一代の歴史的な微笑みだ。



さくらは自分が博を好きだったことを正にこの時確信したのだ。
      
     
                     
                     










そして博の早とちりにちょっとすねる表情のさくら。

この微妙な表情にもさくらのメッセージが込められてもいる。


バカね…』というニュアンス。これもある意味愛情表現なのだろう。


                     
      






ピーッ!!

と笛が鳴りドアが閉まる合図







驚き、あせるさくら


                  



困りながら、博と自分が電車に乗る事を一瞬で選択



さくら「ねぇ」


博「う…」


さくらは止める間も無いのでふたりで思わず電車に乗る。



                  



さくらのダイナミックな行動が光る彼らの美しい青春の一シーンだった。
たったひとつの表情にかけた山田監督と倍賞千恵子さんの見事な想像力と集中力だった。

私はあの表情を生涯忘れる事はないだろう。




正月元旦頃に第1作「男はつらいよ」大幅加筆改訂版をアップの予定です。



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46



                          
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あなどれない工場の中村君  
 笠井一彦さん    12月29日 「寅次郎な日々」その46


このシリーズの役での登場回数を数えてみたらメインの人たちは置いておいて、それ以外の同一役名としては、
タコ社長が皆勤全作品登場である、と、この前書いたが、それ以外では源ちゃんが自動車事故を起してしまった第8作を
除いて47作品に登場している。その次が第45作が最後の出演となった御前様で45作品に登場している。
しかし、その次当たりがなんと工場の中村君なのを知っているだろうか。第15作「寅次郎相合い傘」から最後の第48作
「寅次郎紅の花」まで中村君役で出ずっぱりだった。彼の真面目さはこのシリーズの大事な隠し味だったのだ。

この34作品登場記録を持つ工場の中村君こと笠井一彦さんは、「男はつらいよ」の中では地味な存在だが、
時には華々しいこともある。それは第23作「翔んでる寅次郎」で川千家において大安吉日に古沢規子さんと
結婚式と披露宴を挙げたことだ。みんなに祝福され胴上げまでされて、ハートマークを落書きされたいすず自動車で新婚旅行に
旅立っていった。この第23作はなんといっても中村君の胴上げシーンから始まるのだ。



           
中村君は題経寺前で胴上げされていた
          



       
さくらをはじめみんなに拍手され晴れやかな中村君
         


          



彼は博の片腕として朝日印刷で長年頑張っている。

その工場の中村君こと笠井一彦さんは山田監督の映画にはかかせない人だ。
彼はこのシリーズ以外でもいつもとても大事な役で出演している。

ちょっとこの機会に思い出のシーンを紹介してみよう。




まず思い出すのは1975年の「同胞」だ。村の青年会の健一役だったが、実に味のある役で、
揉めに揉めた総会のなかで、彼の最後の発言が劇団公演を決定させたと言っても過言ではない。

「公演して成功すればもちろんいい。しかし、もし失敗して赤字を出したとしてもやらねえよりましだと
オレは思うな。ん…なんてったらいいか…、赤字をおっかながってやらねえということは、それでもう
失敗なんだ。だから失敗をおっかながってやらねえより、やって失敗した方がオレはいいな…。
百姓だっておんなじだ…」



         
 やって失敗した方がオレはいいな…          健一の発言に心底感動する河野秀子
              





その次に思い出すのは、1980年の「遥かなる山の呼び声」でのラスト、田島耕作を刑務所に
送る時に付き添っている刑事役である。あの網走行き急行大雪の中の感動のラストに立ち会っているのである。

民子が汽車に乗り込み黄色いハンカチを耕作に渡すあのラストにしっかり隣で映っている。あの映画は私にとって
忘れえぬ映画であり、日本映画史上でも出色のラストシーンだと思っている。
笠井さんもつくづくいいカットに出れたものだ。笠井さん自身もセリフも多く本当にいい味を出していた。




ハンカチ渡していいですか…






                





3番目に思い出すのが、1977年の「幸福の黄色いハンカチ」の検問での警官役である。
島勇作を無免許で捕まえ、警察署まで連れて行くのだが、実に寒そうだった。
あれも地味だが、とても緊迫した場面での印象深い迫真の演技だった。


                     免許証出して…
               



下の画像
署内でヘルメット持っているのが工場の中村君こと笠井一彦さん。
机で泣いているのがとらやのおばちゃんこと三崎千恵子さん。その向こうのメガネの警官が第18作で
別所温泉の警官「ナベさん」を演じた梅津栄さん。そのまた向こうがこの作品の「ナベさん」こと渥美清さん。
その隣が大空小百合ちゃんでお馴染みの岡本茉利さん。みんな寅さんファミリーだ。ちなみに革ジャン着て
立っているのが島勇作こと高倉健さん。


           

                    
ナベさんとナベさん
               




               
真ん中が笠井さん。このあたりはとても大事なシーンなのだ。

               







笠井一彦さんは12月28日生まれだから、昨日が誕生日だったんだな…。



シリーズ最後の第48作「紅の花」でもしっかり目立っていた。


                寅さんがリリーさんと、手に手をとって…
               


 



チャンチャン(^^)


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45



                          
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慈悲深い『よっちん』たち      12月28日 「寅次郎な日々」その45 


よっちんとオカベは満男の友達である
第42作「ぼくの伯父さん」で登場して以来度々ひどい裏切りに会い続けているのに
友人関係を続けてくれる超お人好しである。

裏切りのパターンとしては泉ちゃんがらみなのだが、泉ちゃんが事前に満男の家に
アポをとらないために、結果的にこの二人は毎回満男にひどい目に会うのだ。




まず、第42作「ぼくの伯父さん」では泉ちゃんが佐賀から別居しているお父さんに会いにやって
くるのだ。そうとは知らず下の画像のように満男の家に寄ってけよって呼ばれて、のこのこ上がろうと
するのだが、2階には案の定先客の泉ちゃんがすでに待っている。一同唖然…。

満男は、幼少期から寅の影響を著しく受けているので、完全に、マドンナ中心に行動し、オカベとよっちんは
1分も立たない間に玄関で追い払われてしまう。怒った二人は満男の部屋に石を投げて抗議するが
満男はまったくお構いなし。しかし、こんなのはまだ序の口。

ちなみにこの作品ではオカベとよっちんが名前と人物が逆で、このあとの第43作「寅次郎の休日」からは小柄な
古本新之輔さんの方がよっちんに定着した。

           
だれ?                     おまえなんか絶交だ〜!
          






第43作「寅次郎の休日」では、この作品だけで2回も痛烈に裏切られてしまう。


1回目。
独立して大学のそばのアパートに引っ越そうとする満男。
よっちんあたちも手伝って、レンタカーを借りて慣れない運転をして
3時間かかって八王子から柴又まで
ようやく引越しをしにやってきたのだが、例によって泉ちゃんのアポなし訪問があり、ハイさよなら(TT)
寅と違うところは、満男はちゃんとレンタカー代をよっちんに払うこと。ここがせめてもの救い。
この裏切りは普通の人間なら間違いなく絶交もの。


よっちんたち「もうおまえなんかとは付き合わないからな!」

満男「どうもありがと!」

よっちんたち「バカヤロ〜!てめえなんかとは絶交だぁ〜!!」


                 
3時間…
          




2回目。
そんなことがあっても慈悲深いよっちんたちはまだ満男となぜか付き合っている。
今回もヨッチンの家で新年会をしようとしたが、また例の如く泉ちゃんの必殺アポなし来訪で
満男が狂喜乱舞し、新年会のことなどどこ吹く風で、おまけにオカベの自転車をぶんどって乗っていってしまうと
いう凄まじい暴挙にでる。まさしくこのへんは寅そのものだ。マドンナが来たとなると、世界を全て敵に回しても
彼女の元に吹っ飛んでいくのだ。自転車を勝手に使うところなどはあまりにも惨い仕打ち(^^;)
オカベとよっちんは普通ならもうこのへんでいよいよ満男のことを一生絶好にしてもいいくらいだ。


           

                    あ!オレの自転車…
           





第44作「寅次郎の告白」


満男には彼ら以外にもランドクルーザーを持っている「ナベ」と呼ばれる友達もいる。
これも、泉ちゃんとの用事があるので遊びの誘いを断ったりしている。



で、この44作でも、最後はまたもや下の画像のように泉ちゃんのアポなし正月訪問の攻撃により
オカベ(今回はナベかも?)とよっちんは撃沈されました(TT)

キーワードは、満男は今から出かけるはずだったのに、マドンナには「今帰ってきたところなんだよ〜」これは寅と一緒(^^)



            
今帰ってきたとこなんだよ〜」  「よかった〜」
          

  


               
ア…                       さいなら、じゃな…
          








第45作「寅次郎の青春」


第42作、第43作、第44作での酷〜い仕打ちにも関わらず、よっちんたちはまだ満男を見捨てず、
慈悲深く付き合っているようだった。



よっちん「欧州経済史休講」


満男「うっそおお〜〜〜、またかよ〜!」


岡部「ごくろうさん」


                  

依然として仲がいい(^^)







第46作「寅次郎の縁談」では、就職活動にてこずる満男と面接会社の前でバッタリ会う。

よっちんは田舎の信用金庫にすでに内定が出ているとのこと。

ちなみにナベは田舎の町の中学校の先生に決まった。



満男だけ就職決まらず…。



いままでの数々の仕打ちの報いがここにドッときた感じだな…(−−)




           



まあ、一難去って、正月。


           



よっちんたちと正月遊びに行こうとした満男。

例の如く美しい葉子さんがアポ無しで来訪したのでまたもや、お土産だけ渡されて
追い返されるよっちんとオカベ…

葉子「満男君も働いたら?」
満男「ハイ!そのつもりで来たんです!」

で、よっちんたちはまたもや、ハイ、さよならぁ〜〜(TT)


           
  はい、これ、お年玉です。今込んでますのでまた〜
           



ここまで踏んだり蹴ったりされても、まだ満男と付き合ってくれているよっちんたち。
なんて慈悲深いんだろう…。これはもう人間業ではない。
おそらく彼らは仏さんの生まれ変わりに違いない。生き仏…ナムナム…




チャンチャン(^^)


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44



『寅次郎な日々』バックナンバー          







泉ちゃんと満男の不思議       12月27日 「寅次郎な日々」その44 


 
第42作「ぼくの伯父さん」によると泉ちゃんは満男の高校の下級生である。
満男が3年生のとき、彼女は1年生だった。


そのあと満男は卒業はしたものの浪人生となる。泉ちゃんは両親の事情で
名古屋へ戻るが、母親と上手く行かず、佐賀の叔母さんを頼って転校する。
この時点で泉ちゃんは当然新2年生である。そして秋に佐賀にバイクで会いに行くのである。



    



第43作「寅次郎の休日」でようやく満男は大学へ入る。
つまりこの時点で泉ちゃんはおそらく当然ながら3年生である。



                


しかしなぜかそのまた翌年の第44作「寅次郎の告白」で就職活動のために東京に上京するのである。
高校の音楽の先生の紹介で楽器屋に勤めようとするのだが、この時点でなぜかまだ高校生なのである。
泉ちゃんが言うように、高校を何度も転校してはいるが留年したとは思えない。満男も泉ちゃんは成績が
いいと言っていたし…。いったいどうなっているのだろうか??

この上京時、浪人中の満男が佐賀に住んでいた泉ちゃんを訪ねて行った時の話がとらやの茶の間で出るが、
おいちゃんが「いつの話だ?」と聞いたら満男が「おととしの秋だよ」と応えていたので、
やはり4年間高校へ行ったことになる。その直後、さくらは泉ちゃんにこう言うのだ。


さくら「あの時泉ちゃんは高校1年生だったでしょう」
泉「うん」
さくら「それがもう就職だもんね」


                




ということは、さくらの発言が正しいとするならばおととしの秋、満男が佐賀に行った時点で
泉ちゃんはもう一度高校1年生を繰り返していることになる。
しかし、就職が上手くいかない時に泉ちゃんは満男に自分の3つのハンデを伝える。

@高校を3回も変えた(東京→佐賀→名古屋)
A両親は離婚
B母親はバーの雇われマダム

この中に高校1年留年が入っていない。

つまり、これは満男が結果的に
小学校に8年間行ったように、泉ちゃんも映画的に4年間高校に
行っただけなのかもしれない。つまり映画の設定としては3年間しか高校に行っていないというお約束なのだろう。

寅はいつまでたっても40過ぎの独身と言う設定だが、これと一緒のパターンだ。

このあと満男と泉ちゃんは第45作「寅次郎の青春」で事情があり東京駅で別れることになるが、会おうと思えば
いつでも会えるのである。それが証拠に第48作「寅次郎紅の花」のラスト付近で泉ちゃんが「明日は休みだからフリーよ。
どうする?東京行こうか?」って満男に電話でしゃべっている。もしそんなに簡単に東京に行く事ができるのであれば、
なぜ母親が元気になったと思われる第46作「寅次郎の縁談」、第47作「拝啓車寅次郎様」でそうしなかったのであろうか?
事情があって離れてしまっただけなのでまだお互い十分に好きなはずである。

結局これらもすべて映画的飛躍なのであろう。つまり満男も泉ちゃんも結局は寅と同じ、1話完結方式なのだ。
しかし寅はともかく、満男や泉ちゃんに関しては全くの1話完結でもいない。やはり彼らをとりまく時間はリアリティをもって
経過し、満男は1話ごとに成長していくし、微妙に物語も繋がりを残し、残像を引きずっていく。これがやっかいなのだ。
この微妙なバランスが観客には実に楽しくもあるが、逆に不安にも不可思議にもさせるのであろう。

例えば、第46作「寅次郎の縁談」や第47作「拝啓車寅次郎様」で満男がまるで泉ちゃんのことが何もないように新しい
女性と知り合い、交際をしようとするが、山田監督の頭にはもちろん「泉ちゃん」はその時はハナからいないのである。ということは
満男の頭にも泉ちゃんの記憶はない。はっきり言えば第46作も第47作もハナから泉ちゃんはこの世に存在しないと言う前提で
成り立っている。これは寅の恋愛と同じだ。ただ、寅の場合は一応過去のマドンナの回想が物語の中でも時々出てくる
ので、全くこの世に他のマドンナが存在しなかったと言うわけではないだろう。

しかし満男の場合は、もっとリアリティを持たせて時間と共に成長を描いているにもかかわらず、第46作「寅次郎の縁談」や
第47作「拝啓車寅次郎様」
では第45作「寅次郎の青春」までの泉ちゃんが存在しなかったと考えるしかないのである。

同じ理由で、第48作「寅次郎紅の花」でもその前の作品の菜穂ちゃんが全く存在しなかったと割り切るしかないのである。
この割り切りは思い入れを込めて満男の成長を見てきた人たちにすれば頭を切り替えなくてはならないかなりつらい作業だ。
意識が分裂してしまう。ある部分は現実の時空で連続させ、ある部分だけ異空間的に切断しなくてはならないのだから。

それなら、いっそうのこと、寅のようにずっと切断され続けて「さざえさん的空間」でキッパリ遊べたほうが頭はスッキリする。
(もちろん例外として「リリー」という存在がいるにはいるが)

ともあれ、第48作「寅次郎紅の花」で泉ちゃんはこの山田監督の物語の世界に黄泉の世界から再び舞い戻ってくる。
きっかけはさくらの下の発言からである。

さくらが突然博にこう言う。

さくら「結局…泉ちゃんのことが好きなんじゃない?」
 博「今でもか?」
さくら「言ってみれば初恋の人でしょ、その人のことがどうしても忘れられないのよ」


第47作「拝啓車寅次郎様」のラストを見る限り、さくらも博も正月に菜穂ちゃんと自宅で会って長い間話をしているはずである。
それでも山田監督はさくらに上のように言わせるのである。
つまり、その時は当然第47作の菜穂ちゃんは、さくらや博、なによりも満男の記憶にはハナから全く存在しないのである。

アア…菜穂ちゃんよどこへいった(TT)


                     
菜穂ちゃんは正月に満男の家にやってくる
                  




私はこれらの満男をとりまく人間関係の不具合に長い間悩まされてきた。近年、ようやく全てを超越して、受け入れられるように
なってきた。なかなか山田洋次の世界と言うのは一筋縄ではいかないのである。

ちなみに、どうして泉ちゃんにしろ、菜穂ちゃんにしろ、全く事前に電話で連絡しないで家まで来てしまうのだろうか?
全く考えられない無謀さ…。もし満男が用事で出かけていたらどうする気なんだろうか…。ま、実際に電話連絡してから
来たら、映画としての勢いや面白みに欠けるのは当たり前。これも映画の上でのお約束でしょうか(^^;)



明日はそのアポなし訪問のお陰で数々の悲劇に見舞われた満男の友人の『よっちん』たちの話をちょろちょろっとしようかな…


チャンチャン(^^)


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43



                          
『寅次郎な日々』バックナンバー            








タコVS寅 因縁の対決 第4ラウンド(最終ラウンド)    12月26日 「寅次郎な日々」その43 
 

タコ社長と寅の喧嘩は「男はつらいよ」のある意味メインだ。いつもワクワクして来るぞ来るぞと待っている。
今回はこの喧嘩を中心に二人の対決、トラブルをちょろちょろっと巡っていきましょう。

というわけで今日はその最終第4ラウンド。

第3ラウンドと比べて社長と寅との強烈な喧嘩の絡みは30作台以降減っていった。しかし時々出てくる
バカバカしい喧嘩に、来た来たと狂喜したものだ。


(昨日の追加分)
第20作「寅次郎頑張れ!」での喧嘩の結末。物干しに干されるタコ。もうほん〜とうにバカバカしい(^^)


             






第28作「寅次郎紙風船」ではタコ社長だけとらやの話し合いの仲間外れになる。

社長「どうせ、オレは他人だからな!」


             

かと思えば、第32作「口笛を吹く寅次郎」では寅は、将来のことで社長も一緒に聞いて欲しいと、
社長をわざわざ呼んできたりもしている。ケースバイケース、寅の気分しだいで身内になったり他人になったり…。






第30作「花も嵐も寅次郎」では前の江戸屋の桃枝をめぐってタコ社長に勘ぐられ寅。

社長「
冗談か?冗談じゃないだろ?本気で惚れてたんだろ?さすが見抜いてるね〜
寅「タコ!てめえなんだ!人の家のことに口出ししやがって!」               



             





第31作「旅と女と寅次郎」ではキツイことを言う社長

社長「たとえ零細企業でもオレは社長だぞ、おまえはなんだ。
文無しのフーテンじゃないか!!」
で、キレてしまった寅。またまた押し倒して
首を絞め、いたぶっていた。   


               





第34作「寅次郎真実一路」では人妻に恋をしたことを見破ってしまったタコ社長に、毒舌を吐く寅。

寅「
スルメみたいなカカア、ぺッチャンコで粉ふいていて、
 焼くとくるくるっとまるまっちゃう、


社長「あれでもな!オレのことを愛してるんだよ!」

寅「みなさん、聞きました?え?
タコがスルメを愛している、大笑い、ハハハ!

社長「
そら悔しいだろう!女房持てない奴にはな〜!



            





第35作「寅次郎恋愛塾」
寅「
だってさ、おまえとオレが一緒になったら
この
タコのことをお父さんと言わなきゃいけないんだろ〜
オレ、それイヤ。死んでもイヤ、ハハハ

社長キレて。
寅「なにしやがんだこのやろー!」
社長「オレはな、こう見えても経営者のはしくれなんだぞ!
おまえみたいな遊び人を息子と呼べるか!冗談じゃねえ!」
 

            





第36作「柴又より愛をこめて」では超珍しく、社長は寅に深々と頭を下げて
神に誓って二度と寅さんの悪口は言わないよ…」と神妙にしていた。
それもそのはず、行方不明のあけみを寅が下田へ探しに行くというのだ。
あ〜、これでタコ社長の寅への悪口が聞けなくなるのかと思いきや…
そのすぐ次の第37作「幸福の青い鳥」でその誓いが簡単に破られる。


                     神に誓って…
             





第37作「幸福の青い鳥」

余剰人員の話が出て、おいちゃんが
「ウチにも余剰人員がいるんじゃねえのか?
ブラブラして働かない奴

寅「
みっともないんだよね、怠けもんで。……!オレじゃねえか!

社長、高笑いをして

社長「
生まれた時から余剰人員じゃないのか?ハハハ!!

寅、怒って

寅「
タコ!このやろう!てめえはてめえの足でも食ってろ!

と頭に丸めた紙をパコーン!!


喧嘩が始まる二人。

おろおろする美保。自分がきっかけで喧嘩してしまったと、戸惑う。

そこで満男が冷静に

満男「
平気平気、しょっちゅうなんだよさすが満男、見切っている(^^;)

                 
     パコーン
             




しかし…
これ以降の作品であまり大きな喧嘩はしなくなっていくのが少し淋しい。渥美さんの体調や太宰さんの
体調などを考えてのことなのかもしれない。




しかし、第45作でちょっと喧嘩復活(^^)/





第45作「寅次郎の青春」

もう何作も激しい喧嘩のやり取りがないので、諦めかけていたところ
第45作では久しぶりに、タコ社長が野菜を投げたり、大立ち回りをしたり、なかなか二人とも頑張っていた(^^;)

博「
お言葉を返すようですけどね、兄さん、失恋をして成長するんなら、
兄さんは今ごろ博士か大臣になっているんじゃないですか


社長「ハハハ!上手い上手い!」

あとは下の通り、松葉杖なんかを振り回したりして、暴れまくり。こうでなくっちゃね。


                





第47作「拝啓車寅次郎様」で、見事なバイの腕をみんなに披露したあと、タコ社長はいらぬ事を言う。

社長「なあ、寅さん」

寅「ハイヨ!」

社長「どうしてあの手で女を口説かなかったんだい?あれほど上手くやればね、惚れた女の
ひとりやふたりはひっかかったと思うよ。ついのせられちゃって、いいわよ、なんて言っちゃったりしてな」


寅「
このタコ!日干しにしてやる!」と両耳を持って引っ張る。上手い!(^^)


           



そして…

最後の作品第48作「寅次郎紅の花」でも、奄美からリリーに付き添われてとらやに帰ってきた寅を見て

社長「
いいタマだねえ〜寅は

2階に行こうとした寅、すぐ戻ってきて


寅「
タマがどうした


このやり取りがこの長いシリーズの最後の口喧嘩だった(TT)

                
タマがどうした?
            




この作品の翌年(97年)に渥美さんが亡くなり、…


その翌年(98年)に太宰さんも静かに亡くなられた。




          
今日は太宰久雄さんの誕生日

太宰久雄さんは大正12年の今日、12月26日に浅草の海苔問屋の息子として生まれた。
タコ社長役で見られた髪型は、当時の浅草の海苔問屋の商人たちの間で流行っていた髪形で
あると何かに書いてあった。

渥美さんがなくなった翌年1998年に、胃がんのため死去。享年74歳。
葬儀・告別式は故人の遺志で行わなかった。
胃がん宣告後の97年2月、夫人に「葬式無用。弔問供物辞すること。生者は死者のために
煩わさるべからず」との自筆遺言を残していたということである。


「体調が悪いことはかなり前から知っていました。何度も俳優を引退したいと申し出られたのを、
引き留め、引き留め、「男はつらいよ」シリーズ48作まで頑張ってもらいました。
渥美清さんが亡くなってからはだれにも会おうとせず、見舞いも厳しく断っておられました。
どのような思いで死を迎えられたのかを想像し、粛然と襟を正す思いです」

この山田監督の言葉は心底心に沁みた。


            

タコ社長よ永遠なれ…( ̄  ̄)


チャンチャン

(昨日から本日まで多忙のため更新が遅れました)


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タコVS寅 因縁の対決 第3ラウンド   12月25日 「寅次郎な日々」その42


タコ社長と寅の喧嘩は「男はつらいよ」のある意味メインだ。いつもワクワクして来るぞ来るぞと待っている。
今回はこの喧嘩を中心に二人の対決、トラブルをちょろちょろっと巡っていきましょう。

というわけで今日はクリスマスの第3ラウンド。



このあたりの作品の社長は本当に悲惨だ(TT)
イタリア製ワイン、1万円札、ぶどう、と次々にぶっかけられるタコ社長、大いなる悲しみの第3ラウンドである。





第21作 「寅次郎わが道を行く」では寅のとらや改造計画を批判したタコ社長に向かって
寅がキツイことを言う。


「そうか、おまえさんは立派な経営者だよ!夕飯時にのこのこ他人の家に来やがって、乞食みたいに
余りもんもらってぺちゃぺちゃぺちゃぺちゃ食いやがって、てめえみたいな立派な経営者に使われてな、
博たちは幸せもんだ!」
社長「表でろ!」
「やってやろうじゃないかコノヤロ!」

いいか!寅、てめえなんかにな、
中小企業の経営者の苦労がわかってたまるか!
寅「コノ面が苦労しているツラか!フーセンみたいにブクブクブクブクしやがって」


            
           アイタタタタタ…
                 




そして奈々子にいつふられるかをワクワク楽しみに待つ社長。

おいちゃん「寅はな、おまえの楽しみのために惚れたり振られたりしてるんじゃねえんだぞ」
社長「楽しんじゃいないよ」
博「楽しんでますよ」
おいちゃん「楽しんでる顔だよ、それは」
おばちゃん「なにが逆転よ!」


このやりとりは実に面白かった(^^)






第22作「噂の寅次郎」ではタコ社長が行方不明になり、一同心配するが、
寅は例の如く、自殺したと思い込み、葬式の段取りまで細かく考えてしまう(^^;)
そこへ一杯やって女の子と遊んで機嫌よく帰ってきた社長と大喧嘩

社長「女の子の手を握ろうと握るまいとテメエの指図なんか受けるかい!」


                     
まず首を絞めて(^^;)
               



                  
やるかあ〜!!っと外に連れ出す
               






第23作「翔んでる寅次郎」では、工員(中村君)の結婚式をバカにした寅がタコ社長に

「ほー、よく言いますね。
人並みに愛せるほどの給料出しているんですか

社長「く…博さん、…こんなこと言ってるぞ…くそ!」

寅のキツ〜イ一言でした(−−;)

                        
…くそ!
                




満男のこわ〜い真実を暴いた作文を読む寅。

おかあさんが時々悲しい顔をする時がある。それはおじさんが帰ってきた時だ。
おじさんの名前は寅さんと言って、おかあさんのたったひとりのお兄さんだけど、恋愛ばかりして
そのたんびに振られてばかりいるからいまでもお嫁さんがいない…。近所の人が悪口を言うと
お母さんはとても悲しそうな顔をする。僕は、おじさんが、早くお嫁さんをもらっておかあさんを安心させて
ほしいと思っている


社長「
子供でもちゃんと見てるんだねえ〜

寅「この
赤い字は誰が書いたの?」
とてもよく書けました。ほんとうにこまったおじさんね』…先生です…。

寅「
満男はこの家の恥をさらけ出してるんだぞ!
さくら、お前それで平気か!
恥だよ!絶対なる恥!

おいちゃん「
そのとおりだ、おまえはとらやのは恥だ…

ふたりで「
はあぁ〜〜… やれやれ…┐(-。ー;)┌

社長「
ハハハ!ハハハ!ご本人がそう言ってりゃ世話ねえや、ハハハ!バカだねえ

寅、キレて
イタリア製のワインを頭からドバアっとぶっかけ!
ひええぇぇ〜〜〜監督ゥ…( ̄▽ ̄;)

寅「
イタリアのワインでシャンプーしてやる!中小企業の恥さらしが!

さくら「
お兄ちゃんやめてちょうだい!これじゃ本当の恥さらしよ!


                      
ジョボジョボジョボ…
                



結婚式場から逃げ出してきたひとみちゃんに気を使って、
タコ社長を「当分とらやに出入り差し止め」と宣言し、ほうきで追っ払う

寅「おめえのデリカシーのないツラはな、深ぁ〜い悲しみに浸っている娘さんには似合わない!
出てけよ!出てけ!」とほうきで追い払う


                     
     わわわ…
                 





第24作「寅次郎春の夢」では

虎が檻から逃げたことで、
社長「
このウチにも一匹いたな、飛び切り獰猛な奴が…ククク、ハハハ


 ぶどうを思いっきり顔中に塗りたくられて、プハプハ 
ええ〜〜〜(@@;)

第23作のワインといい第24作のぶどうといい、ここの所社長は『ぶどう』関係が凶


             
             タコ!てめえ!
                 
                




第26作 「寅次郎かもめ歌」では


さくらたちの建売住宅への引越し祝いで寅が2万円も出してしまったから
受け取る受け取らないで揉めに揉めて、結局社長が祝儀に釣を出すことに。

社長「寅さんの1万円札か、まさか偽札ではないだろうなー、あっ、あったあったスカシがあった!ホンモンだよこれ、
ハハハハハハ!」

そんなに金が欲しかったら
食っちゃえ食っちゃえくちゃえ!てめえ!


と、1万円札を口に入れてしまう荒技 
びええええ〜〜〜〜
((> <;))

                         
グワワ…
                 

     




第27作「浪花の恋の寅次郎」では夢でタコがタコのまんま出てきて、寅がそれをとらやで回想。

寅「裏の工場は潰れちゃったのか?って言ったらさ、その目からポロポロポロポロ
涙流しちゃってさ、真っ黒な墨パーッとふっかけやがんだ、ハハハ!おまえほんとうに
裏の工場潰れちゃったんじゃないのか、ハハハ」

ほんとうに工場の経営が危ない社長は怒る。

寅に押されて花売りのおばさんにぶち当たって、寅につっかかってくる社長。

                   
  オレの苦労も知らないで!ダダダ
                 




それで、夜になって江戸川に身を投げたと思い込んだ寅は社長の安否を気にして探しまくる寅。
しかし社長は酒を飲んで浮ついていた。「金策がうまくいって、オレもてちゃってさ、フフフ…」よって、下のように(^^;)    

                       
アイタ!イテテテテ!
                 




ああ…太宰さん可哀想…あんまりだ…。この数々の過激な仕打ち。
山田監督って…いったい…(TT)


でも、明日もちょろちょろっと、タコVS寅第4ラウンドを紹介しましょう(^^;)ゞ




チャンチャン(^^)


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タコVS寅 因縁の対決 第2ラウンド   12月24日 「寅次郎な日々」その41


タコ社長と寅の喧嘩は「男はつらいよ」のある意味メインだ。いつもワクワクして来るぞ来るぞと待っている。
今回はこの喧嘩を中心に二人の対決、トラブルをちょろちょろっと巡っていきましょう。

というわけで今日は第2ラウンド。




第10作 「寅次郎夢枕」では伝説の
白菜脳天ぶつけがある。

「この野郎税金納めるのは国民の義務でしょ。えっ!催促されねえうちにズーっと払え!このバカ!」
社長「悔しかったらなあ、いっぺんくらい払ってみろ!」
寅「コノヤロー、向こうからいっぺんでも下さいって来たか!?」
社長「非国民!」
寅「この野郎!!白菜くらいやがれ!!!」


            






第12作 「私の寅さん」では実によく喧嘩し協力もする。


寅「タコで上等すぎるよ!他になんとお呼びしますか!?」
社長「そんなことない…」
寅「なんだおめえ、他人のうちにずうずうしく入り込みやがってなんだよ!
帰れタコ、帰れってんだよ!帰れ!」っと追い出す。


            



りつ子のことで機嫌の悪い寅。キツイ一言!

寅「
死ねタコ クソして寝ろい!」(^^;)


               


極めつけは恋の病で臥せっている寅にりつ子が見舞いに来て、
タコ社長の不用意な発言に寅は布団を飛び出して物凄いスピードで
下りて来て庭で怒り狂う。


社長「あや!ごめんなさい!堪忍してくらはい!!
誰か!イチチチ!」
寅「ノワッチ!!」
寅「チキショウ!殺してやる!」
社長「助けて!助けてくれ〜!!」


もう、誰も止められません…(TT)


             


まあしかし、九州旅行の留守番ではなんだかんだと一緒にタッグを組んで協力し合って、昼ごはんを作って
さくらたちを迎える。仲のいいところも見せてはいたのはご承知の通り。






第14作 「寅次郎子守唄」では寅にいきなり赤ちゃんを無理やり押し付けられたり、


社長「お〜、よしよしよし!(おろおろ)
お〜、よちよち、バア〜!ハハ…。
あ〜、タコちゃんよパァ!」


                     あ〜、タコちゃんよ!
             



「まだ木曜日」「もう木曜日」で大喧嘩。くだらねえ〜(^^)


社長「まだ木曜日とはなんだよお前にな一度でいいから俺の苦労を味あわせてやりたいよ」
社長「お前なんかにな中小企業の社長の苦労がわかってたまるか!」
寅「面白え!やってやろうってのか!よし!
オレは隙持て余してんだこの野郎、裏へ出ろ!!」
社長「クッソオ!チキショウ!」
寅「よおしプッ!勝負してやろうじゃねえか来いタコ!」
社長「おのれ!この野郎!」

あとはもう滅茶苦茶…殴る蹴る、これまた大乱闘。


             






第15作 「寅次郎相合い傘」では、逆にタコ社長のキツ〜イ一言。

社長「寅さんはリリーさんの…つまり…
ヒモだって!…」

おいちゃん、立ち上がって「この!」

さくら、呆然…(TT)

                    ヒモだって! 
             






第17作 「寅次郎夕焼け小焼け」では2回も寅にやられてしまう。


その@
社長「でもさ、例えば先生が『諏訪満男さん、あら総理大臣の甥御さん?』こう言って
   誰かが笑うか?笑わねえだろ?ところが、『あら、あなた寅さんの甥御さん?』こう言うとさ、
   みんなつい、笑っちゃうんだよ!カハハハハ!!」


寅「アハハハ…!!」


社長「いや、笑われる方が悪いよな」

寅「そうそう、悪い悪いこの野郎!」

と、墨で顔に落書き。   
あああ…

                     
太宰さん…(TT)
              


そのA
青観のらくがきを引きちぎってしまって、大喧嘩。

社長「馬鹿にしやがって工場を売ってでも払ってやるよ!」

寅、タコ社長の顔をぐっと両手で挟んで、
寅「工場?どこにあんだい?あれが工場か?よく見ろお前、あれが七万円で売れるのか!
ただでもらったっていらねえやい!!この野郎!」  
ひどい…(TT)


                    
あれが7万円で売れるのか!
              






第19作 「寅次郎と殿様」では、犬のトラに良かれと思って餌を与えに来たら間が悪かった…(TT)


社長「トラ!いるかい〜トラ、トラトラ〜魚の頭持ってきてやったぞ〜」
寅「テメエまでオレのことバカにしやがんだこのヤロウ!!」
社長「なにしやがんだよ!」 あとは
ナベの蓋でひたすら防御…。


              


ああ…書いていてもタコ社長がいかにず〜〜っと可哀想な目に会っているかがよく分かる…(TT)

で、明日もちょろちょろっと、タコVS寅第3ラウンドを紹介しましょう。




            

チャンチャン(^^)



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タコVS寅 因縁の対決 第1ラウンド    12月23日 「寅次郎な日々」その40



タコ社長と寅の喧嘩は「男はつらいよ」のある意味メインだ。いつもワクワクして来るぞ来るぞと待っている。
今回はこの喧嘩を中心に二人の対決、トラブルをちょろちょろっと巡っていきましょう。


まず第1作から、凄まじい口喧嘩がおこる。博が工場を出て行ってしまった時である。
「この野郎!てめえなんかにな、中小企業の経営者の苦労がわかって たまるかってっつうんだよ!」
という名言はこの時に出た言葉。シリーズ中この言葉を何度聞くことになるか。まあ、なんといってもこの頃はまだ、
口喧嘩程度で収まってはいる。第4作でもトラブルはあるが、かなりエスカレートしはじめるのは第5作当たりから。

              
   てめえなんかにな…
           




第4作「新男はつらいよ」では、春子先生がらみの問題で、工員たちも交えて、大騒ぎ。タコ社長も寅に首根っこを掴まれて
あわや大乱闘か…、というところで、春子先生のレフリーストップがかかる。


           



第5作「望郷篇」では、寅が失恋したとも知らず、「上手くやってるらしいな浦安のあたりで、ヒヒヒ、この色男、ヒヒヒ」と
茶化し、下の画像のように顔をわし掴みで押さえつけられる。フリッツ・フォン・エリックばりのアイアンクロー「鉄の爪」を
披露する寅(^^;)

              
  おっとでました、鉄の爪〜!
           




第6作の喧嘩も工員、芸者、おいちゃんたちを巻き込んだ凄いつかみ合い。このシリーズの喧嘩の中でも相当派手な
ものだった。この時は博が工場を辞める辞めないの時なので、タコ社長から必死で掴みかかり、意外に優勢だった。


            
     全員で大騒ぎ
         




第7作「奮闘篇」では花子のことで、スケベ心を出したと思われてポスターでカポーンと殴られている。

                 
   カポーン!
           





第9作「柴又慕情」では例の「あ〜あ、今日も彼女は来なかったか……!!!!」のあと、
庭で存分にいたぶられていた(^^;)

                   
「!!!」
           





第11作「忘れな草」ではピアノ騒動の発端を作っていた。「あー、びっくりした本物かと思ったよ」
このあとの茶の間での寅の毒舌の「修羅場」がある。本編をどうぞ見てください。

               
   あーびっくりした
           





今日の最後はこの第11作での寅とタコ社長とのミニギャグをご紹介しましょう(^^;)


寅「
君は労働者を管理しとるかね?管理しとるか?管理…

工場の水原君たちが江戸川の川原で盛り上がっていたことをからかって寅がタコ社長にちょっかいを
出すシーンがある。竿の先をチョンチョンとタコの鼻ッ先に突き刺す寅。
タコ社長のイヤそう〜な顔が
印象的。



           
      君は労働者を管理しとるかね…
           



このように社長の軽率でガサツな言動は、このシリーズのとても重要な薬味になっているのだ。

明日もちょろちょろっと、タコVS寅第2ラウンドを紹介しましょう。




            

チャンチャン(^^)




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『寅次郎な日々』バックナンバー  






タコ社長の奥深い懐 そのA   12月22日 「寅次郎な日々」その39


タコ社長ほど寅にバカにされ、いろんなものを投げられ、ぶつけられている人もいない。
あの界隈では源ちゃんか備後屋かタコ社長かっていうくらい可哀想な目にあっている。
また、彼自身も首をくくりたいとか工場を止めてしまいたいと常日頃から喚いている。
生涯借金に追いまくられ、税務署につつかれ、手形を落とすのに四苦八苦し、寅やあけみに
苛められる過酷な運命の渦の中にある人である。

タコ社長は、これを演じる太宰久雄さんの生涯のはまり役であり、この社長役は太宰さん以外絶対に
できないと断言してもいいくらい全作品を通してすばらしい哀愁と滑稽とが混ざり合った見事な存在感だった。
もちろん太宰さんは全作品皆勤賞だ。
全作品出演はとらやのメンバー(渥美さん、倍賞さん、前田さん、三崎さん)以外では唯一太宰さんだけである。
文字通りこのシリーズの『顔』である。

そしてタコ社長はああみえても、この長いシリーズの中で意外にもとらやの面々に多大な貢献をしているのだ。
このコーナーでもう一度いい意味でもダメな意味でも2回に分けて彼の隠された深い懐を解き明かしていきたい。



で、昨日はタコ社長の『いい意味』での懐の方を紹介したので、今日は逆に『ダメな方』を
少ぉしだけ紹介しよう。



@まず、まがりなりにも経営者のくせに凄まじく狭いところに住んでいる。とらやよりはるかに狭い。第6作「純情篇」を
見れば一目瞭然だ。また第33作でも、あけみの結婚衣裳の着付けをなんととらやの仏間でさせている。
理由は自分のうちは狭くてできないから、だそうだ。まったくいったいどんな家に住んでいるんだろう。



                 





A工場の経営方針が安定しない。初期の頃はずっと「共栄印刷KK」だったのに第5作から発作的に「朝日印刷KK」
に変えてしまう。そのあとも有限会社に変えたり、株式会社にもどしたり、従業員を増やしたり減らしたり、女姓従業員を
ほんのちょっとだけ雇ったり(第6作)、赤字の仕事を抱えてしまったり、工場経営がその場しのぎ的(第32作)で新しい
長期的な展望が見られないなのが気になるところだ。しかし、工場で一番必要のない余剰人員は誰かと考えたあげく実は
たいして仕事をしていない社長の自分だという結論に達するという隠された真実にも到達している。



               
  あんな工場叩き売って退職金にくれてやる〜〜!
                     




A意外にもタコ社長は女癖が悪い。第7作「奮闘篇」ではその昔、バーの女の子と恋仲になって奥さんを泣かしていたことを
おばちゃんがはっきり覚えていた。第29作「寅次郎あじさいの恋」ではダンスホールに通ったりもしていたことをバラしている。
第11作「寅次郎忘れな草」では「オレも一生に一度そんな熱烈な恋愛がしてみたいなあ。あんな工場なんかほっぽっちゃって、
好きな女と手に手をとってさ、世界の果てまで逃げ出してえなあ」なんて言葉まで吐いているから驚きだ。
寅に、そんな女いるの?って聞かれて、「そらあ、昔はいましたよ」なんてしゃあしゃあと応えていた。油断は出来ないスケベである(^^;)



                    往年のタンゴの舞いを披露する社長
                 





Bそんなタコ社長も肝心要の自分の結婚の時は、信じられないミスを犯している。見合いの時と違う相手が結婚式当日に
現れたのだ。見合いの時は妹が来て、当日はお姉さんが来た、ということだ。なにか仲人に借金していたので断れなかったという
すさまじくタコ的な理由で結婚を受け入れてしまう。とほほである。それにしてもそこまでして当時職工だったタコ社長と結婚したがる
お姉さんの人生を考えると、よくわからなくなる。人生は摩訶不思議だ。




他にもまだまだあるが、「ダメな方」もキリが無いのでこの辺でやめよう。タコ社長はみんなから「社長」と言われるだけの懐が深い人物では
あるが、実は半分からかいもはいった呼び名なのかもしれない(^^;)。


しかし!やはり社長がいなければ、博とさくらは出会えていないし、満男も当然生まれていない。さくらたちの建売購入もできない…。
第25作「寅次郎ハイビスカスの花」で沖縄まで飛行機を使えば2時間でいけることを助言したのもタコ社長だ。社長がいなければ
寅はリリーにあんなにはやく会いにはいけなかった。やっぱり社長は「社長」なのである。


せっかくタコ社長がらみの話が続いているので、明日から数日間はゆっくりと
寅とタコ社長の喧嘩を巡る旅でもしようかな…。
なんて今、ふらっと思っている。ま、明日、風にでも聞いてみるか(^^)

            

チャンチャン(^^)

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38



                          
『寅次郎な日々』バックナンバー            








タコ社長の奥深い懐 その@   12月21日 「寅次郎な日々」その38
    


タコ社長ほど寅にバカにされ、いろんなものを投げられ、塗りたくられ、ぶつけられている人もいない。
あの界隈では源ちゃんか備後屋かタコ社長かっていうくらい可哀想な目にあっている。
また、彼自身も首をくくりたいとか工場を止めてしまいたいと常日頃から喚いている。
生涯借金に追いまくられ、税務署につつかれ、手形を落とすのに四苦八苦し、寅やあけみに
苛められる過酷な運命の渦の中にある人である。

タコ社長は、これを演じる太宰久雄さんの生涯のはまり役であり、この社長役は太宰さん以外絶対に
できないと断言してもいいくらい全作品を通して哀愁と滑稽とが混ざり合った見事な存在感だった。
もちろん太宰さんは全作品皆勤だ。
全作品出演はとらやのメンバー(渥美さん、倍賞さん、前田さん、三崎さん)以外では唯一太宰さんだけである。
文字通りこのシリーズの『顔』である。

そしてタコ社長はああみえても、この長いシリーズの中で意外にもとらやの面々に多大な貢献をしているのだ。
このコーナーでもう一度いい意味でもダメな意味でも2回に分けて彼の隠された深い懐を解き明かしていきたい。



で、今日はタコ社長の『いい意味』での懐の方を紹介しよう。


@まず、タコ社長はグレて新宿で与太っていた諏訪博を立ち直らせた人だ。なかなかこれは凄い。
印刷の仕事を一から叩き込んで一人前の職人に仕込んだのだ。これはそうとうポイントが高い。

Aそしてタコ社長は博とさくらの仲人である。本番で遅れたりとちったりはしていたが、あの界隈の理想の
夫婦であり、誰からも尊敬されているあの博とさくらのともかくもれっきとした仲人なのだ。



                 



B第13作「寅次郎恋やつれ」で、寅は夢の中で結婚式をすることになるが、その時の仲人もタコ社長なのである。
寅も夢で社長に仲人をやってもらうくらい、心の中では一目を置いているのだろう。



C第9作「柴又慕情」では、家を建てたいという博とさくらのために、20坪とはいえ、土地を貸してやるのである。おそらく
ほとんど借地料はとらなかったのではないだろうか。結局は家の話は流れてしまったがこれも社長は相当の太っ腹だ。
これも、親子ならいざ知らず、他人はなかなかできない。ポイントは高い。




D第26作「寅次郎かもめ歌」では、アパートを出て、建売を買った博とさくらたちのローンの保証人になってやったりもした。
これもなかなか簡単な事ではない。人生や人間をきちんと見据えていなければできない思いっきりだ。これもポイントは高い。 


                  
 保証人の件では寅も頭を下げてお礼。
                 




Fまた同じ作品で、すみれちゃんのアルバイト先(セブンイレブン)を紹介してやり世話もしてやる。結構あの界隈では
顔がきくことがこういうことでもわかる。


                 




G私が感動したのは第17作「寅次郎夕焼け小焼け」でぼたんをかばって鬼頭と渡り合う社長の姿だ。結局は上手く
行かなかったが、知り合ってから間もないぼたんのためにあそこまで体を張ってくれる人はそうはいない。これもポイントは高い。


                 




Hまた、本人も努力家で、夜学に通いながら、「弁護士」をめざしたりしていた。(第21作) その夢はかなわなかったにせよ、
昭和21年に今の工場を奥さんと立ち上げて、経営者となったのだ。(第47作) これもなかなかできない事だ。


I寅のことでも実に親切だ。第3作「フーテンの寅」では見合いを紹介してやる。第21作「寅次郎わが道をゆく」でも見合い話を
すすめていこうとしている。第10作「寅次郎夢枕」でも寅の結婚相手を探すために奔走していた。第13作「寅次郎恋やつれ」では
山陰の温泉津までわざわざ一緒に出かけて、お絹さんに会いに行ったり、そのあと失恋した寅のお守りをして飲み明かし
たりしていた。これもなかなかできることではない。

特に山陰線の汽車の中で寅の代わりに駅弁代を3人分払ってやる仕草は社長としての貫禄たっぷりの名シーンだ。


                        
いくら?
                 



J第34作「寅次郎真実一路」では寅に5万円を貸して、鹿児島までの運賃を出してやっていた。取り立てる気はないようだった。
こういうことも血続きならともかく、知り合いだけではなかなかできないキップの良さだ。
 

                  
寅の借用書を笑いながらさくらに見せる社長
                 




K第42作「ぼくの伯父さん」でも博とさくらがお昼寿司を食べに行くといった時、菊寿司だったらオレの名前でツケといてくれ。と
言っていた。まあ、経費で落とすのだろうが、言い方のタイミングが堂にいっていてこういうのもなかなか貫禄である。

他にもまだまだあるが、きりが無いのでこの辺でやめるが、タコ社長はみんなから「社長」と言われるだけの懐が深い人物だと言うことが
これでお分かりいただけただろうか。

つまり社長がいなければ、博とさくらは出会えていないし、満男も当然生まれていない。さくらたちの建売購入もできない…ということだ。

ま、今日はちょっと持ち上げすぎたので、
明日は豊穣に兼ね備えている「ダメなところ」の一部もちょろちょろっと紹介してみよう(^^;)。



チャンチャン(^^)


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37



                          
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ゆかりちゃんの人生航路     12月20日 「寅次郎な日々」その37

                     
第31作「旅と女と寅次郎」から社長がお金も無いのになぜか雇った秘書がゆかりちゃんである。
彼女は正社員なので1年の出費は大変なものであるが、タコ社長はいったいどこから
その資金を捻出しているのであろうか。秘書が必要だとは思えないが…まあ、それはいいとして、


さて、ゆかりちゃんの小さな物語である。

ゆかりちゃんはもともと大阪で住んでいたらしい。その時運送会社で働く婚約者に急死されてしまって
落ち込んでいたらしい。


    
 「『お母さんみたいに懐かしい人や…』ってとっても会いたがっていました。

          




しかし、その後なんとか立ち直って、勤めを止めて女子大生となり、ネアカなキャラに
変貌し、友人たちと京都旅行へ行ったりもする。そこで加納作次郎の工房へも厚かましくも
お邪魔して記念撮影なんかしてすっかり立ち直っている。


         
      黄色い服がゆかりちゃん
          




その直後、どういういきさつがあったか知らないが、つぶれかかったような、地味な
未来の無いタコ社長の工場の秘書をすることになった。本人は楽しそうなのでOKだ。


        
      本人は楽しそうだ
        




しかしそれでは食べていけず、第34作「寅次郎真実一路」ではタコ社長に隠れて、
丸の内にあるスタンダード証券で相談係りもしていた。貯蓄をし、来るべき結婚に
備えていたのかもしれない(^^;)。


            
おいおい、タコ社長にバレルぞ…
          





第37作「幸福の青い鳥」ではそんなゆかりちゃんを好きになる同じ工場の工員俊男もいたが、
ゆかりちゃんには付き合っている彼がいるので、断ったらしい。その俊男との涙の別れもあった。


           
涙を潤ませて俊男を見送るゆかりちゃん
          




そして遂に第47作「拝啓車寅次郎様」で結婚が決まる。

博の家の新年会で博がみんなの前で告げるのである。

ゆかりちゃんの人生航路は今、内海から大洋の大海原に出港せんとしている。




めでたしめでたし



          





真実のマキノ佐代子さん↓(^^;)


実は上の物語はマキノ佐代子さん出演のゆかりちゃんとそれ以外の役を私が勝手に混ぜたものだ。

第27作「浪花の恋の寅次郎」では、おふみさんの弟の婚約者信子役を
演じていた。これはなかなかの好演だった。マキノ佐代子さん渾身の演技。
「お母さんみたいに懐かしい人や…って、とても会いたがっていました」はいいセリフだった。

第29作「寅次郎あじさいの恋」では、京都の加納作次郎の自宅へ訪問する
女子大生の役でキャピキャピしていた。

第34作「寅次郎真実一路」では、富永課長の勤めるスタンダード証券の
相談係の従業員佐藤仁美役で出演していた。このころはすでに工場で秘書をしているので
ちょっと驚いてしまったが、山田監督はこれくらいの荒技は平気でやってのける
ので、OKでしょう(^^)



ちなみにこのゆかりちゃんを演じているマキノ佐代子さんは
あの映画一族と知られるマキノ一族の家族の一員なのだ。



            

チャンチャン(^^)



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36



                          
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あけみの純情 そのB            12月19日 「寅次郎な日々」その36



経営に苦しむ父親に偽札造りを勧める娘、それがあけみである(^^;)



あけみは第38作『知床慕情』ではとらやで実によく働く。おいちゃんが入院してしまったからである。
こういう時のあけみは頼りになる。あけみは困っている人には優しいのだ。
跡取りの寅は全くダメ。全然働く気無し。この辺がギリギリであけみと寅の違い。あけみ偉い!




        



しかし、である。

やっぱりあけみだ。ただじゃすまない。
タコ社長と大喧嘩。



とらやに逃げてきたあけみ。


あけみ「
会社止めたいだの、首くくりたいだの、愚痴ばっかり言うからさあ〜
   そんなお金欲しかったらね、そこの機械でガシガシガシガシ偽札作ったら
   いいんじゃないかって、そう言ったのよ!
 技あり!(^^)−

             ガシガシガシガシ…
        




一同唖然…


社長「あけみ!印刷屋の娘がそんな冗談を言っていいんですか!」



あけみ「
まあ、父ちゃんの刷った1万円じゃねえ、
    すぐバレちゃうでしょうけどねえ〜…、あの技術じゃ…
 決まった!1本〜!(^^)/

          
    あの技術じゃ…
        


タコ切れて追いかける。

あけみ逃げていく

あけみの毒舌ここに極まる(^^;)




        




社長の手に持っているどぎつい色の
ストリップショーのポスター…がやけに侘しかった…(^^;)


一部始終を見ていた満男がさくらの後ろから呟く



満男「
貧乏はやだねえ〜…



はっとして、満男を睨むさくら


満男曰く「
伯父さんの真似しただけだよ…


甥にろくな影響を与えない寅でした(^^;)




             
貧乏はやだねえ〜…
 
      





チャンチャン(^^)


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35



                          
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あけみの純情 そのA            12月18日 「寅次郎な日々」その35



『本年はどうぞお手柔らかに』 さくらにこう新年の挨拶をさせてしまう女、それがあけみである。


      
本年はどうぞお手柔らかに」  もう〜          お茶目なさくら
         
 
 

昨日も書いたが、あけみは結婚して以来ずっと自分たちの愛情の問題で悩んでいる。
自分たちの愛の形を模索しているのだ。その悩みはもうライフワークと言えるくらい深刻に
なってきている(^^;)そして遂にピークが来る。


それが第36作「柴又より愛をこめて」の家出である。
タコ社長はモーニングショウの尋ね人のコーナーに出て泣きの涙で訴えたりするのである。
まあ、いろいろあって結局寅が探しに行くのであるが…

伊豆の下田であけみは「さくら」という名前を使い飲み屋で勤めていた。
さくらの名前を使ってしまったあけみに、彼女の切なさ淋しさが滲み出ていた。


そして漁港で寅に会うなり泣き出してしまうあけみだった。


        




あけみは寅に聞く

「愛ってなんだろう…」


寅はこう言ってやる。

「ほら…いい女がいるとするだろう…。
男はそれを見て、この女を大事にしてえ…そう思うだろ。
それが愛ってもんじゃねえか」



     
   ほら…               寅でないと分からないことがある
        
              

それからあけみと寅の旅が始まっていくのである。

旅先の式根島であけみは島の青年に求愛される。
彼の心を傷つけたことに耐え切れずあけみはまたもや
寅の胸で号泣してしまうのだった。



         


人生の小さな機微をいろいろ体験したあけみは成長して
柴又に戻っていく。

そして寅は真知子さんに失恋し旅立っていく…。



正月の青空の下、さくらの家の2階であけみは遠くを眺めてこうつぶやく…

「どこにいるのかなあ…寅さん…」




今もあけみの心に住み続ける寅でありました。





          





ここであけみギャグをひとつ


さくらの家での正月

工員たちあ、社長令嬢おめでとうございます!

あけみ「
ペーペーのみなさま、どうぞよろしく」

一同爆笑




明日も、しつこくもう1回だけあけみでいきましょう〜。

あけみの今シリーズの最高のタコ社長とのコント、偽札ギャグ(第38作)を紹介しましょう。


            


チャンチャン(^^)


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34



                          
『寅次郎な日々』バックナンバー            




 


あけみの純情 その@          12月17日 「寅次郎な日々」その34


『ロールキャベツにマッチ棒をブスッと刺した女』あけみとはこういう女である。  

前に書いたように、タコ社長には子供が4人いる。
長男、長女、次男、次女の順番である。
しかし第33作からは長女のあけみが一人っ子のような状況になる。
初登場で、いきなり結婚式の時も、兄弟姉妹らしき人々は見当たらなかった。
これはこのシリーズの大きな謎である。



初出演

第6作「純情篇」ではあけみは、おてんばな長女としてボール遊びをしていた。


          


そのようなあけみが下↓のように結婚式をするまでに成長する。とりあえず、タコ社長に
挨拶し、しんみりする場面も…。

             
  べえ〜〜
          



まあ、それはそうと、この第33作から参加した社長の娘「あけみ」は美保純さんの当たり役。
このシリーズに新しい旋風を巻き起こしたのである。私はあけみが気に入っている。

とにかく彼女のやる事は凄い。
第34作「寅次郎真実一路」でロールキャベツにマッチ棒をブスッと突き刺す新妻なのである。
たぶん先端の硫黄の部分は取り除いてあったとは思うが…(^^;)


          
ブスッ!っと…               世間体を気にしてか…
           



しかし彼女の方も、亭主運に恵まれたとはいえないのだ。
せっかく作った料理もけなされて「別れる」を連発。
家に帰ってもろくすっぽしゃべらない夫に新婚早々彼女は悩む。
あれはあれで自分たち夫婦に「愛」があるのか悩むのである。
あけみは見た目よりも純情で真面目なのだ。

タコ社長遂にぶち切れて、「よし別れろ!オレが話しつけてやる!」

あけみ曰く「いいよ、正月終わってからでぇ〜」
(^^;)

       
 よし!別れろ!オレが話つけてやる!
      


さくらと博が理想の夫婦像を描いているのだとすれば、
あけみたち夫婦は今の日本の現実の夫婦像をリアルに描いてもいる。
バカだなあって笑ってもいられないのだ。

そして悩みを一番分かってやれるのは、同じようにヤンチャで純情な
寅だから面白い。


       
 私、ほんとうにあの人を愛してるのかしらァ
       



毎回毎回のタコ社長とのやり取りは絶品で涙が出るくらい可笑しい。


結婚式の借金がまだ返せてないのにって言いながら泣くタコ社長に、
「やめてよそのせこい泣き方はァ〜」


「工場の経営が厳しくて、性格がいびつになったのね…」も笑った。




明日もあけみでいきましょう〜。
明日はあけみが中心になった切ない物語である第36作と、
あけみの最高のギャグが光る第38作を紹介しましょう。


            

チャンチャン(^^)


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33



『寅次郎な日々』バックナンバー                                    



 



じん弘さんのアリア  
     12月16日 「寅次郎な日々」その33



じん弘とハッピーどんかん で、 ピンポン球に棒を付けた「インチキピンポン」のコントで浅草松竹演芸場で
活躍していたじん弘さん。ダウンタウンヒーローズやキネマの天地にも出演していたコメディアンだ。

じん弘さんが大洋ホエールズの帽子を被ってそしてあのたっぷり感のある口髭で出てくると
もうそれだけでなぜだか可笑しい。空気が違うのである(^^)

じん弘さん扮する人々はちょっとがさつだが実に人が良い。
第37作「幸福の青い鳥」で看板屋の親父さんを
なんともいえない味わいのある東北弁で演じていた。
人が良いだけでなく、あの東北弁をもったりと操りながらも、
なかなか洞察力も鋭く持っているところが心憎いのだ。



         



圧巻は第41作「寅次郎心の旅路」で寅にトイレットペーパーに
汚い字で書かれたメモを、青森まで帰る途中でわざわざ柴又まで来て
とらやへ持って来てさくらに手渡すのである。

この時の身振り手振りのじん弘さんのアリアは笑った(^^)
あんな人普通はいないよ、お人好し〜…って心底思った。
しかし、あれこそじん弘さんの真骨頂なのである。
あのキャラは笹野さんではちょっと違うし、すまけいさんもずれる。
やはりあれは実にじん弘の世界なのである。




第39作では、寅やポンシュウたちと一緒にバイをしていた。


          



第42作「ぼくの伯父さん」でも歌の中で茨城県袋田温泉の「袋田駅長」として登場。
イッセ―尾形さん扮するおじいさんと、寅を仲直りさせる役をしていた。


          
         




それでは、その圧巻の第41作「心の旅路」での
じん弘さんのアリアをどうぞぉ〜。





(青森の福士さん役)


「あのー、こちらね、寅さんと言う人の家ですか?

あ〜〜、…探した探した、なんたってね…、はあ〜…。

私、あのー福士というもんだけれども、ヨーロッパツアーの帰りで、
さっき成田に着いたんですけども、今夜の汽車で青森さ、
もどねばならねぇんです。


            
  さっき成田に着いたんですけど
           



実はねえ、ツアーの最後はウイーンでねえ、
土産買いに街歩いてたらね、上のほうから『おーい、お前日本人かァ〜』
って聞いたもんですから、



私あんた上見たら、
あ〜、建物の2階から、ァチマキ
した男が
首ィ出してるんです。この言い方笑える(^^;)

            
 ハチマキした男が首出してるんです
           




私が、『そーだよーっ』て言ったら、ね。

『すまねえけれども、この手紙をオレの実家に届けてくれーっ』て、


                 実家に届けてくれーって
           



これこれ…、

               
  これこれ
           



あー、これこれ、これをね、ポ―ン
投げてよこしたんですよ、はい。


                   ポーンと
           




わたくしがね、『どこだ、お前の実家は〜』って聞きましたらねえ、

               どこだ、お前の実家は〜
            

           

『京成電車柴又駅で降りて、寅のウチはどこだと言やあ、すぐ分かるからァ〜』滅茶苦茶や(^^;)

              寅のウチはどこだと言やあ、すぐ分かるから〜
              



乱暴な話でしょう〜、よっぽど断ろうと思ったんですけどねえ。
わたしもまあ…、
ちっ、人がいいからねえぇ〜… ほんとほんと(^^;)

              
 ちっ、人がいいからねえ〜…
             



さくら「ほんとにご迷惑をおかけいたしました」とお礼。
さくら「三平ちゃん、おビール差し上げて」





あ、ビールすか…奥さん、そ…


                 
ビールすか…
             
             


さくら、おいちゃん、おばちゃんに、トイレットペーパーの殴り書きを
見せて大喜び(^^)

「おいちゃんおばちゃん、お兄ちゃん無事だったわ!ほら、ウイーンにいるって」


             



ちっ、人がいいからねえ…」と顔をゆがませながら
呟くじん弘さん、最高の表情でした。



チャンチャン(^^)




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32



 『寅次郎な日々』バックナンバー



 


わが心の寅次郎の歌  ギャグ篇     12月15日 「寅次郎な日々」その32


寅はああ見えても、歌が好きだ。もうしょっちゅう歌っている。
ほんのちょっと一節歌うときもあれば、一番まるまる歌うときもある。
替え歌でオチャラける時もある。ちょろちょろっと歌うことがほとんどだ。



今日は後半「ギャグ篇」だ。


つまり、寅の歌う歌に心底私が笑ったものを10曲取り上げたい。





第1位  ハナマルキCM『おかあさん』 


寅のギャグ歌というとなんと言っても第2作「続男はつらいよ」での「おかあさぁ〜〜ん」である。
夜、散歩先生の家からの帰り道で心浮き浮き「お味噌なーら、ハナマルキ、おかあさーん」
とらやに帰ってきて「団子なーら、とらやさん、おじい〜ちゃぁーん」 この「おじい〜ちゃーん」が最高。

散歩先生の家からの帰り道や江戸川でうなぎが釣れて、走って走って、散歩先生にはやく見せたくて、
またまた「お味噌なーら、ハナマルキ、おかあ〜〜さぁ〜〜ん」と飛んでいく。

自分の生い立ちの不幸もギャグにしてしまう、寅の見事な楽天性が光るこのシリーズのギャグの頂点だ。 
ぶっちぎりで第1位!。




お味噌なーら、ハナマルキ、おかあ〜〜さぁーん
団子なーら、とらやさん、おじい〜〜ちゃぁーん


       

         



第2位  野ばら




第11作「寅次郎忘れな草」で、さくらが寅に「お兄ちゃんは人がもってない大事なものを持っている」
「つまり愛よ、人を愛する気持ち」それに反応しておいちゃん曰く「さしずめ寅は上流階級だ」

寅「ヘヘへ、上流階級ね、この僕が!」

寅「あー…、鐘の音か、貧しい人たちが、安らかに眠りにつくんだろうな…」



あの裏かえった歌声がなんとも可笑しい。

おいちゃん、例のごとく「…バカだねえ〜」



♪わらべはみいたーりィ〜!野中のバ〜〜ラァ!
 


         




第3位  メーデーの歌


第5作「望郷篇」で労働意欲が高まった寅がつい勢い余って口ずさむ
歌、とにかく寅がこの歌を歌うともうひたすら不似合いで可笑しい(^^)

とらやの庭に向かって1回、浦安の節子さんのところで、結婚できると
勘違いして2回目、
第14作でも歌ってた。


♪聴け、万国の労働者〜


          





第4位  もしもし亀よ


第10作「寅次郎夢枕」、お千代さんと歩く運命の亀戸天神で、
寅が口ずさむ「もしもし亀よ」の替え歌である。
誰が考えたか知らないが、いやまったく思い出すたびに笑える替え歌だ。

そのあと、衝撃的なお千代さんの告白が待っているとも知らず…



「♪歩みののろい毛が生えたぁ〜、どうしてそんなに毛が生えたぁ〜」


          



第5位  爺さん酒飲んでよっぱらって死んじゃった


第38作「知床慕情」で、獣医のうちに泊まった寅が
変な替え歌を歌って獣医を笑わせる。この題名不詳の
替え歌はなぜかいつまでも耳に残った。


♪じいさ〜ん、さーけ飲んでぇ、よっ〜ぱらってぇ、死んじゃった。
ばーちゃん、そーれ見て、びっくらしてぇ、死んじゃった



これは黒澤明監督の「酔いどれ天使」の中で志村喬さんが歌う歌から
取ったものらしい。


              





第6位  斉太郎節


第14作「寅次郎子守唄」で、自分の葬式のことをシュミレーションする寅。
最初は真面目に言って、感心されていた寅も、いつものようにエスカレート
して、江戸川に舟を漕ぎ出して、お祭り騒ぎをしてしまう。エキセントリックな
斉太郎節は印象深かった。


後の三艘にはハッピ鉢巻姿の柴又神明会の
 威勢のいい若い衆。それと本所深川のきれいどころの姐さんを
 二〜三十人!あと笛太鼓三味線鳴り物も積み込んだ!!
 さあ!出発だよぉ!
 ネエ!

 五艘の舟が江戸川を静かに下っていく!


♪エンヤトットォ〜エンヤトットォ〜 松島ア〜ア〜のオ!


           
         
              





第7位  赤城の子守唄


第21作「寅次郎わが道を行く」でとらやの跡取りである寅は、とらや大改造計画を
披露する。最初はなかなかしっかりした事を言ってたが、だんだん悪乗りして、
最後は全国にとらやチェーンを出店し、テレビのスポンサーにも参加するという
大ぼらに変わっていく。


「草団子でお馴染みのとらやが提供の浪曲劇場…」


♪いよぉ…、泣くなよしよしねんねえしなあ〜、あ、あ、、坊やの
母ちゃんどこ行った…ん?


この「いよぉ…」と「ん?」が最高(^^)

           
          






第8位  虫の声


第18作「寅次郎純情詩集」で美しい母娘の家にお呼ばれしてしまった寅が、
その時の様子をアリアで十二分に聞かせたあと、2階に向かう途中で歌う。
落語の「たらちね」を上手く混ぜて軽快に歌っている。

なんとも可愛い歌である。



♪あれまつ虫が鳴いている。チンチロリンのポーリポリ

               チンチロリンのポーリポリ
          






第9位  旅愁


第7作「奮闘篇」で花子と結婚を考えていた寅。啖呵バイを終えた寅が、とらやに向かいながら
歌う替え歌。「ジジイ、ババ」の部分に何度笑ったか(^^)


恋しやぁ〜、ふるさと〜、なつかし、ジジイ、ババ

           
          






第10位 お座敷小唄


第17作「寅次郎夕焼け小焼け」でも、寅はぼたんと実に楽しい歌を歌う。
ぼたんと一緒にデュエットするお座敷小唄である。
足軽課長もろうろうとこの歌を歌ってみんなの笑いを買う(^^)
寅の全盛期の乗り乗りの歌だといえよう。


ぼたん「♪とけて流れりゃみーなおーなじ!ン、パン!パカパパンパ

二人で♪ン、パン!パカパパンパ



                

                




特別 21世紀枠    背比べ


第12作「私の寅さん」で、小学生時代の思い出を懐かしく思い出しながら、
キリギリスとあだ名をつけられた美しく若い先生の替え歌を文彦と一緒に歌う。
この歌は半分はギャグだが半分はしみじみ温かく懐かしい気持ちになれるのだ。

感動篇ではないがギャグとも言い切れない…でも最後にやっぱり感動するので、
その両方を兼ね備えていると考え、『21世紀枠』とした(^^;)



文彦ほら…♪柱のキズはキリギリ〜ス…

寅も思い出して一緒に「
♪ 五月五日のキリギリス〜ち〜ま〜き〜食べ食べ
キリギリス〜測ってくれたキリギリス〜」



            




いやあ、まいっちゃったよ…あん時なァ…立たされちゃってよ!
帰っていいとは言ってくれないし、その
うち日が暮れてだんだん心細くなってくるしさ
もう面倒くさいから帰っちゃおうかなってそう思った時な、入り口からス…っと
キリギリスが入ってきたんだよ。で、何て言ったと思う?」

文彦
もう帰っていいって言ったのか


寅「いや、オレには何も言わずにピアノの前にスッと座ってな。静かあ〜〜に
ピアノを弾きながら歌いだしたんだよ、いい声で


文彦「何を歌ったんだよ」


♪柱のキズはキリギリ〜ス 五月五日のキリギリス〜ってなあ…


寅「オレ、なんだか先生の顔見て「ヘヘへ…」って笑ったんだけどね
先生は悲しそうな顔して歌ってんだな・・・。そしたらオレも哀しくなっちゃってよ。

もうそんなことしないから歌止めてくれって言おうと思ったんだけれど…

何かこう…声が出なくなっちゃってねえ…、
で、しまいには、おいおいおいおい大声を出して
泣いちゃったってよー


文彦
へ〜、そんなことあったのか。。。



どうして、あんないい先生にあんなことやったかねー…」





なんだかいい話だなあ…



本日はこれでお開きということで…
             




チャンチャン(^^)







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わが心の寅次郎の歌  ベスト10     12月14日 「寅次郎な日々」その31


寅はああ見えても、歌が好きだ。もうしょっちゅう歌っている。
ほんのちょっと一節歌うときもあれば、一番まるまる歌うときもある。
替え歌でオチャラける時もある。ちょろちょろっと歌うことがほとんどだ。

しかしそのちょろちょろが実に味がある。忘れがたい歌も多い。
同じ歌が作品を越えて何度も出てくることもある。

大体で思い出しても70近くはある!


今日と明日で彼の思い出に残る歌を紹介していきたい。


まず今日は感動篇である。明日が「ギャグ篇」だ。





で、寅次郎の歌「感動篇」

つまり、寅の歌う歌が心底私の心に響いたものを10曲取り上げたい。

私の中で、その作品のイメージにまでなっている強い印象のものを選んだ。




第1位  喧嘩辰 

寅の歌というとなんと言っても喧嘩辰である。冬子さんも歌う。圧巻は冬子さんと
夜別れたあと上機嫌で参道を踊りながら歌っていくあのシーンだ。

「男はつらいよ」といえば、あの時の寅であり、あの時の喧嘩辰だ。

これはもうぶっちぎりで第1位だ。


第13作「恋やつれ」でも歌子ちゃんが来た夜にちょこっと口ずさむ。



♪殺したいほぉ〜ど〜、惚れてはい〜たぁ〜がぁ〜とくりゃあー!
ゆ〜びぃも〜触れずぅ〜にぃ〜、別れぇ〜た〜ぜ〜…


浪花節だと笑あっておくれ、野暮な情けに生きるより〜、オオ〜レェはぁ〜

仁義にぃ〜、生きてぇ〜ゆうぅ〜くぅ〜

       




第2位  悲しい酒

そして、第15作「寅次郎相合い傘」の寅のアリアでの「悲しい酒」である。
この悲しい酒は渥美さんがこのシリーズで最も情感を込めてしっとりと
歌った一節だった。たった一節なのに、豊穣な音楽性が宿っているこの
名シーンに私は心が震え、多くの人が泣いた。この歌は永遠に不滅だ。


 
♪ひいぃ〜とお〜り〜、酒場でぇ〜、のおぉむさあぁけぇは〜…

        




第3位  憧れのハワイ航路

元気な渥美さんの姿と溌剌とした歌を聴きたければやはり第20作「寅次郎頑張れ!」で
平戸で自転車を漕ぎながら歌う憧れのハワイ航路である。ブレーキだけを持ちながら結構しっかり
ペダルを漕いでいる勇姿が見れる。この憧れのハワイ航路は実に上手い!



「♪わかぁ〜れぇ、テープゥを〜、笑顔で切ればぁ〜っと、くりゃあー!…望みぃ〜果て無しぃ〜、
あ〜の島アロエ〜、あ〜あ〜あ〜、憧れぇ〜ぇの、ハワイ〜ィィィ、航路〜」


        




第4位  誰か故郷を思わざる

このシリーズでも特に名場面と誉れの高い「りんどうの花」を語る博の父親、そしてそれに
聴き入る寅。この場面の出だしに箸でリズムを取って軽快に歌う「誰か故郷を思わざる」には
誰もが胸を熱くしたと思う。これも名場面中の名場面だ。

また、柴又に帰って、貴子さんに夫がいないと分かった時も喜び勇んでこの歌を口ずさむのである。

「♪あああああぁ〜〜、たれか、こぉぉ〜きょぉ〜お〜おおを〜、おもおわ〜〜あああざああぁぁ〜るぅ〜…。
ペコペ〜ン、ポンポン、ペコペ〜ンポンポン


        




第5位  旅笠道中

このシリーズの寅の失恋の中で最もぶざまで手痛い失恋は第3作「フーテンの寅」でのものだ。
お志津さんに振られてしまった寅が傷心のまま、去っていく道すがら歌うあの「旅笠道中」は切なかった。

「♪亭主ぅ〜、持つぅなあら〜、かたぁぎを〜、おもおも〜ち〜、とかくやくざぁ〜は〜、
苦労ぉ〜のぉぉ〜たぁねぇ〜よ〜、恋も人情ぉぉ〜も、旅のぉ〜そぉ〜〜らぁ〜…」


         




第6位  人生の並木道

第1作で寅はさくらと20年ぶりに再会する。
第1作のこの大事な場面のメインテーマになっている歌が寅が立ちションをしながら歌う
「人生の並木道」だ。あの歌が下から聞こえる中、さくらは自分の部屋に戻って寅や
自分の幼いころの写真を感慨深く眺めるのである。

「♪なあくぅ〜なあ、いもと〜よぉ、いもとぉよ〜なくなぁ〜。なあぁけぇ〜ば〜幼ぁい〜
ふたりぃし〜て〜、故郷ぉをすぅ〜て〜たぁぁ〜、甲斐がぁなあ〜い〜、とくりゃ!…」

         




第7位  港が見える丘

このシリーズで二人っきりでマドンナとデュエットする唯一のシーンが第45作「寅次郎の青春」だ。
このシーンの蝶子さんと寅はとても息があっていてお似合いのカップルだった。この「港が見える丘」は
第11作で、リリーがしっとりと歌っている名曲だ。その意味も込めて私には思い出深いシーンだった。

「♪あなたとふたりで来たぁ〜丘ぁ〜は、港が見える丘ぁ〜、
色あせぇたさくぅ〜ら、たぁだひとつ、さみしく、咲いて〜いた〜…」


           





第8位  大利根月夜

第41作「寅次郎心の旅路」でとうとうと流れ行く美しき青きドナウを眺めながら
腕を組んでゆったりと歌いだす歌。なんと「大利根月夜」である。寅は言う。
「その海をずーっと行くと、オレの故郷の江戸川に繋がるわけだ…」望郷の念を思い起こさせる静かな
いいシーンだった。

「♪あれをごらんと、指さぁ〜すかぁたあーにぃ〜、利根の流れのぉ〜、
流れぇ〜月〜、てねぇー、昔、わろおてぇ、眺めたつぅ〜きぃ〜もぉ〜…」


           





第9位  月の法善寺横丁

当時、柴又に勝るとも劣らない下町情緒たっぷりの町浦安。
第5作「望郷篇」で、浦安界隈をラッパを吹きながら自転車で豆腐を売る寅。
その時歌うのが「月の法善寺横町」である。当時の浦安の風情に寅の姿が見事にはまり、
忘れがたい絵を形作っていた。

「♪包丁〜一本んん
〜、さらしにまぁ〜い〜て〜…」

           





第10位 チンガラホケキョウの歌(浅草の歌) 

第2作「続男はつらいよ」で散歩先生の家に行くまでの道すがら、つい口ずさんでいるのが
この「チンガラホケキョウの歌」である。なにか懐かしいような、温かい気持ちになる不思議な名曲である。
第8作でも子供たちが口ずさんでいた。

「♪いちにいのさん〜、あ、かまくぅらの〜、ほら、チンガラホケキョウゥゥ〜んん
〜…」

          





いやあ、どれもこれも私の人生に大きな影響を与えた名曲であり、名場面だ。
渥美さんの歌うちょっとした歌を聴くと、歌っていうのは、こういう風に歌うんだな…って思う。




明日は寅次郎の歌「ギャグ篇」 ベスト10を紹介しましょう。



チャンチャン(^^)







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  とらや一同&社長のTV出演     12月13日寅次郎な日々その30



とらやの面々は地味な堅気者たちだが、実はテレビ出演なんかもしているのである。
第6作「純情篇」でテレビ番組「ふるさとの川 江戸川」に出演している。
このおそろしく短いテレビ番組はモノクロで凄く地味だがなんとも味わいがあって心に残るのである。

おいちゃんやおばちゃんの控えめな表情、江戸川に佇むさくらと満男のキラキラ光る
横顔はこのシリーズの顔そのものだった。そういえば、ちょっとだけ御前様も登場されていた。


       
 江戸川のほとりで佇むさくらと満男       いい顔で団子を作るおいちゃんとおばちゃん
             



寅にいたっては3回もテレビに出ている。
まずは第3作「フーテンの寅」のラストで大晦日に鹿児島の霧島神宮でインタビューに答える寅。お志津さん母子を
自分の妻子に見立てて嘘をついてしまうところがなんとも哀しくやるせなかった。↓の如くアナウンサーを困らせていた(^^;)



                 
アナウンサーさん笑うしかないです。
                 



2回目は第38作「知床慕情」で北海道阿寒の川湯温泉からインタビューで出ていた。
もちろんこれまた「反省してる」と言いたいばかりにアナウンサーをかき回してカメラを惑わせていた(^^;)


                    
   なぜかVサイン
                   



3回目は第48作「寅次郎紅の花」で阪神淡路大震災の映像と共に結構長めに映っていた。
当時の村山総理大臣と一緒に被災者を慰問したり、炊き出しを手伝ったり役立っていた。



        
 CG合成で村山総理と組み合わせた      この時ははいつもと違って立派だった
                 






問題はタコ社長である。第36作「柴又より愛をこめて」で娘のあけみが家出してしまった時にテレビのモーニングショーの
尋ね人のコーナーに出演し、泣きの涙で帰ってきてくれ〜〜と号泣して訴えるのである。もうこれはどうしょうもいない哀れな姿で、
みんな見ていられないって感じだった(^^;)


博曰く「逆効果だな…」

備後屋、麒麟堂たち曰く「柴又の恥だ



         モーニングショウの森本さん             一同「見ちゃいられない
           





マスコミ関係と言えば、さくらが新聞の尋ね人の欄にだした
「寅、みんな心配しています連絡して下さい さくら」がある。




                 




また夢の中ではあるが第36作では、寅は日本人初の宇宙飛行士として、TIME誌に記事が載ったり
新聞にその様子が掲載されたりして、世界中の話題を集めていた。
美術担当さんの力作だね。




               




こうやって見ていくと博だけは映っていない。どうしてだろう…?




チャンチャン(^^)

あっという間に「その30」まで来た。早い早い(^^)


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不思議なとらやの2階部屋       12月12日「寅次郎な日々」その29



今回はとらやの2階部屋徹底考察の巻です。かなりマニアックな話題ですので、「なんじゃこれ、ややこしいし、よう分からん」
という方は飛ばしてください(^^;)


とらやの2階部屋は私の憧れである。
一度は寅の部屋に下宿してみたい。でもまあ、朝っぱらからガタガタガタガタ裏の工場がうるさいし、
トイレが下にしかないし、水周りも無い。大体寅が帰ってきたら一悶着やりあわないといけない。
それは私が男だからだ。第10作の岡倉先生や第20作のワット君や第24作のマイケルのように
追い出されがちになるのである。
これが、絶世の美人だったら第4作の春子先生、第6作の夕子さん、第16作の礼子さん、などなど
いとも簡単にOKが出る(^^;)

もともと寅の部屋は長い間さくらがずっと使っていた。第1作ではまださくらは独身なのであの部屋に
住んでいる。寅が20年ぶりに帰ってきても、同じ。では寅は例の店から入る荷物部屋に寝たかといえば
実はそうではないのだ。

なんと、さくらと同じ階段を使って2階に上がってすぐ右!に曲がってすぐの部屋に寝るのである。
そう、あの階段の上には右にも部屋があったのである。後にしばらく同居する登もこの右の部屋を使っていた。


            
      さくらが使っている部屋と階段を挟んで右側にも登が寝ている部屋がある
                  




この登たちが使っていた部屋は第4作でも春子先生が下宿する時に使っている。寅も第4作の最後の方で
彼女の部屋に行く時階段を上がって右に!折れている。おばちゃんも春子先生が部屋にいるとき左側から
やって来ている。ただ彼女の部屋は、窓の位置や壁のあり方が登の時とかなり違っているが、設定的には
同じ部屋だろう。ただ、この部屋の真下は、風呂場なのだが、ちょっと上下の面積の関係がうまく合わない、
2階の強度的にちょっと不安定な作りになってしまう。震度5程度で崩壊するかもしれない(^^;)

また第4作の春子さんと恋人が部屋の前の廊下で話す場面では、カメラは庭から見ているアングルになるが、
この時、彼女の部屋のさらに参道寄り(団子製造部屋及び店の真上)にまだ部屋がある!ことが分かる。



ちなみに、その後登や春子先生が使っていたこの台所の階段を上がって右の部屋は幻の部屋となり、
障子はいつも見えるが、入り口へ行くための庭に面した廊下は階段のところで茶色の仕切りでかたく
閉ざされたまま、第5作以降、第48作まで使われる事は二度となかっのである。


この茶色い仕切りはこの2階のほかの場所にも存在する。廊下を何らかの理由で仕切ってあるのだ。
昔、芸者さんたちがお客さんとそれぞれ上がりこんだという歴史があるので、それぞれ別の階段を
使わなくてはならないようにしているのかもしれない。柴又界隈の店ではこういうことはよくあるらしい。

      





         いつもの茶色い仕切りが無く、部屋の前の廊下が見える      この登と寅の部屋からは裏の工場の屋根が見える。左の壁には窓がない
                  





      春子の部屋の中。左にガラス窓がある。おばちゃんは左側からやってくる。             部屋からは真正面にに工場の寮が見える
                 






           
庭から見上げると春子の部屋はこうなる。なんと参道よりにまだ部屋がある!ことが分かる(画像左端)

                      






寅がいつも使っている部屋とマドンナが逗留する時寅が寝る荷物部屋とは、庭に面した廊下続きなのは
言うまでもない。第11作「寅次郎忘れ草」ではリリーが泊まった夜、隣の荷物部屋で壁越しに会話もしている。

しかし、この2つの部屋は上に書いたように実際には茶色のついたてで固く仕切られている(但し開け外しはできる)。
そのことがはっきりわかる映像はほとんど出てこないが、数少ない映像が,第39作「寅次郎物語」や第47作「拝啓車寅次郎様」
のなかで映る。特に第39作では全貌がしっかり見える。
コレは非常に貴重な映像である。
(なお、一説によるとプライバシーのためにこの二つの部屋の間にもう一つごく小さな細い物置部屋もあるのでは…、という人もいる)



     
この映像は貴重である。寅の部屋と隣の寅が時々寝泊りする荷物部屋に仕切り戸があることがこれで分かる

                     




また、登や春子先生が寝泊りしていたあの部屋の廊下を閉じる茶色い仕切りは、いろんな作品でチラチラ映る。
ここでは第20作「寅次郎頑張れ!」と第39作「寅次郎物語」で映る茶色いついたてと部屋の障子の画像を紹介する。


       階段を上がって右側に茶色の仕切りが見える。階段の途中に障子も見える    さくらの後ろの方にも階段を上がって右にある仕切り戸が見える
               



また、この第20作ではなんと、幻の登と春子先生の部屋のさらに向こう参道よりに茶色の仕切り戸が
あるではないか!これこそ、あの春子先生の部屋を庭から見た映像に映っていた部屋に違いない!
参道寄りにもうひとつ部屋があることを完全に暗示しているのである。コレを見つけたときにはさすがに
驚いたが、よくよく考えると総2階建てだとすると店の上に部屋があるのは当たり前で、そこに行くための廊下の
仕切りなのであろう。ちょうど団子製造部屋の真上当たりになると思う。




                 
あの茶色の仕切り戸の真下は団子製造室!

                 



そして実はとらやの店の真上にも部屋があることがわかる映像がもうひとつある。十作代以降の作品で
しばしば映るとらやの屋根に取り付けてある看板の映像である。(茶色のトタン屋根の方がとらやである)


                  
この手の映像はしばしば使われる
                 




これを見るととらやがやっぱり完全な総2階作りだということがわかる。しっかり作ってある。
しかし、この店の真上の2部屋の中は、遂に一度も物語の中で出てくることも、語られる事すらなかったのである。
ちなみにごく初期の頃は完全な総2階作りの映像ではない

これこそ正に幻の部屋なのだ。

で、結局結論としては
ごく小さな物置部屋はともかく、人が住める住居部屋としては


@寅のいつもの部屋(独身時代のさくらの部屋)
A寅が時々使う荷物部屋
B登と春子先生が使っていた階段上がって右側の部屋
C店の真上参道沿いの団子製造部屋寄りの部屋
D店の真上参道沿いのお客さん用座敷寄りの部屋



結局全部で最低でも5部屋もとらやの2階住居部屋は存在することになる。
映像で見ることができたのは3部屋だ。そして第5作以降はずっといつもの
2部屋のみ映画では使われることになる。

実はとらやの「庭」もいろいろあるのだがキリがないのでまたいつか



チャンチャン(^^)



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たった一度の寅の宿泊        12月11日「寅次郎な日々」その28



さくらと博が、寅の言うところの潜水艦のような狭いアパート、江戸川コーポをいよいよ飛び出て、
第26作「寅次郎かもめ歌」で題経寺の南側、江戸川土手の直ぐ下に築3年の建売住宅を買った時、
さくらは迷うことなく寅のために2階の一部屋をわざわざ空けておくのである。いつ帰ってくるか
分からない兄のためにである。(これは博が理解があるんだね。えらい!)




                       初訪問で材料を褒める寅

             
           



寅は最初それを聞いた時に感激して、源ちゃんにお金を借りて、アイロンをかけてピン札風にし、
祝儀をはずむ。まあ、結果的にはそのことで揉めるのだが。ともあれ、寅は喜んだのは間違いない。

しかし、実際のところは寅はほとんど一年中旅暮らしである。たまに帰ってきてもとらやに寝泊りする。



        
  2階に自分の部屋があることに感激し、しんみりしてしまう寅

             

                 




だから、さくらの家には用事で来ても玄関どまりだ。それでもさくらはその部屋を普段は
寅専用にとってあるのだ。ほんの時たま泉ちゃんが泊まりにくる時使ってはいるが。

そんな寅でもたった一度だけさくらの家に泊まったことがある。
第34作「寅次郎真実一路」で、富永課長と飲んだくれて、真夜中に柴又に着いたので、
なぜかとらやに行かず遠慮してさくらの家に行って泊めてもらうのである。そうとう近所にも
迷惑をかけたらしい(^^;)寅の雪駄が前の道にひとつ転がり落ちていた事でも、前夜の
酔い方が凄かった事が分かる。さくらが飲み屋にお金を届けなかった事に腹を立てて
いたのかもしれない。甘えているのだ。



              
水色のパジャマはどうも変な雰囲気だ…

             



このときの寅の格好が面白い。

さくらが用意した水色のパジャマを着て、その上からさくらの緑のハンテンを羽織って、しょぼしょぼと
味噌汁をすすっている。やはり家が違うと出てくる服も、出てくる食事も違ってくるんだなって思った。

なんとなくちょっと居心地が悪そうなのである。最初に間取りを見たときも棺おけの入り方が難しいと
言っていたのでので、この家は寅の美学とずれているのかもしれない(^^;)。

さくらは、寅がべろんべろんに酔っ払って訪ねてきたので情けないという感じで、料理を作りながら
涙を流すが、それでもやはり、寅がとらやでなく自分たちの家で泊まってくれたことが嬉しかった
んじゃないだろうか。さくらはそういう人だと思う。やっぱりたったひとりの血続きの兄なのだ。

しかしまあ、寅が魔がさしてさくらの家に泊まったのは後にも先にもこの一回限りで、あとはひたすら
寅は自分の本来の居場所であるとらやに寝泊りするのである。


チャンチャン(^^)

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さくらの一言に泣いたおいちゃん       12月10日「寅次郎な日々」その27



この長いシリーズの最大の謎の一つにさくらの結婚式においちゃんが出席していない事がある。
これは話の流れから行くとなかなか納得できないことでもある。森川信さんの仕事の予定が…、
なんて野暮なことは置いといてあるひとつの理由を考えてみた。

そして、その行動のヒントがこの第1作の中に隠されているのである。さくらの見合いの時のおいちゃんである。
さくらの見合いの前の日になんと寅が20年ぶりにとらやへ帰ってきて、嬉しくて嬉しくておいちゃんは酒を
がぶ飲みしたのだろう。それで翌朝あのように頭ガンガンで見合いに行けなかったのである。


               
二日酔いでおばちゃんにこっぴどくどやされる
               



結局おいちゃんは、何か嬉しい事があると、つい酒をがぶ飲みしてしまうところがあるようだ。

「昨夜あれほど私がほどほどにしなって言ったのに!」とおばちゃんに言われていたが
分かっていても飲んでしまう性格なんだろう。そして酒には弱い。


      
結婚式後の記念撮影のときもおいちゃんの姿はなく、その席には寅が座っていた。

              


結婚式前日、手塩にかけたさくらがお嫁に行ってしまうので嬉しいやら淋しいやらで、
おばちゃんが止めるのも無視して
ぐでんぐでんになるまで酔っ払ってしまったのであろう。

式の朝、布団の中でうずくまって頭を抱えているおいちゃん。頭が割れるように痛いのである。

おばちゃん曰く「またさくらちゃんの見合いの時みたいになるから、ゆんべあれほどいい加減にしときよ!って
怒鳴るくらいに言ったのに、何考えてるんだい、この酔っ払いのろくでなし!今日はさくらちゃんのハレの日
じゃないか、どうすんだい!まったくもう…」
おばちゃんも半泣き状態でどうしていいかわからない。
それで、寅が例の如く「オレに任せとけ」と、おいちゃんの代役を勤めることになった。

と、いうわけなのではないだろうか。


午後、式も披露宴も無事終わり、新婚旅行へ行く直前、さくらは
博にことわって、ひとりおいちゃんが寝ているとらやへ小走りで向かう。
そして、布団を頭から被りうずくまっているおいちゃんの前にそっと座り、

さくら「おいちゃん、…長い間ありがとうございました。私はいつも…ほんとうに幸せでした」と涙ぐみながら語りかける。


おいちゃんは布団の中でさくらの言葉を聞き、ついに堰を切ったように嗚咽してしまうのである。




と、いうような「想像」をしているのですが、みなさんはどう思われますか?



チャンチャン(^^)


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郷愁の谷村昌彦さん       12月9日「寅次郎な日々」その26



坂東鶴八郎一座と言えば、吉田義夫さん、岡本茉利さん、大杉侃二朗さん、
そして忘れちゃならないのが名優谷村昌彦さんである。

谷村さんは、「どですかでん」、「鬼龍院花子の生涯」 「まああだだよ」などにも出演された
あのぼくとつとした人柄とひょうひょうとした動きが印象的な俳優さんだが、
この「男はつらいよ」シリーズでも第5作「望郷篇」第8作「寅次郎恋歌」そして
第18作「寅次郎純情詩集」に出演され、どの作品でも実に味わい深い彼ならではの
リアリティのある演技を見せてくれた。お馴染みの彼の山形弁がたまらなく郷愁をかきたて、
あのずんぐりした背中には哀愁さえ漂っている。第8作でも大杉侃二朗さんと共演し、
第18作でも大杉さんと二度目の共演で一座を盛り上げていた。独特の雰囲気のある俳優さんである。
特に印象深いのがその第18作で、信州は別所温泉、千秋楽公演の際の路上での口上である。
これはもう上手い!惚れ惚れする名調子!である。


坂東文志郎の旗があったので彼は板東文志郎という座員なのかもしれない。




             北海道の政吉親分の舎弟役で、初登場
        



第8作の谷村さん、「都はるみか水前寺かい、よお!のセリフが印象的だった。

              第8作では大杉さんとさくらの歌を聴く
        



このシリーズの当たり役坂東鶴八郎一座の座員この別所温泉での口上はピカイチだった。

               




妙に気張った医者の演技「今日か明日にはかぁぁならぁぁずうぅ帰って、くるっ!」が
寅にも受けて「あんたよかったね!」って言われていた。


         
 かぁぁならぁぁずうぅ帰って、くるっ
        


           大杉さん大掃除芸の席でも一緒に登場
        






最後に彼の路上でのあの口上をちょっと紹介してみよう。




            






拍子木
 カンカンカンカンカンカンカンカンカン、カン!


『とざいとおおおーざいいいいぃ…。


太鼓 ドドドオン!!


常日頃御ひいきの皆様には、

心より、御礼申し上げます。



太鼓 ドドン、ドンドンドンドン!!



さて、当一座も、本日を持ちまして
いよいよ千秋楽を
迎えますれば、

外題も改めまして、
長谷川伸先生の名作、沓掛時次郎、


太鼓 ドドン、ドンドンドンドン!!


また!
当一座の花形、大空小百合の当たり役、
明治の文豪徳富蘆花先生の傑作、不如帰、

そのほか歌謡曲、お色気コントなど、
にぃぎぃやかに相そろえ、ご機嫌を取り結びますれば、

ご町内の皆様、観光客の皆様、
なぁにとぞお誘いあわせの上
ご高覧のほどおん願い奉りまするぅ。

…とざい東おおー…』




チャンチャン(^^)



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寅の葬式好き                 12月8日「寅次郎な日々」その25



寅はとにかく葬式が好きである。あの荘厳で厳粛な雰囲気が好きなのかもしれない。
なにかというと棺おけを縦にしないと入れないとか言っている。
第2作では最初は泣いていたが御前様に説教されてから散歩先生の葬式を出棺まで
完全に仕切っていた。




             




「よーし、あれもいいし、これもいいな、あっ、隠亡(おんぼう)への祝儀忘れてたな…!」
って発言なんかを見ても隠亡への祝儀の事が分かっているなんて、そうとうマニアックだ。
                             

第2作以外では、第5作、第8作、第30作、第32作、あたりで
葬式を仕切る、またはかき回している(^^;)



      
第30作「花も嵐も寅次郎」では湯平温泉で葬式を提案し、仕切り、そしてかき回していた。

             




実は第5作の場合は、おいちゃんが死んでもいないのに
全て整えてから帰ってきて大喧嘩。この時の寅の段取りの仕方は素早かった。
おそらくこれまでの
20年間の放浪の中でこのような処世を身に付けたんだろう。

タクシーの中で
「運ちゃん、あした友引か?友引だと困るんだよ火葬場休みだから...」
「運ちゃん、いまどきの暑さじゃ、
仏は2日ともたねえかね?いよいよとなれば
ドライアイスでもいいけどな...それより面倒なのは仕出しの弁当だよな」

で、帰ってきた寅、おいちゃんが元気でピンピンしているのでもめにもめる。


まだ生きてるおいちゃんと寅が喧嘩している時に、
近所の井上葬儀店
到着
「このたびはご愁傷様で...」
寅「葬儀屋さん?あ、今日はいいなあ〜」


おいちゃん「帰ってくれ!帰って!死んだのはこのわしだっ、バカ!」
この森川おいちゃんのセリフは笑いました。


博「それじゃおじさんが死ななきゃ恩返しが出来ないんですか?」

寅「生きてて葬式が出来るかい!!」




               
     死んだのはこのわしだっ!バカ!
                


チャンチャン(^^)





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ああ、魅惑の笹野高史               12月7日「寅次郎な日々」その24


 ―  下田の長八 そして ホモライダー  ―
 



笹野高史さんはこのシリーズになくてはならない俳優だ。彼が出てくるだけであの人の良いキャラを想像して
ほのぼのしてくる。ほのぼのキャラでいうと第39作「寅次郎物語」での吉野の旅館の主人役、
そして第41作「寅次郎心の旅」でのローカル電車の車掌あたりがすぐに思い出される。

彼はこのシリーズで11作品で登場するが、実は意外にも、人の良いほのぼのキャラ以上に一癖も二癖もある
ような変わった役も実に似合っているのだ。いや、そちらのほうにこそ才能が開花したと言っても過言ではない。

私にとって笹野さんといえば伊豆は下田の長八だ。
そう、初出演となった第36作「柴又より愛をこめて」でアケミを探してくれたあのスケベで憎めない遊び人長八だ。
どうしてだか分からないがとにかくあの雰囲気がとても気に入っている。頭からこびりついて離れない。私も実はあんな
ふうに長八のようにふあふあひょうひょうへらへらと生きたいのかも知れない(^^;)




               



ライダー
そして、笹野さんのアクのある名作と言えば、伝説にさえなっているあの第42作「ぼくの伯父さん」で満男に迫りまくるホモライダー
である。もうこれはさすがに他の人ではできないだろう。いや、できるかもしれないが、笹野さんのあのアクと奇妙な妖しさはでないのだ。
こちらのほうは一日も早くあの顔を忘れたいのに忘れられない迷シーンである(^^;)

下の2枚の写真は、心臓が悪い人や怖いものを見たら眠れない人は見ないように。小学校の低学年のお子さんも夜トイレに
行けなくなるので見ないように。





         満男さん…、満男さん…
              



ぴええええええ〜〜…ε=ε=ε=ε=ε=ε=( ;@@)


笹野さんはいずれまたそのうち続編を書きましょう。



チャンチャン(^^;)





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寅のカメレオン的豹変                 12月6日「寅次郎な日々」その23




寅はマドンナによって赤にでも白にでもなる。
普段は怠け者だがいきなり働き者になったり、ハンバーグなんて横文字のものは嫌いなはずなのに、
マドンナが作ったとなったら急に大好きになったりする。ある意味マドンナの頼みとあらば月にだって
飛んで行くかもしれない(^^;)

そんな寅のカメレオン的豹変が最も端的に現れているのが第43作「寅次郎の休日」で満男が大分の
日田に泉ちゃんと一緒に発作的に行ってしまった事件である。心配して今すぐにでも追いかけようと
するさくらと博に寅はこう助言する。


「おまえたちの心配はよおく分かるよ。
だけどな、ここは思い切って満男に任せろ。
あいつはね役目を果たすよ。大丈夫!
オレの甥っ子だ。

貧しいね君たちは二言目には金だ。
金なんか無くたっていいじゃないか
美しい愛さえあれば!




              




腹なんかすかない、絶対にすかない
美しい恋をしていれば
1ヶ月くらい飯なんか食わなくたって平気だあ!

じゃあお前が教育パパで
おまえが教育ママか、

ふん!!
たへしたもんだねカエルのションベンだ!





                  





一言言っとく。

あんまりガキ扱いすると満男が可哀想だぞ。
あいつはもう立派な大人なんだ。
一人前に扱ってやれ。
反省しろ、バカ。」



で、そこへ泉ちゃんの色っぽいお母さん現れる。

たった1分後




「すぐ参りましょう九州へ!
御嬢さんの身になにかあったら大変です」


さくら「でも満男が一緒なんだし…」


「バカだなあ…あんなガキが頼りになると思うのか。

第一な金なんか一銭も持ってないんだよ。

腹すかせてフラフラになってるよ。

ほんとにまあ非常識な親だねえ!

嫌になっちゃうよ」



          




「オレこれから駅行って切符の手配するから
さくら、おまえ弁当つくってな
あとからすぐ追っかけて来い。

じゃ、奥さん!参りましょう!はやく!」



          



だめだ、こりゃ(^^;)




チャンチャン(^^)




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寅のとらや一日店主          12月5日「寅次郎な日々」その22



寅は昨日も書いたが、あれでも本来ならとらや7代目の店主である。
第38作「知床慕情」で病気入院中のおいちゃんに代わって店主を引き受けた寅だった。
寅曰く「やるっていうとオレはなんでもやる!」と、決意表明。

しかし、当然寅のことだから『但し書き』がつく。

@但し、団子丸めるのダメ。手の平でくちゃくちゃやってるうちに体中が痒くなる。

A但し、団子を串に刺すのもダメ。あのとんがった串見ると、自分の目ん玉ブスーッと
 突き刺しそうな気がするんだ。

B但し、あんこダメ。オレ、匂いかいだだけで吐きっぽくなちゃうんだ。

C但し、配達で、自転車こぐのダメ。オレすぐに股ズレしちゃってさ〜。

D但し、帳簿で収入支出つけるのダメ。(これは無理と博がすぐ理解を示す(^^;))

E但し、掃除をしたりお茶を出したりの「茶坊主」のまねはできない。この家の跡取りだから。


で、「帳場にじっと座ってたら」というさくらの提案で、帳場で座っていて、電話を受けたり、
仕事全体を見渡すだけという仕事をすることになった。


まずは寅のアリアでシュミレーション。

あ、コレ、姉や、お客さんがお勘定だよ。
オババ、オババ、あくびなんかしてる暇があったら店先に水でも撒きなさい。
お天気続きで埃が立ちます。

あ、お客様、もうお帰りでございますか、またのおいでをお待ち申しております。

コレコレおなご衆、暇なうちに御膳を済ませてしまいなさい。
無駄なおしゃべりなどしないで、さっさと食べてしまうこと。
昔から早飯早糞芸のうちと言って、わたくしなど、座ったと思ったらもうケツを拭いて
おります。こないだなどは糞をする前にケツを拭いてしまって、まあ、親戚中で大笑い。
ハハハハハハ…、ウォッホン!

さくら、こんなもんでいいのかな?



          まあ、親戚中で大笑い。
     



で、本番

座っては見たものの、暇で暇で…あくびなんか出っ放し…。
虫眼鏡で遊ぶ寅。


     



電話で注文を聞いても、住所を聞くのを忘れたり。


     



客の前でマンガ読んでヒンシュク買ったり。


     



なんかあるとすぐトイレ。

寅「ションベン」
おばちゃん「さっき行ったばかりじゃないか」
寅「さっきはウンコ」(^^;)


挙句の果ては、居眠りをしてしまって、障子戸にもたれてガタン!バタッて仰向けに
ひっくり返って、起き上がって寝ぼけながらだれも客がいない店で「いらっしゃいませ…」


          
ガタン!                 バタッ             「いらっしゃいませ…」
          




挙句の果ては、店を飛び出して、備後屋や源ちゃん引き連れて遊びに行ってしまうしまつ。
やっぱり無理なんだねえ(^^;)



チャンチャン(^^)





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寅のとらや構造改革                    12月4日「寅次郎な日々」その21



寅は、実はとらやの7代目の店主である。
おいちゃんたちは、彼が店を引き継いでくれるのを指折り数えて待っているのだ。
しかし、皆さんご承知の通り、寅はああいう気質なので全く継ぐ気はない。

そんな彼も時として魔がさしたように、とらやの経営のことを考える時だってあるはずだ。
そんな7代目とらや店主としての心意気を見せたシーンが第21作「寅次郎わが道を行く」の中にある。
寅はずっと前からこのことを考えていたようで、ついに茶の間においてお披露目となったわけだ。
今日はその彼の7代目店主としての将来における展望をご紹介しよう。




@まず、店に座ったまま団子を買いに来る客を待てるようじゃダメ。

A社長のところでビラを印刷して、これを新聞に折込み各家庭へ配る。

B月に一度の値引きセール。団子を半値にしちゃう。全然儲けはない、
  しかしそのことによってとらやの団子はこんなに美味しかったのかぁ、、
  っていうことを行き渡らせる。

C客が増えてくる、この店が狭くなる。その時は思い切ってこの店を
 ぶっ壊す。そのあとに鉄筋コンクリートの店をぶったてる。
 1階が店.2階がお座敷.3階が老夫婦の隠居所。



                
ぶったてる!
            




D裏の工場はその頃潰れているから労働者ごと買い取って
 これを団子工場にする。
 もう手でクシャクシャクシャクシャこねない。オートメーション。
 機械の穴からコトン、ポロポロポロ、コトン、ポロポロポロ。

Eきたない年寄りなんか店に置かない。若い乙女が6人くらい。
 そろいの浴衣をピシッと着て、「いらっしゃいませ」「またどうぞ」

F支店も増やす、北は北海道から南は沖縄まで、とらやチェーンが
 ズラーッと並ぶ。

Gテレビのコマーシャルにも金はかける。
 例えば『草団子でお馴染みのとらやが提供の浪曲劇場。
 『よおうっ〜、泣くなぁ、よしよぉぉしいっ、ねんねぇぇしぃなあ、あっ、あ。坊やの
 母ちゃんどこいった、ん?』



この寅の意見に対して6代目店主夫妻の反応

おいちゃん「頭痛くなってきた、寝るぞ…」
おばちゃん「長生きなんかしたっていいことないよねえ…グスン…」

寅の意見のEFGが特に気に入らなかったようである(^^;)




経営コンサルタント役のタコ社長のお言葉

社長「お前に経営のことなんかわかりゃしねえんだよ」

寅の意見のDあたりが特にお気にさわったようである。



             




それらに対する寅の反応は下の写真の通り↓(^^;)


             






やっぱり第38作「知床慕情」での寅の店主としての凄まじき不適格さを垣間見るまでもなく、
この第21作の時点で向いていないことが、手に取るように分かるのでした。




チャンチャン(^^)





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さくらの失言 博の失言          12月3日「寅次郎な日々」その20



さくらも博も寅の結婚を強く望んでいる。それは第15作「寅次郎相合い傘」を見ても分かるように
結構本人の寅より真剣なくらいだ(^^;)

しかし、時として寅はちょっと無理じゃないかというような恋愛をしたがる時がある。あまりにも
年の差があったり、あまりにも立場的にふたりのバランスが危うい場合だ。




さくらの失言

第18作「寅次郎純情詩集」でも満男の担任にちょっかいを出そうとする。それも物凄く若い
産休講師の先生にだ。これにはさすがのさくらも真剣に怒って、こう言うのである。

「あのね、お兄ちゃんはほんとうに若くはないのよ。あの先生はお兄ちゃんの娘みたいな歳よ。
お兄ちゃんがまともに結婚していたらあの先生くらいの女の子がいてもおかしくないのよ。
仮によ、あの先生にきれいなお母さんがいて、その人をお兄ちゃんが好きになったとしたら、
私たち誰も文句なんか言わないわ」

そのあとは、本当にお母さんが出てきて、寅はさくらにお母さんならOKという『許可証』をすでに
もらっているので大喜び。ルンルン二人の後をついていって、彼女たちの自宅まで行き、
なんとおよばれまでしてしまう。

おばちゃん「さくらちゃん、えらいこと言っちゃったねえ、寅ちゃんに」

さくら「だって…、参ったなァ…」と蒼ざめてました。


火に油を注いでしまった(TT)


              






博の失言

第34作「寅次郎真実一路」では、人妻に惚れてしまって行動に焦りと無理が見られる寅を落ち着かせよう、諭そうと
博が寅にこう言うのである。

「しかし、万が一のことが起きた後のことを冷静に考えておくのが兄さんの立場じゃありませんか。夫を亡くした美しい
奥さんの悲しみがどれほど深いものか…、想像してごらんなさい」と言ってしまったもんだから、もう遅い。
夫を亡くした彼女の「後のこと」を自分との再婚とだぶらせてよけいに深い想いを募らせることになる。

博、しまったと言う顔をするがもう遅い

博「まずい言い方しちゃったなあァ〜…」

さくら「私、知らないわよ〜、どうなるんかしら」



これまた火に油を注いでしまった博でした。



              
まずい言い方しちゃったなあ…   さくらのこの表情(^^;)
              









チャンチャン(^^)




 

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19



                          
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ああ、源ちゃんの悲劇!          12月2日「寅次郎な日々」その19



源ちゃんは寅の舎弟ゆえ、初期の頃からこき使われ、無理難題を寅に押し着せられてきた。
第2作「続男はつらいよ」では遠く京都までバイのサクラでつき合わされていたし、第5作「望郷篇」
では失恋した寅の後始末として、せっちゃんの豆腐屋でずっと働けなんて可哀想なことも命令されていた。
まあ要するに毎回毎回なにがしらかの過酷な労働を寅から命令されているのだ。

それだけならまだしも、肉体的にも数々の悲劇に遭遇している。涙なしには語れない場面も多い(^^;)
そのような時の佐藤蛾次郎さんはまさしく怪演で、シリーズの中盤あたりから、かなり前衛的にさえなっていった。

今日はその前衛的なギャグの代表的なものをチョロチョロっと紹介してそれぞれの悲劇を供養いたしましょう(^^;)







第13作「寅次郎恋やつれ」で寅のトランクを開けた勢いで、フタで思いっきり鼻ぶつけられた源ちゃん。これは痛い!!
それを見ている満男が、このギャグする前からもう笑っていたのが印象的だった(^^;)何度もやらされたのかなぁ…。

             




第16作「葛飾立志篇」で寅のメガネ姿を笑っていた源ちゃん、あとでこのように思いっきり蹴られていた(^^;)
蛾次郎さんこけ方が上手い!

          




第17作「夕焼け小焼け」の夢では見ての通り、もう言葉に尽くしがたい壮絶な演出をされていた。山田監督って…(TT)


          




同じく第17作「夕焼け小焼け」で、おみくじの引き方が気が利かないと、寅に髪の毛におみくじをかた結びされていた。


          




第27作「浪花の恋の寅次郎」では見ての通り、源ちゃん亀は風向きのせいで玉手箱の煙の被害に会い、
『お前のせいでオジンになってしもたんやああああぁぁ…』、と断末魔の声を上げていた(TT)
それにしても凄い表情…。表情的にはこのシリーズの最高峰。


          




第23作「翔んでる寅次郎」で鐘撞きに遅れた源ちゃんは、御前様にせっかんされるのですが、その内容は
なんと鐘の中に源ちゃんを入れて、外から鐘を撞くという凄まじいものでした。御前様は怖い(▼O▼メ))


           



                           
極めつけは第17作「夕焼け小焼け」の御前様ホースの水ぶっかけ事件だ。もうここまで来ると事件といいたい。(┬┬_┬┬)
一応物語り上は「不可抗力」で無罪(^^;)

鐘撞きといい、水掛けといい、御前様はやる時はやるのだ。


          







また、タコ社長も源ちゃんに勝るとも劣らないほどそうとう寅にメチャクチャな目にあわされている。
これまた涙なしでは語れない(^^;)キリがないのでこの話は後日に回しましょう。





チャンチャン(^^)


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2度のとらや大爆発!          12月1日「寅次郎な日々」その18



突然の話題だが、とらやは古く江戸時代から続いている老舗でおいちゃんの代で確か6代目だたと思うが、建物自体も
多分古くからあのような形だったに違いない。しかし、そんなとらやもワット君の出現によって、その2階部分の一部が
吹っ飛ぶ羽目になる。突拍子もないことをしない山田監督だが、ちょっとやってみたかったのかも知れない。あー悲劇(TT)
そのあとおいちゃんが修理費をワット君に請求しなかったのは偉い。さすが太っ腹。



               





自殺未遂に終わったワット君。階段から落ちて顔が真っ黒。このあと故郷平戸に逃げて帰る。
また、後に第40作「寅次郎サラダ記念日」で寅は早稲田大学の学生にワット君のこの失態を
面白おかしく語っていた。ワット君もこの事件は一生もんだね(^^;)



               







2度目の爆発


そして、山田監督は何を思ったか、たった2年後にまたもや2階を爆発させる。最もこの時はとらやは車博士の便秘の薬の
研究所になっていた。調合を間違えたのかなにかわからないがとにかく2階全滅、第20作のワット君同様、ハレホレハレと
今度は寅が2階から落ちてきて眼がぐるぐるになっていた。もちろんこちらの方は『夢』 
寅はその時便秘だったのだ。この2回の爆発はカメラの撮り方も人のハレホレハレも似ているなあ。



                



このあと、目が覚めて病院で岡本茉利さん扮する看護婦さんに便秘薬をもらってた。
失恋も深刻だが、ある意味便秘もなかなか深刻だ(^^;)



                



便秘のとき「爆発の夢」を見るっていうのは分かる気がするなあ。チャンチャン(^^)



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